「生き返った事を公表したとして、理玖さんは呪術師を続けるんですか?」
マイエンジェルメグエルの言葉に、私はバチコーン☆とウインク。
「よくぞ聞いて下さった!私は呪術師続けるよ!まだまだやることがあるからね!」
「やることってなんだよ。」
「ま、優先すべきは獄門彊の封印かな。」
「獄門彊?なにそれ。」
「まあ見てなさい!」
セレクト。
【あなたは獄門彊を探しています。選択してください。選択すると呪力を200消費します。(残り呪力:270)】
【1.回収する 2.破壊する 3.なにもしない】
1番。
【1.回収する を選択しました。呪力を200消費しました。(残り呪力:70)】
皆が首を傾げる中、私はさてどこから来るかなときょろきょろして見る。ふと足元に見えた影。見上げれば、
「どぅえっ!?あっぶなぁ!!」
獄門彊が頭上から降ってきた。慌てて避ける私と、何事かと飛び退く皆。地面に埋まった獄門彊を拾い上げて、皆に見えるように掌に置いた。
「これは獄門彊って言って、特級呪物だよ。あー…えっと、悟、この際だからみんなに話したいんだけど、代わりに説明してくれる?」
「僕はいいけど、理玖はいいの?」
「うん、もう話しちゃった方が動きやすいかなって思って。」
「そ?じゃあ話すけど…。」
悟が私のことについて話し始めた。私には前世(という名の元の世界)の記憶がある事、そして、
「僕たちのいるこの世界は、理玖の前世にとっては漫画やアニメの世界。そして理玖はある程度のこの世界の未来を知ってる。理玖は神の子としてこの世界に生まれて、前世の時に見たこの世界の記憶を頼りに、最悪なシナリオを回避しようとしている。」
「それって、つまり…、」
「私や伏黒さんも、理玖の知る記憶では私達は高専にはいない、もしくは死んでいる可能性があった。けど、私達はここにいる。」
「親父が…?」
「理玖がいなかったら、俺もここにいなかっただろうな。」
「そしてやたらと高専関係者と理玖が知り合いなのは、理玖が高専に関わる人物だと分かっているからコンタクトを取っていた。そして傑やオッサンだけじゃなくて、ここにいる皆の内の誰かも理玖がいなければここにいなかったかもしれない。ってのが僕の推理。」
「私は自分から自分の事について話せないから、代わりに悟の推理を話してもらったんだけど、大体こんな感じ。」
「…待て、それだと理玖、」
「理玖さんは、元々この世界に存在するはずがない人物、という事にも聞こえますが、」
「……、うん、ごめん、話せない。」
皆が何かを考えこむように黙ってしまった。
「理玖様がいなかったら…、」
「私達もここにいなかった…?」
「美々子ちゃん、菜々子ちゃん、おいで。」
「「理玖様…っ!」」
「大丈夫、皆いるよ。でもこれからまた何が起こるか分からないの。」
「どういう事だよ、理玖。」
「未来を変えた反動が来るって事ですか。」
「流石恵きゅん、賢いね!」
「すでにその反動は起こってるでしょうね。その為に理玖さんは狙われた…。」
「皆頭が良くて助かるよ。」
「呪術師を続けていく以上、その反動は付き物なんじゃないのか。」
「そうですね…。でも、もう皆がいるから。それに、ある程度の危険はもう防げたはずです。だからあとは皆を幸せにするために、呪術師を続けます。と言っても、まだまだこれから色々あるんですけどね。」
「これから起こる事についても話せねぇって事か。」
「いくら。」
「そう言う事。だから皆に知ってて欲しいのは、私が何をするにしても、それには意味があるって事。変な言い方しちゃうけど、私はいわばスパイ的な物だと思って。私が何をするかは言えないけど、何かをしようとしてる事を皆は分かってて欲しい。それがどんなことでも皆にとっては後々いい結果になると思う。…多分。」
「最後の言葉で信用失くすなよ。」
「パンダァ!」
「いやぁん、お腹はやめて〜!」
「理玖さんは、」
「ん?」
「…理玖さんは、里香ちゃんが死ぬことも知ってたんですか…?」
おっこちゅの言葉に私は深く息を吸い込んで、吐いた。
「憂太君、」
「里香ちゃんがこうなる事も、僕がそれで死刑になることも、知ってたんですか、」
「…ごめん、言えない。」
「っ、」
「でも、これだけは分かって欲しい。私は皆を幸せにしたいと思ってる。たとえそれが私のエゴでも、皆が生きててよかったって思える未来を作りたい。そう思って今までいろんな選択をしてきた。少なくとも、私が知ってる未来より、今の世界は平和だよ。私を恨んでもいいよ、憂太君。皆も、私を恨みたかったら恨んでいい。皆が少しでも幸せだったと思える世界があったなら、私はそれだけで幸せだから。」
「…ズルいですよ…、理玖さんは…っ、人の気も知らないで!」
「…ごめんね、」
「憂太、」
悟がおっこちゅに歩み寄る。
「なんですぐふっ!」
バキィ、とおっこちゅを殴り飛ばした悟。私は慌てておっこちゅの体を支える。ええ!!口!!血が出てるよおっこちゅ!!
