真夜中は純潔


その日の夜、約束通り理玖さんが僕の部屋に来た。理玖さんは頻りに周りを気にしながら僕の部屋に入った。僕の部屋、隣は空き部屋だから特に大きい音を出しても問題はない。理玖さんを部屋に通して、僕はにっこりと笑う。

「来てくれてよかったです、理玖さん。」
「…う、うん、だって、ね、あの…ホントに皆には内緒にしてくれる…?」
「それは理玖さん次第ですよ。どうぞ、座ってください。何か飲みますか?」
「あ、じゃあ、いただきます。」

僕は理玖さんをベッドに座らせてキッチンへ。まずはリラックスしてもらおう。

「ココアでいいですか?」
「あ、うん、ありがとう。」

電子レンジでホットミルクを作って、ココアパウダーを入れる。スプーンでしっかり掻き混ぜて、カップを持って理玖さんの待つ部屋へ。テーブルにカップを置くと、僕の部屋を見回していた理玖さんが僕にお礼を言った。あんまり部屋の中を見られるのは恥ずかしいな…。見られて困るものは置いてないはずだけど…。

「憂太君の部屋、シンプルだね。」
「あんまりごちゃごちゃしたの好きじゃなくて…。」
「あー、確かに。散らかすイメージないよねー。」
「あはは。」

テレビをつけて、2人でココアを飲みながら他愛もない話をした。理玖さんは僕の話を聞きたがったから、聞かれたことには正直に答えた。里香ちゃんが生きてた時の話とか、高専に来てからの事とか、

「里香ちゃんだいぶ大人しくなったね。最近出てこない?」
「そうですね…。里香ちゃんが出て来ちゃうと理玖さんに迷惑が掛かるから…。」
「迷惑なんてかけてなんぼなのに!子どもは大人に甘えるものよ?」
「…僕はまだ子供ですか?」
「子供です。学生なんだから、学生は学生らしく青春を楽しみなさい。」
「充分楽しんでますよ。理玖さんのおかげです、ありがとうございます。」

僕の言葉に理玖さんは目をぱちくりさせて、フッと笑った。理玖さんは僕の憧れだ。子供の時、初めて会った時から綺麗な人だと思っていた。大人になった今でも変わらず綺麗で、強くて、どこか儚い。だからかな…、

「皆が理玖さんに執着する理由が分かります。」
「え?なに急に?」
「理玖さんは、いつの間にか心の隙間に入り込んで、勝手に染めて、勝手にいなくなる。」
「…ん?どういうこと?」
「理玖さんは特別ってことです。はは、なんか、僕もいまいち言い表すのが難しくて、」

理玖さんがカップをテーブルに置いた。僕も空になったカップをテーブルに置いて、理玖さんの手を握る。あぁ…やっぱり緊張しちゃうな。

「理玖さんを繋ぎ止めたいって、思います。」
「…憂太君、」
「…好きです、理玖さん。」
「…ありがとう。…でもごめん、気持ちには応えられないの。ほら、私の術式って特殊だから、」
「知ってます。五条先生に聞きました。」
「あのお喋りめ…、」
「はは…、」

じっと理玖さんの目を見つめる。理玖さんも僕を見つめ返していた。自然と近付く距離に、僕の心臓は口から飛び出そうなくらいに騒がしく暴れ回った。唇が触れて、柔らかさの中にココアの甘みが残っていて、僕はそれをぺろりと舐めとった。舌を理玖さんの唇に割り込ませて、熱くて甘いそれを絡め合う。興味本位で見た成人向け動画で勉強したけど、実際に理玖さんを相手にすると頭が真っ白になる。ただ本能のままにその舌を貪るように絡めた。

「…はぁ…、」
「ん、憂太君のえっち。」
「…僕だって男の子ですから。」
「ふふ、…もう一回する?」
「…はい、」

今度は理玖さんが僕の唇を割ってきた。歯列をなぞられてくすぐったくてくぐもった声が漏れる。上顎を擽る様に舌先が撫でた。なるほど、こういう風にするものなのか。勉強になった。薄っすらと目を開けると、理玖さんと目が合った。見られていたと思うと恥ずかしくなって顔が熱くなる。理玖さんがキスをしながらくすりと笑って、僕をベッドに押し倒した。…え、僕が下?

