ドウタヌキ?


第四回放送まで


甲高いハウリング音を響かせて第三回放送が終わった。
ガゼットのドラマー、戒はその場にレイピアを突き立てて「くそっ」と毒づいた。葵の名前が呼ばれたということはもう残りは自分だけだ。
残っている参加者を見れば優勝なんて絶望的だということが分かる。
西洋生まれの細い剣で他の面子に勝てるわけがない、相手がハズレ武器だったり、レイピアより弱い武器だったとして、それで勝てたとしても、手元に残るのがハズレや弱い武器ではその先が続かない、どうしようもない。
戒は改めて名簿を見直した。まず注意すべきは《マーダー》のガラ。運動神経においてどうだかは知らないが、鉈とレイピアなら鉈に分がある気がする。
「・・・銃器以外にどんな武器が配布されてるかは知らないけど、鉈ってかなり良いんじゃないか?使いやすいし、威力はあるし。そういえば《超大当たり判定武器》っていうのがあるんだっけ」
昨晩、ムックの二人に襲撃されたことを思いだす。逹瑯が持っていたガトリング砲、あれこそが《超大当たり判定武器》なのではないか?
「だとしたら、それこそロケットランチャーとか出てきそうだけどな・・・なんか変な武器入れちゃったとかヒデさんも言ってたし」
そのレベルの武器があれば診療所の爆破ぐらいできそうな気もする。
「そこは考えてもしかたないか・・・戦って勝てないのなら騙し討ちか。となると・・・」
名簿の三番目に書かれた名前に視線がいく。
「明希なら騙し討ちできそうだよな」
ルキを通じて何回かプライベートで会ったこともあるし、すぐに信用してくれそうだ。というより他は先輩ばかりで騙し討ちはできない。
「まぁしばらくは身をひそめようかな・・・この盾にしたってどこまで役立つか分からないしなぁ、いやでも俺、怪我してるんだった」
ミヤのショットガンに《足を撃たれ》てランプはオレンジ、《大怪我判定》。回復アイテムを探す必要があるが、それをやれば誰かと遭遇してしまう確率が上がる。
首にかけているトタンを巻き付けて戒は空を見上げる。
「しかし今日は風が強いな・・・」


【武器】レイピア
【所属】ガゼット
【状態】オレンジ(大怪我判定)
【行動方針】騙し討ち?(やるとしたら明希狙い)
【特性】?
(トタンの盾を装備しています、銃器の攻撃を無効化できます)



山の遊歩道を《マーダーキラーチーム》が歩いていた。隊列はネロを先頭にゆうや、明希、恒人、ユウナ。特になにも考えていなさそうな順番だった。
「風強っ。なんか猛烈に枝毛処理したくなってきた。スカートめくれるし、もう!」
スカートの裾を押さえながら明希がぼやく。
「今、なにか余分な一言が入ってませんでしたか?」
明希の隣で同じようにスカートの裾を押さえている恒人が冷静に突っ込んだ。
「いや、なんかやりたくならない?てゆーか恒人君って髪綺麗だね」
「ありがとうございます」
そもそもバンド内で日常的に天然ボケハザードに慣れている恒人は明希のマイペース極まる言動もさらりと流す。
「明希・・・酔ってるのか、おまえは」
先頭を歩いていたネロが呆れた顔で振り向くと明希は首を傾げた。
「お酒飲んでませんよ?」
「・・・大変だな、スカートだと」
これ以上言っても無駄だと思ったのかツッコミに解説をつけるのがアホらしいと思ったのかネロはそれだけ言って前を向いて歩き出した。
また強風が吹いてスカートの二人は慌てて裾を押さえるが恒人が一拍遅れた、タイミング悪くゆうやが後ろをふり返っていた。
「・・・見ました?」
「ごめん!!」
「いや、別に・・・男のスカートの中なんか見せちゃってすいません」
両手を合わせるゆうやに逆に恒人が謝った。
「うううううん!!別に見えたら見えたで!!!」
何故かテンパるゆうやに恒人は不思議そうに瞬きしてから言う。
「見られると分かっていたらもっといいの履いてきたんですけどね」
恒人としては見られても問題のないものを履いておくべきだったという意味で言ったのだが彼にしては珍しく言葉が足りなかったため、バックスクリーン越えのホームランな台詞になっていた。ツンデレ的に。
「ぎゃふん!!」
口頭で敗北を宣言するゆうやをネロが呆れた様子で見る。
「声デカイんだよ、おまえは、どうしたんだよ?」
「いや、今まさにツンデレ萌えというのを体感しました的なっ!!??」
「え?なに?ゆうやはスカートの中が見たいの?」
とんでもないことを言うゆうやに明希が的はずれな答えを返してスカートの裾に手をかける。めくるつもりらしい。
「オマエは人の話を聞けよ!!つーか明希のなんか見飽きてんだよ!!脱ぎすぎてもはや新鮮さが皆無だ!!」
スカートにかけられた手を慌てて掴んでゆうやが叫ぶと明希が口を尖らせる。
「人を露出狂みたいに言うなよぉ」
「みたいじゃねぇだろ!露出狂だろ!!」
「なんだとぉ!」
「あ、あの二人とも落ち着いてください、すいません」
あやまってどうなるわけでもないし恒人はそこまで悪くないのだがそう言ってシドリズム隊の不毛・・・というより意味不明な喧嘩を止める。
最後尾のユウナはすっかり口数が少なくなっていて、手持ち無沙汰に《自殺志願》をくるくるまわしている。
「そういえば恒人君ってさ、昔ゴスロリ着てたよね?」
ゆうやがまた前を向いて歩き出したので明希は恒人にそう話題を振った。
「ああ、着てましたね」
「マオ君が良いなぁって言ってたの今、思いだしてさ。俺も着てみようかな〜」
「良いなぁってどういう意味でですか?」
「マオ君はゴスロリ好きだからね、羨ましいとか」
「そうなんですか、可愛いですよね、ゴスロリ」
《ごっこ遊び》がスタートして二日目、多少際どいことはあってもまだ戦闘にはなっておらず、すでに緊張感はなくなっていた。
明希の妙にゆるい雰囲気に、人見知りのない恒人は多少戸惑いながらも楽しんでいる様子。
「しっかし会おうと思うと会えないもんっすね、《マシンガンのマーダー》さん?誰だか予想もつかないし」
本人としては押さえて喋っているのだろうがやはり大きめのゆうやの声にネロが顔をしかめてふり返る。
「・・・ユウナさんの推理通り、《マーダーになれ》っていう《指令》が組み込まれていたのなら、誰であってもおかしくないからな」
ネロはユウナの様子をうかがうが、ユウナはネロの視線に気づいているのかいないのか、木漏れ日に目を細めながら《自殺志願》をまわして何かを考えているようだった。そんなユウナにネロは少し引っかかりと、そして第二回放送直後から抱いている疑念があったのだがそれを口にすべきか迷っていた。
「恒人君、もうゴスロリ着ないの?」
「いやあ、髪の色変えちゃいましたからね、それに方向性の問題もありますし、何かの企画とかなら着る機会あるかもしれないですけど」
「ああ、やっぱりゴスロリは黒髪じゃないとね、俺、今度髪染める予定だからその前になにかコスプレしよっかなぁ」
スカート組は相変わらず盛り上がっている。この二人、案外相性がいいのかもしれない。
「《マシンガンのマーダー》さんとは昨日ニアミスだったよね、もうちょい早く家出てたらなぁ」
「ちょっと判断が遅かったな」
「あ、ごめんなさい。あの時、俺が大城さんとけっこう時間とっちゃったから・・・」
明希と話しながらネロとゆうやの会話もちゃんと聞いていたらしい恒人に謝られて、むしろゆうやは焦ってしまった。
「いや、ごめんね!責めたいわけじゃないんだよ!」
「静かにっ!」
先頭を歩いていたネロの声に全員が一斉に口を閉じた。遊歩道は丁度カーブになっていてネロ以外からは見えていなかったが、道の脇の木にもたれかかっている人物がいたのだ。誰だか確認するまでもない、長い黒髪で無駄に背の高い男。
逹瑯はネロの姿を見てほっとしたような笑顔を浮かべた。
「なんだ、ネロかよ。驚かすんじゃねぇよ」
いつもの尊大な彼。いや、彼に関しては《いつも通り》だからこそ警戒が必要だとネロが思ったその時、「逹瑯さん!」と嬉しそうな声を上げて明希が前に出ようとした。
ネロはとっさに襟首を掴んで引き戻す、身長差はほとんどないのだがドラマーの筋力をフルに使って、猫の子でも移動させるように自分のほうへ引き寄せた。
「ぐえ!!」と妙な声を上げる明希の耳元で逹瑯に聞こえないように囁く。
「逹瑯は信用できないって言ったのはオマエだろうがっ!」
「あ!」
残りの三人も顔を出し、ネロ、明希、ゆうや、恒人、ユウナという面子を見て逹瑯は首を傾げた。
「なんの集まりだよ。ハーレムでも作る気か?ラストレター・ネロ」
「その話を持ち出すな!!あとハーレム作るつもりで集めたわけじゃねぇ!!」
「あのですね、《マシンガンのマーダー》を倒そうという集まりなんですよ〜」
ネロに襟首を掴まれたまま、明希がのほほんとした調子で言った。
どこかで鳩が一声鳴いて、逹瑯はふっと笑う。
「あっそ。俺は興味ねぇな。そんなことよりさぁ、ウチのミヤを見なかった?」
《マーダーキラーチーム》は互いに顔を見合わせて首を振る。
「会ってないってさ」
「マジかよ。困ったな、リーダーの話聞かなきゃどうしようもねぇじゃねぇかよ、ユッケは初っ端から消えるわヤスは自爆するわ、最悪だ」
そう言って逹瑯はため息をついた。
「ところで逹瑯、オマエの武器はなんだったんだ?」
「あ?俺はこれだよ」
そう言って逹瑯は器用にバタフライナイフを開いて見せた。
「まさかオマエら、俺を疑ってるのかよ?ひでぇなあ、傷つくぞ、武器はコレ!バタフライナイフ!」
「・・・逹瑯さ〜ん。それ証明になりませんよ。だって《マシンガンのマーダー》は倒した人数分の武器を持ってるはずですし、小型のマシンガンならディバックの中に隠しておけますから」
まだ襟首を掴まれたままの明希に言われて逹瑯は拗ねたように口を尖らせた。
抜けているように見えるので誤解されがちだが、明希はけっこう頭の回転は速い。
回転の方向が偶に間違っているだけだ。
「明希ちゃ〜ん。やっぱ俺のこと信じてないのかなぁ。ところでネロ、ガラのことどーすんの?」
「知るかよ、あんなバカ・・・」
「じゃ、俺が会ったら倒しちゃってもオッケー?」
「好きにすればいい。と、いうかオマエ・・・やる気なのか?」
「リーダーに方針決めてもらわなきゃ動けないって言ったっしょ。でもまぁお遊びバトルごっこぐらいならやりてぇなと思って・・・あ、こっちの武器見せたんだからそっちの武器も教えてよ」
やれやれとばかりに肩を落としてネロは持っていたネコパンチバズを掲げた。
「俺はこれ、一応《大当たり判定武器》だ」
「俺はえっと・・・ネロさんいいかげん離して下さいよ。武器出せないっす」
明希に言われてネロは「すまん」と襟首を離した。
「俺はこれ、七首・・・じゃなかった、えっと匕首です」
「えっと、Dの恒人です、武器はこれです」
恒人は軽く頭を下げてからジェリコを見せた。
「俺も銃っす!って言っても当てたのはしんぢ君で俺の武器はハズレでした!」
ゆうやもコルト・ウッズマンを掲げる。
「俺は大鋏」
ユウナは短くそう言って《自殺志願》を見せた。《超大当たり判定武器》であることは告げない方向のようだ。
「すげぇな、かなりハイスペックじゃね!?」
またどこかで鳩が一声鳴いた。
「じゃあ俺達は行くけど、逹瑯はどうする?一緒に来るか?」
ネロの言葉に逹瑯はつまらなそうに鼻をならした。
「社交辞令ならいいって。自分があんまこーいう状況で信用されねぇのは分かってるし、俺が意見聞くのはミヤだけだよ」
「あ、じゃあミヤさんと会ったら逹瑯さんが探してたって伝えておきますね!」
「はは、明希ちゃんありがと。頼むわ・・・」
逹瑯をその場に残して《マーダーキラーチーム》は先に進んだ。すれ違いざまに頭をぐしゃぐしゃと撫でられた明希はぶーぶー言いながらネロに引きずられていって、ゆうやと恒人とユウナは会釈をして逹瑯の前から去っていった。


