湯だつ




目が覚めると、体のだるさは少しマシになったようだった。隣で静かに寝息を立てる建人さんの寝顔を見つめると、自然と笑みが浮かぶ。

「ありがとう、建人さん。」

小さく掠れた声でそう呟くと、建人さんが小さく唸った。その声にも愛おしく思いながら、彼の胸に顔を寄せた。頭上から聞こえる静かな寝息と、とくん、とくん、と聞こえる心音。

「…具合はどうですか…。」
「あ、起こしちゃいましたか?」
「いえ、お気になさらず。」
「私は建人さんのおかげでだいぶ体が楽になりました。ありがとうございます。」
「それは良かった。飲み物は。」
「頂きます。」
「持って来ます。」
「あ、顔も洗いたいので、私も起きます。」
「…無理はしないでください。支えますから。」
「ふふ、ありがとうございます。」

建人さんと一緒にゆっくりと体を起こして、洗面所に向かう。顔を洗って口を漱ぎ、トイレも済ませるとリビングへ。体は少し軽くなったらしい。

「スポーツドリンクでいいですか。」
「はい、喉がカラカラですから、助かります。」
「後でもう一度熱を測ってください。」

スポーツドリンクが注がれたグラスを受け取ると、ゆっくりと口に含んだ。熱のせいで寝汗も掻いたし、体は水分を欲している。お風呂にも入りたい。

「熱が下がっていたら、お風呂に入りたいです。」
「そうですね、汗も掻いたでしょう。体温計を。」
「ありがとうございます。ふふふ、至れり尽くせりですね?」
「病人は大人しく、されるがままでいてください。」
「今日は建人さんに存分に甘えまーす。」
「そうしてください。」

熱は平熱に近付いていた。薬も飲んでしっかりと睡眠をとったおかげかな。それに、建人さんがいる安心感が一番の理由かも。最近建人さんは出張続きで、家に帰って来ても翌日また出張だったり、朝から任務だったりで私も雄人もなかなか建人さんとゆっくり過ごすことができていない。建人さんも働き詰めで体調を崩したりしてないか心配していたら、気付くと私が体調を崩してしまっていた。

「熱も下がってきましたね。お風呂に入りますか。」
「入りたいです!流石に湯船に浸かるのは怖いので、シャワーで。」
「そうですね。私が洗ってあげます。」
「え?!」
「さ、行きますよ。」

建人さんに手を引かれて浴室へ向かうと、シャワーでお湯を出しながら建人さんが私のパジャマのボタンを外していく。

「あの…自分で、」
「今日は私が。あなたは大人しく。」
「…はい。」

建人さんの切れ長の瞳が私を捉える。細まった目に愛おしさを感じていると、近付いて来た建人さんの顔。それに応えて唇が触れると、建人さんの舌が私の唇を割って侵入してきた。

「ん…、風邪が移ります…。」
「移した方が治りも早いでしょう。それに、仕事も休めて小春や雄人と一緒にゆっくり過ごせます。」
「ふふ、建人さんったら…いけない人。」
「なんとでもどうぞ。」

互いにパジャマを脱がせ合った。建人さんの手が私のショーツを下ろしていくのにドキドキしながら、私も建人さんのパンツに手を掛ける。建人さんが私にキスをするので、それに応えながらパンツを下ろすと、お腹に触れた硬い…、

「…失礼、久し振りに小春に触れるので。」
「その、私も建人さんに触れられて嬉しいので…、」
「…早く入りましょう。」

二人で浴室に入る。立ち込める湯気が体に纏わりついて体が熱く感じる。建人さんが私の足からゆっくりとお湯をかけていく。髪の毛を少しずつ濡らしていくお湯の温度に心地よさを感じながら目を閉じる。

「髪の毛を洗います。」
「はぁい。」
「…痒いところは。」
「大丈夫です。気持ちい…。」

まるで美容室でのやり取りみたいだと思いながら、大人しくシャンプーをされる。丁寧に洗い流された後はトリートメントまで。顔は自分で洗うと、建人さんがボディーソープを泡立てた。ボディータオルでゆっくりと背中を洗われてくすぐったさを感じていると、背中にあった手はするりと私の首を撫でた。それから肩、腕、指先まで洗われると、するりと脇を撫でられる。くすぐったくて体を丸めると、今度は泡を纏った大きな手は私の胸を撫でた。くりくりと先端を転がされて身を捩れば、建人さんは意地悪くそこばかり攻めた。

「はぁ…、建人さん…、」
「どうしました。」
「…やだ、そこばっかり…、」
「たくさん汗を掻いたのでしっかり洗わないと。」
「んっ、」

指で先端を摘ままれて小さく体が跳ねる。泡のせいでぬるぬると滑りが良くて、私の体もいつもより熱を帯びたように感じる。キュン、と下腹部が疼いて、小さく息が上がる。執拗に胸の先ばかり攻める手。

「ぁ…、はぁ…建人さん…、」
「なんですか。」
「…ちゃんと、触って欲しいです…、」
「どこを、どのように。」
「…そ、それは…、」
「言ってもらえなければ分かりませんね。」
「…ちゃ、ちゃんと胸を触って欲しいです…。」
「…もっと詳しく。」
「えぇ…!ん…、ちゃんと、…その…おっぱい揉んでください…?」
「…こうですか。」
「あっ、」

建人さんの大きな手が私の胸を揉みしだく。滑りがいいせいで胸の形を変える程に激しく揉まれ、先端は掌でぐりぐりと押し込むように刺激される。椅子に座ったまま建人さんの体に背中を預けるように凭れると、足を大きく開かれた。恥ずかしくなって閉じようとするのを分かっているからか、建人さんの手がすかさず私の下腹部に伸びる。

「しっかり洗ってあげますからね。」

耳元で彼が囁くと、私の体は期待したようにまたキュンと疼いた。



 


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