パパ黒が保守派を消すために1か月高専を空けるらしい。私はその間引き続き地下室生活。悟と傑に聞いた話だと、冥さんには協力を要請するために私が生きている事を話したらしい。口止めと情報料として10億渡したよ、とケロッとした顔で言った2人に私は口をあんぐり。硝子はそんな私を見て爆笑。いや、爆笑じゃないから!!
「そう言えば禪院家の理玖オタクが高専に来たけど、適当に追っ払っといた。」
「え、直哉君来たの?」
「理玖の名前をグラウンドで叫んでたよ。うるさくて邪魔だったから黙らせておいたし、心配しないでね。」
「え、直哉君生きてる?」
「「どうだろう?」」
「ウケる。」
「いやいや、一応禪院家次期当主だよ!?大丈夫!?」
「ダイジョブダイジョブ。」
悟と傑は出張がない限り地下室に遊びに来た。硝子も毎晩仕事を終わらせて酒を持って来た。昼間皆が任務の間、私は1人地下室で体が鈍らないようにひたすら筋トレしたり、映画見てポテチとコーラでゴロゴロしたり、ぐうたら寝たり、…あれ、殆どぐうたらしてない?!毎日のようにさしすが遊びに来てくれたおかげで退屈はしなかった。スマホも悟が返してくれて、さしすとは連絡を取り合っていたし、冥さんからも時折元気かって連絡が来たから少しやり取りをした。あ、それと、メカ丸こと与幸吉には私から連絡を入れた。私が生きていた事に向こうも驚いていたけど、誰にも言わないでほしい事と、訳ありでこうなったって事を伝えた。そして真人の近況を聞いてみたけど、真人は私が死んだことを信じていないらしい。なんか、魂の形がどうとかこうとか言っていたと。真人には近々必ず会いに行くからと、メカ丸に伝言を頼んでおいた。メカ丸に聞いた話だと京都校の面々も私が死んだという話を聞いて悲しんでいたらしい。京都校のグループトークのスクショが鬼のように送られて来たのには笑ったけど、笑い事じゃないよなって思ってそれを見ながら泣いた。東京校のグループトークは私の既読がついたらいけないので開けなかったけど、皆めっちゃ私の話してた。私が生きてたらこう言ってたとか、こうしてたって通知を見た時は泣きそうになった。ていうか泣いた。皆変わらず私のこと大好きでいてくれたし、悟と傑と硝子、そしてナナミンも灰原も伊地知も、夜蛾さんも、皆、私が死んだことを悲しんでいる子供たちが道を踏み外さないように、しっかり見ていてくれて、嬉しかった。それと同時に、大人組全員にはかなり申し訳ない事したなって思って泣いた。勿論子供達にだってかなり申し訳ないと思って泣いた。パパ黒はスマホの位置情報で日本にいることがバレたらいけないからと電源を切ってあの芋虫呪霊にスマホを取り込ませていたらしい。だから全然連絡は取れなかったけど、パパ黒が保守派を消し終わって帰って来た時はめちゃくちゃ嬉しかった。1ヵ月ぶりに会ったパパ黒は変わってなかったけど、パパ黒ひとりに汚れ役を背負わせてしまった申し訳なさも込み上げた。そして、パパ黒が返って来た翌日。
「ほんとに大丈夫だよね!?」
「ダイジョブダイジョブ。」
「甚爾様絶対落とさないでくださいね!?」
「あ?大丈夫だろ。」
私はゆじたんが入っていたものと全く同じ箱に入っていた。台車に載せられたそれに入り、ガラガラゴトゴト揺れる箱の中で息を潜める。どうやら津美紀ちゃん含めた東京校の子供達と大人組を皆グラウンドに集めたらしい。グラウンドでお土産配るってどういう事!?何でグラウンド!?教室じゃダメなの!?
「おまたー!!」
私は息を潜めたまま箱の中から耳を澄ませる。つーかめっちゃ揺れて気持ち悪いんですけど!!