5人の姿が完全に見えなくなり、静かになったところで逹瑯はもたれていた木から離れた。同時に木の上から飛び降りてきたのはミヤ。
右手にショットガンを持ったまま綺麗に着地して逹瑯を見上げる。
「失敗はしたが役に立つことは分かったな・・・」
そう言ってミヤが取り出したのは鳩笛だった。
「役には立つと思うけどさぁ、やっぱり役目は反対のほうがよかったんじゃねぇ?」
「俺はオマエと違って《小芝居》は苦手なんだよ」
「・・・やだな。根に持ってるのあれを、企画したのはユッケじゃん」
「ノリノリだったのは逹瑯だろ」
ミヤは楽しそうに笑って鳩笛を吹いた。「ホー」という本物の鳩の鳴き声そっくりの音が鳴る。
「今のミヤ君ほどじゃないけどねぇ。しかし都合良く明希と会えたのにまさかあんな大人数で行動してるとは・・・」
「・・・ろくなことにならねぇ気がするけどな、よっぽど親しいヤツとでもないかぎり。だいたい《マシンガンのマーダー》倒せたとしてその後どーするつもりなんだよ、ネロさんは」
「考えてないんじゃねぇの」
ミヤはまた楽しそうに鳩笛を鳴らした。今回二人がとった策戦は、アイテムである《鳩笛》見つけたので決行できた。昨日の段階からミヤは夜が明けてからは不意打ちが難しくなることを考慮し「逹瑯と自分にだけ分かる合図」を考えていたのが《鳩笛》で解決した。
これもまたごく単純なもの、逹瑯がガトリング砲をすぐに装着できる状態で隠しつつ、バタフライナイフだけのほぼ丸腰をアピールして相手を油断させ、ミヤが不意打ちをかけ、相手が混乱したところを逹瑯がとどめを刺すというもの。
そのために鳩笛を一回鳴らせば回避、二回鳴らせば決行という合図を決めていた。ネロが《マシンガンのマーダー》について聞いた時に、それがイノランであることを教えるなという意味でも一回鳴らした。これは打ち合わせになかったものだが即座に逹瑯は理解して話をそらした。
「しかしオマエは本当に小芝居が上手いな・・・」
「ミヤ君、嘘をつくコツは嘘話を作るんじゃなくて《本当のことを言わない》ってことなんだよ」
「イヤってほど分かってるけどな」
ミヤはまた笑って鳩笛を鳴らした。どうやら単純に音色が気に入ったらしい。
「ミヤ君、子供みたい・・・」
木漏れ日がきらきらと揺れる中で、嬉しそうに鳩笛を鳴らすミヤを、風に煽られる髪を手で押さえながら柔らかい笑みで眺める逹瑯という不思議な光景が出来上がっていた。


明希
【武器】匕首
【所属】シド
【状態】青
【行動方針】マオの敵討ちを兼ねて《マーダー》を倒す。
【特性】?

ゆうや
【武器】コルト・ウッズマン、新体操のリボン
【所属】シド
【状態】青
【行動方針】マオの敵討ちを兼ねて《マーダー》を倒す。
【特性】タミフル

ネロ
【武器】ネコパンチバズ
【所属】メリー
【状態】青
【行動方針】《マーダー》を倒す。
【特性】全身全霊
(現時点ではこのパーティのリーダーである)

ユウナ
【武器】自殺志願−マインドレンデル−(超大当たり判定武器)
【所属】なし
【状態】青
【行動方針】ネロ達につき合って《マーダー》を倒す。
【特性】??
(スギゾウを攻撃したことは告げていない)

恒人
【武器】ジェリコ914
【所属】D
【状態】青
【行動方針】大城の仇を討つ、メンバーと合流するまでネロ達と行動
【特性】ツンデレちゃん

ミヤ
【武器】レミントンM870、ギターの弦、水倉りすかのカッターナイフ
【所属】ムック
【状態】青
【行動方針】優勝を狙う、策戦を立てて不意打ち攻撃
【特性】策士リーダー
(アイテム《鳩笛》を所持しています)

逹瑯
【武器】サイボーグクロちゃんのガトリング砲、バタフライナイフ
【所属】ムック
【状態】青
【行動方針】優勝を狙う、ミヤの立てた策戦に従う。
【特性】俺様サドモード
(ルナシー全員が《ジョーカー》である可能性を疑っています・イノランが《マシンガンのマーダー》である確証を得ています)



灯台。窓から差し込む日の光にタケオは目を細めた。
「おはよう。眠れたか?」
普段と変わらない調子のキリトにタケオは苦笑する。
「ぐっすりとはいかなかったけど、体力回復程度にはなったよ」
「そうか、あいつは無事戻ったかな?」
「メリーの結生君?大丈夫でしょ・・・」
キリトの向かいに腰かけると目の前にルールブックの白紙ページが差し出された。
文字が書かれている。
「しかし、今日はどうするかな・・・」
そこには《主催者反撃ルートの方法が分かった》と書かれていた。
「どうしようね、やっぱコータ探す?」
タケオも筆記具を取り出して白紙ページに文字を書く。
《どうやればいいの?》
「此処は要塞としては悪くないからコータから来てくれるといいんだが・・・」
キリトも素早く筆を走らせタケオに見せる。
《至極簡単な話だ、原作ではどうすればゲームから脱出できた?》
「そうも上手くいけば良いんだけどねぇ」
少し考えてからタケオは書いた文をキリトに見せる。
《首輪を外せば死んだと思わせられるし、禁止エリアに入れるようになるから、首輪を外せばよかったんだっけ?》
口角を上げてキリトは頷きながら言う。
「兄弟のテレパシーでなんとかなればいいんだがな」
《ならば今回のごっこ遊びにおいて首輪の役割を担っているのはなんだ?》
はっとした顔になるタケオは声に出さず口パクで言った。
『せ・い・ふ・く』
《そうだ、制服を脱げばいい、脱いではいけないというルールはないし、ゲームオーバーになったと向こうに思わせる必要もない、ノーダメージ状態の制服を此処に置いたまま、俺は廃校に突撃する》
「テレパシーって、そんな曖昧な・・・」
《でも制服脱ぐたって、全部脱ぐの?》
「感覚的なものは全て曖昧ななのさ」
《もちろん、パンツ一枚で突撃だ!》
「・・・うげっ!!」

キリト
【武器】ハイスタンダード・デリンジャー
【所属】アンジェロ
【状態】青
【行動方針】主催者反撃ルート
【特性】超人の領域

タケオ
【武器】大爆文様、ヌンチャク
【所属】アンジェロ
【状態】青
【行動方針】キリトに付き合う
【特性】?

(主催者反撃ルートの方法に気づきました)



・・・・・・
「《地の文》さん?」
普通に話しかけるなと何度言えば。浅葱は最初にサクラとハイドがいた洞窟の様子を見に来ていた。もちろんメンバーを探すためだ。
と言っても早朝の放送で大城のゲームオーバーが伝えられたので残りは涙沙と恒人の姉妹組だけになってしまったのだが。
「いや、素直に言ってくれていいよ、ずっとツッコミ避け続けるのも大変じゃない?」
登場人物に気づかわれてしまった。浅葱、首から上は完全メイクと髪型で、服はカーキ色ブレザー。その時点でちょっと違和感があったのだが、首から双眼鏡を下げていた。最初の民家で見つけたアイテム。
・・・・・・え〜っとエクステ取ったらどうですか?
「そうだよね、俺もそう思ってた。妙だよねこの恰好」
浅葱は洞窟の適当な場所に腰を下ろし、手鏡を出して髪を整え始めた。
「ツネもるいちゃんもどうしてるかな?ツネは性格上、どこかに身を隠してるだろうけど、るいちゃんはうろうろしてるだろうね・・・さて、会える確率はどっちが高いのかな・・・ってダメだ、やっぱり道具ないとエクステ取れない、引きちぎろうかな」
マジで止めて下さい。
「冗談だよ。それにしても、こうも誰とも会わないと不思議な気分というか不安な気分になってくるね、もしかしたら俺が《ごっこ遊び》だと思っているだけでこれは本物のバトルロワイアルだったりしてとか怖いこと考えてしまうよ」
この場合、誰とも遭遇していないというのは、幸運なのか不運なのか。浅葱は地面に置いた斬馬刀に視線を落とす。
「これは実はハズレ武器で、本物の銃なんかが配られていて、実は本物のバトルロワイアルなんです、だったらとても怖いね、まぁ100%それはないと言いきれるんだけれど」
何をもってそう断言できるのでしょう?
「《ゲームオーバー》が出ていることがその証明だよ。全ての面子と親しい付き合いがあるわけじゃないけれど、はい殺し合って下さいって言われて実行してしまうような人はいないって思うから・・・かな?俺がバトルロワイアルで一番リアリティを感じなかったのってそこなんだよね、確かに人は追いつめられると牙を剥くこともあるし、疑心暗鬼に陥ることだってある、でもそれ以上に人間は強さを持ってると思うんだ。戦うならそれは自分と同位や自分より弱い相手ではなく、理不尽なことを押しつけてきた権力側でしょう。まぁ今回に到っては主催がヒデさんっていうのも、これが確実に《ごっこ遊び》である証明なんだけれど。もっと権力側と戦おうとする人間がいてもよかったというか、そうなるのが自然だと思う。あの小説は独裁国家のような設定だったけれど、登場人物を見る限り完璧な心理的支配は感じなかったし、実際に独裁国家と呼ばれている国だって民衆のほとんどは別に操られているわけじゃない、ちゃんと自由な心を持ってる。だからこそ、どうしようもない《理不尽》が押しつけられた時は立ち上がる・・・」
浅葱さん、スイッチ入りましたね?
「ふふっ。音楽を愛している人間に人が殺せるわけないって言い切るのは少し理想的すぎるかな?でも俺はそれを信じてるよ。《ごっこ遊び》だからこそ、役割を全うする形で動き出した、それなら当然《ゲームオーバー》もでる。優勝商品、なかなか魅力的だったしね。俺も《ごっこ遊び》として本気で取り組むのも悪くないかなと思ってきたよ。そうなるとるいちゃんとツネは絶対に見つけないといけないね」
そう言って浅葱は前髪を弄びながら思案顔。
「それもピンポイントで見つけないと、俺は人見知りが激しいから・・・。この島がそもそも本物の《無人島》で建物の全てがこの《ごっこ遊び》用に造られたのなら、アイテムの場所とかはだいたい予想がつくんだけどね、この双眼鏡を使おうと思うなら、展望台か、それかこの洞窟の上だね、一番の高台・・・」
そこにはスナイパーライフルを持ったタクヤがいる。
「あれ?今雑音が入って聞こえなかった。そうか、俺が得てはいけない情報は聞こえないシステムになってるんだね、《地の文》さん」
そうでなければ地の文が聞こえる人、有利すぎるでしょうが。
「確かにね、きっと俺も小説書いたりしているから聞こえるんだろうけれど・・・」
そんな理由で聞こえてたまるか!!
「そう?そうだね。でも高台に上がるのはやめておこうかな・・・獣道みたいなところに足跡があったんだよね、それも登った足跡はあっても降りてきた足跡はなかったし、ツネのものでもるいちゃんのものでもなかったから」
足跡で見分けられるんですか!?
「え?歩幅とか歩き方の癖とかで分かるよ」
・・・もうヤダこの人。
「まぁそこそこ都会っ子の二人があんな急勾配登ることもなければ山の中に長時間居座るわけないって理由もあるけれど、俺としては着目すべきは此処だと思うな、たぶん此処にはなんらかのアイテムが置かれているとは思うけれど・・・でも此処の不自然さにはたぶんみんな気づいてるよね?」
浅葱が地図を開いて指さしたのは展望台の横、《研究所》と書かれた広い建物。
「行ってみてもいいけれど、誰かと会いそう・・・ツネは確実にこんな目立つところにいないだろうけど、るいちゃんは行きそうで怖いね」
もう貴方、いっそ探偵役でもやってくれませんかね?
そういえば、浅葱さん、たとえ《ごっこ遊び》でもメンバーが《ゲームオーバー》になるのはイヤですか?
「・・・もちろん」

