若人の懺悔


理玖姉と初めて会ったのは、俺が生まれて少ししてからだったと思う。つっても、小さい頃すぎてあんまはっきり覚えてねぇけど。理玖姉とは家族ぐるみの仲だ。俺の母ちゃんの命の恩人だって、親父は言ってた。どんだけ神様に祈っても、どんだけ医学を尽くしても、意識を取り戻さなかった母ちゃんが、理玖姉が来ただけですっかり元気になったって聞いた時は、理玖姉はきっと不思議な力を持ってるんだと思った。いやまあ、子供ん時だったしさ、そう思ってたけど…ほんとに不思議な力持ってたんだな…。…俺にとって理玖姉はほんとの姉ちゃんみたいなもんだった。ていうか、まあ、姉ちゃんみたいなだけでほんとに血の繋がりはないけど、それでも大好きな人。俺の守りたい人。…守りたい人って、なんか飛躍しすぎ?でも、大好きなのは間違いない。だから、最初は意味が分からなかった。呪いの存在とか、伏黒の式神ってやつとか、あとは理玖姉が穴あいた壁直したりとか、

「…両面宿儺…、」

俺が伏黒を助けようと喰ったのは、特級呪物って言うらしい。呪いは呪いでしか祓えない、そう言われて咄嗟にそうした。後悔は…してない、と思う。頭ン中でアイツの声がしてうるさいけど、まあ…。

「…俺も理玖姉の学校に通うのか…。」

正直理玖姉と一緒にいれるのは嬉しい。俺は理玖姉が大好きだし、ほんとの姉ちゃんみたいに大事に思ってる。高専ってとこで寮に入って家族と離れて過ごすのは、正直ちょっと寂しいけど、理玖姉もいるし多分平気だ。でも、俺の中にいる宿儺はすっげぇ危険な物らしい。俺はその器になった。宿儺を全部取り込んで、俺が死ねば、中の宿儺も死ぬ。そう聞いた時正直実感が湧かなかったけど、今よく考えてみたら、俺、

「はぁ…、」

なんで俺が死刑なんだって思ってるよ。でも呪いは放っとけねぇ。宿儺は全部喰ってやる、後は知らん。理玖姉が俺を死刑にならないようにしてくれるみたいだけど、理玖姉って結局何者かも俺にはよく分からん。

「さっぱりしたー!」
「お、理玖姉おかえり。」
「ただいま悠仁君。」
「つか、髪の毛乾かしてねえの?風邪引くよ?」
「悠仁君やってー。私報告書途中だから、」
「いいけど、ドライヤー借りんね!」

俺がベッドに座って、理玖姉は俺の足元に座った。つか、昔からそう思ってたけど、理玖姉ってめちゃくちゃいい匂いする。ヤバい、ドキドキしてきた。理玖姉がノートパソコンで報告書ってのを書いてるのを後ろから覗き込んでみた。杉沢第三高校って文字が見える。理玖姉の髪の毛を優しく絡まないように乾かして、ドライヤーの電源を切った。報告書を書き終わったらしい。理玖姉は途中から頭がグラグラしてて、顔を覗き込んだら寝てた。…忙しいんだな、呪術師って。

『君の命、私に頂戴。』

そう言われた時、俺は理玖姉の為に何かしたいって思った。なんでかは分かんねえけど、なんか、理玖姉になら俺の全部あげてもいいって思ったから。

「…理玖姉、髪の毛終わったよ?」
「…ん、…んぅ…、ごめん、寝ちゃってたぁ、」
「いいって。疲れてたんだし仕方ねえよ。」

立ち上がって洗面所にドライヤーを置きに行った。部屋に戻れば理玖姉はぼーっと天井を見上げている。その横顔が綺麗で、やっぱ理玖姉ってすげぇ存在なんじゃねぇかって思った。なんつーか、神秘的だった。

