目を覚ますと見覚えのない天井が見えた。あれ、私どこで何してたっけ?寝ぼけた頭で思い出そうとした私は視線を横に向けてみた。見えたのは白くてふわふわの髪。あー、なるほど、白い髪ね、うん。…え?!
「悟…?」
「ん…、起きた?おはよ♡」
「…え、あ、え?あ、そっか、悟の部屋だっけ?」
「違うよ、僕と理玖の愛の巣♡」
そうだ思い出した、昨日悟とどえりゃーセックスぶちかましたんだった…。ちょっと待って!?悟の好感度は!?悟の頭上には白いハートで31%と書かれていた。うわ、マジか、まだそれだけか…。いやでも結構頑張ったのでは!?確かあれだよね、私からアプローチしたら1%ずつ上がってったんだもんね!?うわ、それでも、あれだけヤって31%かよ!!ていうか今何時!?任務は!?体を起こそうとすれば悟が私のお腹に腕を回してグッと抱き寄せた。てか、腰いってぇ!
「どこ行くの、理玖。」
「いや、どこって言うか、今何時!?」
「今?別に何時でもいいじゃん。それよりもっかいシようよ。」
「えぇ、ちょ、腰痛いんだけど、」
「あんなに気持ち良さそうにしてたからね、僕も頑張っちゃった♡」
するすると背筋をなぞる悟の長い指に、びくりと体が跳ねる。いや、勘弁してくれ、怒られるって!
「悟ほら、任務行かないと、」
「やだぁ、僕は理玖とずっとここにいるの!」
「そんな子供みたいなこと言わないの!子供達の授業だってしないといけないのに!」
「理玖は僕の事なんてどうでもいいんだ。」
「はぁ!?なんでそうなるの?」
「僕の事だけ考えてくれなきゃやだ!」
「ちょ、悟、」
「ねえ理玖…お願いだから僕を選んでよ…、」
力なくそう言った悟。でも私を抱き締める力は強くて、掛ける言葉に困ってしまう。いや、選べるなら選びたいよ?でも皆大好きだし皆選びたいし、
「僕は理玖がいい…、」
「…悟…、」
え、どうしたらいいのこれ、え、どうしよう、どうする…?!だって、好感度イベントは選択するまで続くとかだったよね?それってどうなんの?悟を選んだら脹相とかまだ会ってない人に会った時イベント始まらないって事?え?どうなの?そう言う事じゃないの!?とりあえず悟をどうにかしないと…、え、どうするのこれ、
「…悟、あのね、」
「やだ、聞きたくない、」
「…悟聞いて、」
「やだ、」
「…さと「やだ。」
困った…全く聞く耳を持たない…。仕方ない…。悟の頭をぎゅっと抱きしめて、優しく背中をぽんぽんしてあげた。ぐりぐりと私の胸に顔を埋める悟。
「悟、ちゃんと愛してるよ、」
「…僕も理玖のこと愛してる。」
「愛してるからこそ、悟の活躍してる姿が見たいな〜?」
「…活躍?」
「そ。いっぱい呪霊祓ったり、ちゃんと先生してる姿が見たいな。」
「…そしたら僕の事選んでくれるの?」
「それはどうかなぁ。私が悟の事を選んだら、もっと私から離れたくないって駄々こねるでしょ?」
「離れたくない。」
「だから選ばないの。」
「…は?」
「私達は呪術師だから、たくさんの人達を呪いから救わなきゃいけない。でも悟を選んだことで。悟が私から絶対離れない!ってなったら、救える命が減っちゃうよね。」
「…理玖も一緒に、」
「私にしかできない仕事がある。だからずっと一緒にはいれないでしょ?分かってくれる?」
「…やだ…、」
「悟が真面目に仕事してる姿見るの好きだよ。」
「…、」
お、32%になった…!
「ちゃんと先生してる姿を見るのも好き。」
33%!
「私の事を大事に想ってくれてる悟も大好き。」
「理玖、」
「初めて悟に会った時から、私もずっと悟が大好きだよ。」
34%、35%…!これは、悟の好きなとこを伝え続けたらいけるのでは…?!
「この綺麗な髪も好き。」
「…ん、」
「六眼も吸い込まれそうなくらい綺麗。ずっと見てたいくらい大好き。」
「理玖にならずっと見せてあげる。」
「悟の顔も綺麗だよね、大好き。」
「僕も理玖の顔も好き。」
「悟の声は聞いてて落ち着くからすごく好き。」
「理玖に毎日愛を囁いてあげる。」
「この大きな口も好きだよ。食べられちゃいそう。」
「理玖のこと食べたい。」
「ぷっくりした綺麗な唇も好き。キスしたくなる。」
「…好きなだけキスしてよ、」
「…悟、」
ちゅっちゅっとキスをして、するりと喉仏を撫でる。普段は仕事着で隠れてるこの喉仏も好き。鎖骨も。綺麗な体も。大きな手も、長い指も、浮き出た血管も。悟の好きな所をひとつずつ上げていく内に、悟は私の体に硬くて熱いモノを押し付けた。マジで、まだできんの…?これ以上は流石に腰骨砕けるよ…?!