「ちょ、悟!?なにやってんの!?」
「僕の話、聞いてた?」
「…聞いてましたよ。」
「理玖はさ、僕達の為に自分を犠牲にして最悪を回避してきた。その意味、ちゃんと分かってるの?人の気も知らないのはオマエの方だよ憂太。」
「悟、生徒に暴力を振るうのは、」
「これはただの暴力じゃない。教育だ。気付きを与えるのも教育って学長も昔言ってたよね。」
「悟、落ち着いてよ!憂太君大丈夫?」
あ、
「待って、悟、」
「止めないでよ理玖。」
セレクト。
【乙骨憂太が負傷しています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:78)】
【1.反転術式を使う 2.反転術式を使えるようにする 3.なにもしない】
2番。
【2.反転術式を使えるようにする を選択しました。呪力を50消費しました。(残り呪力:28)】
「…理玖、何したわけ?」
「気付きを与えるのも教育、でしょ?」
「何をさっきから、」
「憂太君、君の取り柄はその優しさだよ。」
「…、」
「傷、治せるようになるから、憂太君は優しい憂太君でいてね。」
「…理玖さんは…、」
「うん、」
「……理玖さんはそれで幸せなんですか、」
口元を拭ったおっこちゅに、私はその頭をわしゃわしゃと撫で回した。
「言ったでしょ、皆の幸せが私の幸せ!私はその為なら、自分がどんな犠牲を払おうともいとわないよ。」
「……。」
「…里香ちゃんの事は、ごめんね。」
<理玖おねえちゃん、>
「私のこと、恨むなら好きなだけ恨んで。」
離れたところで私達を見ていた里香ちゃんが、憂太の傍に来た。
<……、>
「里香ちゃん…、」
<憂太、>
「…僕は、里香ちゃんの呪いを解きたい…そう、思ってました。」
「うん、」
「…解けますか…、僕に、」
「憂太君がそれでもいいなら、解けるよ。」
「…でも、理玖さんと再会してから、里香ちゃんが大人しくなって、」
「うん、」
「…このままでもいいやって、里香ちゃんとも離れたくないって、」
「うん、なら、それでいいんじゃない?里香ちゃんも憂太君と一緒にいたいよね?」
<憂太…、>
「…ごめんね里香ちゃん、」
<憂太と一緒に、いたいよ…、>
「里香ちゃん、」
抱き合う2人。それを見守る私達。…うん、突然の感動シーンだ。私は里香ちゃんを無理に解呪することはないと思っている。おっこちゅがどうしてもと望むなら、勿論それを手助けするつもりだ。でも里香ちゃんも大人しいし、おっこちゅと一緒にいたいと願ってる。おっこちゅもそのままでいいと望むなら、私はそのままでいいと思う。
「2人がそれで幸せなら、そのままでいいんじゃない?」
「…はい、」
<理玖おねえちゃん、>
「里香ちゃん、これからも憂太君をよろしくね。」
<ゔん、>
「理玖、」
悟の声に振り返る。
「今のでまた未来を変えたなら、次は何が起きるか分からない。」
「…分かってるよ。でもま、大丈夫!私最強だから!」
イエーイ!とふざけた私。皆が幸せになれるなら、ほんとにそれでいいよ。何が起きても何とかしてやる。
「僕が理玖を守るよ。だから僕を選んで。」
「…え、今それ言う?」
「悟、抜け駆けは良くないね。理玖、私を選んでくれるかい?私を選ばないと私が呪霊を取り込む度に味わっている理玖「デジャブやめろ。」
「あ?理玖は俺と結婚するって話しだったろうが。」
「その話今しますか!?」
「どういう事ですか理玖さん。親父と結婚なんて許しません。俺と結婚してください。」
「はい、ほら親子できちゃったよ。」
「理玖ちゃんと結婚はダメ!」
「津美紀ちゃん…!」
「私が理玖ちゃんのお世話するんだから!」
「あれー?」
「理玖様は私達のだし!」
「理玖様は誰にも渡さない…。」
「美々子ちゃん奈々子ちゃん、呪具構えるのやめなさい?」
「理玖は早く法律変えて。」
「硝子ちゃん冷静にぶっ込んでくるね!?」
「理玖さん!僕とデートしてください!」
「灰原きゅんきゃわいい♡」
「理玖さん、これは罠です。」
「あ、七海!」
「待って、罠ってなに!?灰原きゅん?」
「えへ☆」
「灰原きゅん!?!?」
「それよりも理玖さん、結婚は私とするはずでは?」
「建人君…!」
「おい理玖、オマエどんだけ誑かせば気が済むんだよ。」
「真希ちゃん、これは違うんだよ、あの、うん、違うんだよ。」
「完全に浮気したやつの言い訳だな。」
「しゃけ。すじこ、おかか!」
「棘君…!あ、こら、おっぱいに顔埋めるのやめなさい!」
「狗巻君、そこは僕の場所だよ。理玖さん、僕とあんなに愛し合ったじゃないですか、」
<里香もぉ、>
「ちょちょちょ、待て待て待て!へるぷ!へるぷっ!」
「理玖、教師とあろうものが生徒と愛し合う?どういうことだ。」
「ど、どういう事って言われても、何と言えばいいのか、いや違うんです!とにかく違うんです!いや違わないけど違うんです!」
「廻神さんは日頃から皆さんと仲がよろしいなとは思っていましたが…、」
「伊地知君!?仲がいいことは宜しいことでしょ!?」
「良すぎるのはどうかと…。距離感というものが、」
「あ、うん、それはもうほんとにごめんなさい。」
「理玖、オマエには教育的指導が必要みたいだな。」
「え゛っ、」
「学長室に来い。たっぷり指導してやる。」
「絶対いやだあああ!」