「理玖姉?」
「…ごめんね、悠仁君。」
「何が?」
「…こんな事になっちゃって。」
「…こんな事って、宿儺?」
「うん。」
「…まあ、あん時はそうするしかなかったし、理玖姉のせいじゃないから、気にすんなって!」
「…ほんとにそう思う?」
「え?」

そう言われて俺はちょっと考えてしまった。確かに理玖姉にも、あの時伏黒をボロボロに追い詰めてた呪霊を祓えたんだよな…。けど理玖姉はそれをしなかった。

『本人が自分で何とかするって言ってるから、私は恵を信じる。』

「理玖姉は伏黒のこと信じて手を出さなかったんだし、理玖姉のせいじゃないって!それに、宿儺を喰ったのも俺の意志だし、」
「…そっか…。優しいね、悠仁君。…歯磨きしよっか。」
「応!って、俺の歯ブラシあんの?」
「新しいの大量に置いてるから大丈夫。皆好き放題私の部屋入って勝手に色んな物使っていくんだもん。どれが誰のか分かんないから大量にストック置いてるんだよねー。」
「へえ…、」

なんか、ズキッてする。

「理玖姉の部屋、色んな奴らが出入りしてんの?」
「うん、勝手に入られてるの。」
「…そっか。あー、あのさ、あの、五条先生とも、なんか、そういう関係じゃないって言ってたけど、」
「…なぁに、悠仁君、気になるの?」
「いや、まあそりゃ、理玖姉は俺のほんとの姉ちゃんみたいなもんだし、」
「ふーん、お姉ちゃん止まりでいいんだ?」
「え、」

なんだよそれ、どういう意味だよ。

「はい、これ使って。」
「あ、あんがと。」

新品の歯ブラシを受け取って理玖姉と洗面台の前に並んで歯を磨いた。つか俺、まだタオル巻いたままだった。パンツいつ乾くんだろ。借りたスウェットの上着は着たけど、正直パンツ穿いてないって落ち着かねえのな…!歯磨きを終えるころに洗濯機が鳴った。理玖姉が蓋を開けて俺のパンツを手に取った。ちょ、恥ずかしいんだけど、

「悠仁君のパンツ乾いたよー。」
「ん、ぺっ、あんがと、」
「服はハンガー掛けておくから。」

そう言って理玖姉が俺の服を抱えて部屋に行った。洗濯機の上に置かれた俺のパンツと、さっき借りたスウェットのズボン。急いでタオルを外してパンツとズボンを穿いた。理玖姉の今の格好は正直俺の目には毒だった。薄ピンクのワンピースみたいなパジャマ。裾からのぞく足は細くて綺麗で、ちょっと屈んだらパンツ見えそうだし、それに何より、胸元空き過ぎ!!つか下着は!?ブラジャーとか着けんの!?あれノーブラだったりする!?分かんねえ!分かんねえけど分かったらヤバい気がする!主に俺の股間が!うがいをしながら無心になろうとちょっと違うこと考えてみたけど、正直俺は理玖姉の格好がいつもエロ過ぎて、会ったその日の晩はオカズにしてしまったりする。だってあんなエロい体とエロい服装で胸とか押し付けられたら、そりゃあもう健全な男子高校生はあかんよ!?そんなのオカズにするでしょうが!!あーやばい、ちょっと思い出してしまった…。つか、待てよ、さっき濁されたけど、理玖姉と五条先生ってどういう関係!?そういや伏黒も理玖姉と俺にどういう関係かってめちゃくちゃ聞いて来たよな!?なんかすっげえ気になってきた…!!うがいを終えて部屋に戻れば、理玖姉は立ったままスマホを弄っていた。時計を見ればもう3時を過ぎている。結構時間経ってたんだな…。

「理玖姉、服とかありがと。」
「んー?うん、どういたしまして。じゃあ寝ようか。ベッド入って。」
「い、いや、流石にそれはマズいって!俺床で寝るし!」
「いいからほら、早く!明日ここ出るの早いんだから、言う事聞きなさい!」
「〜〜〜っ、言っとくけど、俺も男だからな!」
「知ってる♡」

理玖姉が俺をベッドにとんっと押し倒した。ちょ、ヤバいって、マジで寝れねえから…!

