巡り廻って


【あなたは迷っています。選択してください。選択すると呪力を150消費します。(残り呪力:280)】
【1.来たる日に吉野順平の家に宿儺の指を置く 2.来たる日に吉野順平の家に宿儺の指を置かない】

そう来たか…。羂索も、羂索の代わりをしていたミシェルもいない今、私自らが奴らの役回りをしないといけない。真人と縛りは結んでないから、私の計画通りにすべて事を運んでくれるとも限らない。でも脹相達九相図トリオを受肉させるためには真人達呪霊サイドの協力も必要だし…。はぁ…ほんと心労が絶えない…。一先ず、凪さんは殺したくないから、2番だ。

【2.来たる日に吉野順平の家に宿儺の指を置かない を選択しました。呪力を150消費しました。(残り呪力:130)】

んでもって、英集少年院の分の指は宿儺が自分から飲み込むでしょ…?里桜高校の分はナナミンが回収するから、それに羂索がやってた通り真人の呪力が目印になるように呪符を巻く…。はぁ…大丈夫かな…超怖い…。

「いつ紹介できそう?」
「んー、今すぐには無理だけど、3日後くらいならどう?」
「オッケー、3日後またここに来ればいい?」
「うん。吉野順平は9月だっけ?」
「うん…9月かな、前も言ったけど、それまでは好きに人間ストックしてて。」
「…理玖って呪術師なのに、俺が人間をストックする事容認してるけど、なんで?」
「…それが必要だから。ほんとはダメって言いたいけどね。というか、呪術規定に基づけば今すぐにでも真人を祓わないといけない立場なんだけど、どうしても私の望む未来のために真人の協力が必要だから。…って、これも前に言ったような気がしなくもないな。」
「言われた気もするけど、まあいいんじゃない?ていうか、理玖以外に協力者いないわけ?」
「いないよ、私が2人とも祓ったから。」
「祓った?呪霊?」
「呪霊なのか呪詛師なのかよく分かんないのが1人と、そいつの代わりに動いてたストーカー野郎を1人。ストーカー野郎を祓わなかったら私が動くこともなかったんだと思う。」
「複雑ー。」
「とりあえず今日はこれくらいで帰るかな。3日後頼んだよ、真人。」
「はいはい。漏瑚を紹介する、だね。」
「うん、よろしく。じゃあね。」
「バイバーイ。」

最後に真人の好感度を確認したら15%になっていた。真人にも好感度イベントがあるって事は漏瑚とか花御とか陀艮ともあったりするのかな…?九相図トリオとも?マジ?脹相のことお兄ちゃんって呼んだら好感度上がったりする系だったらウケる。下水道を出て大きく息を吸い込んだ。いやぁ匂いヤバいって。よくあんなところに長居できるな…。鼻に空気清浄機でも仕込んでるのか?…んなわけないか。高専に戻る前にもっかい順平と会った方がいいかな。タクシーに乗って里桜高校へ向かった。順平に会えるかどうかは分からない。もう2年生になってるし、いじめはセレクトで止めたけど、不登校になってないとは言い切れない。火傷の痕もセレクトすれば消してあげれるはず…。里桜高校に着いて校門の傍で順平が出てくるのを待った。

「…あれ、伊藤じゃない…?」

暫く待っていると数人の生徒達に囲まれて出てきた伊藤が、私に気付いたらしい。にっこりと人当たりの良さそうな笑みを浮かべて近付いて来た。

「どうかされました?」
「別に、あなたには関係ないから放っておいてくれる?」
「誰か探してるなら代わりに呼んできますよ。」
「ああそう、じゃあ吉野順平君に会いたいんだけど。」

