泡を纏う背中がピクリと震える。項に見えたほくろに唇を寄せれば小さく聞こえた甘い吐息。
「ぁ…、はぁ…、」
「逃げないでください、」
「ちがっ、」
震える体が愛おしくて抱き締める。私を見上げる理玖さんの唇に噛みつくようにキスをすれば、そのキスに応えるように彼女の舌が歯列をなぞった。彼女に触れる度に私は溺れていく。底のない深海のようなその水の中に、深く…深く。理玖さんが体ごと振り返り、2人で何度も角度を変えながらキスをした。熱い体を撫で回し、泡を塗り広げていく。私の体に触れた理玖さんの手。腕が背中に回り、柔らかな膨らみが私の鳩尾に触れる。私の体に彼女の熱が触れ、じんわりとそこから熱が伝わる。柔らかいお尻を撫で、揉むように泡を広げながら再びキスをした。するりと割れ目を撫でるように洗っていると、私の背中に回っていた腕は今度は私の首に回った。
「私の事も洗ってください、あなたの体で。」
「えっち…、」
「早く洗わないとずっとこのままですよ、理玖さん。」
「もう、」
私の鳩尾に触れていた胸が押し付けられ、腹部まで下りていく。柔らかい感触が肌を撫であげ、纏った泡を更に泡立てるように彼女の体は艶めかしく動いた。既に自身は熱を帯びて硬くそそり立っている。理玖さんの胸は私のモノを挟むようにさらに下へおりた。ぬるぬると滑りのいいそこに挟まれて熱は更に伝染する。くちゅくちゅと泡立つ音が浴室内に響き、互いの吐息が更に熱くなっていく。私を見上げながら舌なめずりをするその艶のある笑みにぞくりと背筋が震えると同時に興奮を覚える。柔らかい感触は私を包むように上下し、私から出た先走りが混ざったそれは粘着質な音を立てた。久し振りに触れる彼女の裸体に、私もあまり余裕はない。
「理玖さん、一度出したい、」
「いいよ、もうイきそう?」
「もう少しだけ早められますか。」
「はぁーい。」
先程よりも滑りよく上下する胸元。泡が立つ。
「理玖さん…っ、はぁ…、イく、」
「んっ、」
吐き出した熱が理玖さんの顔に掛かる。目を閉じた彼女の顔に私の吐き出した白濁が掛かり、伝った。嗚呼、なんていやらしい人なんだ。いやらしく美しい。
「すぐに流します。」
「ん、おねがい。」
シャワーのお湯を優しく彼女の顔にかけ、私の吐き出した熱はお湯に解けて流れていく。そのまま互いの体に纏った泡を流して浴室を出た。タオルで体を優しく拭い、私よりも細くて小さな体を抱き上げてベッドまで運ぶ。キスをしながら優しくベッドの真ん中にその体を下ろせば、私を離すまいと首に回っていた腕が体を引き寄せた。ベッドに沈むその綺麗な裸体はさながら絵画のようで、私はまた自身に熱が集まるのを感じる。押し潰さないように両手を理玖さんの頭の傍に置き、その体に跨った。呼吸の度に上下する胸が私を誘っている。キスをして舌を絡め合い、まだアルコールの風味が残る唾液を流し込む。それを飲む下す音が幽かに聞こえて少しだけ嬉しさと征服感を感じた。
「今だけは、私の理玖さんでいてください。神の子でも呪術師でもない、ただの廻神理玖で。」
「高専を出た時から、私は建人君のものだよ。」
「それは最高だ。」
「愛してる。」
「私も愛してます、理玖さん。あなたを他の誰にも渡したくない。」
「誰のものにもならないよ。今は建人君だけ。」
ちゅっと音を立てながらその体にキスを落としていく。唇から額へ、瞼、頬、鼻先、耳、顎の先、首筋…。その白く柔らかい首筋に何度も吸い付いて赤い花を咲かせた所で、彼女の体に咲いた花は翌日には消え去っている。朝が憎く感じるほどに私は彼女を愛している。この夜がずっと続けばいい。私の熱がずっと彼女の中に残ればいい。
「綺麗ですよ、理玖さん。」
「んっ、あぁ…はぁ、もう、早く、」
胸の先を焦らすように撫でていると、理玖さんの白く柔らかな手が私の手をそこに押し付けた。誘いには乗らずにひたすら焦らすように体を撫でていけば、熱く甘い吐息と共に名前を呼ばれて小さく笑みが漏れた。傷ひとつないその体にキスを落とし、舌を這わせる。ピクリと震える白い肌。たまらなく愛おしい。彼女は私の女神だ。胸の先を唇で啄み、ねっとりと舌先で転がす。彼女から甘い声が漏れる度に自然と口角が上がる。胸への愛撫を執拗に繰り返せば、彼女の腕は私の頭をその柔らかな双丘に押し付けた。
「建人君…下も触って、」
