初めて理玖さんに会った時から、この人は特別な存在なんだと思っていた。
「あっん、はぁ…気持ちい、建人君もっとして、」
6歳の頃、初めて会ったあの時から。
「はぁ…、理玖さん、」
「んっ、」
昔話のお姫様、はたまた女神様のように、美しく神々しかった彼女が、今自分の下で秘部を曝け出してよがっている。これほど興奮することはない。溢れる蜜を指で掬ってヒクついた蜜壺に指を埋めた。彼女の中は温かく蠢き、濡れそぼっていた。指で中を探るように撫でながら、彼女がより好い反応する場所を探る。ざらついた内壁をなぞった時、彼女はピクリと腰を浮かせた。そこを何度もなぞってやれば、今度は可愛らしい声で私の名前を呼ぶ。ああ、愛おしい。好きだ、理玖さんが。くちゅりと溢れた蜜がもったいない。舐めとってみればとても甘くてくらりと眩暈がした。女性の体は皆こうなのかと思った。いや、違う。きっと彼女だけだろう。じゅるじゅると啜りながら彼女の中から蜜を掻き出すように指を動かした。その度に理玖さんは私の名前を呼んだ。それが堪らなく嬉しい。
「あっ、ン…、」
「理玖さん、」
「建人君、好き、」
「私も好きです、」
理玖さんが私に手を伸ばした。顔を寄せて引き寄せられるがままキスをした。さっきから私の体はおかしくなったのかと思うほど、体が理玖さんを求めている。はぁ、と離れた唇を伝う唾液の糸。糸はすぐに切れた。もう一度彼女の蜜を啜る。甘い蜜を垂らす小さな蕾を見つけて吸い付けば、彼女は今度は切なげな声を上げた。舌先で舐め上げれば色のある吐息が漏れる。幸い私の部屋は角部屋で、隣は去年卒業した生徒が使っていたため現在空き部屋だ。恐らく壁の薄い隣の部屋に気を遣って声を押さえているのだ。そう思えばまた愛おしさが込み上げると共に、もっと自分の手で乱れるこの人を見たいと思ってしまう。はぁはぁと息を乱して私を見上げる瞳は飢えた獣のようにギラついて見えた。
「ねぇ、もう、我慢できない…っ、」
「っ、」
私の腰に絡められた彼女の両脚。グッと引き寄せられて理玖さんは私のそれを掴んで宛がった。
「ま、」
「ぁあっ!はっ、建人君、ココもおっきくなったね…、」
スキンも付けていない私のモノを彼女は躊躇なく受け入れた。途端に包まれた温かく纏わり着くような彼女の肉壁に、私は、
「ぁっ、」
「いいよ、好きに動いて。」
「…理玖さん、」
「んっ、ぁっ、建人君、好きっ、あぁっ、」
彼女の両脚を引き寄せて本能のままに腰を振った。私のベッドに広がる彼女の長い髪は、私が彼女の体を揺さぶる度に小さく波を立てた。初めての淫らなはずの行為は、思っていたより艶めかしかった。先程までギラついていたように見えた瞳は、今はうっとりと私を見上げている。飢えた獣は私の方だった。気が付けば一心不乱に腰を振っていた。私の下で乱れる理玖さんは変わらず美しく、私はそれを見てさらに昂った。吐精感に小さく息を乱し彼女から出ようとすれば、それをさせまいと理玖さんは私の腰に強く足を絡めた。逃げる事ができずに彼女の中に吐き出してしまった。不思議と焦りではなく幸福感に包まれた。愛しい人に自分の欲を吐き出したんだ。気持ちがよくて堪らなかった。荒い息のまま彼女を見れば目が合って、互いに引き寄せられるように口付けを交わす。理玖さんを満足させられたかは分からない。
「いっぱい出たね、」
「…また、煽るような言い方を、」
「まだヤりたりない?」
「すみません、満足させられませんでしたか。」
「全然?初めてにしては素晴らしくえっちでした。」