浅葱
【武器】斬馬刀
【所属】D
【状態】青
【行動方針】メンバーと合流
【特性】ヴァンパイア
(アイテム所持、双眼鏡)


さて浅葱が綺麗なパスを出してくれた《研究所》。六角形のコンクリートの建物を中心に大小幾つかの建物が連なっている、その入り口にメリーのギタリスト、健一がいた。
手に持っているのはスタンガン。
ディバックからこれが出てきて、しかもスイッチを押したら青い火花が散った時は心底驚いたが説明書を読んでみると、相手に当てると一定期間ランプを点滅させる効果があるものらしい。つまり一時相手を《移動不可》にできる。
なかなか有効な武器だが・・・
「俺、こういうの向いてないし」
と肩を落としてしまった。いや、健一の場合たとえ武器が銃であっても積極的に乗るタイプではない、そうこうしているうちにガラが《マーダー》だと放送されるわ、結生とテツがゲームオーバーになるわもうどうしていいやらという状況であった。
研究所の窓には全てシャッターが降りていて、中の様子はうかがえない。健一はスタンガンを構えると鉄製の扉を開けて中に入った。

外の光がほとんど入らないせいか、研究所の中は暗く、何があるのか全く分からない。足を踏み入れると扉は勝手に閉まって、ますます何も見えなくなる。
手探りでディバックから懐中電灯を取り出そうとしたその時、風切り音がして何かが向かってきた、健一はとっさにディバックでそれを受け止め、スタンガンを突きだしてスイッチを押した、バチバチと青い火花が散る。
僅かに輪郭の見える人影がそれに驚いて後ろに下がった。
「だ、だれっ!?」
「え?健君!?」
返ってきたのは予想外の声だった。
「ガ、ガラ君!?」
ばたばたと賑やかな足音の後、ぶーんという機械音と共に部屋が明るくなった。見上げると蛍光灯の明かりがついている。此処だけ自家発電でもしているのだろうか・・・今はそれはどうでもいい。
スイッチの前で気まずそうな顔をしているガラを健一は睨め付けた。
「・・・なにやってるの?テツさんも結生君もゲームオーバーになったんだよ?」
「いやあ・・・あはは・・・」
「笑って誤魔化してんじゃねぇよ」
微笑みと共に低音で言われて、ガラは目を泳がせる。
「たかだかごっこ遊びだよ、そんなマジにならなくても・・・」
「《マーダー》やってるガラ君がマジになってるんだろ!つーかオマエさ、そんなに京さんが好きか!?」
「うん」
「即答かよ!」
ちょっとは考えて欲しかったというか、その場しのぎでもいいから「メリーで優勝したくて」とか言ってみろよとか色んな思いを込めての突っ込み。
「だって・・・」
「だって、なんだよ?」
「俺は・・・」
眉間にシワを寄せて考えこんでいたと思ったら、急に子供じみた表情になってガラは高らかに言った。
「ディルアングレイの2時間特番、見たいんですっ!!」
唖然とする健一の横を、「じゃ、そーいうことで」などと言いながら駆け抜けてガラはそのまま研究所を出ていった。
「・・・優勝商品の《ゴールデンタイム二時間枠》をディルさんに渡したいって?」
がりがりと頭を掻きむしりながら健一は深いため息をついた。
「嘘の下手なやつ・・・」
ガラの感性の細かさ、それを考えれば、そしてメンバーとして今の言葉が本心でないことぐらい分かる。きっとガラは健一には考えも及ばないような理由で《奉仕型マーダー》をやっている。
「ますます俺、どうしたらいいんだ」

鉄製の扉が開いて入ってきた人物がいた、GLAYのベーシスト、ジロウ。
「健一君、なんかガラ君がすごい勢いで走っていったんだけど・・・」
「アレは野犬かなにかだと思って無視しといて下さい」
健一とジロウ、昨日の夕方頃に出会い、互いに戦意がなかったため一緒に行動していたのだ。
「しかし、此処は自家発電なのかな?」
「そうみたいですよ」
ジロウは持っていた支給武器、《特殊警棒》を腰に差して健一の傍まで来る。
「でも健一君、いいの?ガラ君をあのままにしておいて」
「もう俺、この《ごっこ遊び》は投げます。ネロはネロで面倒なことしてそうだし、結生君とテツさんがゲームオーバーになってるんじゃ俺にできることはないですよ、ジロウさんがメンバーさんと合流できたら適当に降りますから」
「そっか」
ジロウが肩を竦めて苦笑したので健一も笑う。
「だいたい俺って抜けてるっていうかドジっていうかバトルなんて勝てる気全くしないんですよね、ライヴでもよく転んだりして、恥ずかしいです」
「転ぶぐらい普通だよ、俺なんてラジオで"聞いてください、HOWEVERでGLAY"って言っちゃったことあるよ?」
「いや、それだって緊張したらやりますよ、たぶん」
しばし互いの失敗談で盛り上がる二人、ほのぼの。
「此処なら良いアイテムありそうじゃないですか?」
「う〜ん、さっきまでガラ君がいたならもう回収してるんじゃない」
確かに、電気のスイッチの位置まで把握していたならガラはそれなりの間、此処にいたのだろう。
「一応探してみましょうか?」
「そうだね」
コンクリートの床には土や埃が積もっていて、フロントらしきところにはコードの切れた電話機が置いてあった。
適当な扉を開けると廊下、自動販売機が設置されていたが、これは既に故障しているようだ。しかし自動販売機といっても映画館なので見かけるお菓子などが売ってる自動販売機だったが。健一が「あれ?」と首を傾げる。
「どうしたの?」
「いや、何処かでこんな光景を見たことがあるような・・・」
「・・・実は俺もそう思っていたんだよね、ライヴハウスとかでこんなとこあったかな?」
二人で首を捻って考えるが答えは出ない。不思議な感覚に押されながら次の部屋に入った瞬間同時に声を上げた。
ドーム型のケースの割れた孵卵器、そして円柱の透明なケースの中には恐竜のぬいぐるみが吊してあった。
「ジュラシックパークだ!」
「それも3ですよね、これ」
映画『ジュラシックパーク3』に出てくる建物を模した光景だったのだ、胸のつかえが取れた、そして二人は気づく、さすがに此処まで露骨なら気づく。
「この建物・・・この《ごっこ遊び》用に造られたものみたいですね」
「ああ、随所随所適当なのがまた露骨というか手抜きというか・・・このお茶目心がなんともヒデさんらしいよ」
「確か此処でヴェロギラプトルに襲われるんですよね・・・」
「・・・さすがに出てはこないだろうけど」
そんなバトルロワイアルは嫌すぎる。
そうは言っても少し怖い、診療所爆破の件もある。健一は「ガラにトラップ張れるだけの頭はない」と思っていたが、一応警戒しながら進むと、奥の孵卵器に大きな金色の卵が鎮座していた。《アイテム》と書かれた紙が貼ってある。
「どうします?」
「どうしようか・・・でもまあ《アイテム》って書いてあるし」
ジロウに確認を取ってから健一は卵に触る、材質はプラスチックか、探ってみるとボタンがあった、恐る恐る押してみると、卵がぱかっと開き、中から出てきたのは《発煙筒》だった。
二人は顔を見合わせる。
「これを使うと《拡声器》並の死亡フラグじゃ・・・」
「でも使えなくもないですよね・・・」
少し迷ったが発煙筒はジロウのディバックに入れておいた。
「しばらく此処にいようか?目立ちまくってるから危ないかと思ったけど、よく考えたら逆にそれでみんな避けてるのかもしれないし」
ジロウの言葉に健一は頷く、アイテムが回収されていなかったということは此処まで来た人間がいないということを示している。
「そうですね・・・しばらく此処で休憩しましょ・・・」
健一が言いかけた時、ガタンと大きな音がして正面玄関の開く音がした、同時に誰かの声。
「・・・タイミング悪いですね」
「・・・ついてないなぁ、どうする」
声を落としてそう言い合う、侵入者の歩き回っている足音と微かに聞こえる声。
「誰かいますか〜?戦う気はありません、メンバーを探しています〜!」
二人は顔を見合わせた、関西訛りの声に苦笑い。
「ウチのメンバーじゃないな」
「ウチでもないですよ・・・といってもネロしかいないですけど」
そこでジロウは「あ!」と何かに気づいた顔。
「ジルさん?ソフィアのジルさんですか!!??」
ジロウの呼びかけに一瞬静かになった後、声が返ってくる。
「そうです!ソフィアのジルです!!そちらは!?」
「GLAYのジロウです!メリーの健一君も一緒!!」
「あ〜どうもお久しぶりです!あの、俺ハズレ武器やったんで、安心してください!」
「こちらも銃器の類は持っていないんで、いまそちらに行きます!」
そう声をかけてからジロウと健一はフロントまで戻る、軽く両手を上げて丸腰をアピールしているソフィアのギタリスト豊田和貴(通称ジル)がいた。
・・・地の文ではジルで通そう。
「あの、今そこで野生児の如く駆け抜けていくガラ君に会ったんやけど」
ジルにそう言われて健一はこめかみを押さえた。
「あれは野犬か、でなきゃフランケンシュタイニーだと思って無視してください」
「フランケン・・・なに?」
ジルにそう聞き返された、ボケに本気で聞き返されると微妙な気分だ。
ジェネレーションギャップ。
「まあとにかく気にしないでください・・・」
「そう、ならええんやけど」
床がかなり汚れていたため、フロントのカウンターにもたれかかりながら情報交換を始める。
「と言っても俺はジロウさんと以外は特に誰とも会ってないんですよね」
「俺も、健一君が最初に会った人。ジルさんは?」
「いやあ。俺、この界隈に知り合い少なくて、ぱっと見ただけじゃ誰か分からないんや、ガラ君は鉈を持ってたから"ああこの子が"って思っただけで・・・えっと展望台で呼びかけたマオ君?あの時・・・特徴的な二人組が逃げてくの見たけど・・・誰なんやろ?」
ジルは苦笑いを浮かべて鼻の頭を掻く。
「どんな感じでした?」
「えっとな、髪がえらい長くて背がめっちゃ高い子と、背の低い目つきの悪い子」
その特徴を言われたら健一はすぐに分かった。
「それ、ムックの逹瑯とミヤ君ですよ・・・一緒だったんだ・・・」
健一に言われてジルはルールブックの名簿ページを開く。
「あ、そや。こんな感じの長い黒髪の子!」
「あんな早期の段階でメンバー揃うなんてすごくない?名簿だと名前離れてるよね」
ジロウの尤もな言葉に健一は少し首を傾げて言う。
「逹瑯はよく"俺は悪運が強い"って自慢してますから、それかも・・・」
「悪運って・・・」
ジロウとジル、苦笑い。
「そういえばジルさん武器なんだったの?」
ジロウの質問にジルはディバックを開けて丸っこい猫のぬいぐるみを取り出す。
「《ニャンコ先生》だそうやけど・・・ニャンコ先生ってこんなんやったっけ?」
ジル、おそらく元ネタを勘違いしている。
「かわいい・・・」
と健一はお気に召した様子でもふもふしている。
「そういえばジルさんはメンバーを探してるんだっけ?」
「ああ、と言ってもウチはもう黒ちゃんしか残ってへんけど」
「なら一緒に行動しましょうか?メンバーと会えたら別れるってことで、いいよね、健一君」
健一はニャンコ先生をもふもふしながら「いいですよ」と受けた。


健一
【武器】スタンガン(攻撃力なし、ランプを点滅状態にできる)
【所属】メリー
【状態】青
【行動方針】ジロウとジルが他のメンバーと合流したらゲームを降りる
【特性】?

