鉄骨娘


「悟、今日傑は?」
「昨日から出張任務だよ。ついでに実家に顔出して来るってさ。」
「ああ、なるほど。」
「それより理玖、僕の事置いて里帰りだなんて酷い!僕も行きたかった!生巫女姿見たかったのに!」
「いやいや、勘弁して。テレビ来てたし。」
「テレビ!?」
「そういえば、なんでテレビが来てたんですか?」
「いや、父方の家系が代々神社やっててさ、縁結びの神様を祀ってるんだけど、それが話題でテレビ来てたの。そうだ、アイドルの高田ちゃんが来ててさぁ、サイン貰っちゃった!写真も撮らせてもらったんだけど超可愛かったぁ!」
「高田ちゃん?」
「誰それ。」
「高身長アイドル高田ちゃん!あ゛っ!!高たんビームしてもらうの忘れてたああああ!!クッソ、マジかぁ…!」
「理玖ってそんなアイドル好きだったっけ?」
「いや、高田ちゃんしか興味ないよ。よし、私荷物置いてお土産配りに行くから、きゅんは悠仁君に高専案内してあげて!」
「俺ですか…?」
「だって同期だよ?しっかり親睦深めてね!」
「…はぁ、分かりました。おい虎杖、行くぞ。」
「応!理玖姉サンキュー!」
「こちらこそ、ようこそ呪術高専へ。これから頑張ろうね!」

悟と一緒に男子寮を後にした。私の荷物を持ってくれる悟に礼を言って頭上を見てみる。うーん、好感度あれから戻ってないな。原作軸に入ったし、好感度戻しにいくのも大変そう。…この際だから好感度気にせず原作に集中するか…?まあ…その方がいいかな…。交流会までやること山済みだし…。

「理玖、」
「んぇ?んっ、」

部屋に入ってすぐ悟にキスをされた。舌を絡めながら悟を見上げれば、目隠しを持ち上げてじっと私を見つめる悟と目が合う。あー、ヤキモチですね、これ。可愛い。

「悠仁は僕が迎えに行く予定だったのに。」
「ごめんね、私もそろそろ高専に帰らなきゃってところで悠仁君から連絡貰ったからさ。」
「それで?」
「ん?」
「冥さんとまで浮気してさぁ、」
「違う違う、冥さんに呼び出されて会っただけだよ。」
「ふぅん、なんて?」
「なんて…?えっと、私を信仰してる宗教団体を見つけたから、」
「もしかして金のために理玖のこと呼びだしたの?」
「冥さんと言えばお金でしょ?」

ま、私が悪巧みしてる事を口止めする為でもあるからね…。私は嘘を吐かないって漏瑚たちには言ったけど、時には必要な嘘を吐く。それは私に関して言えないことが多いし、これからの為に必要なことも多いし、言えないことは言えないから。

「よし、とりあえず皆にお土産配らなきゃ。」
「何で御守りなわけ?」
「え?だって縁結びだよ?いいご縁がありますようにってさ。」
「僕はいい。理玖がいれば。」
「分かってるって。悟も行く?」
「行く!」

お土産の紙袋を手に部屋を出た。夜蛾さんにさっきお土産渡すの忘れてた…。学長室から行くかな。悟と歩いて学長室へ戻ると、夜蛾さんはまだ呪骸を作っていた。

「夜蛾学長、お土産です。さっき渡しそびれたので。」
「おお、理玖か。土産なんぞ気を遣わなくてよかったんだがな。」
「いえいえ、お休みありがとうございました。うちの神社の御守りとそこの地酒です。」
「わざわざすまん。それで、虎杖悠仁は理玖を家族と言っていたが、どういう関係だ。」
「あー…実は以前夜蛾学長に人探しを頼んだの覚えてますか?虎杖仁って人なんですけど。」
「…ああ、確かにあったな、そんな事が。…その人の、」
「奥さんが呪われてたのを私が助けたんです。それでその仁さんと奥さんの香織さんの息子が、悠仁君です。」
「…なるほどな、そういう事だったか。理玖が連れてくるほどだ、オマエの秘密と何かしら関りがあるんだろう。」
「それは言えません。」
「フン、まあどちらにせよ、宿儺の器という存在は今後吉と出るか凶と出るか、そこは理玖、オマエに掛かっている。保守派筆頭である京都の楽巌寺学長はあの子の存在を容認しないだろう。」
「大丈夫です、悠仁君は私が守りますから。それと、私の任務に悠仁君含む1年生を同行させることも増えるかと。」
「うむ、1年生は今まで通り悟、傑、理玖の3人で面倒を見るように。それから極力は虎杖悠仁は単独行動を避ける様に。お前たち3人の誰か、もしくは他の生徒、それから伏黒甚爾と行動させるように。」
「はい。」
「オッサンも?」
「万が一の為だ。」

