5−5



翌日からの稽古は、確かに厳しくなった。
それでも楽しくて仕方ないのは、土方さんの言う通り私が剣術馬鹿だからかも…と少々不名誉な事実があるからかもしれない。
兄弟子に関しては、惣次郎の言うとおりだった。
まだ何もされてはないものの、とにかく視線が痛い。

完全に私を見る目が敵視に変わっている。

まあそんな事を一々気にする性格では無いので、私はいつも通り仕事や稽古をこなし、惣次郎とぶざけ合ったりして毎日を過ごしていた。

そんな中で、私はあの場面に遭遇する。


〜・〜・〜


「そーじろー」

稽古後、惣次郎を探していた時。

「――やがって!」
「――加減にしろ!」

いつぞやの聞き覚えのある声がいくつか。

「………」

(もしかしてもしかしなくともだよね)

私はすぐに声のする道場裏へ向かう。


道場裏を覗くと、そこには記憶と違わぬ光景が。
惣次郎を囲むあの四人組。
私は近くに積み上げてある薪の一本を手に取る。

今度は迷わなかった。

大きく振りかぶり、投げつける。

「ってぇ!!!」

投げた薪は主犯格らしき男の背中に直撃した。
私は惣次郎に歩み寄る。

「何すんだてめ…」

男達は私の姿を見て動きを止めた。
私はそれに見向きもせず、男らと惣次郎の間に入る。

「大丈夫?」
「なんで…」

何で来たの、と驚きと共にそんな叱責が混じった翡翠が私を見る。
私はそれに気付かないフリをして笑いかけた。
そうして振り返り、男達と向き合う。

「何しやがる!」
「お前は高崎…」
「あなたたちこそ何してるんですか?」

私がきっ、と睨み付ければ男たちはう、と言葉を詰まらせる。

「どう見ても誉められる状況じゃないと思うんですけど?」
「う、うるさい!こ…これは稽古だ!」
「そうだ!俺達は稽古をしているんだ!!」
「稽古…ですか」

ならどうして丸腰相手に四人がかり何ですか。
こんな所じゃなくて道場でやったらどうですか。
私がそう続けようとすると、男の中の一人が面白いことを思いついたように笑いながら言う。

「そうだ、今日はお前も入ってみるか?」
「おぉ!そりゃあ良い!可愛い弟弟子のためだ!俺らも精が出るぜ!」
「お前には借りもあるしな」

男たちは、にたりと笑いながら距離を詰めてくる。

(そうきたか)

適当に口先三寸で蹴散らそうと思っていた私は、当たり前に丸腰だ。
唯一武器になりそうな先程の薪は、男達の後ろに落ちている。
仕方ない。
私はそうため息をつき、深呼吸をする。
というか、惣次郎が過去に一度も相手に反撃していない時点で私が手出しするなんて選択肢は無い。
まぁ、なるようになるだろう。
そんな事を思っていると、惣次郎が私の着物を掴んだ。

「真尋!どうし「お手柔らかに」

惣次郎の言葉を遮り、私は男達に言う。
彼らは私の言葉に驚き、一瞬怯んだように見えたけど、そのまま振り上げていた腕をおろした。


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