「やぁやぁ皆さんおそろいで。皆知っての通り、オッサンがギャンブルで海外に行ってましてね。」
「急に語り始めたぞ。」
「しかも自分の話じゃねぇし。」
「土産だ。」
箱の上に置かれた土産を配る音が聞こえる。ガサガサと袋の音を聞きながら、私はその時を今か今かと待ちわびた。
「そして僕達4人から皆にはコチラ!!」
き、来た!!
「故人の廻神理玖ちゃんでぇーっす!!」
「はい!!おっぱっぴー!!」
ゆじたん同様、私は、ピコン、
【禪院真希の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【狗巻棘の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【パンダの好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【伏黒津美紀の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【枷場菜々子の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【枷場美々子の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【伏黒恵の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【夜蛾正道の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【灰原雄の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
【伊地知潔高の好感度が反転しました。今後は好感度の変動に注意してください。】
どぅえぇええええ!?!?!?!??え!?え!?!?どゆこと!?!?!?なんで皆いきなり好感度反転しちゃったの!?!?!なんでぇえええ!?!?ていうか皆、顔が!!ゆじたんお披露目した時の恵と野薔薇とパンダの顔になってる!!!ぜんっぜん動かないじゃん!!?!??生きてる!?!?皆息してる!??!
「え、っと、なんか生き返っちゃいましたてへぺろ☆」
最大限にすっ呆けて見たけど皆全然動かない…!!!待って!?大丈夫!?待って、今ナナミンもおっこちゅも反転してたでしょ!?そんでもって伊地知や灰原きゅん、よりによって津美紀まで好感度反転するって、待って、つ、詰んだのでは!?これ好感度戻せる!?待って!?どうぇええ!?
「…理玖、」
「ひゃい!?」
ゆらりと夜蛾さんが私に歩み寄る。私はびくりと飛び跳ねて身構えた。どうしよう、悟がやられてたみたいな技かけられたりする!?え、やだよ!?痛そう!?!?
「…この、馬鹿者…っ!!」
「ゔっ!!」
夜蛾さんが泣きながら私を抱きしめた。それを皮切りに皆が泣きながら私に駆け寄って、抱き着いた。おしくらまんじゅう状態で、正直私に触れていない人もいる。現にほら、伊地知がパンダのお尻で弾かれた。伊地知ぃ…頑張れよぉ…!!皆わんわん泣きながら私の名前を呼んでくれるから、私も嬉しく泣きながら、
「ただいまぁ…っ!」
「理玖、おかえり、」
「おかえりなさい理玖さん、」
「理玖さーん!よかったー!」
「廻神さん…!ゔう…っ、」
「理玖ちゃんよかったぁ…っ、会いたかったぁ…!」
「理玖さん…っ、」
<理玖お゛ね゛え゛ぢゃん゛!!!>
「どぅぇえっ!?ちょ、里香ちゃん!?」
まさかの里香ちゃんがズゾゾと姿を現した。ギョッとした皆が私から離れると、里香ちゃんの両手が私をがしりと掴んだ。ちょ、ま、えぇっ!?
「ここでまさかの2度目の完全顕現んん!?!?」
<理玖お゛ね゛え゛ぢゃん゛ん゛ん゛ん゛!>
「ご、ごめんごめん、里香ちゃんごめんね!?泣かないで!?」
ぽろぽろと涙を流す里香ちゃんが私の顔にすりすりと顔を押し付けた。ちょちょちょちょ、痛い!!すりすりじゃなくてもうこれ首持っていかれるから!!グギグキいってるから!!
「何をしている、里香。」
え、ちょ、ここでそれ!?
「その人は僕の恩人だ。蝶よりも花よりも丁重に扱え…!!」
「だ、大丈夫!憂太君、大丈夫だよ!!!」
<あ゛……あ……、>
「ちょ、大丈夫だから!里香ちゃん!ほら!大丈夫!ありがとう!」
<理玖おねえぢゃんごめんなさい、ごめんなさい!!怒らないで…、>
「怒ってないよ!うん、怒ってない!」
<嫌いにならないでぇ、>
「嫌いになんてならないよ!!大好きだから!大丈夫だから!!ちょ、誰か、」
「里香ちゃん、理玖さんが困ってるから、泣き止んで。」
<憂太、>
まさかここまで里香ちゃんに好かれてるとは思ってなかった…。ビビった…。里香ちゃんはそっと私を地面に下ろしてくれた。理玖ちゃんの頭?を撫でてあやしながら、困ったようにおっこちゅを見れば、おっこちゅはあのメガホン使う時の顔で私を見ていた。え、待って怖い。なんで!?目が据わってるよおっこちゅきゅん!?!?