それから2、3年生は任務で出払ってるから職員室へ。日下部先生にも縁結びの御守りを上げて、硝子にも御守りと地酒を渡した。パパ黒は相変わらずギャンブルに出ているらしい。仕事しろ…。補助監督たちにもお土産を配り切ると、休んでいた分溜まった任務を確認した。悟も伊地知に呼び出されて任務に行く事になり、私達はそれぞれ駐車場で別れた。荒井さんの運転で移動中、少ししか寝てなかったこともあって仮眠をとらせてもらった。神仏系の任務だ。すぐに終わらせてもう1件。高専に戻る車内で報告書を書いて、帰りつく頃にはすっかり夜だった。今日は…というか、休暇中は家族団欒できたものの、ちゃんと休めたかと言われればそうでもない。ただリフレッシュは出来たし、神の子についてもちょっと知ることができた。宿儺が過去の神の子を攫って娶ったって聞いたけど、私大丈夫か?今日だって私が神の子って言ったら宿儺はビックリ?してたし。でもまあ、私の意志で宿儺とゆじたんを入れ替えられる縛りを結ぶのは、もしかしたら可能かもしれない。寝支度をしながらそんな事を考えて、疲れもあってすぐに寝た。明日はいよいよ野薔薇も合流だ!

「おっはよ〜!」
「おっす理玖姉!」
「おはようございます。」

翌日、私はゆじたんの制服を手に教室へ。

「はいこれ、悠仁君の制服ね!それ着替えたら、原宿に行くよー!」
「原宿ー!?すっげぇ!」

ゆじたんがしゅばばばーっと着替えると荒井さんに原宿まで送ってもらった。悟は朝一で任務に行ったから、後で合流だ。原宿駅前で車を降りると、悟を待つ間コンビニへ。ゆじたんは棒付きアイスを買っている。可愛いかよ。駅前に戻って悟を待つ。

「一年がたった3人って少な過ぎねぇ?」
「じゃあオマエ、今まで呪いが見えるなんて奴会ったことあるか?」
「……ねぇな。」
「それだけマイノリティなんだよ、呪術師は。」
「っていうか、俺が3人目って言ってなかった?」
「入学は随分前に決まってたらしいぞ。こういう学校だしな、何かしら事情があんだろ。」
「そ。術師家系の子だからね、自分で育てたいってその子のおばあちゃんがね。説得すんの大変だったんだよぉ…?目の前でちゃぶ台引っ繰り返るは物が飛び交うわで、」
「マジ?」
「おまたせー。おっ、制服間に合ったんだね。」
「おうっ、ピッタシ。でも伏黒と微妙に違ぇんだな。パーカーついてるし。」
「制服は希望があれば色々いじって貰えるからね。」
「え、俺そんな希望出してねぇけど。」
「私が出しましたー!」
「理玖姉が?!…ま、いいか、気に入ってるし。」
「うんうん、似合ってるよ!」
「気を付けろ、理玖さんも五条先生もこういうところあるぞ。」
「じゃ、行こっか!原宿観光!」
「おー!」
「観光って…。それよりなんで原宿集合なんですか?」
「本人がここがいいって。」
「アレ食いたい!!ポップコーン!!」

スマホを確認すれば、野薔薇から原宿についたと連絡が入っていた。合流地点に向かってる事を返信して、テンション上がってるゆじたんにクレープやらポップコーンを買ってあげた。あと2018サングラスも!

