眠り姫


さて、原作開始まで残り半年。私は今頭を抱えている。おっこちゅと里香ちゃんの件で神仏関係の任務をサボりまくった結果、全国を飛び回ることになったからだ。困った。いやもういちいち行かないでもよくない?ダメ?私は天使たちとうふふあははしたいのよ?!どうにかならない!?やってみるか!?やってみよ!!セレクト。

【神仏関係の任務が溜まっています。選択してください。選択すると呪力を270消費します。(残り呪力:270)】
【1.すべて完了する 2.なにもしない】

出来るじゃん…!!ありがたい!!呪力0になるのは仕方ない、皆との時間が全部任務で潰れるくらいなら私は強制イベントを望む!!そうと決まれば私の身の安全を守れるところでセレクトするしかないな。…どこだろう。

「理玖見っけ、」
「…あ、」
「ん?」
「悟、私今から呪力使い切る予定だから、悟のマンションの部屋に適当に転がしといてくれない?」
「え、」
「流石に自分の部屋でぶっ倒れるのは皆に心配かけちゃうし、私は出張で飛び回ってるってことにして誰にも邪魔されないところでぶっ倒れたいんだよね。」
「どういう事?何するつもり?」
「溜まった神仏関係の任務全部終わらせる。」
「…マジ?」
「マジ。あ、でも流石に1週間近くぶっ倒れるから硝子にだけ私の居場所を教えておいてくれる?流石に寝たまま死んじゃうなんて事はないだろうけど、何かあったら怖いし。」
「…大丈夫なの?」
「あ、うん大丈夫。じゃ、始めるからよろしく。1番。」
「ちょ、いきなり、」

【1.すべて完了する を選択しました。呪力を270消費しました。(残り呪力:0)】
【あなたの残り呪力は0です。呪力が回復するまでセレクトできません。これより呪力回復イベントに入ります。呪力が回復するまでイベントが続きます。】

私はその場に倒れた。悟が私を抱き留めて名前を呼んでいる声を聞きながら、意識が遠のいていく。目が覚めたら真っ先に天使たちを甘やかすと心に決めて私は意識を失った。



...



理玖の体を抱えて、言われた通りに僕と理玖の愛の巣へ飛んだ。硝子にはLIMEで位置情報を送って、すぐに来るようにと伝えた。理玖は何でいきなりこんなことをしたんだろう。

「早く起きてね、僕の理玖。」

布団をかぶせてその唇にキスを落とす。硝子から返事が来た。

『なに?』
『理玖が呪力切れ。どのくらい眠るか分からないから世話して欲しいって。』
『医務室にいてくれた方が世話しやすいんだがな。』
『僕もそう思ったんだけど、皆に心配かけたくないってさ。』
『かまわん、連れて来い。私は高専を離れられない。』
『分かった。』

「残念。僕だけの眠り姫にできると思ったのに…。」

理玖の体を抱え直して、僕は硝子の元に飛んだ。医務室には硝子と恵がいた。

「あれ、恵どうしたの?」
「伏黒父と稽古で怪我したんだと。」
「稽古つけてくれるなんて珍しいね?」
「俺の事はどうでもいいでしょう。それより理玖さんどうしたんですか。」
「理玖は呪力切れ。神仏関係の任務に行きたくないから術式使って一気に任務消化したらしいよ。」
「なんすかそれ…。相変わらずのトンデモ術式ですね。」
「だよねぇ。」
「五条、理玖を寝かせろ。」

硝子に言われた通り理玖をベッドに寝かせる。硝子が理玖の脈を測って、手の甲に点滴を刺した。

「ひとまず栄養剤の点滴だ。寝てる理玖に触るなよ。」
「流石にこの状態の理玖に手は出さないよ。僕より恵のパパに言ってくれる?」
「俺の親父には何言っても無駄です。」
「恵も言うようになったねぇ。なに、反抗期?」
「別に。理玖さんがここにいること、言わない方がいいっスよね。」
「そうだね。皆に心配かけたく無いって言ってたよ。」
「…そうっスか。」
「理玖は長期の出張任務に行ってるって事で話し通しといてくれる?」
「はい。」
「硝子もよろしく。」
「ああ。オマエ達が医務室に長居するとバレるぞ。さっさと戻れ。」
「残念。理玖の寝顔写メっちゃお。あはは、恵にも送ってあげるー。僕ってばやっさしい!」
「五条先生、グループに誤送しないでくださいね。」
「…あ、」
「「は?」」