「理玖…、」
「ダメ。」
「なんで?」
「私が悟のどこが好きか全部教えてあげるから、私が好きな悟を見たいの。だからほら、カッコよく呪術師してる悟も見たい。仕事してるところ見せてよ、」
「…仕方ないなぁ、理玖がそこまで言うなら高専に戻ろ。」
「あ、その前にお風呂入りたい。」
「運んであげる。」
「そんな優しいところも大好き!」
何とか50%までは回復できた。これはほんとに厄介な反転白モードだな…。シャワーを浴びて服を着ると高専まで悟の瞬間移動で送ってもらった。部屋まで運ぶというのでお言葉に甘えて抱き抱えられたまま職員寮へ。セレクトして反転術式で腰の痛みをとると、下着を着替えて悟と一緒に教室へ向かった。確か今日は私が座学だったはずだ。教室の扉を開けると、メグエルがひとり自習をしていたらしい。教科書から顔を上げたメグエル。くぅ〜、今日もウニ頭可愛い♡
「遅くなってごめんね、きゅん!」
「いえ、」
「ほら悟、任務行かないと、」
「恵と2人っきりになんてさせないよ!」
「授業するだけだから。ほら行っておいで!いってらっしゃい!」
「あ、理玖!」
悟の背中をぐいぐい押して教室から追い出すと、ぴしゃりと扉を閉める。悟の溜め息が扉越しに聞こえた。悟の足音が遠ざかると、ふぅ、と息を吐いてメグエルに向き合う。
「さてと、授業する前に恵君に報告!1年生があと2人、近々入学しまーす!」
「それって虎杖、」
「そ。悠仁君と、もう1人は女の子。仲良くしてあげてね!」
「…はい、」
「さてと、授業始めまーす。前回どこまでやったの?」
授業を終えて次は体術の授業。パパ黒は今日もパチンコらしい。マジで仕事しないじゃん!!!そんなところも好きだけど!!
「呪具を使った戦闘は?」
「親父とたまに。それから真希さんと夏油先生によく相手をしてもらってます。」
メグエルの手には青龍刀の形をした木刀。私も木刀を手にメグエルと対峙する。
「どこからでもかかっておいで!」
メグエルと実技を終えた後は私の引率でメグエルと2人で任務。荒井さんの運転で任務地に向かった。まあ、メグエルの事だから私の手助けもいらなかった。そのまま直帰するというメグエルと別れて、私は真人の元へ向かう。またあの下水道に入るのかと思うと気が滅入るけど、来たる日に向けて準備もしないといけないし、何より順平の事をどうするのかハッキリと決断しなくてはならない。原作同様順平に式神…澱月を使えるようにするべきか、使えるようにしたとして、順平のお母さん、凪さんをどうするか…。順平を高専に入学させるのか、それとも式神を使えるまま凪さんと平和に暮らしてもらうか、それとも呪力術式両方とも剥奪して、呪術界とは無縁に平和に暮らしてもらうか…。こんな所か…。宿儺の指も集英少年院用に回収しないとだしなぁ…。
「真人ー、いるー?」
下水道の中をカツコツとヒールの音を響かせて進んでいく。てかヤバいな…改造人間の気配もある…。ひとりの人間をどこまで大きくできるかってやつもうやってたりするのかな…。
「理玖?」
「久し振り。」
「わーい、やっぱり生きてた!」
「どぅえっ!?」
真人がハンモックから飛び降りて突っ込んできた。馬みたいな足…!てかスピードヤバすぎる、内臓全部出るかと思った…!!真人ってこんな奴だったっけ!?じょ〜ご〜!ばっちゃーん!を思い出させるフレンドリーさにちょっと戸惑ってしまう。
「苦し…っ、潰れるぅ…、」
「あはは!うん、魂の形も綺麗だね…!」
「そろそろ…離して…っ、」
「ああ、ごめんごめん。」
パッと手を離した真人。こっわ!!!無為転変されるかと思った…!!!てか力強すぎだろゴリラか?!?!?!
「来るの遅くなってごめん。死んでた間の仕事溜まっててちょっとバタバタしててさ。」
「へー、ほんとに死んだんだ?」
「1回ね。でも術式のおかげ…って言っていいのか分かんないけど、すぐ生き返った。」
「それで、今日来たのは例の作戦について話があるからってところ?」
「そういう事。賢くなったね、真人。」
「あー、俺の事バカにしてる!」
「バカにはしてないよ。」
「理玖が言ってた吉野順平って人間、そろそろ接触してもいいって事?」
「うん。覚えてると思うけど、彼に式神を使える様にして欲しい。」
「覚えてるよ。映画館だったよね。」
「そう、キネマシネマね。」
真人と計画の再確認をした。真人が順平と出会い映画館での変死事件を起こす。原作通りに進むなら間違いなく、順平は真人に興味を持つはず。真人が順平に式神を使える様にしたら、桜里高校での事件も自然と起こるはず…。だけど凪さんは間違いなく死んでしまう…。
「そうだ真人、これ見た事ある?」
「ん?」
私はスマホの写真フォルダから宿儺の指の写真を見せた。真人が少し悩んだような声を上げた。
「確か漏瑚が持ってた気がする。」
「漏瑚って…火山頭の?」
「そう。っていうか、なんで知ってるの?」
「内緒。丁度いいや、何本持ってる?」
「んー…本数までは覚えてないけど、なんで?」
「ちょっと使いたいから、2本くらい分けて欲しいんだけど…。」
「それも例の計画に関係するわけ?」
「うん。」
凪さんの事は出来るだけ死なせたくはない…。宿儺の指を使うべきだろうか…。でも真人は凪さんの死で順平を焚きつけた…。よく考えなきゃ…、誰も死なない方法を…。
「真人の仲間に会いたいんだけど、紹介してくれない?」
「俺はいいけど、漏瑚は人間嫌いだしなぁ。」
「そこをなんとか!」
「ま、なんとかなるか。」
よし、漏瑚に会って指を分けて貰えば英集少年院と順平の件の2本は手に入る。交渉が大変そうだけど…。とりあえず、順平の件を決めないと…。セレクト。