初めてを始めて


呪霊狩りはいとも簡単に終わった。なぜなら私の手を握ったまま悟がバチュンとやったからだ。おぉ、さらばだ、じゅれヌンティウス…。…なんだじゅれヌンティウスって。そこから悟の家まで歩いて帰ることになった。私は結構な距離を飛んで来たらしい。さっきのジャンプはマジで何だったの?どういう時に発動すんの?もしかして毎回あんなジャンプしたりとんでもないスキップぶちかましたりすんのか?…いや、スキップってもしかしたら時間経過のスキップだったのか?…こればっかりは選択してみないと分からんからなぁ…。悟はまだ機嫌が完全に治ったわけではないらしい。10%から依然変わらない反転モード…これ、どうすっかな。

「悟、ここ何処か分かる?」
「何回か車で通った事ある。」
「帰れる?」
「帰れるし。」

だいぶ人の増えた交差点に差し掛かり、私はふと疑問に思った事を口にした。

「…さっきからめっちゃ周りの視線感じない?」
「オマエのこと見てんだろ。」
「え、なんで!?誰が!?」
「…オマエ、顔かわいいの知ってて言ってんの?」
「…マ?私ってかわいいの!?悟の方がかわいくない?将来有望じゃん!?アンタ成長するにつれてマジでヤバいから!絶対!もう断言する!」
「それを言うなら理玖もだろ。」

どうやら私の顔はかわいいらしい。うん、まあ、鏡見てなんとなーく整ってる方だなっては思ったけど。

「俺から離れるなよ。」
「え、当たり前じゃん。」

だって帰り道知らないし。って言ったら拗ねそうだから言わないでおいた。そしたらなんと13%まで戻った!もっとくれ!もっともーっとたけもっと!電話してちょうだい!なんつって!しかし困った、前とは違って結構地道な作業になりそうだ…。

「そう言えば、悟めっちゃ足早いね?」
「…別に、普通じゃね?」
「いやいや、めっちゃ早かった!かっこよかったよ!陸上選手もビックリ!」
「…ふぅん。」

…お、お?ちょっと満更でもなさそうな顔じゃね?15%に上がったし!もしかして、悟のチョロさは変わらんのか!?ちゅーのひとつでもしたら結構好感度戻るんじゃね?やってみる!?そんなに焦ってやる事じゃないかな?!どうなの!?

「…少しは俺のこと好きになった?」
「え?最初から割と好きだけど。」
「…っ、」

ほほう…さては、照れておるなお主!いいぞぉ、そのまま好感度上げて!?20%だ!よしよし、その調子で!

「…俺以外にそう言うこと言うなよ、絶対。」
「それは…、うーん、まあ、考えておくね?好きな物は好きって言っていかないと、私発狂しちゃうから!そういうタイプだから!」
「…なんだそれ。」

まあ、でも機嫌は少し戻ったからよかった!さっきよりも私の手を握る力は優しくなったし、私の歩幅にも合わせてくれるし。…そう言えば今更だけど、なんでパパ黒に会ったんだろ。着流し着てたし、ギャンブル帰りってわけでもないだろうし…。えー、またパパ黒に会いたい…!あの色気はマジヤバい…!首太かったし、体も筋肉ムッキムキでさ、もうさ、たまらんぜ…!?涎出るかと思ったもん!ひゅぅっ!抱かれてぇ!うへ…うへへへ!

「なに笑ってんの?」
「あ、ごめん、何でもない!えへへ!」
「…変な理玖。」
「悟、帰ったら何する?」
「帰る頃には飯の時間。」
「マジか!思ったんだけど、いつもあんな懐石料理みたいなの食べてんの?ジャンキーなの食べたくならない!?ハンバーガーとか!フライドチキンとか!ピザとか!」
「…食べた事ねぇよ。」
「マジで!?明日行く?ジャンクフードデビューしちゃう!?」
「…行く。」
「よっし!悟のジンャクフードデビュー!また悟の初めて貰っちゃうね?」
「…うん。」

ひゃだ、顔真っ赤にして何この子かんわいいっ!思わず悟を抱き締めてやった。さっきはパパ黒の魅力にデレデレして悪かったね!悟も充分魅力的だよっ!