「理玖さん…、」
「お、落ち着こうか!憂太くん落ち着いて…!」
「……よかった…っ、」
ボロボロ泣きながらそう言ったおっこちゅに、私はズキリと胸が痛む。いや、うん、ほんとごめん。
「皆ほんとに心配かけてごめんね。それと悲しませてごめん。」
「「理玖様ぁあ!」」
「ゔっ!!」
ミミナナが突進してきた。私はそれを受け止めて2人を抱きしめ返す。背中にも衝撃。振り返れば、
「理玖ちゃん…、良かった、ほんとによかったぁ…っ、」
「津美紀ちゃんもごめんね、」
「理玖さん…、」
「恵きゅんも、」
「きゅんはやめてください。」
「ちゃんメグ、」
「それもやめてください。」
「マイエンジェルメグエル、」
「もはや誰ですかそれ。」
薄っすらと隈のできたマイエンジェルメグエル。ほんと、ごめん。悟と傑に聞いたよ。調伏の儀頑張ってたって。
「おいで、恵君もぎゅーしてあげる。」
「…理玖さん、」
「ずじごっ!」
「棘君も!おいで!」
「パンダは?」
「パンダも、へいかもん!!ほら、憂太君も、真希ちゃんもおいで。」
「…っ、」
「…んの、バカ理玖が!!」
「ふぐぇ!」
子供たちをぎゅううっと抱きしめる。また泣き出した子供たちをよしよしした。ちょ、さり気に胸揉むな誰だオイ。あ、ちょ、お尻撫でるな誰だオイ。
「理玖、なぜ生きている事を隠していた。」
涙と鼻水で顔が悲惨な夜蛾さんにそう言われて、私は苦笑い。これは昨日、三銃士と硝子と私で話す内容を決めた。
「神の子パワーで生き返っちゃったんで、とりあえず様子を見ようと思って。それに死ぬ前に神のお告げで、保守派のおじいちゃんたちが死んじゃうって聞いて〜、それなら皆死んだ後なら平和かなって思って♡」
「なんてやつだ…。」
「てへぺろ☆」
「ですが、大丈夫なんですか。」
「ん?」
「保守派の方々が亡くなったとは言え、死刑になったはずの理玖さんが生きていたとなれば呪術界も大騒ぎでしょう。」
「それはほら、あれよ。ちょいと作戦がありまして。」
そう、これも昨日話し合った内容だ。保守派含め腐ったミカン共は私の存在を煩わしいと思っていた。そして私に直接的に手を下すことはしてこなかったものの、刺客を送り、私の家族の命を狙ったため、
「神様から天罰が下りました、ってね。」
「ほんとになんでもありなんだな。」
「これに関しては呪術連総監部から再度通達を出そうと思ってるよ。元々腐ったミカンの仕業で理玖は自分だけならず家族まで狙われていたんだし、理玖は家族と、理玖の周りの人間を守るために、元凶である連中を殺して呪詛師になったってね。理玖に術式と呪力を奪われた連中は今ものうのうと生きてはいるけど、理玖が生き返ったと聞いたらビクビクしちゃうだろうね〜。次は自分に天罰が下るかも、ってさ。」
「そう言えば理玖を殺したのって誰だよ!」
「ん?僕だよ?」
「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」「すじこぉ!?」
「理玖の初めて、また僕が貰っちゃった♡」
「いやあれは初めてカウントしないでよ!!」
「理玖の初めての死♡僕の術式を添えて♡」
「やめろ、料理名みたいに言うな。」
「理玖は私が解剖中に生き返った事にしたら?って言ったんだけどな。理玖は確実に死んだと思わせるために、五条の術式で生きたまま肉団子になってもらった。」
「硝子ちゃんその言い方やめて!?」
「生きたまま肉団子…、」
「津美紀ちゃん想像しちゃダメ!!」