「で、なんで降ってきた。」
「分かりません!気付いたら降ってました!」
「…気付いたら降ってくるガキがいるかっての。自殺か?」
「え、そんな、この歳で!? 」
「死にたがる奴に歳は関係ねぇだろ。」
「…それもそうですね。」
依然私はパパ黒の腕の中だ。そして私はちゃっかりその逞しい首元に腕を回している。ぐへへ、これで随分距離も縮まりましたなぁぐはははは!…あれ、ちょっと待って、そろそろ100秒経つんじゃね?ここで悟とパパ黒が会ったらまずいか!?一度顔は合わせてるはずだけど…仕方ない、とりあえず一旦パパ黒と離れるか。
「甚爾様、ひとまず今回のお礼はこれで!また私の事キャッチしてくださいね!」
そう言って私は生意気にも、パパ黒のほっぺにキスをする。ヒャッハー!パパ黒にちゅーしちまったぜぇ!ふぅっ!
「…チッ、マセガキが。」
そう言いながらもピコン、と音がしてパパ黒の頭上には5%の文字が。お!?おおおお!?いいんですかそんなに好感度頂いちゃって!?ありがとうございます!!!パパ黒のほっぺたごちです!!パパ黒が私の体をそっと下ろしてくれた。やだぁ、優しい…!ときめくぅ!
「甚爾様、私の名前覚えてくれましたか?」
「理玖だろ。」
「やったぁ!甚爾様、また会いましょうね?絶対ですからね?」
「あーわかったわかった、会えたらな。」
「えへへ、甚爾様素敵!じゃあ、私は行きますね!本当にありがとうございました!」
しっかりと頭を下げて、小さく手を振る。ちゃんとロリっぽく、あざと可愛い笑顔を向けてやったぜ!いやぁ、私は大変ご満悦です!マジ大人の魅力っての!?色気か!?いやフェロモン的な!?なんか、こう…なんか!!!なんか出てた!!!うお、鼻血…鼻血出そう!とりあえず試しにセレクト!
【近くに呪霊がいます。選択してください。選択すると呪力を10消費します。(残り呪力:31)】
【1.呪霊の元に向かう 2.無視する 3.なにもしない】
お、呪霊がいる!?行くに決まってんじゃん!てか、2と3はほぼ一緒じゃね!?ちらり、後ろを振り向くと、パパ黒は私の事を見ていた。やだぁ、お別れするの寂しくなるじゃん!今度は大きく手を振っておく。
「甚爾様ー!」
「さっさと帰れマセガキ。」
「素敵ー!抱いてー!」
あ、めっちゃ顔顰められた。新鮮過ぎて可愛い…!え、もうこれ結婚か?!結婚するか私と!無理か!?流石に!?パパ黒がシッシッと小さく手で追い払う仕草をする。その仕草すら色気があって眩暈がする。っひゃー!惚れてまうやろ!
「…あ、やば、悟の気配近付いて来た…!とりあえずセレクトしないと…。1番。」
【1.呪霊の元に向かう を選択しました。呪力を10消費しました。(残り呪力:21)】
私の体は呪霊がいるであろう場所に向かって勝手に走り出した。あ、なんか気配がするの分かったかも!何級くらいだろ…?とりあえずこれ以上セレクトするのはやめておかないと、残り呪力が減って来たし!最悪呪霊を見つけたと思ったら襲われて怪我、なんてごめんだし!呪霊の気配がする方へ走っていると、悟らしき人影が前方から走って来るのが見えた。アイツ足早っ!蒼なしでも普通に足早っ!
「理玖見っけ!」
「かくれんぼじゃないんだけど!」
「俺の家から結構離れてるとこまで来たな。術式使った?」
「あ、うん、少しね。」
「ふぅん。…で、呪霊は?」
「…今向かってたとこ。」
「俺はここに来るまでに一体祓った。」
「いやいや、証明できないじゃん!この勝負は審判が必要です!よってノーカン!」
「ハァ?ズルいだろそれ!」
「どうせ私が祓ってたとしても、悟は私と同じこと言ってるから、絶対!」
悟が私の来た道をジッと見つめていた。私も振り返ってみるけど、もうパパ黒の姿はない。悟が私の手を掴んで歩き出す。向かうは呪霊がいる方向だ。いやぁ、さっきまでのパパ黒とのイチャイチャタイムを悟に知られるわけにはいかない。絶対ヤキモチ妬いてダダこねるね、絶対。断言してもいいもん。そう思っていると、再びピコンと音がした。今日は忙しいな。
【五条悟の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
「…は?」
「…何?」
「あ、いや、ごめん、何でもない。」
え、なに?モード反転、裏コード、ザ・ビースト的な?え、好感度の変動って何?100%が減るってこと?え、マジ?試しに悟の頭上を見てみる。…え、ちょっと待ってなんでハートの色が青いの!?え、待って、好感度0%になってね!?どういうこと!?マジ誰か説明して!?