おかしいな、恵に送ったつもりだったのに…、トーク画面の一番上には『理玖ちゃん愛してるの会』って書かれてる。うん、やっばぁい。

「アンタまさか…、」
「やっちった☆」
「…はぁ…、何の為に理玖さんが配慮したと、」
「恵は誰が一番に来ると思う?」
「はぁ?………親父?」
「僕はねぇ…うーん、」

そう言いながら考えを巡らせていると、がらりと保健室のドアが開いた。そしてそこにいたのは恵のパパ…ではなく、

「珍しいじゃん、七海。」
「…理玖さんに何かあったんですか。」
「いや、ただの呪力切れだよ。」
「…そうですか。」
「なになにぃ?理玖が心配で駆け付けたの?」
「悪いですか。」
「べっつに〜。」
「七海さんお疲れ様です。」
「お疲れ様です伏黒くん。」
「じゃあ次は誰が来るか賭けよう。」
「まだやるんですか。」
「くだらない事はやめて働いて下さい。伊地知君が探してましたよ。」
「いいのいいの。ほい、恵、次は誰?」
「はぁ…、…真希さん。」
「いいねぇ。じゃあ僕は憂太かな。七海は?誰が来ると思う?」
「…フー…、狗巻くんですね。」
「硝子は?」
「私も参加するのか。」
「いいじゃんいいじゃん。で、誰?」
「…そうだな、夏油…は任務でいなかったな。伏黒父。」
「出そろったね。うーん、誰が来るだろう。」
「おい、」
「うわ、硝子当たり。」
「フン、五条酒奢れよ。」
「理玖はどうした。」
「呪力切れだそうですよ。それより、あなたも仕事してください。またパチンコですか。」
「今日はボートだ。」
「堂々と言うなよ。親父、理玖さんの為にも仕事しろよ。」
「あ?してんだろうが。」
「んじゃ、恵パパも参加ね。次は誰が来るでしょうか!はい、恵!」
「…パンダ先輩。」
「あー、俺もパンダだな。」
「七海は?」
「…伊地知君ですね。」
「硝子。」
「…美々子と菜々子。」
「僕は灰原かな。」

その後も僕たちは理玖を心配して医務室に来る人を当てるゲームをし続けた。結果的に皆集まったわけだけど。

「全く…眠り姫に王子様いすぎでしょ。」
「それだけ皆理玖が好きって事だろ。残念だったな五条、独り占めできなくて。」
「ホントだよ。」

皆理玖を愛してるんだよ。だから早く目を覚ましてね、理玖。

「はいはい皆、理玖囲んで写真撮るよー!」
「何考えてんだよバカ。」
「しゃけ!いくら!明太子!」
「理玖が目を覚ましたら、皆集まるほど理玖のこと大好きって教えてあげるの。理玖が喜ぶでしょ?ほら、僕が内カメで撮るから、皆理玖囲って!」

僕がスマホでカメラを起動すると、わらわらと皆で理玖を囲う。僕の理玖、だけど皆の理玖。近いようで遠い。でも僕はそんな理玖を愛してる。

「撮るよー、はい、チーズ!」




...




目が覚めると、見覚えのある天井が目に入った。え、医務室じゃん。なんで?

「お、起きたか。」
「硝子…、」
「悪いな、他の奴らに心配を掛けたくなかったみたいだが、ここで世話した方が手間がかからない。五条に頼んでここに運んでもらった。」
「なるほど…。どれくらい寝てた?」
「ざっと10日程。具合は?」
「どこも平気だよ。ごめんね硝子、ありがとう。」

硝子がベッドの淵に座った。大人になった硝子は色気ヤバいな…。可愛い。綺麗。美人。しゅき。

「相変わらずの人気者だな。」
「え?」
「グループトーク見てみろ。」

そう言われてスマホを探す。誰かが充電器に繋いでおいてくれたらしい。うわっ、通知数えっぐい!!999+って…、めったに見ないぞ。グループトークを開けば、悟が私の写真を送ったらしい。眠っている私の周りを皆が囲っている写真が目に入った。

「毎日誰かしらが来て騒がしかった。」
「ごめんね。お騒がせしました。」
「理玖、」

硝子が私の頬をそっと撫でた。あらやだ硝子ちゃん、そんな色っぽく見つめられたらトゥクンってしちゃうじゃん…!

「涎。」
「嘘でしょ!?」
「嘘。」
「硝子ちゃん!?」



← 133 →
back

top