くすくすと笑われてつい眉間に皴が寄ってしまった。やはり満足はしていないらしい。男としてのプライドが少しだけ傷付いた気がする。今度は絶対に満足させてやる、そう意気込んで再び彼女の中で元気を取り戻した自身を、彼女の奥に押し付けた。小さく声を上げて色っぽく笑った理玖さんに、私はまた緩く腰を振る。引き締まったくびれを掴んで体を起こすと、その身体を抱き寄せた。柔らかい双丘が私の体に押し付けられて潰れている。下から突き上げる度に先端が擦れていた。
「ぁっ、んッ、あっ、奥、気持ちいっ、」
「私も気持ちいです、理玖さん、」
「ゃ、ダメ、イク、あっ、あんっ、建人君、イクっ、んあぁっ!」
「ぅぁ、」
私を締め付けてビクビクと震える中。初めての感触につられそうになるのをぐっと堪えて、震えるそこに無理矢理律動を再開すれば、理玖さんはまた甲高い声で啼いた。
「ぁ、待って、ああっ、イッてるからぁっ、あぁっ!」
「すごく、締まってますね、キツいです、」
「んんっ、あぅ、んぁっ、」
腰を打ちつけて奥までぐりぐりと押し付けると、再び果てたらしい。くたりと私の体に凭れて肩で息をした理玖さんに、私は嬉しくなった。赤くなった顔で私を見つめる理玖さんに、再びキスをしながら突き上げ続けた。私のモノが抜けないように理玖さんが体勢を変える。突き出された臀部と、そこから綺麗な曲線を描くくびれを掴んで後ろから責めたてれば、理玖さんはシーツを掴んで盛りのついた猫のように声を上げた。すぐに果てて引くつくそこは私を離すまいときつく締め付けて、私は彼女に覆いかぶさるように腰を振って果てた。バクバクと心臓が煩く鳴っている。理玖さんを押し潰さないように腕をついて、へたりこんだ彼女の背中にキスをした。私を見上げて目を細めた理玖さんの頬にも、唇にもキスをした。
「はぁ…気持ち、良かった…、」
「私もです、…フー…、」
「またしようね、建人君、」
「…付き合ってはくれないんですか。」
「ん?」
「…恋人というわけではないんでしょう。」
そう言うと、理玖さんは少し悲しそうに笑う。違う、そういう顔をさせたかったんじゃない。
「ごめんね、私の術式ちょっと特殊だから、今は恋人とか作れないの。」
「…そうですか。」
きゅっと胸が締め付けられる。彼女は誰にも縛られないということだ。いや、縛ることができないの間違いか。彼女の術式について詳しく聞いたことはない。どういう術式なのか、少し興味が出た。その後私たちは一緒にシャワーを浴び直した。中に出してしまった事を思い出し、彼女の中から自分の吐きだした欲を掻き出した。小さく反応した彼女に再び反応した自身に、理玖さんはおかしそうに笑った。浴室を出て着てきた衣服を身に纏い私の部屋を出ようとした理玖さんを抱き寄せて、触れるだけのキスをする。いつかあなたの特別になれたらいい、そう願って落とした口付け。私に手を振って部屋を出て行った彼女の残り香を大きく吸い込んで、深く吐きだした。
「理玖…さん、」
先程まで私と彼女がまぐわっていたベッドは汗と体液で湿っていた。シーツを剥がして洗濯機に入れると、洗剤を入れてボタンを押した。ベッドに腰かけて、部屋に帰った彼女の温もりを探そうとマットを撫でる。当たり前だが温もりが残っているわけがない。ひんやりと湿ったマットに寝そべるべきか迷った私は、暫く考えた後迷う程の事でもないと思い出して体を横たえた。
「またしよう、か…。」
五条さんや夏油さんとも同じことをやっているんだろうな。そう考えるとチクリと胸が痛んだ気がした。明日は朝から任務だ。そろそろ寝なくては、そう思いながらも頭は理玖さんの事でいっぱいだった。女性ならではの柔らかさと温もり、表情、声、ひとつひとつを思い出しながら、私はその日初めて眠れない夜を過ごした。