黒く黒く


「それより、廻神、五条、学長がカンカンだぞ。オマエ等なにしたんだ。」
「え?なにしたっけ?悟、私なにかした?」
「さぁ?僕とセックスしたくらいじゃない?」
「そういうことすぐ言うのやめて!?」
「はぁ…。」
「とりあえず夜蛾学長の所に行ってきます。ありがとうございます、日下部先生。」

教員室を出て悟と一緒に学長室に向かった。その道中で私は思い出した。里香ちゃんの完全顕現、これだ!やっべぇ、すっかり忘れてた。ていうかもう上に話しいってんの?おっこちゅが来て3ヶ月くらい経った頃じゃなかったっけ?ま、いっか。

「ノックしてもしもーし。失礼しまーす。」
「来たか。」
「なんのお呼び出しですか?」
「…乙骨憂太の件で、上層部が説明しろと騒いでいる。すぐに謁見の間に行って来い。」
「あ、やっぱりその件でしたか。了解です。」
「僕も行った方がいいよね?」
「一人でも平気だけど、悟に任せるよ。」
「僕も一緒に行くよ。」
「それじゃあちょっくら行ってきまーす。」

悟と一緒に学長室を出て、上層部との謁見の間…つまりあれだ、ゼ〇レのあれみたいなところに向かった。

「廻神理玖特級術師です。」
「五条悟特級術師。」
「入れ。」
「今回呼び出したのは他でもない。特級過呪怨霊祈本里香、422秒の完全顕現。このような事態を防ぐために、乙骨を君に預けたのだ。申し開きの余地はないぞ、廻神理玖。」
「まぁ元々言い訳なんてするつもりないですよ。」
「何をふざけている!!祈本里香があのまま暴走していれば、町1つ消えていたかもしれんのだぞ!!」
「そうならないと分かっていたから、彼の可能性を信じたまでです。それに、そうなっていたとして、私が命懸けで止めました。」
「貴様は乙骨の引率すらしておらんかったであろう!どうやって止めるというのだ!」
「お忘れですか?私が誰なのか、」
「ぐ…っ、」
「私達があの呪い…いえ、祈本里香について言えることは1つです。『出自不明(わからない)』。ですが、皆さんと違って私にはそれを知る術がある。だから彼の件は私に一任しろといったはずですが?」
「……乙骨の秘匿死刑は保留(・・)だという事を忘れるな。」
「死にたがり程無駄口を叩くと言いますけど、どうやら本当のようですね。私の友人に手を出せばどうなるか、分からないほど馬鹿ではないでしょう。話はこれくらいで?この後もやる事が山済みなんですよ。こんな所でお茶啜ってないで、もっと呪術師として働いたらどうですか?上が働かないで下ばっかり働かせて、無能な年寄りが生き延びて優秀な若者たちが早死にするなんて、ホントに腐ってますね。」
「我らを愚弄するか!小娘が!」
「これだから頭の固い年寄りは嫌ーい。私を敵に回したら、どうなっても知りませんから。悟、行こうか。」
「理玖カッコいい〜!ますます惚れちゃったね!」
「はいはい、ありがと。」

はぁ…今日も腐ったミカンのバーゲンセールでした。悟と謁見の間を後にする。あー…この後どうなるかは予想がつかないから、今後は私がおっこちゅの引率をするしかないな。

「ったく、野暮な年寄り共め。僕の理玖に何?あの態度!」
「ああはなりたくないね。気をつけよ。」
「ホントホント。若人から青春を取り上げるなんて許されていないんだよ、何人たりともね。それより理玖、憂太の呪いについてホントは全部知ってるの?」
「んー?内緒♡」
「かんわいいっ♡」




――――――


「やはり始末するしかあるまい。」
「だが、あの女は危険だ。聞けば、あの御三家も丸め込んだと…、」
「あの女を囲む術師は大勢いる。やはり内々に始末した方がいいだろう。」
「しかし、奴の術式はいまだ謎だ。我らの計画がバレれば、当たり前だが命はないだろう。」
「…すべては事故だ。」
「…そうだな、事故だ。」
「…廻神理玖は事故死する。」


――――――



それから3ヶ月が経った。おっこちゅは原作通りに刀に呪いをこめつつ、真希とパパ黒に徹底的に扱いてもらった。パパ黒は終始めんどくさそうだったけど、お願いという名の貢ぎ物(私)を捧げたらすんなり頼みを聞いてくれた。今おっこちゅは真希と打ち合いをしている。

「憂太が高専に来て3か月か。かなり動けるようになったな。」
「しゃけ。」
「性格も前向きになったよねぇ。」
「好きな子でもできたのかなぁ?」
「すじこ。」
「確かに真希も楽しそうだ。今まで呪具同士の立ち合いって…え?好きな子…?」
「そ、好きな子。」
「(天啓)」

私はグッとその場で背伸びをする。さて今から、例の商店街に行くわけだけど…。

「憂太ァ!!ちょっと来い!!カマン!!」
「どうしたのパンダ君、」
「超大事な話だ!心して聞け!!オマエ巨乳派?微乳派?」
「あんまり気にしたことなんだけど…、」
「ふんふん、」

そう言っておっこちゅはちらりと私を見た。こ、これは…天啓…!

