私は朝からばぶパンの部屋に来ていた。目の前にはおしめにおしゃぶり姿のばぶパンが…。こ、これはもうお喋りできるのでは!?
「パンダ君こんにちは!」
「…こんにちは。」
「うわああああ喋ったあああああ!!可愛いいいいいい!!」
「…くるしいです。」
「何で敬語なのぉ!?」
ばぶパンをむぎゅうっと抱きしめる。ああ…おひさまの匂いだぁ…。
「ねぇねぇ、私廻神理玖って言うの。何度か会いに来てるんだけど、分かるかな?」
「…わかる。まさみちのせいとだろ。」
「認知されてたああ!!最高!!もう大好き!!」
これはもうカルパス1年分献上するしかねぇな…!よし、早速カルパス買いに行くか。
「パンダ君、好きな食べ物とかある?」
「…カルパス。」
「やっぱりぃ!?んもうっ、好きなだけ買ってあげる!!待っててね、すぐ買ってくるから!」
「…いいのか?」
「いいよぉ!全然いいよ!その代わり会う度モフモフさせてください…!」
「…まあ、そのくらいなら。」
私はすぐに高専を飛び出した。近所のスーパー、コンビニを何件もはしごして、ありったけのカルパスを買い占めて高専に帰る。両手いっぱいの袋に入ったカルパスを持ってパンダ部屋に戻ると、パンダがキラキラした目で私を見上げた。
「ホントにかってきたのか…?」
「買ってきたよ!お待たせ!好きなだけ食べて!!」
カルパスの入った袋をどさりとおろすと、ばぶパンがはいはいして袋を漁り始めた。あーなんだこのパンダ、クソ可愛いな?ていうかなにパンダ?くそかわパンダ?はぇ〜…飼いてぇ〜…。ひたすら写真を撮りまくる私と、夢中でカルパスを食べるパンダ。いやなにこの構図、ヤバいな?パンダが笹じゃなくてカルパス食ってんだもん、笹食ってる場合じゃねぇもん。
「なんでこんなにカルパスかってくれるんだ?」
「ん?なんでってそりゃ、パンダが好きだから。」
「…オマエ、いいやつだな。」
ピコンと音がして、パンダの好感度が100%になった。よぅし、これで好感度イベントはだいぶクリアしたのでは?その後、パンダ部屋を出て学校から帰って来るミミナナと、ちゃんメグ、つみっきーにクッキーを焼いてあげた。実を言えば今日は久し振りのオフである。悟と傑はそれぞれ任務、硝子は医師免許取得のための勉強中で、今日は私1人だ。お子ちゃまズの学校生活について話を聞いてみるか。
「皆おかえりー、クッキー焼いたから宿題持って私の部屋に集合!」
「「理玖様!!」」
「理玖ちゃんただいま!」
「理玖姉ちゃん、ただいま。」
「おかえり〜。ほら、早くクッキー食べよ!沢山焼いたから!」
ちゃんメグとつみっきーが部屋にランドセルを置きに行く間に、私はミミナナと一緒に部屋に入った。ミミナナは私にぎゅうぎゅう抱き着いてくるので私も2人をぎゅうっと抱きしめ返す。
「ごめんね、最近は任務続きであんまりゆっくりお話しできなくて。寂しい思いさせちゃったね。」
「理玖様いないとあんまり眠れない。」
「眠れない…。」
「ごめんねぇ〜…今日は一日お休みだから、いっぱいお話して、一緒に寝よう!」
「「うん!」」
「じゃあ荷物置いて、手洗いうがいしよっか!」
「「はーい!」」
テーブルの上にクッキーを置いて、人数分のグラスとジュースを用意した。ちゃんメグとつみっきーも私の部屋に来て手洗いうがいをして、皆でクッキーののったテーブルを囲む。
「皆学校はどう?好きな人できた?」
「学校の男子ゲロウザい!」
「うん…。」
「津美紀が昨日告られてた。」
「…はい?」
ちゃんメグの言葉に私はニッコリ笑顔のままぴしりと固まる。
「きゅん、今なんて?」
「津美紀が昨日告られてた。」
「…津美紀ちゃん、本当?」
「え…あ、うん。同じクラスの男子に…。」
「どんな子?意地悪してきたりする?あと顔はイケメン?性格に難あり?」
「えぇ…?」
「理玖様、私も見たよ。」
「帰り際に呼び出されてたから、こっそり見た。」
「えぇ!?美々子ちゃん菜々子ちゃん!?詳しく聞かせてくれるぅ!?」
どうやらクラスで人気の男の子に、つみっきーが告白されたらしい。顔もその年にしてはなかなか整った方らしく、足も速くて優しくて、活発な子らしい。私はゲンドウポーズで頭を悩ませる。私の大事なお子ちゃまズに余計な虫がつくのは避けたい。けどつみっきーにもミミナナにも幸せになって欲しい。うぅむ…これは困った…。
「それで津美紀ちゃんは、お返事したの?」
「まだだよ。だって、私は転校してきたばかりだし、あんまりその人の事を知らないから。」
「なるほどねぇ。」
クッキーをもぐもぐしながら、私は考える。これは…お子ちゃまズの保護者(?)として重大な任務を遂行しないといけないらしい。
「近々学校行事はある?授業参観とか、発表会とか。」
「あ、忘れてた!」
「プリント、ある。」
「お、見せてくれる?」
ミミナナがランドセルからプリントを取り出した。それを受け取って目を通す。…丁度いいな、授業参観か。
「3人は同じクラスだったよね?授業参観見に行くね!」
「マジ!?」
「いいの?」
「任務があるんじゃ?」
「休みもぎ取るに決まってるでしょ!きゅんは、授業参観あるの?」
「…ある。」
「じゃあきゅんのクラスにも行かないと!甚爾様にもプリント見せた?」
「…まだ…。だって父ちゃん、ずっとパチンコとか競馬とかであんまり部屋にいないし。」
「甚爾様なにやってんだ…。分かった、私から伝えておくね!絶対休み取るから!」
ちゃんメグの頭をよしよしすると、ちゃんメグは嬉し恥ずかしそうに小さく頷いた。んもう…可愛い!!!尻尾が見える!!!
