「理玖、起きて理玖。」
「んぅ…、」
「理玖、任務だとよ。」
「…ん、」
「…起きないね。」
「だから気絶させんなって言っただろ。」
「私は優しくヤったよ。」
揺さぶられて起きた私。悟と傑は既に制服に身を包んでいた。ゆっくり起き上がってドロリと垂れた感覚に顔を顰める。
「…また中に出したでしょ…。」
「ああ、すまないね。とても気持ち良かったよ。」
「せめて後処理してくれればまだ許せたのに…もう。」
「ん、ティッシュ。」
「ありがと。」
悟からティッシュを受け取って軽く拭き上げる。
「悟、ちょっとシャワー借りるね。」
「ん。」
浴室へふらふらと歩いてシャワーを浴びる。可能な限り掻き出して体を洗うと、悟が準備してくれたらしいタオルで体を拭いて部屋に戻った。2人は携帯を弄っている。落ちていた下着とジャージを身に着けて、制服に着替えに部屋に戻った。あー…なんか頭痛い。制服に着替えてベルトに十手を通すと部屋を出る。直接駐車場に向かった。今日も時田さんが担当らしい。私を見つけて駆け寄った時田さんににっこりと笑いかける。
「すみません、お待たせしました。」
「いいえ、急にすみません!ちょっと遠出になるのですが、大丈夫ですか?顔色が、」
「あー…ちょっと寝不足で。でも大丈夫です。」
「新幹線の中で内容を確認してくだされば大丈夫なので、車の中で少し休んでください!」
「新幹線?場所はどこなんですか?」
「宮城です。」
「…宮城!?」
「は、はい、とりあえず新幹線の時間があるので、急いで出発しますね!」
「あ、はい。」
車に乗って暫く目を瞑っていると、私の携帯が鳴った。硝子からだった。
「もしもしぃ〜?」
『理玖、生きてる?』
「なんとか…。」
『心配で五条の部屋に行ったら案の定だったから。』
「え、硝子に見られたの!?」
『別に私は気にしないけど、理玖が気にするならごめん。理玖が昼から任務だったこと思い出して助けに行った。』
「ありがとう硝子…。だからか、悟と傑ちょっと不機嫌だった。」
『マジ?ガキかよ。薬は?』
「あっ!!!ていうか普通に病院行くの忘れてたわ。」
『代わりに貰って来た。』
「え、そんなことできるの!?」
『ホントはダメだけどね。部屋置いとくから、帰ったら飲みなよ。』
「ありがとう〜…。」
『じゃ、後でね。気を付けろよー。』
「硝子ありがとう、流石私の嫁。」
『はいはい。』
硝子と電話を終えると、悟と傑に一斉送信でメールを打った。
『硝子に見られたんだって?』
『何で知ってんの?』
『硝子に聞いたのかな?』
『おかげで任務前なのにめっちゃ体だるいんですけど(笑)』
『俺まだ余裕。つかなんの任務?』
『無理させてしまったかな?』
『さすがに寝不足過ぎて体ヤバい。連日はやめて…!任務は神仏関係だよー。』
メールを終えて再び目を瞑る。宮城ってことは、仙台に行けば虎杖の通ってた高校に宿儺の指があるはず。勝手に回収していいのかわかんないけど、あるかどうか確認しておかないと。あと宮城と言えば誰かいたっけ…宮城宮城…、
「廻神さん、東京駅です。」
「ありがとうございます、じゃあ行ってきますね!」
「はい、お気をつけて!」
車から降りて新幹線の乗り場に向かう。チケットは任務概要のプリントに封筒が留められていたから恐らくそれがチケットか、交通費だろう。封筒の中身を取り出せば案の定現金が入っていた。窓口でチケットを買うと、時間までに駅弁を買ってホームに向かう。新幹線に乗り込むと、早速駅弁を食べた。食べ終わると早速任務内容を確認する。どうやら地元の不良3人組が大きな神社の御神木に悪戯をしたらしい。それから3人に罰が当たったようで、全員が意識不明の重体。
「自業自得じゃん…。」
はぁ、と溜め息を吐く。新幹線が仙台駅に着くと、座りっぱなしで凝り固まった体を解すように大きく伸びをした。タクシーで神社に向かうと、作法通りに神社の中に入る。宮司さんに話を聞けば、御神木は銀杏の木だそうだ。御神木を蹴って銀杏を落とそうとしたらしい。所々樹皮が剥げ落ちているから、結構力一杯蹴ったんだろうな。それは罰当たるわ。御神木にそっと手を当てる。温かい。とりあえずセレクトするか。
【御神木が傷ついています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:160)】
【1.元に戻す 2.なにもしない】
1番。
【1.元に戻す を選択しました。呪力を50消費しました。(残り呪力:110)】
