私は今、ばぶパンダに会いに来ている。ばぶパンは私のことをじっと見ている。…はぇ〜…かわよ〜…。
「理玖、また来てたのか。」
「あ、夜蛾先生!悟と傑が任務でいない隙に!」
「そうか。」
「ばぶパンはいつ喋るかなぁ!楽しみぃ!」
「…好きなだけ可愛がってやってくれ。」
「勿論です!」
ばぶパンのくりくりのおめめが私を見ている。…写メろう。そういえば夜蛾さんって、もうこの頃からバツイチなのかな?あんま詳しい情報見た記憶ないけど…。…あれ、そういえば、既婚者相手に好感度イベント出たことない気がする…。パパ黒は独身時代に会ったからイベントあったけど、直毘人とか仁さんとか、既婚者にはイベント出なかった気がする。じゃあもうバツイチ?
「やーが先生っ!」
「な、にをやってるんだ。」
夜蛾さんの背中に抱き着いてみると、夜蛾さんがぴしりと固まる。おぉ、面白い反応。
「えへへ、夜蛾先生の背中大きくていいですね。」
「…離れろ、理玖。」
「何でですか?」
「…教師と生徒だ。必要以上にくっつくな。」
「ちぇー。」
「全く…。」
夜蛾さんに怒られたので大人しく離れる。
「…体調はどうだ。」
「え?どうもこうも、めちゃんこ元気ですけど。」
「そうか。…悟、傑、硝子の3人がオマエの任務を減らせと騒いでいたが、何かあったのか。」
「げ、マジ?なんともないですよ?普段通り任務入れてください。神仏系優先で。」
「本当に何ともないんだな?」
「勿論です!」
ばぶパンがもぞもぞと動いた。
「ばぶぅ。」
「はああ可愛いい…!」
ばぶパンをひたすら愛でた後部屋を後にした私は、1人談話室に向かった。自販機の前で何を飲もうか考えていると、誰かが近付いてくる足音。うーん、気分的に炭酸って気分じゃないし、お茶って気分でもないし、
「カルピスでいっか。」
「理玖?」
「ん?あ、歌姫パイセン!」
「今日は一人?」
「皆任務です。」
「丁度良かった、暇してるなら今から遊びに行かない?」
「行きます!!」
そういえば歌姫の好感度もまだ途中だったな…。60%と書かれた好感度を見ながら私は歌姫の腕にしがみ付いた。
「あれから絡まれたりしてない?」
「はい!パイセンのおかげです!」
制服のまま高専を出て新宿へ向かった。カラオケに行こうという話になり、歌姫と2人でカラオケに向かう。歌姫って確かめちゃくちゃ歌うまいんだったよね。え、いいの!?私聴いていいの!?
「パイセンなに歌います?」
「そうね…最初は安室ちゃんかしら。」
「あー最高っス!」
「理玖は?」
「んー…、」
この時代の流行りの歌ってなんだっけぇ…!どうしよ、アジカンとか?バンプ?えー…わっかんねぇ…!とりあえず見えないものを見ようとしとくか!?それとも、けしてぇええリライトしてえええ!?
「パイセン!きゃんゆーせれぶれいとリクエストします!!」
「おっしゃ!任せて!」
カラオケはめちゃくちゃ盛り上がった。歌姫はやっぱり歌姫だった。結局私はハンカチを握りしめ、歌姫の歌に酔いしれるだけの2時間に終わった。
「はぁー最高でした!呪術師じゃなくて歌手になった方がいいのでは…?!」
「言い過ぎよー!」
「絶対また行きましょうね!!」
「ええ、絶対!」
そのままご飯を食べて帰ろうという話になり、私達は近くのもんじゃ屋さんに入った。もんじゃを食べながら他愛もない話をしている内に歌姫の好感度もあっという間に100%に。もんじゃを食べ終えて高専に戻ろうと駅に向かってる途中、視線を感じて振り返る。
<カァ>
「カラス…?」
え、まさか冥さんが近くにいる…?周りを見渡しても冥さんらしき人物はいない。…え、私カラス越しに冥さんに見られてるの…?!え、やだ、恥ずかしっ!