「おやつ食べたら皆で宿題しようね。」
クッキーを食べ終えてそれぞれが宿題のプリントやらドリルを取り出した。黙々と宿題をするお子ちゃまズが微笑ましくて写真を撮る。ピロリン、と鳴った写真の音に4人は私を見た。もう一枚写真を撮る。今度は4人ともにっこり笑っていた。はぁ…お子ちゃまズ可愛すぎる…。クッキーのお皿やグラスを片付けていると、宿題を終えたお子ちゃまズが私の元へやってきた。いやもう可愛すぎるだろなにこの子たち…。今日はもう存分に遊んでやる!!4人を連れてグラウンドで鬼ごっこをした。ちゃんメグは運動神経が良くてこの頃から足も速い。ぐふふ、成長が楽しみですなぁ!
「「理玖ー!」」
「あ、悟ー傑ー、お帰りー!」
「何やってんの?」
「鬼ごっこ!2人もやるー?」
「いいね、先に報告書を提出してくるよ。」
「おっけー、待ってるね!」
暫くして悟と傑も合流した。今度は普通の鬼ごっこではなく影踏み鬼ごっこをした。ちゃんメグはもう術式が発現してるだろうし、少しずつ鍛えていかないとね。
「悟、傑、私は走るのなしね!影を踏まれたら鬼交代!おっけー?」
「最初は理玖鬼ね。」
「え、じゃんけんじゃないの?」
「ま、いいよ。じゃあ10秒数えるから!皆グラウンドの中だけだよー!いーち、にー、」
10秒数えて私は歩き出す。キャッキャッとはしゃいで逃げるお子ちゃまズを追いかけながら、幸せな時間を噛み締めた。皆が幸せそうで本当に良かった。頑張ったかいがあった。
「菜々子ちゃん、影踏んだ!」
「あー!」
「逃げるよ美々子ちゃん!」
「いーち、にー、」
「恵影踏んだ!」
「くそっ、」
「悔しかったらここまで来いよ。」
「悟大人げないよ。」
「傑お兄ちゃん影踏んだ!」
「ははは、踏まれてしまったね。それじゃあ数えるよ。」
「津美紀ちゃん逃げてー!」
「いーち、にー、」
「理玖様影踏んだ!」
「あー、踏まれちゃった!皆逃げて!数えるよー?」
「理玖、全力でやろうぜ。」
「悟、私と勝負する気?」
「うん。」
「面白そうだね、私も混ぜてくれるかい?」
「子供たちが置いてけぼりになるからダメ!いーち、にー、」
「はぁ〜、疲れたー!」
「めっちゃ走ったんですけどー。」
「足、疲れた…。」
「楽しかったね!」
「…理玖姉ちゃん、また遊んで。」
「うん、勿論!」
「理玖はいいお母さんになりそうだね。」
「ふふ、そうでしょうそうでしょう!皆可愛い私の娘息子よ!」
「じゃあ俺の子が増えても問題ねぇな。」
「おいこら、なんでそうなるの。…さて、そろそろ夜ご飯作らないとね。お腹空いた人ー?」
「「「「「「はーい!」」」」」」
「でっかい子供が2人混ざってる。」
「理玖お母さーん!」
「私達にもご飯作ってー。」
「はいはい、分かったから離れなさい!よし、買い物に行かなきゃね。悟と傑は荷物持ち手伝ってくれる?」
「もち。」
「今日の夕飯は何かな?」
「皆何食べたい?お肉?お魚?」