「京都姉妹校交流会?」
高専に通い始めてあっという間に半年近く経とうとしていた。連日の任務続きで時間が過ぎるのが早く感じていたらしい。気付けば今は9月。ついにこの時が来た…!
「そうよ。私は4年生だからもう出ないけど、2、3年生が少ないからアンタ達にも声が掛かると思うわ。」
「ちなみにどっちでありますか?」
「去年は京都校が勝ったから、今年は京都校ね。前年に勝利した方で開催するの。」
「じゃあ俺達がいれば毎年東京校だな。」
「ああ、間違いないだろうね。」
「京都久し振りだなぁ!会いたい人いっぱいいるけど、会う時間あるかなぁ?」
「観光する時間はないわよ。初日と2日目が終わったらそのまますぐ東京に帰るんだから。」
「ちぇ〜。」
「じゃ、私は説明したから。3年あたりが声掛けに来ると思うけど、くれぐれも喧嘩しちゃだめよ?特に五条!!」
「は?なんで俺だけ?」
「アンタすぐ突っかかるでしょ?!」
「これだからヒスは…。」
「私の!!方が!!先輩なんだよ!!」
交流会の説明をしてくれた歌姫は、ぷんすかしながら帰っていった。交流会かぁ!楽しみだなぁ!そういえば禪院家どうなった?ちょっとはマシになったかな?ママンに連絡してみよ。禪院家どうですか、皆さんお元気ですか、っと。のりピーも大きくなったかなぁ?会いてぇ〜!
「あ、あのぉ…、」
「はい?」
「あ、3年の河合です。ちょっと話が…、」
教室に顔を覗かせたのは、瓶底眼鏡をかけた男子生徒だった。今どき…瓶底って…!?
「あ、もしかして交流会のことですか?」
「は、はい!」
「歌姫に聞いた。」
「私達も出場すればいいんですよね?」
「あ、話が早くて助かります…!2、3年で3人しかいなくて…それで1年生からも3人ほど出てもらえると助かるんですけど…。」
「私戦闘向きじゃないからパス。」
「ま、硝子は救護班だろうな。」
「必然的に私、悟、傑の3人だね。何か打ち合わせとかありますか?」
「…打ち合わせというか、顔合わせだけでもできればと…。」
「めんどくせっ。」
「悟。」
「私行きますよ。悟は留守番する?」
「理玖が行くなら…行く。」
「私も行こうかな。」
「じゃ、3人とも顔合わせ行きます。どこに集合ですか?」
「じゃあ、共有スペースにお願いします。」
「はーい。ほら、皆行くよー。硝子も行こうよ、一人残るの寂しいでしょ?」
「じゃあ行く。」
硝子と腕を組んで歩きだすと、悟と傑も大人しくついてきた。河合こと、瓶底先輩の後に続いて共有スペースに向かう。既に来ていた先輩方に軽く会釈をして椅子に座った。
「ま、まずは自己紹介から。3年の河合岩男です。式神使いです。階級は2級です。」
「3年の石井みかん。呪具使いです。準2級です。」
「2年の中明香です。私も式神使いです。3級です。」
「1年の廻神理玖です。術式については言えませんが、呪具も近接もなんでもござれです。あ、階級は特級です。」
「五条悟。特級。」
「夏油傑です。呪霊操術。特級です。」
「家入硝子です。反転術式使えるので救護班としてついて行きます。階級は内緒です。」
「こ、今年の1年生凄いですね…。」
「クソ雑魚しかいねぇじゃん。」
「こら悟。」
「すみません、うちの子口が悪くて。」
「はぁ?ガキ扱いすんなよ。」
自己紹介も済んだので、そのまま簡単にルール説明を受けた。初日が団体戦、2日目が個人戦なのは変わらないらしい。問題は悟が協調性皆無なところだな。ま、悟1人いれば一瞬で終わるんだろうから、無理に群れたくないんだろうね。よし、そうと決まれば、
「これから親睦会しませんか?」
「は?」
「え、」
「親睦会ですか…?」
「そうです、折角一緒に戦うんだし、仲良くなりましょう!」
「「「…、」」」
「…あれ、」
「だるっ。」
「えー…、悟、そういうこと言うんだ?」
「…くない。」
