ついにその日がやって来た。
「保護者の皆様、どうぞ教室の横、後ろ、お子様の見やすい位置へどうぞ。」
最初はミミナナ、つみっきーのクラスに来た。お子ちゃまズには事前に、授業の半分ずつ見に行くよ、と伝えてある。私、パパ黒、悟、傑、硝子の5人でわらわらと教室の後方に立った。流石に5人で来たことと、顔面偏差値の高さに皆私達に注目している。
「「理玖様!!」」
「しーっ!2人とも前向いて…!」
ミミナナが私を様呼びするのでクラス中の視線が私に集まった。いや、私が呼べって言ったわけじゃないんですぅ!むしろやめてって言っても呼ぶんですぅ!!授業が始まって、ミミナナもつみっきーも真面目に授業を受けていた。
「ではこの問題、分かる人?」
「はーい!」
「はい!」
「…はい、」
「3人とも優秀じゃん。」
「授業は真面目に受けてるみたいだね。」
「そうだ、そういえばこの中に、私の津美紀ちゃんに告った男がいるらしいの。」
「小学生のくせしてマセてんな?」
「悟は人のこと言えないからね?」
「どのガキだ。」
「クラスの人気者らしいです。」
授業を見つつ、つみっきーに告ったという男子を探す。担任が1人の男子を指名した。その男子は黒板にチョークで答案を書いて、正解し、拍手をされていた。…もしや、アイツか?!
「…あの子ですかね。」
「ふーん、まあ、顔は悪くねぇな。」
「頭もいいのかな。」
「足も速くて頭もいいって聞いたよ。」
「典型的なモテ男タイプじゃん。」
「…私は認めない。」
「理玖…、」
硝子があきれたように溜め息を吐いた。授業時間が半分過ぎたころ、私達はぞろぞろと教室を出る。私達が移動するのに気付いた3人がこちらを振り返ったので、手を振った。3人とも振り返してきたので、そのままちゃんメグのいる1年生の教室に向かう。教室に入ると、ちゃんメグはすぐに気付いたらしい。私達に振り返って一瞬嬉しそうに笑った。けどすぐにいつものポーカーフェイスに戻って前を向いた。きゃわいい。
「照れてる…きゅん可愛い…。やっぱり天使だった…大天使メグエルだった。」
「何言ってんだ。」
「甚爾様、自分の子供が可愛いと思った事あるんですか?」
「あーあるある。」
「適当な…。」
「恵ーがんばー。」
「悟、静かに。」
「伏黒めっちゃそわそわじゃん。」
「はぁ…恵きゅん可愛い…好き…。マジ天使…。」
ちゃんメグは出席番号で当てられていた。黒板に答案を書いて正解したちゃんメグに、私は笑顔で拍手をした。恥ずかしそうに目線を逸らしたちゃんメグ。でもその口元は嬉しそうに小さく吊り上がっていた。はぁあかわよ…。無事に授業参観が終わって、4人が教室から出てくるのを靴箱で待った。走って来たミミナナにタックルされた私。
「ゔっ、」
「理玖様!来てくれた!」
「理玖様、ありがとう。」
「どういたしまして!2人とも授業真面目に受けてて偉いね!」
「理玖ちゃん!」
「津美紀ちゃんも、授業お疲れ様!ちゃんと手上げてたの見てたよ!」
「えへへ、」
「理玖姉ちゃん、」
「恵きゅん!正解したね!凄い!」
「…うん、来てくれてありがとう。」
「どういたしまして!じゃ、今日は皆頑張ったご褒美にご飯食べに行こう!何食べたい?」
「肉。」
「甚爾様には聞いてませんよー?」
「俺も肉食いてぇ。」
「いいね、焼き肉とか。」
「でっかいお子ちゃまは黙ってなさい。今日頑張った子供たちに聞いてるの!」
「理玖ってホント保護者だねー。何人子供いんの?」
「硝子ちゃん?私まだ結婚すらしてないよ?」
そんなこんなでお子ちゃまズもお肉をご所望だったので、悟の行きつけの高級焼き肉店に向かうことに。9人という大所帯で、悟が呼んだリムジンでお店に向かった。いや、リムジンて、リムジンて!!