ジロウ
【武器】特殊警棒
【所属】GLAY
【状態】青
【行動方針】メンバーと合流
【特性】?
(アイテム『発煙筒』を所持)

豊田和貴(ジル)
【武器】ニャンコ先生(ハズレ)
【所属】ソフィア
【状態】青
【行動方針】メンバーと合流
【特性】?

ガラ
【武器】鉈
【所属】メリー
【状態】青
【行動方針】京を優勝させるためディルメンバー以外の参加者を倒す(奉仕型マーダー)
【特性】?
(特殊アイテム『名無しさんの首』を所持)


再び灯台、「眠くなったから少し寝てくる」という小芝居をしてキリトが窓からこっそり出ていって、今はタケオ一人だ。
キリトが脱いだ制服は二階に放置してある。これで・・・おそらくは制服に内蔵されている発信器のようなもので場所を把握している管理側、つまりヒデは騙せているはずだ。
−しかしまあよくやるよ・・・
とタケオは一人、苦笑いをしていた。ライヴで半裸になる人間も珍しくはないけれど、さすがにパンツ一枚で行けと言われたらタケオには無理だ。
一緒に来いと言われても断っただろう、言われなかったけれど。
案外、他にこの方法に気づいた者もそれに抵抗があってやめたのかもしれない。
タケオはキリトの性格をそれなりに分かっているつもりなので、自信満々に突っ走っていくキリトをむしろ微笑ましい気持ちで見送ったのだが、他の者からしたらドン引きだろう。
なるべく禁止エリアを選んで行くとは言っていたけれど、目撃されないことを祈る。
キリトが出ていった窓から朝の柔らかい光が差し込んでいた。
−やばい、ダンボール張り直さなきゃ
タケオが立ち上がりかけたとき、手が伸びてきて窓がノックされた。
「誰だ!?」
大爆文様は役に立ちそうもないので、結生の支給武器であったヌンチャクを構え、タケオは鋭い声を上げる。
「こんにちは」
そうのんきな声を上げて窓から顔をのぞかせたのはリュウイチだった。
まさかの大先輩登場にタケオは戸惑う。
「ちょっと中で休ませてもらえないかな?」
「え・・・」
断るわけにもいかない、そして下手に騒いでキリトの不在をヒデ側に知られては困る。
「ああ、どうぞ・・・」
タケオが鍵を外し、窓を開けるとリュウイチはひょいっと窓枠を飛び越えて中に入った。
「悪いねぇ、いきなり押しかけて」
「いえいえ、実はキリトもいるんですけど、今は寝てまして・・・」
「ああ、いいよ。おかまいなく、眠らせておいてあげて」
やんわりと微笑むリュウイチにタケオは胸をなで下ろす。
しかしどうしたものか、いっそキリトが既に《主催者反撃ルート》に気づき、突撃中であることを筆談で伝えたほうがいいかもしれない。
「リュウイチさんは何か目的が?」
「ん〜?特にないよ、まあ適当にぶらぶらしてただけ」
「ルナシーのメンバーさんと合流するとかは考えてないんですか?」
「ないねぇ。J君は確実に《主催者反撃ルート》じゃない?面倒くさそうで・・・」
これはどう受け取ったらいいのか、しかし《主催者反撃ルート》に協力的でないだけで敵意はなさそうだ、やはり筆談で伝えておこうかとリュウイチに背を向け、ルールブックの白紙ページを開いた時、カチャリという不穏な音がした。
ふり返るとリュウイチがデザートイーグルをこちらに向けて微笑んでいる。
「・・・へ?」
状況が飲み込めない、なんで銃口が自分を向いているのだとタケオは首を傾げる。
「俺ってそんなに信用されやすいかな?こうもあっさりだとやりがいないっていうか拍子抜けするんだけど」
「え、だって・・・え?」
「バイバイ」
リュウイチは笑顔を浮かべたまま引き金をひいた。
大きな銃声が響き渡る。

タケオはひどく慌てた様子だったが、《死亡判定》を喰らったため、結局口を閉じて二階に上がるリュウイチを見送った。
階段を上がりながらリュウイチは手に持ったデザートイーグルを見る。
「他の銃器と比べたわけじゃあないけどまたも一撃で死亡判定か・・・さすがだね」
まぁ着実に狙いを定めてやってはいるけれど、最強の拳銃と言われるだけのことはある。
「本物だったら反動とかすごいんだろうなぁ・・・しかしあれだけの轟音がしたのに出てこないな、キリト君」
あるいは二階で迎え撃つ体勢でいるのか、だとするならちょっと刑事ドラマっぽくてカッコイイ。
二階は一部屋しかなく、扉は開いていた。壁際に寄って銃を構えればますます刑事ドラマっぽくてテンションが無駄に上がる。
しかしリュウイチが素早く銃を向けながら部屋を見た時、そこにあったのは脱ぎ捨てられた制服だけ。
頭の上に「?」を浮かべながらリュウイチはその光景を見る。
なにがどうなっているのだ?
ふとリュウイチの脳裏にスタート前の教室でのやりとりが甦った。
『主催者に反撃するルートはあるんですか?』
淡々と放たれたキリトの言葉。最初のピースがはまればすぐに全ての絵が見えてくる。
なるほど、自分は最悪のタイミングで来てしまったわけだ。
「さて・・・どうする、かな?」



リュウイチ
【武器】デザートイーグル、防弾チョッキ、大爆文様
【所属】なし
【状態】青
【行動方針】ステルスマーダー、さて、どうしようか?
【特性】?

【タケオ アンジェロ ゲームオーバー】
(ヌンチャクは灯台に放置)


【残り32人】


幕間−敗者控え室−

男前なゲームオーバーをした赤松と大城が拍手喝采で迎えられ、他の面子も揃ったようやく落ち着いたところの控え室では、スピーカーを全員が無言で見つめていた。
「え?どうなったの!?」
先程まで大城にどつきまわされていた英蔵が声を上げるが答える人間は誰もいない。
灯台でのやりとりを音声のみ聞いていた控え室の面子には何が起こったのかさっぱり分からないのだ。
「キリトさんがいないってこと?」
しんぢがぽつりとそうもらした。
「え・・・だってモニターには・・・」
スギゾウが指さしたモニター、灯台を示す部分に確かにキリトの番号である《12》と書かれた丸があり、リュウイチの番号《51》、そしてタケオの番号《28》が重なっている。
「どういうことなの・・・?」
ユッケの呟きにメリーのテツが答える。
「《主催者反撃ルート》のやり方が分かったってこと、か?」



廃校近くの禁止エリア、本来人がいるはずのないその場所を疾走する人影があった。
「URAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
と奇声を上げながら走っているのはついさっき《主催者反撃ルート》の方法に気づいたキリトその人。間違ってもDIO様ではない。
宣言通り、パンツ一枚で突っ走っている。
廃校の裏に回り込み窓から中へ飛び込む、手にはハイスタンダード・デリンジャー。
異様というか既知の外な光景だった。
むしろ放送禁止ぐらいの。
気づいてもやらなかったミヤが賢明と言うべきか、やれるキリトが大物すぎるというか、パンツ一枚で銃を持つ男にはなにかこう、思考回路が全て断絶してしまうような妙な迫力に満ちてた。
キリトでなければ許されないような、やっているのがキリトだからかろうじて受け容れられるような、光景。
逆に最も凶器を持たせちゃいけない男に凶器を持たせてしまった、やっちまった感も漂う。
凶器が狂気で驚喜ですと使い古されたフレーズが巡る。
が、楽屋で果物ナイフ振り回すような男である。
元々そんなもんだ。たぶんキリトを知る全員が「まぁキリトだし」と思うだろう。
存在そのものが凶器みたいな男だ。
というわけで築き上げた、あるいは生まれ持ったキャラのおかげでパンツ一枚でピストルという恰好が許された彼は廊下を足音を殺して走る。
ご丁重にも『管理室こちら→』という紙(あっかんべーしたイラスト付き)に従って走る、走る。
「首取りにあがりましたっっっっっ!!失礼しますっっっっっ!!」
丁重なんだか狂ってるんだかよくわからない挨拶をしてキリトは『管理室』の扉を開け放って、ハイスタンダード・デリンジャーを構える。
「お!来たねぇ、いらっしゃい!」
向かえるヒデは飲み会に遅れてやってきた友人を迎えるような無邪気で嬉しそうな笑顔。
部屋の中央に立っていて、なにやら布がかけられた巨大な物体が隣にある。
モニター前の椅子に座ったままのY・J氏が「御愁傷様」と言う目でキリトを見ている。
「《主催者反撃ルート》正解だったみたいですね」
軽く口角を上げるキリトにヒデは変わらず無邪気な様子で手を叩く。
「正解!で俺を倒せばクリアだね!・・・倒せれば、だけど?」
そう言ってヒデは隣の物体の布を取り払った。
そこにあったのは巨大な、筒状の・・・専門施設にある天体望遠鏡サイズの大砲・・・ガトリング砲だった、逹瑯が現在所持しているものの50倍はありそうだ。
「・・・なんじゃそりゃぁぁぁぁぁ!!!」
思わず普通に叫ぶキリトににヒデはガスマスクを装着してハイテンションで言う。
「はっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
象の大群でも通過したような音と共に、ガトリング砲から何かが発射された。


数秒、ほんの数秒で部屋は惨状と化していた。
キリトが立っていた辺り、入り口付近が鮮やかな赤い粉まみれになっていて、粉塵が舞っている。廊下にひっくり返って「いてぇぇぇぇぇ!!」と叫んでいるキリトも真っ赤だった。
「いたっ!いたい!なんですかこれ!?」
「小麦粉弾、染料は天然のモノを使っているので害はございません〜らぶ〜!」
ガスマスクを装着したままヒデは大きくピースサイン。
同じくガスマスクを装着したY・J氏は精密機械に粉が入らないようにジャケットでばたばたと扇いでいた。
「なにがあった・・・・きゃあ!!」
「うひゃああああああ!!!」
おそらく様子を見に行くように言われたのであろうマオとユッケが駆けてきて女の子のような悲鳴を上げた。
パンツ一枚で赤い粉まみれになっている男を見たら当然のリアクションだろう。
「さて、キリト君。負けを認めますか?」
ガスマスクをつけたまま腰に手を当てたヒデに言われてキリトは悔しそうに唇を噛む。
「認めます」
きっぱりと言うところはやはり男前だった。
「しかし・・・なんでこんな待ちかまえてたみたいに・・・」
キリトの疑問にY・J氏がガスマスクを外して言う。
「キリトが出ていってすぐ灯台に来た人がいてね、タケオはゲームオーバーになったんだよ、その時の様子がおかしかったから」
「・・・運がなかった、というわけか」
ふふっとキリトは笑ったが顔も真っ赤だったのでかなり怖かった。