「傑と硝子は?」
「いいよー。」
「私もいいよ。」
「じゃ、そうと決まれば皆でトランプでもしましょう!私持ってるから、取ってきますね!」
ルンルンとスキップをしながら寮の部屋にトランプを取りに戻った。さて、無理に親睦を深める必要なんてないんだけど、味方は多い方がいい。上層部が私を監視している理由も結局つかんでないし、
「京都の学長が楽巌寺学長なら、何か知ってるかもなぁ。ちょっと脅してみる?うーん、」
トランプを持って共有スペースに戻っていると、何やら悟の怒鳴り声が聞こえた。あー…、なんか誰か余計なこと言ったかな…。
「悟、落ち着きなよ。」
「理玖のことバカにすんなら全員殺すぞ。」
「ば、バカになんて、」
「はいはーいそこまで!悟、どうしたの?よしよししようか?ん?よちよーち、おちちゅきましょーねー?」
「っ、ガキ扱いすんなって、」
「傑、説明してくれる?」
「石井先輩が、理玖のことを悪く言ったんだよ。」
「へー、なんて?」
「チャラついたビッチとか言いやがった。」
うわぁ、否定できねぇええ…。いや、チャラついたつもりはないけど、まあ、うん、ビッチって…、うん、まあ…、すみませんね!?推し達とのおせっせは誰だってしたいっしょ!?えぇっ!?
「あはは、そう見えたならすみません。けど、何もそこまで言う必要はないと思いますけど、私の何を知ってるんですか?」
「理玖キレた?」
「ん?キレてないよ?キレてないけど、思っても言っていいことと悪いことがあるってことくらい、私達より年上なら分かってると思ってたんだけどね?」
「ご、ごめん、」
「ま、謝ってくれたので良しとします。それと、発言には気を付けないと、罰が当たりますよ。神様仏様は見てますから。さてと、トランプ持って来たのでババ抜きでもします?それとも大富豪?」
「…俺、部屋戻る。」
「私も戻ろうかな。理玖は許したけど、私達は許す気にはなれないからね。」
「理玖、私も戻るわ。」
「えー、皆いなくなっちゃうの?折角取りに戻ったのに。」
「廻神さん、その、僕もこの後任務が…、」
「ありゃま、じゃあ仕方ないですね。あ、交流会当日はよろしくお願いしまーす。」
結局その場でお開きになった顔合わせ。うーん、どうしたものか。味方は多い方がいいけど、この調子だと無理そうだなぁ。ま、なんとかなるか。
「悟、傑、硝子、4人でトランプしない?」
「する。」
「いいよ、理玖の部屋でいいかな。」
「いいよー、硝子は?」
「タバコ吸ってから行く。」
「りょ!」
4人で私の部屋でトランプをした。なんと全部私の圧勝。いやぁ運がいいっスなぁ!
「クソ、全然勝てねぇ!」
「流石神の子、強いね。」
「あー、今回もブタばっかだわ。」
「ふふん、私を舐めてもらっちゃ困るよ。って話戻るけど、交流会どうする?正直私達だけで十分事足りるよね。先輩たちをお膳立てした方がいいかなぁ?」
「はぁ?いらねぇだろ、あんなザコ共。」
「理玖のことを侮辱したんだし、どうなろうと知ったこっちゃないよ。」
「私もアイツら嫌いだわ。」
「…皆ありがと、私の味方でいてくれて。」
「何今更なこと言ってんの?」
「理玖がいなかったら、私達はここにいないよ。」
「同感。」
「じゃあ、ちょっと団体戦当日はビックリさせちゃおっかな。」
「何する気?」
「私1人で全部祓う。それも開始直後に。」
「は?」
「…どうやって?」
「私の術式なんでもありでしょ?それに賭ける。さっさと団体戦終わらせて京都観光したいし。どう?面白そうじゃない?」
「…ま、いっか。」
「理玖の凄さを知らしめるってこと?」
「いーんじゃない?私も正直だるいし。」
「じゃあそうしちゃお。悟も傑も、先輩たちの為に無理して働くことないでしょ?」
「…理玖がそれでいいなら。」
「私もそれでいいよ。」
「よーし、大富豪もう一回しよー?」