「…悟、なんか…怒ってるの?」
「…別に。」
「…え、なんか、怒ってない?」
【好感度が反転するとあなたへの愛情も反転します。今後の選択にも注意してください。尚、このイベントは反転した好感度を100%にするまで元に戻りません。】
なに愛情の反転って…!愛情の対義語って何!?え、増悪?え、なんか恨まれるの!?マジ?!なんで!?
「…誰といたわけ。」
「え?」
「…さっき、俺と合流するまでに、誰といたわけ。」
悟が掴んだ私の手に力を込めた。いたたたた、指、指がぐりぃってなってる!え、これなんて言えばいい!?パパ黒の名前は絶対出せないでしょ!?と、とりあえず通りすがりの人にぶつかったとでも言っておく!?
「別に、走ってる時にぶつかったお兄さんがいて、謝っただけだけど…。」
「…それ、ホント?」
「ホントだよ?え、悟は私の話疑うの?」
「…疑ってるわけじゃないけど、なんか、嫌な感じがしたから。」
…え、なに、嫌な感じって…。パパ黒の気配を感じたってこと?…待って、確か過去編で悟はパパ黒の事覚えてたよね…!?やっぱり呪力の気配じゃないけど、あの時もパパ黒の事気配的なの覚えてたの!?ていうか今も覚えてるの!?
「嫌な感じってどんな感じ?」
「…言っても分かんねぇだろ。」
「いやいや、言わないと分からないことだってあるでしょ。」
「…なんか…ムカついた。」
「…ムカついた?私に?」
「ちげぇよ。その…理玖とぶつかった奴に。」
「…もしかして、悟…、」
アンタ、やっぱりヤキモチか!?ヤキモチぱちぱち妬いたんか!?え、それでモード反転!?マジか…これ、もしかして嫉妬する度に反転するの!?その度に100%に戻すの!?え、めんどくさっ!ヤキモチ妬くのは可愛いけどね!?
「ヤキモチ?」
「…ちげえし。」
「いやいや、ヤキモチですやん!妬いてますやん!どんだけ私の事好きなの!?」
「だから、結婚したいくらい好きだっつってんじゃん!」
「えぇ…なにそれぇ…なんか急に可愛くない?どした?変な物でも食った?」
「食ってねぇし。…その、ぶつかった奴、どこ触ったわけ。」
「…え、別に、ぶつかっただけだから意図的に触ってはないけど。」
ごっめぇん…テンション上がって抱き着いちゃった…!なんて言ったら多分殺されるわ…。どうするかな、0%のまま動かないな…。これって悟の機嫌をとれってこと?
「…悟?」
「…はぁ…。」
「ねぇ、悟ってば、」
「…何。」
「ホントに、ちょっとぶつかっただけだよ?悟が心配するような事なんてなかったから、怒らないでよ…。」
ちょっとシュンとしたフリをしてみた。悟が私を見て、バツが悪そうな顔をする。…お、3%になった…!そのまま上がれ!
「…別に、怒ってねぇし。」
「…ごめんね?」
「…心配させんな、バカ理玖。」
悟が私を抱き締める。んもぉ…、牛になっちまうじゃねぇか…!何この子…!可愛さ取り戻してきた!?悟の背中を優しく撫でてやると、小さくピコンと音がした。視線だけを動かしてみると、好感度は10%になっていた。
「悟可愛い〜!」
「バカにすんな!」
「心配してくれてありがとう!というか、心配させてごめんね?早く呪霊狩りして帰ろ?」
「…うん。」
漸く小さく笑った悟に、私も笑顔を返した。