伊藤の顔が一瞬ヒクついた。

「…吉野君、」
「あなたがいじめてた吉野順平の知り合いなんだけど、」
「ちょっと、伊藤君がいじめなんてするわけないでしょ!」
「そうよ、何よこのおばさん!」
「…おばさん?この男の素の顔も見破れないガキンチョは黙ってなさいよ。」
「ガ、ガキンチョ!?」
「まあまあ皆、落ち着いて。吉野君ならもうすぐ出てくると思いますよ。」
「ご丁寧にどうも。」

もうすぐ出て来るって事はまだ通学してるって事か!いじめ止めててよかったぁ…。

「あの人おっぱいデカくね?」

おい、聞こえてんぞ。

「お姉さんさ、俺らと一緒に遊ばねぇ?」
「間に合ってるから結構。私自分より弱い男に興味ないから。」
「くぅ〜、かっけぇ〜。」
「いいじゃんよぉ、」

うるせぇ黙ってろ。オマエら9月になったら真人に無為転変してもらうんだからな!!そんな事を思っている内に見覚えのある生徒が歩いて来るのを見つけた。順平だ!!

「順平くーん!」
「あっ、」
「マジで吉野の知り合いかよ、」
「チッ、」
「久し振り、元気だった?」
「…はい、あの、理玖さん、でしたよね。」
「そ!今から時間ある?」
「…えっと、」
「あ、もう君達に用はないからさっさと帰りなよ。」

シッシッと伊藤一派に手で追い払う仕草をすると、順平の手を掴んで歩き出した。伊藤の小さな舌打ちが聞こえた。アイツマジでムカつくな…。

「映画でも観に行かない?」
「映画ですか?」
「そ!今面白いのやってる?」

順平の手を引いてキネマシネマを目指した。名付けて、映画観てる間にセレクトして火傷の痕を消しちゃおう作戦。順平は今上映中の映画について教えてくれた。まだ見たことがない新作があるらしいから、それを見ようと提案。

「でも、」
「あ、お金は私の奢りだから気にしないで!門限とかある?」
「いえ、特には、」
「良かった!そうそう、さっきの奴らだよね、順平君のこといじめてた奴ら。」
「…はい、でも、あの、初めて理玖さんに会った日以降、ぱったりなくなって…、」
「ほんと?よかったー、心配してたんだよね。」
「…何したんですか?」
「気になる?」
「…はい、」
「まだ内緒!あ、着いたよ。すみませーん、」

大人と学生で1枚ずつチケットを買って、ポップコーンと飲み物も買うか聞いたけど、映画に集中したいという順平に合わせて何も買わずに入場した。座席に座って上映を待つ間、順平にオススメの映画も聞いたりして時間を潰す。やっぱりミミズ人間シリーズが好きらしい。

「私もあれ見たけどグロすぎて殆ど顔隠してた…。」
「あはは…、今から見るやつもスプラッタですけど大丈夫ですか…?」
「マジ?」
「マジです。」
「…手握ってていい?」
「えっ、」
「いやホント、悲鳴上げたりしたらごめん。やっぱ口塞いどくわ…。」
「い、いえ…、あの、怖かったらいつでも掴んでください。」
「ひゃだ、順平きゅん男前…!」
「きゅん…?」

順平の好感度は初対面時0%だったけど、ここに来るまでに20%になった。映画の予告も終わって本編が始まると、すぐに順平の手を掴んだ。ここで100%にできるならそれでいいけど、できなければ9月までに何回か順平と映画デートだな…。っと、セレクトしとくか。

【吉野順平は火傷をしています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:149)】
【1.火傷の痕を消す 2.なにもしない】

勿論1番一択でしょ。

【1.火傷の痕を消す を選択しました。呪力を50消費しました。(残り呪力:99)】

映画を見終えると、私も順平もトイレに行った。鏡見るかわかんないけど、いつ気付くかなー。トイレから戻ると、順平はまだ出て来ていなかった。適当に壁に寄りかかってスマホを弄っていると、順平がバタバタと男子トイレから出て来て思わず吹き出す。