「理玖?電車もうすぐ来るわよ?」
「あ、はーい。」
歌姫に呼ばれて急いで駅に向かう。何だったんだろ…。冥さんにいい金蔓と思われてたりして?だって私一時期100億の女だったしな!?高専に戻って室内に向かうまでにも何度も視線を感じた。多分さっきと同じでカラスの視線だ。えぇ…なんなの一体…?!部屋に入ってカーテンを閉めると、ベッドに体を沈める。
「もしかして、次は冥冥に会うとか…?ひぇええ…最高じゃん…!」
っと、こうしてる場合じゃない。寝支度をして布団に入ると、私はその日早めに休んだ。明日は朝一で任務だ。翌日、支度をして教室に向かうと、悟と傑と硝子は既に教室にいた。
「おはよ!」
「おはよう、理玖。」
「はよ。」
「おはよー。今日は体調どう?」
「昨日早めに寝たから調子いいよ!心配してくれてありがとう!」
「理玖今日朝一で任務だろ?」
「そうだよー。」
「何かあったらすぐ連絡するんだよ、理玖。」
「着いて行こうぜ。」
「五条も夏油も任務でしょ。」
談笑している内に夜蛾さんが教室に来たため、私達はそれぞれ指示通りに任務に向かった。任務概要の書かれたプリントを持って駐車場に向かうと、荒井さんともう一人誰かが車の傍に立っていた。今日は荒井さんが担当か、と思った矢先、好感度イベントが発生した。ということは、
「初めましてだね、廻神理玖君。」
「…は、始めまして…!」
「私は冥冥。今日は君の任務に同行させてもらうよ。」
そう言って冥さんはフッと笑った。はぁあああ…すこ!!
「よろしくお願いします!」
「よろしく。あくまで私はサポートだから、君のやりたいようにやってくれてかまわないよ。…と言っても、階級的には君が上だからね。私のサポートなんて必要ないだろうけど。」
「そんな事ないです!冥冥さん、握手してください!!」
「…握手?」
「尊敬してます!!!」
「…フ、面白い子だね。今回は特別にただで握手してあげる。」
「はぇええ…カッコよ…、」
冥さんと握手をして車に乗り込む。移動しながら内容を確認して納得した。今回の任務先は八咫烏が祀られている神社だ。カラスと言えば冥さんだもんね。新幹線と電車を乗り継いでついた神社。神社なのに禍々しい呪力の気配を感じる。作法通りに挨拶をして境内を進む。どうやら八咫烏を祀ったそこで、近頃不可解な事件が起きるらしい。宮司さんの話では、ここに両面宿儺の指を封印した祠があると。ひぇえええやめてぇええ宿儺の話題は今聞きたくないよぉお…。と泣き言を言えるわけもなく…。今回は宿儺の指の回収と、不可解な事件の関連性を調べることが目的だそうだ。それにしても冥さん美人だなぁ…スタイルいいし、ボンキュッボンじゃん。はぇえ〜憧れるぅ〜。
「どうかしたかい?」
「冥さんが美人過ぎて見惚れてました!」
「ハッハッハッ、理玖だったね、君は本当に面白い。それに、金の匂いがするね。」
「そうですよ、私100億の女ですから。」
「100億…?」
おぉっ、一気に好感度50%まで上がった…!!!冥さん安定の守銭奴だな!?!?!?
「君を売ったら100億か…。悪くないね。」
「マジで売らんでくださいよ?」
「フフフ、」
宿儺の指を封印している祠に案内して貰った。祠の中には私が先日回収した物と同じような木箱に入った宿儺の指。それを手に取って箱を開けてみると、
「え…!?」
「…空。」
指が入っているはずの木箱は空だった。私と冥さんは目を見合わせる。これって絶対ヤバい奴じゃん。
「宮司さん、最後にこの祠を開けたのいつですか?」
「この祠の鍵はつねに私が肌身離さず身につけております。最後に開けたのは事件が発生する前日に、祠の煤落としをした際に中を掃除しただけで、その時には確実に中身がありました。確認済みです。」
「じゃあそれ以降に誰かが鍵をつかって開けたってことですね。わかりました。とりあえず箱は回収します。それと本体も今日中に探します。」
本殿に案内して貰うと、1羽のカラスが私の肩にとまった。冥さんが少し驚いた顔をしている。…と言うことは冥さんのカラスとは違うのか。セレクトするか。
【鴉がいます。選択してください。この選択には呪力を消費しません。(残り呪力:160)】
【1.声を聞く 2.案内させる 3.なにもしない】
お、この選択肢前にも見たことある。ってことはこの子は神様に仕えてる子か。じゃあ1番だね。
【1.声を聞く を選択しました。この選択には呪力を消費しません。(残り呪力:160)】
<初めまして、廻神理玖様。>
「初めまして。聞きたいことがあるんだけど、教えてくれるかな?」
「…カラスと話せるのかい?」
「あ、はい。この子は特別です。」
<私に話せることはすべてお話しします。>