その後私と悟はお腹が空くまで近所を歩き回った。お腹が空くと私の家に帰り、お昼ご飯を食べてまた桃鉄をした。今度は私のお母さんもいれて3人で。私たちの容赦ないカード攻防をお母さんは微笑ましそうに笑いながら見守っていた。夕方になると悟を迎えに来た運転手さん。悟は少し寂しそうな顔をした。おうおう、可愛い顔で見るな…引き止めたくなるだろ…。一緒に私の部屋に荷物を取りに行くと、部屋に入るなり悟は私を抱き締めた。ふぉ!?ビックリして心臓飛び出るかと思ったわ!
「楽しかった。」
「私も楽しかったよ!また泊まりに来てよ!」
「いいの?」
「勿論!私と悟の仲だぞ!私も悟の家に行きたいし!」
「…来週、来るか?」
「マジ?いいの?お母さんにも聞いてみるね!」
そう言うと、悟の体が離れて、また近付いた。ちゅ、と短いキスをされて、私はまたされるがままだ。随分と積極的になってしまったな…。将来が怖いぞ…!悟の手を引いて玄関に戻ると、運転手さんとお母さんが何やら話をしていた。
「おかーさん、来週の土日は私が悟の家に泊まりに行ってもいいー?」
「来週?…悟くんのお家は大丈夫なの?」
「大丈夫です。」
「そう、ならいいわよ。ご迷惑おかけしない様にね?」
「モチのロン!やったね、悟!」
「うん。」
悟は嬉しさからか少し表情が明るくなった。ぐぬぬ…全く…可愛いな!ちょっと素直さが出てきた悟はデレ要素が増えた気がする!悟が運転手さんにリュックを預けて靴を履いている背中を見つめる。出会って5日目にして好感度が100%になったし、なんなら告白もキスもハグもされてしまった。これって会う人皆100%になったら私に告白とかキスとかしてくるんか?!そうなったら私がまるで節操のない女みたいにならんか!?大丈夫?!教育上よろしくなくね?!悟が靴を履いて立ち上がった。
「また明日ね、悟!」
「うん、明日。…お邪魔しました。」
「はーい、またいつでもいらっしゃいね。理玖の事もよろしくね!」
「はい…!」
悟が車に乗り込んで、車が見えなくなるまで手を振った。家に戻るとお母さんが私を見て笑った。え、なんで笑うの?
「悟くん、いい子じゃない?もう付き合ってるの?」
「え、付き合ってないよ?それにまだ小1じゃん!」
「あら、愛に年齢なんて関係ないのよ。」
「悟の事は好きだけど、付き合いたいかはまだ分かんないかなー。まだまだ知り合いたい人達もいるし。」
「知り合いたい人?」
「あ、こっちの話!今日の日記書いてこよーっと!」
お母さんから逃げる様に自分の部屋に戻る。正直悟と付き合ってしまえば詰む気がする。他の人達との親密度の進み方とか、選択肢とか、そういうのももっと知っておかないと後で選択肢をミスってしまった時に取り返しがつかないかもしれないし。
「あーあ、次は誰に会えるのかなー。」
…少し自分の術式にについて整理してみよっかな。私は勉強机の本棚にしまっておいた新品のノートを取り出して開いた。ボールペンをノックして、まずは自分の呪力について、と書き始める。経験したことになっている記憶を思い出してみると、初めて呪力を確認した時は【10】だった。呪力は年齢を重ねる毎に10ずつ増えていっている。年齢×10ずつ増えているとしたら、7歳の誕生日を迎えると【70】になると予想。記憶の中では0歳から1歳までは呪力は【10】だった。2歳になると【20】3歳になると【30】と増えていたから、恐らくこの予想で合っていると思う。そしてセレクトについて。質問内容によって呪力の消費数が違う。この前も思ったけど、やっぱり私自身に何かしらのリスクがあったり、祓う呪霊との実力差なんかで消費数が上がるんだろう。そして呪力は【0】になると強制的に呪力を回復する為に【呪力回復イベント】というものに切り替わる。この時呪力が完全に回復するまで体は動かせないし、視力や聴覚みたいな五感を封じられる。所謂スリープ状態になる。そして、呪力を使っても残っている場合は、時間経過で回復していく。ゲームで言うスタミナ回復状態と言った方がわかり易いかな?自分より上の階級…と言っても、私が今何級相当かは分からないけど、上位階級相手を祓えはするけど、強制的に【呪力回復イベント】に移行してしまうから、使う時は注意が必要だね。祓ったはいいけど強制イベントでぶっ倒れている間に他にも敵がいたら危険だし。…あとは…、そうだ、領域展開とかできるのかな?今の所そんな状態は見られないし、使えたとしてどんな領域展開なのかも予想がつかないな…。これに関してはちょっと保留か。…とすると、好感度。これが一番の謎なんだよなー。なんで私への好感度が見えるんだろ?好感度は私と関わる人にだけ出てるのかと思いきや、通りすがりの人や犬猫にまで見える。意図して見ようとすればの話だけど。そうそう、好感度が100%になった時には勝手にセレクトが出てきたなぁ。【好感度イベント】とでも名付けるか。これに関しては、悟の好感度が100%になったら勝手に出てきたし、呪力消費もないし、好きなタイミングで何度もセレクトできるらしい。うーん、万が一好感度が私の術式の鍵になるとしたら、悟の時になにもしないを選んで正解だったかも…?今後どうなるか予想もつかないし、下手したらまた何かしらの【イベント】が発生する、なんて事も有り得る…。これも要注意、っと。あとは何かあったっけ…?
「…あれ、そういえば術式について文字に書くのは大丈夫なのかな?人に言うことは出来ないって注意書きみたいなの出たけど…ノートには書けてるし…。」
【縛り】について、と書き足した。私の術式を他者に話す選択は出来ないって内容だったよね。んー、このノートを後でお母さんに見せてみるか?話してはないからもしかしたら見えるかも?…ちょっと待てよ、今1人何もない状態でセレクトできるのかな。…やってみるか。セレクト。
【選択してください。選択すると呪力を40消費します。(残り呪力:60)】
【1.選択について 2.洗濯について 3.宣託について 4.なにもしない】
なんか出たー!…ちょっとまて2番なんだそれ!洗濯について選んで一体どうなるんだよ!1番の選択って、この選択についてって事?…3番の宣託ってなんだろ…。ちょっと気になるし3番にしてみるか?3番!
【3.宣託について を選択しました。呪力を40消費しました。(残り呪力:20)】
…?なんもならんぞ、どういう事?1人首を傾げていると、ピコン、という音。
【宣託とは、神仏のお告げのこと。】
…ほう?神仏ってあの神様、仏様の神仏?…とすると、私の術式ってもしかしてその宣託?マジ?選択呪法じゃなくて宣託呪法?なんか…ダサいとか言ってごめんなさい?!じゃあ、私は神様仏様のお告げから未来を選択してるって事?…もしかして、私の転生って神様仏様が選んで成ったとか?…まっさかぁ〜!だって目を覚ましたらこの世界にいたし、死んだと思っているけど死ぬ要素も特になかったし…なんでこの世界に来たんだろ…。
「理玖ー、ご飯よー!」
「あ、はーい!今行くー!」
とりあえず、今は深く考えるのはやめておこう。私はノートを手に1階へ。お母さんに今書いた術式についてのページを見せてみたけど、お母さんには何も見えなかった。そしてやっぱり視界には注意書きが出てしまった。…後で書き足すか。