「理玖さん、」
「なあに?」
「…何で僕が下なんですか?」
「え、嫌だった?」
「…いえ、そうじゃなくて、やっぱりこういう場合は男が上なんじゃ…、」
「女が上だってあるのよ?」
「…僕は上がいいです。僕の手で乱れる理玖さんが見たいので、」
「……憂太君そういう事どこで覚えたの…。」

理玖さんは顔を赤くして口を尖らせた。…可愛いな。僕は起き上がって理玖さんを押し倒す。理玖さんの長くて綺麗な髪がベッドに広がった。僕はそれをひと房手に取ってキスをする。シャンプーの香り…。理玖さんは僕の頬に手を添えた。その手に僕の手を重ねる。掌に口付けを落として、そのままぺろりと舌で舐めると理玖さんは擽ったそうに笑った。あぁ…なんだろう、凄く、いい。この余裕そうな笑みを僕の手でぐちゃぐちゃに崩したい。好きだ、理玖さんが好き。愛してる。理玖さんの指を絡めて手を握る。髪の毛を踏まないようにベッドに腕をついて、重なるようにキスをした。理玖さんがやっていたように今度は僕が歯列をなぞって、舌を絡めながら時折上顎を撫でる。ココアの味はもうしなくて、代わりに何か別の甘い味。何だろう、クセになる味だ。すごく。

「…触る?」

理玖さんはぽっかりと開いた胸元を見せびらかすように指で押し下げた。綺麗な谷間が僕を誘っている。

「…触りたいです。」
「…好きに触っていいよ?」
「…理玖さん、」

理玖さんの谷間に鼻先を埋めて深く息を吸い込んだ。吸い付くように纏わりつく肌と香る理玖さんの香り。はぁ、と口から吐息が漏れて、僕の下腹部に熱が集まる。理玖さんがサイドスリットの紐を解いた。理玖さんが起き上がって緩くなった服を脱ぎ捨てる。厭らしいボディラインと下着に僕はごくりと唾を飲み込んだ。

「…綺麗です。」
「…ありがと、」

理玖さんのブラジャーは前にホックがついていた。僕はそれを片手で外す。プチンと外れたそれはたわわな胸を解放して、するりと肩から滑り落ちた。理玖さんがブラジャーをベッドの下に投げる。僕はまたごくりと唾を飲み込む。理玖さんの手が僕の手を胸に誘った。柔らかい感触。病みつきになる。僕は両手で胸を鷲掴みにして、気の向くまま揉みしだいた。柔らかい。温かい。気持ちがいい。むくむくと膨れ上がる僕の欲。自然と上がる口元。僕を誘う理玖さんの妖艶な笑み。堪らなくなってその胸にしゃぶりついた。ちゅうちゅうと赤ん坊みたいに吸い付いて、動画で見た様に舌先でくりくりと転がす。理玖さんがピクリと反応して漏れた声。それが嬉しくて僕はもっとその声を聞きたいと思った。執拗に胸の先を舐め回して、指先で捏ね繰り回して時折爪で引っ掻く。理玖さんの甘い声が、もっと聞きたい。足りない。もっと。

「ぁ…、ン、胸ばっかり、」
「…あ、その…理玖さんのおっぱいが気持ち良くて、」
「ふふ、童貞め。」

ムッとして、理玖さんの口を塞いだ。互いに舌を絡めながら、時折唇を啄まれる。僕もやり返した。理玖さんが僕の首に腕を回して角度を変えながら何度も吸い付かれる。時折漏れる吐息が厭らしく扇情的だ。両方の胸の先をきゅっと指で摘まむと、理玖さんはまた小さく声を漏らした。唇が離れて、理玖さんは僕の着ていたスウェットの中に手を入れた。

「ちょ、理玖さん!」
「憂太君も脱いでよ。私だけ脱いでちゃ恥ずかしい。」
「…脱ぎます。」

スウェットを脱ぎ捨てて、ズボンも脱いだ。互いにパンツ一枚、と言っても理玖さんはTバックを履いてるから一枚というにはその面積は少ない。理玖さんが僕の股間に手を伸ばした。既に興奮で膨れ上がったそこは、先走った液でパンツを濡らしている。

「…憂太君ってユウタくんも特級なの?」
「え?」
「いえ、こっちの話です。」

理玖さんが僕のパンツの上から僕のモノを撫で回す。人に見せる事も触られる事も滅多にないから、僕は刺激にピクリと反応してしまった。理玖さんは僕の反応を見てまたくすくすと笑う。それがちょっと悔しい。大人の余裕ってやつだと思う。けど、僕だってもう子供じゃないってことを理玖さんに思い知らせたい。

「舐めてあげようか?」
「…はい、」

理玖さんが僕のパンツをするりと下した。それをベッドの下に投げ捨てて、理玖さんが僕のモノをぱくりと咥える。暖かく湿った感触に包まれて、小さく吐息が漏れた。



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