「五条の坊が奢ってくれるらしいぜ、死ぬほど食えよ。」
「はぁ?オマエには奢らねぇよ。」
「子供達にはお姉ちゃんが焼いてあげるから、いっぱい食べてね!」
「酒飲んじゃダメ?」
「硝子、私達は制服だから流石に無理だよ。」
「ちぇー。」
「とりあえず特上全部持って来い。」
「だからオマエには奢らねぇっての!」
「はいはい喧嘩しないの!ちゃんとお野菜も頼んでね?ご飯食べる人?」
そうして皆でわいわい焼き肉を食べて、またリムジンに乗って高専に戻った。お子ちゃまズは初めてのリムジンでテンションが上がり、焼き肉でテンションが上がり、授業参観の緊張もあってか、帰りは眠ってしまったらしい。私の膝枕で眠るちゃんメグの頭を優しく撫でながら、こっそり写真を撮った。きゃわいい…。
「ヤバい、天使しかいない…。」
「理玖ってロリショタコン?」
「は?違うけど?ロリ?ショタ?ちょっと何言ってるかわかんない。ただの天使でしょ?」
「うわあ…、」
「硝子ちゃん引かないで。」
「理玖がいてくれてよかった。」
「甚爾様?」
「…母親がいねぇと、困ること多いだろ。」
「…そうですね。でも、お父さんもお母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも、いた方がいいんじゃないですか?だから子供たちは高専に連れて来た方がいいかなって思ってたんです。ここにはたくさんお兄ちゃんもお姉ちゃんもお父さんもお母さんもいますから。」
「…そうだな。」
「…俺お兄ちゃんなの?」
「私達がこの子たちのお手本になるんだから、悟はもっと優しくなりなよ。」
「流石傑、分かってる。硝子も子供たちの前ではタバコ吸わないから、いいお姉ちゃんだね。」
「別にー、吸わない人に煙吸わせることないでしょ。」
「またまた〜、そんなやさしい硝子ちゃんが大好きよ。」
高専に着くと、お子ちゃまズを起こして皆でお風呂に向かった。女子と男子に分かれてだ。くそぅ、ちゃんメグとお風呂に入りたい…。お風呂から上がって寝支度をして、ミミナナと一緒に布団に入った。すぐにぐっすり眠り始めたミミナナ。私の携帯がマナーモードでブンブン音を立てた。慌てて掴んで開くと、パパ黒からの電話だ。なんだろう。2人を起こさないように布団から出て、部屋の外で通話ボタンを押した。
「甚爾様?どうしたんですか?」
『…ちょっと来い。』
「今からですか?…いいですけど、」
それだけ言うと電話は切れた。パパ黒の部屋に向かってドアをノックする。
「甚爾様?」
「入れよ。」
「あ、はい。…あ、ちゃんと片付けてますね!偉い偉い!」
「フン、」
パパ黒がベッドに座ったので、私も隣に座る。
「恵きゅんたちはもう寝たんですか?」
「ああ。」
「それで、何かお話でも?」
「…今日はありがとな。」
「…え、甚爾様がお礼を言うなんて、明日は槍でも…、」
「降らねぇよ。」
「急にどうしたんですか?」
「…アイツらに…俺が親らしいこと何もしてやれてねぇからな。」
「…気にしてたんですか?」
「…いや、別に。」
「素直じゃないなぁ。…でも、今からでもしてあげれること沢山あると思いますよ?恵きゅんなんて特に、術式発現してるの気付いてますよね?」
「…ああ。禪院家相伝のな。」
「十種影法術でしたっけ。式神の使い方は別として、戦闘術くらい教えられますよね?呪具の使い方だって、私に教えてくれたみたいに恵きゅんにも教えてあげてください。恵きゅんは優秀な呪術師になれますから。それに、恵きゅんもお父さんともっと一緒にいたいって思ってますよ?恥ずかしくて言わないだけで。」
「…そうだな。」
「あ、禪院家のことが心配だったら、私も一緒に話付けますから大丈夫ですよ?」
「いや、あのゴミ溜めには近付きたくねぇ。」
「正直言うと私もです。忘れもしない、あの歓迎…。」
「ハッ、」
パパ黒はそれなりに親としての自覚があるらしい。ちゃんメグとつみっきーの事を心配してるみたいだ。つみっきーは非術師だからなぁ…。羂索の呪いで寝たきりになったり、マーキングで術式が発動したり、なんて事はもう起こり得ないから、好きなことをして幸せな人生を歩んでほしい。
「とにかく、理玖がいてくれてよかったと思ってる。ありがとな。」
「ふふ、どういたしまして。」
「礼と言ってはなんだがたっぷり可愛がってやる。」
「え!?ちょ、わっ!」