「理玖の初めてってなんかねぇの?」
「えー、なんだろ…?術式使った事?あ、でもその前にちょっとあったしな…。…あ、お泊り会!あと転校したのも初めて!小1で転校ってあんまりなくない?あとは…、まあ、ファーストキスは悟だね?」
「…フン。」
「なにその顔、嬉しいの?」
「…別に?」
「にやけてるよー悟くーん。ていうか、先週の動物園デートだって初めてだったよ?間接キスもそうだし。あ、これは勿論前世云々抜きでね?今の私の話ね?」
「…前世ではしたことあんの?」
「何を?」
「セックス。」
「オイオイオイ悟ゥ。オイオイオイ、オイ。」
「なんだようぜぇ。」
「そう言うことを乙女に聞くんじゃないっ!」
「ないんだ。」
「あるわ、舐めんな!?」
「…あるの?」
「え、あ…うん、まあ。23年も生きてたから、そりゃねぇ。」
「…ふぅん。」
「え、なんで不機嫌になるわけ?前世の話じゃん!?今はこのピュアピュアな廻神理玖ちゃん6しゃいよ!?お体キレイキレイよ!?」
「…じゃあ、俺が今の理玖の初めて貰うから。」
「…おっふ、」

待て待て待て待て、もし本当に私と悟がえちえちな事をしたとしてだよ?私の事超絶ラブリンな悟が歯止め利かなくなって、ずぅぇえええええったい、足腰立たなくなるまでヤられるヤツじゃない!?私の腰が玉砕されそうで怖いんだけど…。え、こわ…それはこわっ…!いや別に、悟が相手だから嫌ってわけじゃないよ?むしろ悟相手にヤれるならヤりたいよ!?言っておくけどビッチ発言とかじゃないよ!?悟だよ!?ヤるでしょ!?あー、童貞の悟が真っ赤な顔で私に挿れたくてハァハァいってるのも見てみたいな。絶対かわいいじゃん?!そんなんこっちから襲うっしょ!?襲うよね!?襲わないなんて選択ありえないでしょ!?くぅ〜たまんねぇな!

「まあ、でもまだ小学生だから、そう言うのはもっと大人になってからね?」
「いくつになったらいいわけ?」
「え、いくつだろ…。早い人は中学でヤってたけど、私としては高校生くらいかな。それまで悟が誰とも付き合わないで私の事ずっと好きでいてくれてたら、考えてあげてもいいよ。」
「…それ、絶対だかんな。」
「…まあ、言ってしまったからね。でも、その時私に相手がいなかったらね?」
「俺以外にいらねぇだろ。」
「すっごい自信、どっからきてんの?」
「俺。」
「あー、うん、聞かなきゃよかった。」

なんだかんだ、悟の好感度は28%まで回復していた。良いぞ、順調!その後、何とか悟の機嫌をとり続けて、悟の家に戻るまでには43%まで好感度が回復した。いやぁ、マジ私頑張ったな?!褒めて?!誰か褒めて!?帰って早々、お昼同様に悟の両親と四人で夕食を食べた。相変わらず悟を私に勧めてくる二人の会話を完全にスルーするわけにもいかず、適当に相槌を打つわけにもいかず…。…食事を終えて悟の部屋に戻った私は空いた口が塞がらなかった。広い部屋にポツンと敷かれた一組の布団。そして並んだ枕が二つ。…いや、まあ、うちに来たときは一緒に寝たけどさぁ、こんな、あからさまにさぁ!?どう、え、どうする!?

「理玖、風呂入ろうぜ。」
「え、一緒に入る気?」
「入らねぇの?」
「流石に一人で入らせて!?」
「ちぇ。」



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