「ま、また何かしたんですか!?」
「なんのことー?」
「…や、火傷の痕、知ってたんですか…?」
「…さぁ、どうでしょう?」
「………ほんとに何者なんですか…、」
「知りたかったら連絡先交換してよ。また映画デートしよ!」
「デ、デートって…、」
「デートでしょ?」
「…っ、」

お、順平君や、照れてますな…?顔が赤いですぜ…?順平が制服のポケットからスマホを取り出した。LIMEを交換して映画館を出ると、順平と別れて電車とタクシーで高専に戻った。真人と順平が接触したら、真人の事を私に教えてくれるかもしれないし、教えてくれないかもしれない。それはどっちでもいいけど、順平の好感度をもっと上げて、高専に誘いやすくしておいてもいいと思ってる。高専に着いてすぐ教員室に向かった。お、日下部っちいるじゃん。

「日下部っちお疲れサマンサー!」
「…廻神か。」
「2年生どうですか?」
「まあ、手を焼かない奴らで助かってるぜ。」
「それはよかった!あ、飴ちゃんちょうだい日下部っち!」
「オマエ急に距離感バグるのやめろ。」
「てへぺろ☆」

日下部さんの好感度は30%か…。ぶっちゃけどうやって仲良くなればいいんだ…。日下部さんって確か釣りが好きだっけ…。あ、釣りと言えば…!

「日下部先生って釣りが好きなんでしたっけ?」
「何で知ってんだ?」
「風の噂です!」
「…まあ、趣味だな。」
「うちのおじいちゃんも釣り好きなんですよ、もしかしたら気が合うかも。釣り竿使った術式なんですけど、」
「ほぉ、釣り竿…、」
「お盆に呪霊釣ってました。」
「…呪霊って釣れるのかよ。」
「みたいですね!」
「そういえば、廻神さん来てたぞ。」
「…え?」
「オマエの両親。」
「うっそ、聞いてないんですけど!!」
「多分まだ学長室にいるはずだ。」
「ちょっと行ってきます!!」

教員室を飛び出して走って学長室に向かう。お父さんとお母さんに最後に会ったのは、あの領域展開して宿儺の指を回収した時だ。日本に戻って来てすぐおばあちゃんの家に移ったし、

「ノック!!」
「してから開けろ。」
「「理玖!」」
「お父さん!お母さん!連絡してよー!来てるなら教えてよー!」
「久し振りね、理玖。元気だった?」
「うん!」
「理玖ー!」
「ぐえっ、」
「会いたかったよ理玖っ!」
「お父さんすぐ泣くのやめてよ…。」
「まあまあ、」
「急にどうしたの?おばあちゃんちにいたんじゃ、」
「落ち着いたから夜蛾先輩に挨拶にね。」
「私もお父さんも、向こうで術師の仕事を再開しようと思って、その報告に来たのよ。」
「え、マジ?」

お父さんはともかく、お母さんって封印術の使い手で戦闘向きじゃないんじゃ…。

「夜蛾学長詳しく!!」
「風鈴の言った通りだ。あの地域周辺の呪霊の祓除を高専から依頼した。こちらとしても動ける術師が増えるのは助かるからな。」
「でもお母さんは、」
「理玖、母さんは父さんが守るから安心して!」
「ちょっと頼りないけどね、」
「母さん!?」
「まあ、2人一緒に任務に行くなら大丈夫…?なのか?」
「おじいちゃんとおばあちゃんももう歳だからね。私達が2人の代わりにね。」
「あー、おじいちゃんもおばあちゃんもだいぶ会ってないな…。」
「お父さんの実家にもたまには顔を出しなさい。過去の神の子についての資料も全部そっちにあるから、何か役に立つはずだよ。」
「あ、そういえば全然行ったことない気がする。」
「理玖、たまには休暇を取って、家族と過ごすといい。」
「え、でも神仏系とか私しか、」
「4日ほど休暇を与える。」
「マジ?」



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