【キリト アンジェロ ゲームオーバー】

【残り31人】


『ぴ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!ぽ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!ぱんぽん!!主催者のヒデちゃんよりお知らせです、たった今、主催者反撃ルートに気づいた勇敢なる参加者さんが来ましたが帰り家です・・・ごめん!誤変換した!返り討ちでしたっ!!そこでみなさんルールブックのルール説明が書いてある最後のページを開いてください!名簿の前です・・・・・・・・・・・・・開いた?《ある一定の条件が揃った時、特殊ルールが施行されます》とあるよね!!《ある一定の条件》とは誰かが主催者反撃ルートに気づき突撃して失敗した時のことです!!よって只今より《特殊ルール》を施行いたします!!特殊ルールとは!?はい!説明お願いっ!』
ガタガタとマイクのズレる音と「俺!?」とY・J氏の驚く声がして、放送がY・J氏に交替した。
『では《特殊ルール》の説明をします。現在ゲームオーバーとなって廃校にいる参加者の中から一人だけ《復活》します。出発時にはスタート時同様、ランダムの武器が入ったディバック、此処に三種類ありますがこれから一つ選んでもらいます、もちろんどんな武器が入っているかは運任せです。誰が復活するかは厳正なるクジ引き・・・って、アミダでやるの!?・・・いやダメだよワープとかわけ分からない線引いたら!!数学的帰納法がどうとかじゃないよ!!はい、クジ引きで決めます、つまりこちらも運任せ。誰が復活するかは秘密です、決まったら即出発します、廃校周辺の禁止エリアは復活者のみ一時的に無効になりますが他の参加者には有効なのでご注意下さい・・・あ、ちょっと・・・』
またガタガタとマイクのずれる音がして再びヒデに変わる。
『ここでヒデちゃんからちょっとハッピー!頭のトレーニング!参加者の中にステルスマーダーがいるよ〜!隠れマーダーね。バンドメンバー以外とパーティ組んでるやつは注意したほうがいいかもよ?ヒデちゃんでした!ちゃお!』
嬉々として爆弾を投下して二度目の緊急放送は終了した。



「ステルスマーダーがいるんだって、怖いねぇ・・・」
のほほんと放たれたテルの言葉に涙沙は前のめりに倒れて畳で額を打った。
「どうしたの?立ちくらみ?」
「いえ、なんでもないですよ〜」
即座に笑顔で答える涙沙にテルも「そう?」と安心した様子で笑った。
そもそも座ってたんだから立ちくらみはねぇだろという突っ込みはしっかり飲み込んで涙沙は姿勢を直す。
テルと涙沙の二人は移動せず、民家に留まっていた。
しかし・・・と打った額をさすりながら涙沙はテルを見る。
ステルスマーダーがいる、とか言ったか・・・テルはどうなのだろう?
テルが所持しているのは《悪魔くんの召喚セット》でハズレ武器だがそれがそもそも油断させるための手段だとしたら?
浮かんだ疑念を涙沙は慌てて打ち消す。テルのほうは全くこちらを疑っている様子もないのに疑うのは失礼だろう。
いや、少しは疑えよ!!という突っ込みもとりあえず飲み込む。
少なくともテルの言動に疑う要素はどこでもなかった、天然通り越して若干電波入っているメンバーと(失礼)長年一緒にいるのだ、本物の天然と虚偽の天然ぐらい見分けはつく。
テルは純度100%の天然だ。それは間違いない。
いきなりスイッチの入る浅葱に比べれば、常にボケまくりなテルのほうがある意味やりやすい、慣れの問題もあるだろうけれど。
「それはともかくテルさん。ステルスマーダーがいるってことは今後誰かと会っても信用しないようにしたほうがええってことですよね?」
「え?メンバーも?」
「メンバーは除外ですよ・・・」
大丈夫か、この人。
ふとそこで涙沙は他のメンバーの顔、残る浅葱と恒人の顔を思い浮かべた。
彼等が自分のように他の参加者と行動を共にしている可能性。
浅葱はけっこうな人見知りだが、性格上一緒に行動することを申し出られたら断らないはずだ。恒人は慎重だが参加者の中では最年少、同じく申し出られたら無下に断ることはできない。
「んん〜?このゲーム、かなり先輩方に有利やな・・・」
いくら無礼講とはいっても後輩が先輩を騙し討ちというのはさすがに無理がある気がする、が、逆ならこれほど容易いことはない。
「涙沙君、大丈夫?」
見ればテルが本気で心配そうな顔でのぞきこんできていた。
「はい・・・ちょっと、ツネと浅葱君、大丈夫かなって・・・」
運動神経云々は置いて二人とも強い、精神的な意味で強い、しっかりしているし、頭の回転も速いし機転も利く、むしろ心配されるタイプなのは自分だろうと思うけれど、それでも・・・
なんだか無性に二人に会いたい。
「そろそろ行こうか、メンバーを探しに」
「・・・はい」

テル
【武器】悪魔くんの召喚セット(ハズレ)
【所属】GLAY
【状態】青
【行動方針】涙沙と行動、DとGLAYのメンバーを探す、イノランとバットを持った人物を警戒
【特性】?

涙沙
【武器】日本刀、スリッパ
【所属】D
【状態】青
【行動方針】テルと行動、DとGLAYのメンバーを探す、イノランとバットを持った人物を警戒
【特性】?
(イノランが《マシンガンのマーダー》だということを知っています)


研究所近くの藪の中、サクラとハイドが身をひそめていた、サクラは小型のラジオのようなものを手にしている。昨夜発見した《アイテム》だ。
この二人も正しい意味では『バンドメンバー以外』だが、それに関しては気にもとめていなかった。相手が自分を攻撃してこないと信じているわけではない、この二人にとってはそれすらも遊びの範疇であり、全ては楽しく遊ぶため、だから裏切りすら笑って受けられる。しかし今の段階ではハイドがまともな攻撃用の武器を所持していないので二人でバトルという選択はない、そのあたりの呼吸はちゃんと分かっている。ゲームはイーブンでなければつまらない。
ノストラダムスの予言に対する賭をやりなおしている気分だ。
あの賭けは互いに勝ちを主張しているので今のところ平行線だが。
「やっちゃん、どう?」
スカート着用をOKしてしまったため、足をそろえてしゃがみこんだ状態でハイドはサクラをのぞきこむ。
「やっぱりあの中に誰かいるみたいだ・・・もうちょっとで拾える・・・」
サクラが手にしているアイテムは《盗聴無線機》だった。アイテムの中ではかなり良いもの、これを使えば近くにいる参加者の会話が盗み聞きできる。
ザザッというノイズにまみれて無線機から声が聞こえてきた。
『やっぱり俺、行くわ・・・いや、別に君ら信じてへんわけやないで、でもなんか気まずいやん』
『それはそうですけど・・・』
『ジルさん、武器持ってないのに、一人になって大丈夫ですか?』
『まあ、そうなんやけど』
『オレらだってたいした武器持ってないけれど、でも一人でいるよりはいいよ』
聞こえてくる声から察するに研究所内にいるのは三名、その内一人はソフィアのジルで三人とも有効な武器を持っていないということが分かった。
サクラとハイドは顔を見合わせてにやりと笑う。
「どうします、ハイド様?」
「これで行かん手はないやろ」
「HO−HO−HO−!!」
「間に2で水やな〜」
笑い声を化学式に変換するという妙な言葉遊びをしながら二人は立ち上がった。
キャリアを考慮に入れれば逹瑯とミヤのコンビよりタチが悪いかもしれない二人。


研究所の受付カウンター前、まさかの「ステルスマーダーがいる」放送になんともいえない微妙な空気が漂ってしまっている。
ソフィアのジル、GLAYのジロウ、メリーの健一。
此処で離れても一緒にいても微妙、三人とも動けない。
そんな時に軋んだ音を立てて正面の扉から入ってきた人物がいた。
「・・・ハイド君?」
ジロウに言われてハイドはいつものぽや〜っとした笑顔で手を振る。
「なんや変なとりあわせやな・・・あ、先に言っておくけど俺の武器はこれな、ハズレ」
そういってハイドは黒いマラカス・・・《少女趣味》を見せる。
「ハイドさんお一人ですか?」
健一の問いかけにハイドは笑みを深くする。
「やっちゃんもおるで、やっちゃん!」
「ああ、どうも」
軽い調子で挨拶しながらサクラも入ってきた。
「あ、武器これ。青龍刀」
微妙な緊張感の中ハイドはとことこと三人の近くまで来て言った。
「そっちは武器、飛び道具?」
これにはジルが黙って首を振って答えた。
「そっか、そっか」
とハイドは《少女趣味》を構えて振り始める。
じゃらん
じゃらん
じゃらん
何事かと呆然とする三人の胸のランプが点滅しだした。
「なんや!?」
「え!?ちょっと、なんなの!?」
「ランプの点滅中は動いたらあかんのやで〜」
状況が飲み込めず立ちつくすしかない三人にサクラが近寄ってくる、そして青龍刀を振りかざし、ジルと続いてジロウに叩きつけた。
偽物とはいえ若干痛い。その一瞬の間で健一は制限されているのは移動のみで手は動かしてもいいということに気づいた。
《ごっこ遊び》なので命運をわけたというほど大げさなものでもないけれど、目の前のサクラに健一はスタンガンを押しつける。
火花が散るそれにサクラは驚いて下がった、ハイドも思わず《少女趣味》を振る手を止める。ピピピピと三人分の当たり判定が響く中、《少女趣味》が止まったためランプの点滅が止んだ健一は踵を返して走り出した。研究所の奥へ。
「あぶねっ!なんだ今の!?」
「やっちゃん大丈夫!?」
「俺はいいから健一を追えよ!」
「そやな、武器貸して」
「俺が丸腰になるだろうが」
ハイドは「ん〜〜〜〜」と唸りながらジルとジロウを見て目敏く特殊警棒を見つけると「これ貰うな」と軽い調子で奪って健一を追い、走り出した。
「え〜〜!なんでこうなるの!?」
「・・・まぁ入ってきた時から嫌な予感はしてたんやけど」
不満げなジロウと既に諦めた様子のジルが呟いた。
ハイドの背中が見えなくなる頃、三人のランプの点滅も止んだ。
スタンガンを受けたサクラのみノーダメージでジルとジロウは判定《赤》のゲームオーバー。
「たぶん追いつけないだろうなぁ・・・」
そんなことを言いながら健一とハイドが駆け抜けていった扉を見て、サクラは笑った。

健一はジュラシュックパークを模した部屋に駆け込んで、先程確認しておいたシャッターのない窓から逃走、追いつけなかったのはやはり歳の差か、遠ざかっていく健一の背中を見つめハイドはつまらなそうに「ちぇ〜」と呟いた。


健一
【武器】スタンガン(攻撃力なし、ランプを点滅状態にできる)
【所属】メリー
【状態】青
【行動方針】ハイドとサクラから逃げる
【特性】?

ジロウ
【武器】なし
【所属】GLAY
【状態】赤(ゲームオーバー)
【行動方針】次の放送がありしだい廃校へ戻る
【特性】?
(アイテム『発煙筒』を所持)

豊田和貴(ジル)
【武器】ニャンコ先生(ハズレ)
【所属】ソフィア
【状態】赤(ゲームオーバー)
【行動方針】次の放送がありしだい廃校へ戻る
【特性】?