「人並みに大きいのは好きかと…、」
「ほっほーう、理玖か。」
「えぇっ!?」
「ん?私がどうしたの?」
「理玖は競争率たけぇぞ?」
「憂太、理玖は僕のだからね!!」
「おかか!!ツナマヨ!」
「理玖様は私達のだし!」
「理玖様は渡さない…!」
「んもう、皆まとめてぎゅーしてあげる!!」
「理玖!!」
「ちょっ、悟、無限禁止!」
「な?理玖は競争率高いだろ?」
「はは、」
「…こんぶ、」

私にぎゅうぎゅう抱き着く悟をなだめて、結局皆を抱き締めた。

「あ、いたいた。」
「傑、お疲れー。」
「お疲れ。狗巻君、君に任務のご指名だよ。今から行けるかな?」
「しゃけ。」
「ご指名…、」
「棘は一年で唯一の二級術師。単独での活動も許されてんの。」
「へぇ〜、凄いなぁ。」
「憂太くんも一緒に行こうか。棘くんのサポートとして。」
「サポート…、」
「ってよりかは見学?」
「いいと思うよ。呪術は多種多様。術師の数だけ祓い方があると思ってくれていい。」
「狗巻君の“呪言”はそのいい例だね。しっかり勉強しておいで。」
「呪いを解くならまずは呪いを知りましょう!ってなわけで、棘くんと憂太くんは準備してー!」
「しゃけ!」
「は、はい!」

大天使トゲエルとおっこちゅは着替えに戻った。さて、ここからが肝心だ。傑がこれから向かう任務地点に呪霊を放っている筈はないし、帳が二重に降ろされるなんてことはあり得ないんだけど…、

「なーんか嫌な予感。」
「理玖?どうかしたかい?」
「ん?何でもないよ。それよりわざわざ探しに来てくれてありがとうね!」
「私が理玖に会いたかったからね。」
「んふふ、私も傑に会いたかったよ。」
「理玖…、」
「ちょっとちょっと、僕の前で僕の理玖に何やってんのさ!」
「私の理玖に私が何をしようと勝手だろう?」
「はいはい、私はそろそろ行きますねー。」
「「理玖様、行ってらっしゃい!」」
「ありがとう、美々子ちゃん、菜々子ちゃん。皆、行ってきまーす!」

皆と別れて車に向かう。おっこちゅが緊張した面持ちで立っているのを見つけ、私は大天使トゲエルと一緒にこっそりおっこちゅの背後に回る。

「しゃけ、」
「!!」
「プッ…!憂太君面白い顔!」
「えっ…あっ、ごめんなさい…??」
「棘くんは憂太くんの緊張を解したかったみたいだよ?」
「あ…そ、そうなの?ごめん、狗巻君。」
「こんぶ。」
「大丈夫、だって。さて、とりあえず車に乗ろうか!」

伊地知の運転で現場に向かう車内で、私はおっこちゅに里香ちゃんを出さないように伝えた。

「もしまた全部出しちゃったら、私が里香ちゃんを無理矢理祓う形になるかも。」
「え…、」
「そうすると、憂太君も私もどうなるか分からないから。最悪どっちも死んじゃうかも。」
「なっ、」

ま、嘘だけど。このくらい大げさに言っておけば、おっこちゅも里香ちゃんを出すことはないはず。任務地の商店街に着くと、伊地知が早速任務概要を確認してくれた。私は忽然と姿を消した大天使トゲエルを追ってマツモトヒトシへ向かう。

「棘くん、憂太君とどう?仲良くなれた?」
「…ツナマヨ。」
「そっかぁ、まだまだかぁ。でも、憂太君もきっと皆と仲良くなりたがってると思うから、これからもよろしくね?」
「しゃけ。…高菜?」
「あぁん可愛いっ!」
「明太子♡」

大天使トゲエルはいくつになっても大天使トゲエルだった。私は大天使トゲエルをぎゅうっと抱き締める。

「…すじこ?」
「棘くんが可愛すぎて心臓が破裂しそう…。」
「おかか!!こんぶ、いくら!!」



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