「そっち詰めて、」
「お、応、」
「よし、電気消すね?」
「う、お、うん、」
「ふふっ、緊張しすぎだよ、おやすみ悠仁君。」
「お、やすみ、理玖姉。」

カチっと音がして部屋が真っ暗になった。理玖姉がスマホの明かりを頼りにベッドまで来て、ゆっくりベッドに上がった。俺は極力壁際に寄ってみたけどめちゃくちゃドキドキする。布団からも理玖姉の匂いがすんだもん、眠れるわけねえって!がさごそと布擦れの音がして、布団の中が熱くなった。いや、多分俺の全身が熱くなったんだと思う。

「悠仁君、」
「うぇっ、な、なに!?」
「おいで、腕枕してあげる。」
「い、いや、するなら俺が、」
「いいから、おいで。」

そういえば小さい頃理玖姉が泊まりに来てくれた時、よくこうやって寝てたな…。俺の首元に理玖姉の腕が伸びて来て、ちょっと頭を持ち上げた。そのままグッと頭を引き寄せられてドキッとする。それと同時に理玖姉の甘い匂いがしてバクバクと心臓が脈打った。あとスンマセン、ちんちん痛いっス。ちょっと前傾姿勢になれば、顔に当たった柔らかい感触。

「えっち♡」
「っ!?」

や、やっぱこれ理玖姉の胸!?つか、ヤバい、匂いがめちゃくちゃヤバい、いい匂いが、あ、ちんちんがやべぇ…!

「おやすみ、」
「お、おやすみ、」

ドキンドキンバクンバクン。心臓が飛び出そうなくらいうるさく暴れ回ってる。理玖姉は疲れてたからかすぐに眠ってしまったらしい。すげぇ穏やかな寝息が聞こえる。それに比べて俺はムラムラしてしょうがない。ヤバい、ほんとこれは眠れんて!落ち着け俺ぇ、深呼吸だ、そうだ深呼吸しろ、

「すぅ…、」

あ、だめだわ。

「はぁああ…、」

ガチガチに勃ったちんちんが痛い。うわぁ、マジでごめん、理玖姉ほんとごめん、でも辛いからほんとごめんけど、

「っ、はぁ、…っ、」

そっとスウェットのズボンとパンツをずり下げた。布団の中から少しだけ匂った俺の先走りの匂いに、ドキリとする。ヤバい、バレたら嫌われそう…。でもごめん、俺も男だし、こんな状態で眠れるわけないんだよ…。そっと自分の竿を掴んで先走りを塗り広げるようにゆっくりと扱いた。大きく息を吸い込めば、ふわりと香る理玖姉の甘い香り。穏やかな寝息。顔を少し胸に押し付けてみた。…起き、ないでよ?

「すぅ…、すぅ…、」
「っ、マジごめん…、はぁ…、理玖姉…っ、」

理玖姉の胸めちゃくちゃ柔らけえんだよな…。そんでもって乳首がピンクで綺麗だったのも覚えてる。ヤバい、あー、ほんとごめん、マジごめん理玖姉…!薄手のパジャマワンピースのせいで、理玖姉の乳首がどこにあるのかなんとなく分かった。俺はそこにそっと吸い付いてみる。ヤバい、

「すぅ…、すぅ…、」
「んっ、はぁ…理玖姉、んぅ、ぢゅっ、はっ、乳首勃ってきた、」
「すぅ…、んぅ…、」
「っ、」

俺ほんと最低だ。寝てる理玖姉の事オカズに抜いてんだもん。でもさ、これくらい許して欲しい。だって俺理玖姉の事好きだし、理玖姉に俺の全部あげるんだし、これくらい、

「いいよな、理玖姉…、今くらい俺に独り占めさせて…、」

返事の代わりに聞こえた寝息を飲み込むように、俺はその唇を塞いだ。



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