ハイド
【武器】少女趣味−ボルトキープ−(超大当たり判定武器)、特殊警棒
【所属】ラルクアンシエル
【状態】青
【行動方針】《少女趣味》を使って会う人を襲撃
【特性】天然悪魔

サクラ
【武器】青龍刀
【所属】なし
【状態】青
【行動方針】ハイドのサポート
【特性】理論展開

【ジロウ GLAY ゲームオーバー】
【豊田和貴 ソフィア ゲームオーバー】
(発煙筒は研究所に放置)

【残り29人】



ステルスマーダーがいるという情報をわざわざ参加者にもたらしたヒデの意図は分からない、悪意でないことは確かだけれど好意ではなかろう。
あれによって今後バンドメンバー以外がパーティを組む確立は底辺まで下がった、そして・・・
ネロは前を向いたまま他に悟られないように舌打ちした。
よりにもよって5人、である。
内、明希とゆうやは同じバンドでネロ自身もよく知っている二人、信頼がおけるおけないは(これがごっこ遊びである以上)別としてこの二人が腹芸ができる類の人間でないことは分かっている。
恒人とユウナは?
一度疑い初めてしまえば雪玉が転がるように疑念が大きくなっていく。些細な言動まで、気になってくる、恒人がゲームオーバーになった大城と会話していた時、何か合図をしなかったかだとか、恒人は本当にずっとあの民家に隠れていたのだろうかだとか・・・そしてなによりずっと引っかかっていたユウナのこと・・・
その時、なんの前触れもなく、唐突にパァァァァァァンと銃声が響いた。
慌ててネロがふり返ると、真後ろにいた明希も驚いた様子できょろきょろしている。
恒人は大きな目を見開いて立ち止まっていて、その後ろのユウナも怪訝そうに足を止めていた。
その真ん中、明希と恒人の間にいたゆうやのランプが音を立てて点滅している。
「・・・・・・へ?なに、これ?どうなってるの?俺、どうなったの?」
ゆうや本人も何が起こったのかまったく分からないという顔で点滅するランプを見つめていた。
やがてピーーーーという長い電子音と共にゆうやのランプが《赤》に変わった。
「ゆうや!?」
駆け寄ろうとする明希の手を掴んで背中にかばうとネロは残りの二人にネコパンチバズを向けた。
「どっちがやったんですか!?」
まず、ジェリコを持っている恒人に銃口を向けると恒人はさらに目を見開いた。
「ちょ、ちょっと待ってください!俺じゃないですよ!」
「誰かが撃たなきゃこんなことにならないだろうが!」
「そりゃそうですけど、俺じゃありません!」
剣呑な雰囲気にゆうやは口を開きかけて結局止めた、ゆうや自身なにが起こったのかまったく分からないのだ。
「俺、後ろから見てたけど、恒人君じゃないよ」
ユウナが冷静な様子で言うと、ネロは銃口をユウナに向けた。
「だったらユウナさんですか?」
「俺は銃持ってないよ・・・」
「ユウナさん、マオとスギゾウさんが武器交換したのを知ってたってことはスギゾウさんと一緒にいたんですよね?なんで別れたんですか?」
ユウナは僅かに眉を寄せる、珍しく顔に感情が出てしまっている。
「それは・・・別に理由はないよ」
「じゃあ、なんでスギゾウさんのゲームオーバーを聞いた時、驚かなかったんですか?スギゾウさんのゲームオーバーを知っていたからじゃないんですか?」
「だったらなに?」
「元はマオの武器だったものを持っているんじゃないんですか?それが銃なら・・・」
「ネロさん!」
明希がネロの腕を引く。
「やめましょうよ、恒人君もユウナさんもそんなことしないですよ」
「じゃあ誰がゆうやを撃ったんだよ?」
「・・・それは、えっと」
沈黙が降りる、他に人はいなかった、確かに恒人かユウナが発砲したのでなければ説明がつかない。
恒人は薄い唇を噛んで、少し躊躇する様子を見せてから、ジェリコの引き金に指をかけ、地面を向けて構える。
「疑うならこれから別行動しましょうよ、それで問題はないはずです」
「いや、どちらかがゆうやを撃ったのなら捨て置けない」
「俺ではないと言っているでしょう・・・ユウナさんでもないと思いますけど」
「それじゃあ説明がつかない」
ネロの後ろでオロオロしていた明希はふと視線の端、少し離れたところに人影を捕らえた。そこで思う、あの人ならこの状況を止められるはずだと走り出す。
「おい、明希!!」
ネロが止めるのも構わず明希は走った。


他の面子からは死角になる場所、遊歩道の簡単な休憩場所といったところか、大きな木々に囲まれてベンチなどが置いてあるその場所で明希はようやくその人物に追いついた、普段ならば声をかけるのに相当の勇気が要っただろうが緊急事態のせいかすんなりできた。
「イノランさんっ!」
「ん?ああ、明希君じゃない。どうしたの?」
「あの!ちょっと大変ってゆーか、大変なんです!止めてくだ・・・」
だからオマエはうっかりさんなんだよ!とメンバーから言われても仕方がないことに明希はそこまできてようやく気づいた。
イノランが手に持っているミニウージーの存在に。
「どうしたの、明希君」
にっこりと微笑むイノランから明希は一歩下がる。
「あ、あ・・・の・・・」
近くで二種類の銃声が交差した。イノランは小首を傾げてまた笑う。
「大変って、アレ?」
こくこく頷く明希にイノランは「可愛いなぁ、殴って下さいオーラ出てるなぁ」と呟きながらマシンガンの銃口を向ける。
その時だった、天が裂けるかと思うほどの大声が響き渡った。
「パキスタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!」
鼓膜を振動させるその声、そしてその言葉の意味、一瞬で全てを飲み込んだ明希はベンチに手を付いてその後ろに転がるように飛び込んだ。
さすがのイノランも唐突に国名が叫ばれた意味が分からず一瞬呆けてしまったが、明希の行動に自らも逃走の形をとって横の段差になっている方へ走る。
ずがん!
ずがん!
ずがん!
と連続して大きな銃声が響き渡る。
なんとか段差の向こうに駆け込んだはいいが見事に当たり判定を喰らってしまった、点滅してはじき出しされたのは《オレンジ》の《大怪我判定》。大城から喰らったダメージを回復アイテムで《かすり傷判定》まで戻したところだったのに、とイノランは小さくため息をついた。ぶっちゃけこれが本物だったら死んでいる。
そしてさらに最悪なことにニューナンブM60を落としてしまったらしい、そっと頭をのぞかせると明希はベンチの向こうに蹲っていて、襲撃者の姿は見えない。
がまたもずがん!と銃声が響いた。
「やれやれ、撤退撤退」
そう呟きながらイノランは姿勢を低くして逃走した。
イノランの姿が見えなくなったのを確認して、その人物は姿を現した。明希は輝くような笑顔でベンチの後ろから飛び出してその人物に抱きつく。
「マオ君っ!!」
その人物は特殊ルールでみごと当たりを引いて《復活》したマオだった。
「マオ君!マオ君!マオ君!」
肩にぐりぐりと頭を押しつけてくる明希を撫でながらマオは笑う。
「どう?明希しこ、かっこよかっただろ?メンバーのピンチに颯爽と駆けつける俺!」
「うん!ヒーローみたいだった!」
そう言うマオの手にはソードオフ・ショットガン(銃身を切りつめたショットガン)が握られており、武器も当たりを引き当てたことが分かる。
ちなみに先程の叫び、「パキスタン」は明希のあだ名の一つである。
明希しこ→ぱきしこ→パキスタン。
原型を全く留めていないあだ名なので分かる人にしか分からない。
そして明希がマオを声だけで判断できるのは当たり前のこと。
猫のように頭をすりつけてくる明希をわしゃわしゃ撫でながらマオが言う。
「そういやオマエ、ネロさんやゆうやはどうしたんだ?一緒に行動してたんだろ?」
「あ!そうなの!大変なの!早く行かないと!」
「明希の国語力悲惨さを考えて様子を見に行ったほうが早いな・・・」
さりげなく失礼なことを言いつつ落ちていたニューナンブを拾って明希に渡し、マオは先に立って歩き出した。



遡ること数分前、明希が去った直後のこと。
「・・・別行動させてもらうよ」
ユウナがあくまで柔らかい口調のまま背を向けようとしたので、ネロは発砲した、脅しのつもりで、わざと外すように銃口を逸らして。
しかしこのネコパンチバズ・・・説明書に明記されている通り命中率が悪い、その悪さは壊滅的だった。
銃口から放たれた赤いレーザー光線は妙な具合に曲がって恒人の肩を掠る。
「・・・っ!?」
恒人のランプが点滅しだしたのを見てユウナは無言で前に出て、ゆうやのコルト・ウッズマンを拾ってネロに向ける。
「発砲したんだから敵同士ってことでいいよね?」
イノセントな笑顔でさらりと言うユウナにネロは少したじろいだがネコパンチバズをユウナに向ける。
「そういうことになりますね」
ネロとユウナが同時に引き金をひき、その後はなだれ込むように撃ち合いになった。
「お二人ともやめて下さい!」
途中恒人がそう叫んだが銃声と当たり判定の電子音にかき消される。
数秒後、残ったのは《死亡判定》を喰らったユウナとネロ、そしてランプ《紫》で《致命傷判定》の恒人。
なんともいえない沈黙にとりあえずゆうやが声を上げて笑ってみたりするが誰も笑ってくれなかった(恒人だけ少し愛想笑いを浮かべてはくれたが)そのまま掠れるようにフェードアウトしていきまた沈黙。
「・・・死屍累々ってこういうことですかね」
次は恒人が空気を打破すべく渾身の自虐ギャグを放つが笑ったのはゆうやだけで不発だった。
また沈黙。
「うわあ!どうなっちゃったの!?」
明希の声に全員がふり返り、一緒にいるマオを見て驚きの声を上げる。
「《復活》・・・マオ君だったの・・・」
「とりあえず何があったん?」
出ていこうとする明希の手を引いて木の陰に押し込みながら放たれたマオの質問に恒人が答える。
「あ、生き残ってるの俺だけみたいなんで、俺が説明します・・・」
恒人が手を上げて今起こったことを簡潔に説明した。
全てを聞き終わったマオはこめかみをぐりぐりと押さえながらため息をついた。
「狙撃されたんだよ・・・あっちの高台にタクヤさんがスナイパーライフル持って潜んでる・・・あ、恒人君、たぶん危ないからこっち来て」
恒人は高台の方を見てから慌ててマオ達のいる木の陰に移動する。
狙撃手がいて、ゆうやはそれに撃たれた、ということは・・・ネロは顔色を変えてユウナに頭を下げた。
「すいません!俺なんかテンパってたというか・・・」
「いいよ、俺もあやしまれる行動とっちゃったし」
やはり底の見えないイノセントな笑顔で返すユウナにネロは頭を抱える。
「先程のヒデさんの放送の狙いはこれだったんですね・・・」
別にごっこ遊びだから痛くも痒くもないのだがなんとなくダメージを受けたであろう腕をさすりながら恒人が言う。
「んんん?」
首を傾げる明希をちょっと冷たい目でマオが見た。
「いや、《疑心暗鬼》というやつですか、バンド外の参加者と一緒に行動しているチームを崩壊させる狙いだったんじゃないか・・・ああ、すいません」
ネロがさらに頭を抱えたので恒人は途中で言葉を切った。
絵に描いたような《灯台組の崩壊》にこれはもう笑うしかない。
「ねぇマオ君・・・これからどうしよう?」
マイペースなのか案外ドライなのかうにゅーとした顔で問いかけてくる明希にマオは苦笑した様子。
「優勝狙っとく?俺けっこう情報持ってるし有利やけど」
「恒人君も一緒でいい?」
この発言には恒人が苦笑した。
「いや、俺・・・別バンドですけど・・・」
「あ〜そっか・・・うむ〜!?」
「じゃあ恒人君とは一時同盟ってことで、どうかな」
「一時同盟っすか・・・それはどの時点で解消されるんでしょう?」
「恒人君がメンバーと会えるか、俺の気分が変わった時」
マオのドSスイッチがオンになったようだ、恒人が顔を引きつらせて笑う。
「胃に風穴空きそうな同盟っすね・・・まあ、いいですけど・・・」
「改めてよろしくね〜」
どこまで状況を理解しているのか疑いたくなる明希の言葉に恒人は心の中でため息をついた。
−浅葱さん!涙沙さん!なんとかしてください・・・俺、かなりヤバイっす!!
気丈でしっかり者の恒人もドS行為が自分に向けられた経験が少ないため、ちょっと冷や汗。
あれ?《ツンデレのジンクス》発動か??


「ふふふふっ」
大きく迂回して再び明希達を襲撃すべく戻ってきていたイノランはその情報を聞いて不気味に笑う。
「そっか、そっか、タクヤ君あんなところにいたのかぁ」
笑いながら走り出す。
明希達のことはもう眼中になかった。
ようやくタクヤに会えるのだ。
「ふふふふっ」
たぶんこの様子を他の参加者が見たら、たとえJでも声をかけずに逃げただろう。
美形がトチ狂ってる姿はもうどうしようもなく怖い。
「待っててね、タクヤ君・・・」


マオ
【武器】ソードオフ・ショットガン
【所属】シド
【状態】青
【行動方針】優勝を狙う、恒人と一時同盟
【特性】ドSスイッチON!!
(特殊ルールにより《復活》しました、多くの情報を持っています)

明希
【武器】匕首、ニューナンブM60
【所属】シド
【状態】青
【行動方針】優勝を狙う、恒人と一時同盟
【特性】ドMスイッチON!!

