8−8



私の言葉にとうとう折れた土方さんは、盛大なため息をつきながら認めてくれた。

「お前の覚悟は分かったよ。……悪かったな」
「こうまでされては、連れていかない訳ないな!」
「ありがとうございます!」

ちゃんとした形で認めてもらえた事で、私の声は弾む。

「お前はこれからも男でやっていくんだな?」
「勿論!…皆にはまだ言えません」
「じゃあ俺たちは内緒にしておけばいいのかな?」
「助かります。あ、ミツさんは知ってるんですけどね」
「「おミツさんが?」」

私はミツさんにバレることとなった経緯と協力について掻い摘んで話す。

「…という訳で。多分彼女がいなかったらとっくにバレてました」
「成る程ね。体だけは女、だからか」
「…土方さんに言われたら腹立ちますね」
「てめぇが先言ってただろうが!!」
「そうでしたっけ?」

怒鳴る土方さんを交わす私と、それを止めながらも笑う近藤さんは、いつもと全く変わらない光景で、話す前のあの杞憂は何だったのだろうと思わず考えてしまう。
でもそれが心から嬉しいと思うのは紛れもない私。

だから、いつか。
総司や他の皆に話した時も、こうやって穏やかに笑いたい。

「じゃあ…皆の所に戻るか」
「はい!!」



〜・〜・〜



「なぁあいつ、説得できると思う?」
「さっきからうるせぇぞ、平助」

真尋たち三人が奥に消えてから数刻。
その間朝飯も食べおわり、今はこうしてうだうだしながら戻ってくるのを待っている。
年少組は気が気でないらしく、平助はしきりに真尋の名前を出すし、総司は傍目から見れば落ち着いているが、視線はずっと奥の部屋だし、握り締めた着物はそこだけ皺だらけだ。

「まぁあの分だと大丈夫なんじゃねぇか?」

と、俺は思う。
あの顔を見る限り、土方さんの懸念は無くなるだろうし、近藤さんも気付いているはずだ。
あとは真尋がどう伝えるか。
それだけだろう。

「でも大分話込んでるよな」
「そうだねぇ。穏便に済めばいいが…」

先程は静観の位置を貫いた二人だったが、心配はしているみたいだ。

(どうしたもんかねぇ…)

そんな事を考えていると、奥から話し声と足音が。
そうして俺たちの前に現れたのは、近藤さんと土方さんと――

「皆、お待たせ〜」

――髪が短くなった真尋だった。


「は?真尋?」
「どうしたのさ、その髪」
「おぉおぉ!驚いたぜ!」
「何やら斬新にいったねぇ」

驚きの声と共に、皆が真尋の元に駆け寄る。
「短くしてみました〜」と笑う真尋は、とても嬉しそうだ。

「でもお前これ…刀でやったのか?」

俺は真尋の髪を取り、毛先を見る。
ざっくりと切ったような毛先は、明らかに鋏によるものではない。

「正解!後で総司かミツさんに整えてもらうよ」

何があったんだ?と、問いかけようとしたら、近藤さんの大きな咳払いが聞こえた。
動きを止める一同。
二人の顔は真尋同様何やら嬉しそうなものだった。

「皆待たしたな!さっきの話だが…トシ」
「あぁ。俺たちは九人で、浪士組に参加する」

俺たちは顔を見合せ、真尋を見た。
真尋は満面の笑みで、頭を下げる。

「改めてよろしくお願いします!」


- 42/45-

*前 | 次#

戻る/しおり
ALICE+