次の日目を覚ますと、悟の寝顔が目の前にあった。何この可愛い寝顔。まだ小さい頃は睫毛は控えめだ。そう言えば悟が成長するにつれて睫毛バッサバサになっていくよなぁ…。ツケマとかまつエクでもしてんのかな?それはそれでウケるわ!…あれ、そう言えば悟の好感度が…99%になってる。あれ、いつの間に!?昨日最後に見た時は93%だった気が…、
「…おはよ。」
「あ、ごめん起こした?」
「いや、起きた。」
悟が目を擦りながら起き上がる。私も体を起こしたところで、悟が私に向けて笑った。…ん?笑った?ピコン、と音がして、悟の顔が近付いてきて、気付けば目の前には悟の顔。唇には昨日触れたものと同じ感触。
「どしたの、悟。」
「俺、オマエの事好き。」
「おっふ…、ありがとう。」
「…オマエは?」
【五条悟との親密度が100%になりました。選択してください。この選択には呪力を消費しません。また、この選択は親密度が100%の相手には何度でも選択できます。(残り呪力:60)】
【1.好きだと伝える 2.友達だと伝える 3.付き合いたいと伝える 4.なにもしない】
え、なにこれ初めて見た。親密度が100%だと呪力消費なしで何度も選択できるのか。え、でも今小1だし付き合っても何すんの?友達だと伝えるって、つまり振る的な?え、それはかわいそうだし、好きっちゃ好きだけど、どういう意味の好きで伝わるのかもまだ分かんないしなぁ…。とりあえずいつでも選択できるなら、今はなにもしないでおくか?4で。
【4.なにもしない を選択しました。この選択には呪力を消費しません。(残り呪力:60)】
「んー、内緒。」
「なんだよそれ!」
ベッドから出て二人で階段を駆け下りる。洗面所で顔を洗って歯も磨いて、朝食の支度をしていたお母さんにおはようを伝えた。
「朝ごはんもうすぐできるからね。」
「ありがとうございます。」
「何か手伝うことある?」
「大丈夫よ、お着換えしてきたら?」
「じゃあそうしよう。悟、今日は何する?」
「理玖が行きたいとこ行こうぜ。」
「んー、この辺ブラブラしてみる?」
部屋に戻って服を漁る。悟もリュックから着替えを出したらしい。何も言わずにパジャマを脱ぎだした悟に驚きながらも、私も背を向けて服を着替えた。朝食を食べて遊びに行く準備を済ませると、二人で家を出る。勿論悟は私の手を掴んでいる。意外とあっさり100%になったなぁ…。もっと時間かかると思ってたけど、やっぱり独りぼっちだった悟には私という存在が大きかったらしい。近所の駄菓子屋の前を通りかかって、私は足を止めた。アイス食べたい…。私が止まったことで悟も立ち止まる。二人で駄菓子屋の中を見て回ると、アイスキャンディーを買った。悟が真ん中で折ってくれたアイスキャンディーの片方を受け取って齧りつく。ソーダ味のそれは甘くて冷たくて美味しい。
「夏はやっぱりアイスだなー。」
「昨日も食ったじゃん。」
「アイスは毎日食べたくなるの。」
「ふーん。」
「あ、この先の公園でちょっと涼む?」
「ん。」
「悟、待って。」
掴まれた手を解いて、繋いであげると、悟は顔を真っ赤にした。え、なにその反応!100%だとリアクションも露骨になる感じ?え、ツンデレ悟がデレツン悟になっちゃった感じ?