恒人
【武器】ジェリコ914
【所属】D
【状態】紫(致命傷判定)
【行動方針】シドチームと一時同盟
【特性】ツンデレちゃん

イノラン
【武器】ミニウージー、エリミネーター、手榴弾、コルト・パイソン
【所属】なし
【状態】オレンジ(大怪我判定)
【行動方針】マーダー、タクヤのところに行く。
【特性】危険乱数
(《回復アイテム》を大量所持しています)


【ネロ メリー ゲームオーバー】
【ゆうや シド ゲームオーバー】
【ユウナ 所属なし ゲームオーバー】
(タクヤの狙撃範囲内であるためマオ達は武器回収を諦めました、3人のゲームオーバー地点に放置されています)

【残り27人】(一名復活)



色々複雑な経緯でなんとか上り詰めて、好きなこともできるようになって、地面が全部崩れ落ちるような経験もして(杞憂の故事がマジで起こることもあると身をもって知った)いろいろいろいろいろいろあって。
タクヤは基本的に平和主義者だ、何かに傾倒することこそないが平和主義者だ。
「・・・たっくん落ち込む〜」
えらく大人数で行動しているな、ちょっと驚かせてやれと、一番的として大きいゆうやを狙ってスナイパーライフルの引き金をひいた。
それがまさかこんな結果になるとは。
スコープ越しにとんでもないことになってしまった彼等を見て暗澹たる思いだった。
言うなれば空き缶をポイ捨てしたら(そんなことしないけど)それがきっかけでトラックが店舗に突っ込むとかの大惨事になってしまったかのような、そんな感じ。
茫然自失。
「ああ、ごめんさない、ごめんなさい、生まれ変わったら良い子になります、来世で幸せになってください」
というかパニックになっていた。
重い頭をあげてスコープをのぞく、一人が途中で逃げて、一人が生き残った。
タクヤの位置から確認できたのはそれだけだ。
ちょっとした悪戯心で三人もゲームオーバーに追い込んでしまったのだ、ごっこ遊びとはいえとてつもなく後味の悪い気分である
こんな状況だったから気づくわけもなかった、着々と怖い人が近づいて来ていることに。
その場に残った三人、つまりゲームオーバーになった面子を観察する、会話は交わしているようだがはたしてそれが和やかなものなのか険悪なものなのか想像もつかない。
「いっそ此処、禁止エリアになってくれないかな・・・そしたらこのまま・・・」
すぐ近くで落ち葉を踏む音がした。
「自爆?ひどいなぁ、俺を待っててはくれないの?」
うつ伏せのままだったがふり返って確認する必要はない、友達の声を聞き間違えるわけもないからだ。
「タクヤ君、愛しに来たよ・・・ごめん噛んだ、会いにきたよ」
「あり得ない噛み方の上にパクリなので減点です・・・」
「原典を明かすから減点しないでくれる?」
「原典を明かして言うと興ざめするのでなおのこと減点どす」
ごろりと転がって仰向けになれば視界の端に映るのは馴染んだ笑顔で、どこまでも無邪気で大人びた落ちつきがあって作り物っぽくて自然な、全ての矛盾を飽和したその笑顔を見せて、マシンガンを下げたイノランが、タクヤをこのごっこ遊びに引きずり込んだ張本人が立っていた
「イノラン君遅いよ、たまには時間守って来てくれないかな?」
「ごめん、待ち合わせした記憶すらないわ」
「旧暦の7月15日に茄子に乗って賽の河原で待ち合わせだってちゃんとメールしたやろ〜」
「そうだった、思いだした。タクヤ君は胡瓜に乗ってくるって言ってたね、でもあの時期の三途の川は混み合うから、見つけるのに手間取るんだよ」
「目印に家紋入りの提灯下げておいたのに、相変わらずうっかりさんやね」
「ごめんごめん、タクヤ君の家紋は三葉葵でよかったんだっけ?」
「将軍扱いありがとう、俺はホトトギスが鳴くまで待つタイプやから」
「俺はホトトギスが鳴かなかったら象牙の舟に銀のかいを持たせて月夜の海に浮かべるよ」
「それは歌を忘れたカナリアに有効な方法であってホトトギスには効かないと思うけどなぁ」
「似たようなモノでしょう、雀もランフォリンクスも同じなんだから」
「ちげーよ!!ランフォリンクスは翼竜や!爬虫類!!その勘違い、恐竜と翼竜を混同してるやつよりやべぇよ!」
「飛べるという点に着目すれば同じでしょう、だから鯨も魚だしペンギンも魚。ジャイアントモアとかダチョウは哺乳類と俺が決めたから従ってもらえないかな」
「アナタは神か!?」
「夜神月・・・という名前ではないんだけど?」
「イノラン君の本名がそれでも別に驚かないんやけど、あとなんでさっきから微妙にマニアックな名前上げるねん、ランフォリンクスとかジャイアントモアとか普通知らないと思うで?」
「ランフォリンクスを知らない男子なんていないよ、恐竜は男子の夢なんだから、恐竜を好きじゃない男子なんてこの世に存在しているとは思えない」
「どんな偏見!?あと恐竜好きなら翼竜と恐竜は分けなきゃ!!」
「俺的に昔の尻尾引きずって歩くティラノサウルスが好きだったのに、最近のCGの機敏な動きを見ているとアメリカ版のゴジラを見た時並の残念感があるよ。ニューヨークヤンキースで活躍しているゴジラは素晴らしいけどねぇ」
「彼は別にアメリカ版になったわけではないんと思うんやけどね。イノラン君昨日ぶりだね、おはよう」
「おはよう、タクヤ君」
互いに息もつかず、表情すら変えずそこまで言い切って、朝の挨拶。
というか、すべて挨拶の一部だったようだ。
そこでようやく二人は声を上げて笑い合う。
イノランはひょいっと、なんでもないかのように、ごく自然にタクヤの腹の上に馬乗りになった。
「・・・ちょっと絶景、みたいな?」
さすがに少し驚いた顔のタクヤにイノランはにぃぃと笑う。
色んな意味で卒倒しそうな光景だった。
「さて、タクヤ君。知ってること全部喋ってもらおうか?」
「俺はなにも知らないよ」
「あ、そう」
「尋問する気なっしんぐっ!?」
タクヤの突っ込みにこれまたさらりとイノランは言う。
「タクヤ君の言うことなら信じるよ、タクヤ君は俺に嘘をついたりしないもの、っていう良い台詞を全く良くない状況で言って台無しにする遊び」
「その微妙な外道さに痺れる憧れるっ!・・・じゃあイノラン君、トラウマになるほどヤンデレ風にお願いします」
「・・・そんなたっくんのことが、大好きです」
「パクリだぁぁぁ!!でもトラウマだぁぁぁ!!」
イノランはエリミネーター・・・巨大で凶暴なナイフ、ケン・ロイドの支給武器だったそれを振り上げ、さながら磔形にするかの如く、深々と振り下ろす。
まぁごっこ遊びなので刺さりませんが。
ある意味はた迷惑なお友達二人の、じゃれあいみたいなごっこ遊びはこれで一つの終焉となった。


そのすぐ脇、観察小屋の中でヒースがおそらく人生最高の苦笑いを浮かべていた。
イノラン、ヒースの知っているものとはキャラが違いすぎる。
というか別人だ。
まぁ今の面白すぎるやりとりはしっかりカメラに収めることができたのでよかったけれど、寝転がったままのタクヤに手を振ってイノランは周囲を観察するかのように歩き出した。
見つかったからどうというわけではないが、バレないに越したことはないのでヒースは気配を殺してやりすごすつもりでいた。
ふとイノランが腰をかがめて何かを拾う。
昨日ヒースが落とした栄養バーの包みだった。
「・・・っ!?」
イノランの視線が上がっていって、偽装した檻越しにしっかり目が合ってしまった。
『イノランちゃんはね!目ヂカラ凄いのよ!凄いでしょう!』
とか以前ヒデが自慢していた(なんでわがことのように自慢するかはさておき)のを思いだした、普段は気にしたことがなかったがなるほど、凄い。
石化するかと思うような鋭さだ。
いや、でもあちらからは枝や葉に隠れて見えないはずだ、偽装は完璧である、ずっと近くにいたタクヤが気づかなかったのだから問題はない。
が、イノランはじっとこちらに視線をやったまま。底が読めない目というのはどことなく爬虫類っぽくなるものだなと思う。
−ロストワールドの小説版でこんなシーンがあったな・・・
あの時、恐竜に襲われた主人公達はどうなったんだっけなと軽く現実逃避してから思い直した。
−いや、なんで後輩相手にビビるんだ・・・
イノランはふっと微笑みを浮かべて視線を逸らすと栄養バーの包みをポケットにつっこんで歩き出した。
「タクヤ君じゃあね〜」
「うん、がんばってね〜」
「やだ」
「なんで!?」
そんなやりとりをしてからイノランは斜面を降りていった。
深く息を吐いてヒースは目を閉じる。
「冷や汗かいた・・・」


イノラン
【武器】ミニウージー、エリミネーター、手榴弾、コルト・パイソン
【所属】なし
【状態】オレンジ(大怪我判定)
【行動方針】マーダー
【特性】危険乱数
(《回復アイテム》を大量所持しています)

【タクヤ ロボッツ ゲームオーバー】
(ワルサーWA2000は放置されています)

【残り26人】




さて、やけに出てくる人物が少ないなと思う方もいらっしゃるでしょう、現在時刻は午前10時、そうミュージシャンである彼等にとっては活動時間外なのだ。
下手すればこれから寝るか!ぐらいの時刻である。
ぶっちゃけみんな眠いのだ。
そんなわけで此処にも一人、睡魔と戦いながら歩いている人物。
ディルアングレイの堕威がいた。
場所は集落C、海に近い、前夜にマーダーキラーチームがいた場所だ。
此処に来る途中発見した《死亡カード》には《大城・全身被弾》と書かれていた。
「朝までにマシンガンの被害にあったちゅーことは今此処にマシンガンの人はおらんはずやと安直に思ってみました」
と、独り言を呟いてみたがのどかな鳥の声が返ってくるばかり。
「いや〜・・・話し相手欲しいなぁ、めっちゃ寂しいわ」
コルトガバメントを持った手で目を擦る、かなり眠そうだ。
家々の間を歩き、時々窓から中をのぞきながら人がいないか確認するが、静まりかえっていて、人の気配はない。
何個目かの角を曲がった時だった、同じように向こうからこの道へ曲がってきた人物がいた、GLAYのヒサシだ。
挨拶をしよう、そう思って口を開きかけた時、ヒサシは無言で取っ手のついた箱のようなものをこちらに向ける。
反射的に堕威は今来た道の方へ転がった。
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱ!
と軽快な銃声が響く。
「マシンガン!?・・・ヒサシさんがマーダー!?」
堕威はコルトガバメントを構えると、半身を除かせて発砲した。
鼓膜に響く大きな銃声。
ヒサシも堕威と同様に横道へ転がり込んで避ける。
ぱぱぱぱぱぱぱ!
と再び銃声がするのと同時に堕威は体を引っ込め走る。
「逃げるが勝ちってか!!??」
後ろからヒサシが追ってくる気配がする、堕威は建物を上手く遮蔽物にして走る。運動神経には自信があるほうだ。
マシンガンの銃声が後ろから響くが今のところダメージは喰らっていないらしい。
そういえば、と堕威は思う。
どうも夢見が悪い方で、こうやって何かに追われる夢や殺されかける夢をよく見るのだがああいう時は決まって上手く逃げられない。
自分の思い通りに逃げられるということがこれが現実である証明なんてなんだか可笑しい。
集落から出るか、それとも・・・
幾つ目かの家の影から飛び出た時、堕威はそれを発見した。
ヒサシからはだいぶ距離がとれたがあそこに隠れるまでに何秒かかるだろう?
そして自分の体格で隠れ切れるか?
賭としてはハイリスクだが迷う時間が無駄だ。
堕威はそれに向かって全力で走り出した。