「いいですよ。」
「あっ、」
「いつ見てもいやらしい体ですね。」
両足を掴んで広げれば私を誘うようにヒクついたそこ。既にお尻にまで垂れそうなほど溢れたそれに舌を這わせれば、甘い果汁のような蜜がまた溢れてきた。私は夢中になってそこに吸い付いた。彼女以外の女性を抱いたことはない。彼女以外の女性を一生抱くこともない。理玖さんの体から溢れる物はすべて甘く、くらりと眩暈がする程だ。麻薬のように依存してしまいそうになる。口の中に広がったその蜜を飲み下しながら私の愛撫に啼く彼女を眺める。美しく愛おしい。そして神々しいとまで思う。
「あっだめっ、」
「こんなに濡らしてなにがダメなんです。」
「もっと触って…、いっぱい舐めて…、」
「どこを、どのように。」
「も、やだ…焦らさないで、お願い、」
「言ってくれないと分かりません。」
「クリちゃんもいっぱい触って、」
要望通りにぷっくりと膨れた蕾を広げて息を吐きかけると、それだけで理玖さんは甘い声を漏らした。舌で舐めあげ唇で包むように吸い付く。焦らし続けていたこともあり、彼女は強い刺激に体を震わせてシーツを握りしめた。
「あっ!んっ、ぁ!だめっ、吸っちゃダメっ、あああっ!」
「可愛いですよ、理玖さん。」
「待って、イッたから!イッてる!」
震える体に更に追い打ちをかける様に舌先で転がし続ければ、大きく跳ねた腰。さらに溢れた蜜を啜りながら今度はその蜜壺に指を埋める。ゆっくりと中の感触を確かめるように撫であげ、ざらついた内壁を指の腹で撫でる。私の指を締め付けるように収縮するそこ。彼女の反応を見ながら何度も同じところを擦れば、彼女の啼き声は更に甘さを増した。
「あっああっ、出ちゃう、だめっ、あぁっ!」
「理玖さん、」
「あっ、はぁ…はぁ、キスして、」
「ん、」
舌を絡め合いながら互いに熱く火照る体を密着させた。私の背中に回った足。引き寄せられるまま熱い自身を割れ目に添え、ゆっくりと中へ入っていく。熱く私を包み込む肉壁が待っていたとばかりに私を締め付けた。
「んっ!はぁ…、建人君、」
「建人と呼んでください。」
「建人…、」
「理玖さん、愛しています。」
「私も、建人を愛してる。」
彼女の中に私が馴染むまで何度もキスをする。このまま私と彼女が溶けてひとつになってしまえばいいと思う程にそこは温かく私を受け入れている。馴染んだ頃にゆっくりと腰を動かせば、再び上がる甘い声。何度も酔いしれてきたその声に名前を呼ばれるだけで体の熱は上がるばかりだ。肌のぶつかる音と彼女の啼き声が部屋に響き、私を更に興奮させた。抱えた両足にキスをする。震えた体と揺れる双丘に目を奪われた。それと同時に私の下で快感に悶えるその姿にも愛おしさを感じる。今だけは私の女神。誰に何度彼女が抱かれようとも、今だけは、
「理玖さん、」
「あっあん、はぁ、だめっ奥やらぁっ!」
「嘘を吐かないでください、悦んでますよあなたの体は。」
「ぅっ、あっ、おくすきっ、あっ、またイクからっ、イくっ、あああ…っ!」
「綺麗だ…、」
「けんっ、けんとっ、らめっ、あぅ、イッてるからぁっ!」
「もっと私に溺れてください。私もあなたに溺れたい。もっと深くまで、」
「ぁ…っ!はっ、ぅ、…っ、」
声にならない程に震えた理玖さんの体。つられそうになるのを何とか堪え、更に律動を速めた。とろりと私を見つめる瞳。そこに映った私はどんな顔をしているだろう。酷く滑稽な顔か、それとも優越に浸る顔か、それとも性欲に任せた雄の顔か…。違う、そこに映るのはただの愛に飢えた獣だ。彼女からの愛に飢えた。私は彼女を愛している。彼女も私を愛してくれている筈だ。その筈なのにこんなにも遠く感じるのは、やはり彼女が誰のものにもならないからだろう。どろりと胸の中に溢れた黒い渦。…これは、嫉妬か。
「あっ、なんで…っ、やっ、あぁ!」
「なにがなんで、です。」
「けんと、あっ、好きだからっ、」
「私は愛してます。」
「あいしてるっ、わたしもあいしてるっ、」
呂律の回っていない彼女にまたしても口元が緩んでいく。私が彼女をこうさせたのだと実感し、優越感が私を支配する。彼女の中に吐き出した欲。愛おしい。私を受け入れて離そうとしないそこも。私をうっとりと見つめるその瞳も。火照った頬も。上下するその柔らかな双丘も。全てが。本当に、愛おしい。