「嫌だった?」
「…別に…、」
「そ?じゃあ行こっか!こっち!」
悟の手を引いて歩き出す。ぽたりとアイスキャンディーから伝った水滴が私の指から地面に落ちた。公園に着くと、木陰のベンチに座ってアイスを齧る。蝉の声が聴こえて、そう言えば今が何月かあんまり気にしていなかったなって思いだした。実は今7月だから、もうすぐ夏休みだ。
「悟、夏休み暫くそっちに泊まってもいい?その時稽古つけて欲しいんだけど。」
「…いいよ。」
「よし、じゃあ後でお母さんにお願いしておくね!」
アイスを食べ終わると、公園に置かれたごみ箱に捨てる。水道でアイスのべたつきを洗い流していると、私達に近付いて来た一つの人影。
「き、君達、子供だけであ、危ないよ…ハァハァ…、」
「きもっ。」
「あっち行けよ。」
「な、なんでそんな口をきくんだ…!ぼぼ僕は、心配して…!」
「コイツヤバいね?どうする?警察呼ぶ?」
「け、警察なんてどうやって呼ぶんだ!僕はただ、大人がいないと危ないよって、」
「あーはいはい、わかったから。」
セレクト。
【不審者があなたを狙っています。選択してください。選択すると呪力を10消費します。(残り呪力:60)】
【1.追い払う 2.警察を呼ぶ 3.なにもしない】
問答無用で2。
【2.警察を呼ぶ を選択しました。呪力を10消費しました。(残り呪力:50)】
「君、ちょっと話を聞かせてもらえるかな。」
「え、ええ!?な、なんで、いつの間に警察が…!?」
「お巡りさん、この人が私たちの事変な目で見るんですぅ!」
「はい、怪しいから署まで来てもらうよ。協力ありがとう、気を付けて遊ぶんだよ。」
「はーい。」
どこからか現れた警察官に不審者を任せると、悟が笑いだした。え、なんで笑うの?
「意味分かんねえ、今のもお前の術式かよ。」
「そ。ほんと便利だわ。昨日もさ、ご飯食べた後眠すぎて試しに使ってみたら、眠気吹き飛んだし。」
「何ができんの?」
「あー、それは言えないかも。出来ることも時と場合によるし。」
「ふぅん?」
そのあとは公園を出てまた二人でぶらぶらと歩きまわった。途中で感じた呪霊の気配に、二人で顔を見合わせた。
「…どうする?祓っちゃう?てか勝手に祓っていいのかな?」
「別にいいだろ。…2級か。」
「今の私ら怖いものなしじゃね?」
「じゃあ行くか。」
呪霊の気配は小さな古家からだった。二人で手を繋いで敷地に入る。そこは所謂ゴミ屋敷というやつで、呪霊はなんと巨大なGの姿をしていた。うげぇ、キッショ!無理無理無理無理!私の顔が引きつっているのに気付いた悟が、私を抱き寄せた。しかもちゃんと顔を自分の体に押し付けて視界にやつが映らないようにしてくれている。無限も私ごと展開しているらしい。え、なにそれ惚れてまうやろ…!セレクト。
【仮想怨霊があなた達を狙っています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:50)】
【1.祓う 2.なにもしない】
「マジか、私がコイツ祓ったらまたぶっ倒れるかも。」
「マジ?」
「あ、呪力切れでね。折角悟と一緒なのにぶっ倒れるの嫌だし、悟祓える?」
「俺を誰だと思ってんの。」
「強気じゃん。流石天下の五条悟だ!いよっ、おっとこまえ!」
「フン。」
グシャッと音がして呪霊の気配が無くなる。おま、おっまっ!!オマエェ!!G潰すなよキショいだろ!!!
「嫌ァアア!キモイキモイ!!」
「ハハハ!」
「ありえんコイツ…!ちょ、絶対無限解かないでね?!マジで!ほんとに!!!」
「分かった分かった、さっさとこんな汚ねぇとこ出るぞ。」
悟が私の手を引いて私達は古家を出た。マジで無限無しでこんなんやられたらいくら悟でも引っぱたいてたわ…!
「俺が…理玖の事守ってやるからな。」
「…なにいきなり、」
「別に。だから、その、オマエ術式使ってる時隙だらけだろ?」
「まあ、そうだね。考える時間いるし。」
「…その間に理玖が怪我しないように、俺が守ってやる。」
「…今みたいなのマジ勘弁だから、Gとかマジで無理だから!」
「はいはい、分かった分かった。」
私が悟の手を強く握った事がお気に召したらしい。悟はニヤニヤと笑いながら歩き出した。クソ…、覚えてろよ!絶対なんかでビビらせてやるっ!