ヒサシが堕威を追って家の影から出た時、堕威の姿はどこにもなかった。
集落の終わり、行くとしたらこちらの林しかない。
ヒサシは少し首を傾げてから、林の方へ走り出した。

同じ集落内の民家の中で身をひそめている人物がいた、偶然にも、あるいは運命的にもそれはディルアングレイの敏弥だった。錘で体をガードするようにして座り込んでいる。
「やばい、やばいって、めっちゃ銃声聞こえてるし、近いし・・・」
そう呟きながら恐る恐る窓から顔をのぞかせ、驚いた。
「っ堕威君!?」
敏弥が見たのは、集落の端にあった大型の焼却炉に隠れようとしている堕威の姿だった。
「いや、無理じゃ・・・うわ、入れちゃった・・・伊達に夢でよく追いかけられてないなぁ」
そんな慣れ方はイヤだ。
次いで姿を現したのはマシンガンを持ったヒサシで敏弥は慌てて窓から顔を離す。
それでもこっそり観察しているとヒサシは集落から出ていったので、敏弥はほっと息を吐いた。
しばしの間。
一応ヒサシが戻ってこないか時間を置いた方がいいだろうと思った、堕威が出てきたら声をかけようと思いながら。
「・・・・・・ってゆーかさ」
焼却炉、である。開ける時は取っ手を掴んで開ければいいが、中に入った堕威、蓋をぴっちり閉めてしまっていたような・・・
あれは内側からでも開けられるものなのだろうか?
時計を見ると堕威が焼却炉に隠れてから10分経過している。
「・・・・・・・・・・・・だ、堕威君!?」
敏弥は立ち上がって焼却炉に急いだ。


「そ、走馬燈がまわったっ!」
「ごっこ遊びで死にかけないでよ・・・」
敏弥に救出された堕威は埃まみれの顔でそう呟いた。
「中めっちゃ狭くて身動きとれへんし、関節は軋むし蓋は開かないし・・・敏弥、ありがとな」
「どういたしまして。でも会えてよかったよ〜、一人で超不安だったもん」
とりあえず民家の中に入り、堕威は汚れた顔を洗う。
「おまえ散々心夜をチキン呼ばわりしといて、なに言っとんねん・・・」
「命の恩人にその態度はダメでしょ〜」
「はいはい、ありがとさん!」
ハンカチで顔を拭きながら堕威は敏弥の隣に座る。
「で、オマエは誰かと会ったか?」
「ああ、それがさ、Dの英蔵君にバトル申し込まれて戦って勝ったんだけど、その直後にソフィアの黒柳さんに狙撃されてちょっと怖くなってさ〜極力隠れてたからそれ以降は誰ともだね」
そう言って錘をマラカスみたいに降りながら敏弥は笑う、よほどメンバーと合流できたことが嬉しいらしい。
「俺はピエロ、いやアンジェロのコータに会った。そのすぐ後や、すっごい爆発音がして診療所が爆破されたって放送が入ったんわ・・・まあ俺、爆発音に驚いて診療所見に行ったんやけど、そこで逃げて行くコータを見たなぁ」
「ん?じゃあ診療所爆破したのはコータさん?」
「微妙なとこやなぁ・・・自己申告だと武器はサバイバルナイフやったし」
腕を組んで首を傾げる堕威の隣で敏弥も首を傾げる。
「どちらかって言うとトラップの可能性もあるもんねぇ。ねぇさしあたってこれからどうしよっか?」
「まあ妥当に心夜と、一緒に行動しているであろう薫君と京君探すか。なにげにメンバー一人も欠けてないのウチだけとちゃう?」
名簿を開きながら堕威が言う、ゲームオーバーになった者にチェックが入っているそれを敏弥ものぞき込む。
「ホントだ・・・つくづくウチのメンバーは悪運が強いねぇ」
「運がいいんじゃなくてあくまで悪運が強いってところに泣けてくるけどな」
ため息混じりで言う堕威に敏弥がけらけらと笑った。

堕威
【武器】コルトガバメント
【所属】ディルアングレイ
【状態】青
【行動方針】メンバーと合流、メンバーに危険が及びそうな参加者は倒す
【特性】?

敏弥
【武器】錘(二本)
【所属】ディルアングレイ
【状態】緑(かすり傷判定)
【行動方針】メンバーと合流
【特性】?
(ヒサシを《マシンガンのマーダー》だと思っています)

ヒサシ
【武器】イングラムM10
【所属】GLAY
【状態】青
【行動方針】無差別マーダー、メンバーと合流
【特性】?


展望台を迂回して研究所にガゼットの戒はたどり着いた。
「回復アイテムがありそうなところっていったら此処、だよな・・・」
一応周囲を歩きながら様子を見るが、少なくとも感知できる人の気配はない、しかしこれだけシャッターが降りていれば中に人がいても分からないだろうが。
「中に入ってみるか、どうやったって回復アイテムは必要なわけだし」
裏口があったからそこに戻ろうと踵を返して歩き出せば、向こうからも同じように歩いてくる人物がいた。
その姿を見て戒は密かに笑う、運が向いてきたかもしれない。
「どうしたんだ、明希」
そう声をかければ少し不安そうな顔でこちらを見ていた明希はすぐ笑顔になって駆け寄ってきた。
−ちょろい・・・ちょろすぎる・・・
そんな思いが顔に出ないように戒は明希を見る。
「あ〜戒君、ひさしぶり〜」
「ひさしぶり・・・じゃねぇよ!出発前に喋ったじゃねぇか!」
「じゃあ昨日ぶり〜」
かなり間近まで寄ってきて明希は何が不満なのか口を尖らせている。
−顔整ってんなぁ・・・じゃなくてこの距離なら・・・
戒はそっと腰に差したレイピアに手をかける。それに気づいたのかなんなのかさらに近く、息がかかるほど近くに明希が体を寄せて笑う。
「ん・・・どうした?」
「ごめんなさいっ!」
ぺろっと出されたピアスの光る舌に一瞬気を取られている隙に胸に押し当てられたモノ、トタンは肩にかけているだけなので無防備なそこに向けられていたのはリボルバー・・・ニューナンブM60。
ぱぁん!と乾いた銃声がして当たり判定を示す電子音が響く。思わず数歩後ろに下がってから動いてはいけないことを思いだして踏みとどまった。
「あ、明希っ!なんでオマエが・・・」
「ごめんさない、でも戒君もやろうとしたよね?」
読まれていたらしい、明希は改めて両手でニューナンブM60を構えて撃った。
乾いた銃声が三発響いて、戒の胸のランプが《赤》に変わる。
ガゼット、全滅だった。
自分も明希を攻撃しようとしていた手前、文句も言えずに戒が黙り込んでいると、建物の影から現れたのは驚きの人物。
「マオ君・・・《復活》はマオ君だったのか・・・」
これでもしかしたらメンバーの誰かが《復活》しているかもしれないという儚い希望も消えた。
「明希しこ〜やればできるやん!」
「う〜〜、俺やっぱこういうのは・・・」
「何?俺がやってって頼んでるんだからいいだろ」
「怖っ!」
思わずそう叫ぶ戒にマオは一瞥をくれてから笑って明希の肩を抱く。
「明希なら誰にも警戒されないからね〜、《復活》の俺じゃ警戒されちゃうもん。あ、恒人君ももう出てきていいよ〜!」
呼ばれて建物の影から出てきた恒人は「できれば行きたくない」という顔だったがマオはかまわず手を振る。
「恒人君は《致命傷判定》喰らってるんだからさっさと回復アイテム見つけないと死んじゃうよ、ほら早く探す!」
そう言いながらマオは戒の武器・・・レイピアを見て「ま、いらないか」と呟いた。

裏口を開けて入ると明かりが灯っていた。
「此処は自家発電、ってところですかね」
マオから若干の距離をとりながら恒人はそう呟いて研究所の中を見た。
「そうだねぇ。ところで恒人君さぁ・・・《致命傷判定》じゃない」
明希にじっと見つめられて恒人は怪訝な顔。
「ええ、だから回復アイテム探しに付き合わせてしまってすいません」
「ん、そうじゃなくてさ。バズーカで腕撃たれて致命傷ってことは腕なくなってるのかな〜だったら怖いなぁと思って」
「・・・・」
さすがに恒人の顔が引きつったのを見てマオが軽く明希を小突いた。
「何バカ言ってんだよ、ぱきしこ!」
「だってそーいうことじゃない?」
「いやあ、できればベーシストなんで腕は無事であって欲しいですねぇ」
さっさと気持ちを切り替えた恒人がそう冗談っぽく返せば明希も楽しそうに笑う。
「だよね、手とか腕とか大事だよね〜」
そんなスカート組に挟まれてマオは満足げに二人の肩に手を回した。
「あ〜なんか両手に花って気分、復活万歳・・・てゆーか」
がっと肩を抱かれて恒人がよろめく。
「な、なんですか?」
「恒人君って細いね、体重何キロ?」
やけに底の見えない目をしたマオにのぞき込まれて恒人は少し引いた様子で距離をとる。
「えっと48キロっす」
「うえ〜!俺より7キロも軽いっ!?」
ショックを受けた様子の明希に恒人が慌てて手を振った。
「いや、俺は背も低いんで!」
「・・・俺より6キロも軽い」
低音でマオが呟いたのでもう一度言った。
「俺のほうが背低いですから!」
肩に回されたマオの腕からさり気なく抜けて恒人、引きつり笑い。
「じゃ、此処広いみたいだし、手分けしてアイテム探そっか」
やや上がり気味の口角をぐいっとつり上げて言うマオに恒人はこくこく頷いた。
そうして三人、別々の方向に進み、シドの二人が見えなくなったところで恒人はぽつりと呟く。
「浅葱さん、涙沙さん何処ですか!大城さん助けてください!英蔵さん・・・後で殴ります!」
気丈な彼もシド二人のぶっ飛びっぷりに軽く精神を削られたらしい。まぁ最後の英蔵に対する下りがあんまりだけれど。
敗者控え室でこれを聞いていた英蔵が思いっきりずっこけたのは言うまでもない。
・・・『ツンデレのジンクス』発動中、か?


マオ
【武器】ソードオフ・ショットガン
【所属】シド
【状態】青
【行動方針】優勝を狙う、恒人と一時同盟
【特性】ドSスイッチON!!
(特殊ルールにより《復活》しました、多くの情報を持っています)

明希
【武器】匕首、ニューナンブM60
【所属】シド
【状態】青
【行動方針】優勝を狙う、恒人と一時同盟
【特性】ドMスイッチON!!

恒人
【武器】ジェリコ914
【所属】D
【状態】紫(致命傷判定)
【行動方針】シドチームと一時同盟
【特性】ツンデレちゃん

【戒 ガゼット ゲームオーバー】
(レイピア放置)


【残り25人】(ガゼット脱落)


昼12時、スピーカーから『Forever Love』が流れ出し、第四回放送が始まった。
選曲の基準はなんだ、基準は。
『は〜〜〜〜い!みなさん元気ですか!寝てるヤツは起きろ〜〜〜!!!!主催者のヒデちゃんだよっ!!それではゲームオーバーになった参加者を読み上げます!ガゼットの戒君、アンジェロのキリト君、GLAYのジロウ君、ロボッツのタクヤ君、アンジェロのタケオ君、ソフィアの豊田(ジル)君、メリーのネロ君、ユウナ君、シドのゆうや君、以上です!!まぁみんな眠いからこんなもんかっ!?午後からはみんなガンバってね!!それでは禁止エリアの発表で〜〜〜す!!』


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