御神木が見る見るうちに回復していく。様子を見ていた宮司さんが小さく声を上げた。
「す、素晴らしい…!ありがとうございます、廻神理玖様。どうかお茶でもお召し上がりに、」
「ありがとうございます、急いでますのでお気持ちだけいただきますね。御神木を傷つけた人達に説教してきます。」
「あ…、はい、どうぞよろしくお願いします。」
神社を出て、不良3人組が入院しているという病院へ向かった。
「…杉沢病院だぁ!!」
ひゃっほおおう!!またしても聖地巡礼あざっす!!って、まだ虎杖悠仁の爺ちゃんは入院してないだろうけど。病院の中に入って病室を聞くと、3人は少し前に目を覚ましたらしい。私が御神木を治したころに目を覚ましたようだった。病室に案内してもらうと、それはもう見るからに悪だぜって感じの3人がいた。
「初めまして、私は廻神理玖です。」
「あ?誰?」
「なんだ姉ちゃん。誰かの見舞いか?」
「ひゅ〜、可愛いじゃん。」
「あなた達、○○神社の御神木に傷を付けましたね。それにより罰が当たって意識不明の重体になったの、覚えてますか?」
「あ?そんなの覚えてねぇよ。」
「罰が当たったって、今の時代なに言ってんだよ。」
「お姉ちゃんもしかしてお頭がパアなの?」
「パアはテメェらだっつーの。御神木は元に戻ったからあなた達を起こしたみたいですけど、これから私があなた達に罰を与えます。しっかり反省するように。セレクト。」
【???、???、???は反省していません。選択してください。選択すると呪力を30消費します。(残り呪力:132)】
【1.天罰を与える 2.天罰を与える 3.天罰を与える】
「1番。」
【1.天罰を与える を選択しました。呪力を30消費しました。(残り呪力:102)】
「さっきから何言ってんの?」
「…おい、なんかオマエくせぇぞ?」
「あ?何言ってんだよ。…は?オマエの方がくせぇよ。」
「いやいやオマエら二人ともくせぇから。」
「は?オメェもくせぇし!」
「どうやら3人とも臭いみたいですね。ああ、しかもこれ銀杏の匂い。」
「「「!?」」」
「あなた達が心を入れ替えて真っ当に生きないと、一生銀杏臭いまま過ごすことになりそうです。じゃ、お疲れ。」
ひらりと手を振って病室を後にする。どうやら悪事を働いたり、悪い心を持つだけで体から銀杏の匂いがするようになったらしい。ぷくく。それはもう悪いことできないね。さてと、杉沢病院にいるってことはあそこも近いはず。病院を出てタクシーに乗ると、目的地を告げる。勿論、
「杉沢第三高校までお願いします!」
学校に着くと早速学校内を歩いて回った。勿論すごい見られた。何なら教員に話しかけられた。適当に誤魔化して逃げたけど。ラグビー場を通りかかったとき、見覚えのある呪霊を見つけた。…祓ってもいいのかな?うーん、これは私の仮説だけど、悠仁が宿儺の指を拾ったのは偶然じゃない気がするんだよねぇ。百葉箱にしまってあった特級呪物が勝手に出歩くわけないし、誰かが意図的に…ってここで一人考えても仕方ないか。羂索はもういないんだし、原作みたいな流れになることはないだろうから祓っちゃおっ!んでもって宿儺の指も回収して…あ、でもそしたら恵と虎杖は出会わないかもしれない…?そしたら虎杖は高専に通うキッカケが…?うわああなにこれどうしよう、どうすればいい!?どうしよう!!!!ちょっと待って、もうちょっとよく考えよう。まず前提として羂索はもういないでしょ!?んでもって、宿儺の指はここ、杉沢第三高校にあるでしょ。んでもってラグビー場の呪霊もいる。宿儺の指がここにある限り、恵は原作通りに回収に来るでしょ?…ン?虎杖が宿儺の指を拾う可能性消えてるよね。ってことはつまりどういう事だ!?
「1巻の展開にならないよね…?え、結局なに、ゆじたん高専に通わせるには宿儺の指を拾わせないといけないってことだよね…?え?待って、誰が?」
え?ちょっと、待って、羂索はもういない。そんでもってその後の流れを知ってるのは…、
「私…だけじゃん…。」
ゾッと体中に悪寒が走った。
「廻神理玖…なにも、分かっていないな…。」
羂索の言葉が脳裏を過ぎる。私、なにやってんだろ、え、だって、虎杖は主人公じゃん。主人公の人生捻じ曲げてることになる…?でも、虎杖は死刑なんて、
「うっ…おえっ…う、げほっ!!」
胃がキュッとして吐き気に襲われた私は急いでその場から離れて、咽上がった物を吐き出した。息が短く荒くなって頭がガンガンと痛む。なにも分かってないって、このこと…?私は呆然と立ち尽くした。そして、
「セレクト…、」