「理玖姉も食う?」
「食べるー!」
「ほい、あーん!」
「あー…、悟、」
「ん〜、ほいひ〜!」
「あー、五条先生!つか一口でかっ!」

「ちょっとアンタ、私は?」

「お、いたいた!」
「俺達今からアレに話しかけんの?ちょっと恥ずかしいなぁ。」
「オメェもだよ。」
「おーい、コッチコッチ、」
「野薔薇ちゃーん!」
「理玖さん!」

荷物を手に駆け寄った野薔薇にぎゅうっと抱き着くと、野薔薇もぎゅううっと抱きしめ返してくれた。はえええ…可愛いかよ…。

「理玖さんと原宿!」
「野薔薇ちゃんと原宿!」
「「イエーイ!」」
「盛り上がってるとこ悪いけど、荷物置きに行かない?」

コインロッカーに荷物を置いて、いよいよあの場面だ!

「そんじゃ、改めて。」
「釘崎野薔薇。喜べ男子、紅一点よ。」
「俺、虎杖悠仁。仙台から。」
「伏黒恵。」

野薔薇がじとーっとゆじたんとメグエルを見ている。ハナクソ食ってたとか重油まみれのカモメに火をつけたりするって思ってるんだろうなぁ。

「私ってつくづく環境に恵まれないのね。」
「まあまあ野薔薇ちゃん、そう言わずに。」
「私の救いは理玖さんだけですよ…!」
「んもう、可愛いこと言ってくれるじゃないのぉ!」
「これからどっか行くんですか?」
「フッフッフ、せっかく一年が3人揃ったんだ。しかもその内2人はおのぼりさんときてる。行くでしょ、東京観光。」
「え゛、」
「TDL、TDL行きたい!!」
「バッカTDLは千葉だろ!!中華街にしよ先生!!」
「中華街だって横浜だろ!!」
「横浜は東京だろ!!」
「きゅんはどこ行きたい?」
「理玖さんと一緒ならどこでもいいです。」
「恵きゅん…!」
「はいそこ、僕の理玖とイチャイチャしない。」
「別に、五条先生の理玖さんじゃないですよね。」
「理玖は僕のなの!」
「はいはい私の為に争わないで。それでは行き先を発表しまーす!」

すっ、とその場に膝をつくおのぼりさんズ。可愛い…そして笑っちゃう…。

「「六本木!」」
「「六本木?」」

かくして私達はタクシー2台で六本木へ。

「いますね、呪い。」
「「嘘つきー!!」」
「六本木ですらねー!」
「地方民を弄びやがって!」
「まあまあ、TDL連れて行ってあげるからそう怒らないの。」
「理玖さん…!」
「でかい霊園があってさ、廃ビルとのダブルパンチで呪いが発生したってわけ。」
「やっぱ墓とかって出やすいの?」
「墓地そのものじゃなくて、墓地=怖いって思う人間の心の問題なんだよ。」
「あー、学校とかも似た理由だったな。」
「ちゃんとしたお寺さんの敷地にある墓地には、呪霊は少ないけどね?」
「そうなの?」
「お坊さんがちゃんとお経をあげてくれるから、心霊的なモノはそう出ないから怖くないの。だから呪いも少ない。でもこういうザ・墓地って感じの所は出ちゃうね。呪い。」
「ちょっと待って、コイツそんなこと知らないの?」
「実は…、」

メグエルがかくかくしかじか説明しているのを聞きながら、今後の展開を思い出しておく。まあ、2人なら大丈夫だろ。

「飲み込んだぁ!?特級呪物をぉ!?きっしょ!!!ありえない!!衛生観念キモすぎ!!無理無理無理無理!」
「んだと?」
「これは同感。」
「君達がどこまでできるか知りたい。ま、実地試験みたいなもんだね。」
「えー、私理玖さんに認められてるのに!?」
「これは入学後の実力テストだと思って、2人で建物内の呪いを祓って来てくれる?」
「あれ、でも呪いは呪いでしか祓えないんだろ。俺呪術なんて使えねぇよ。」
「君はもう半分呪いみたいなもんだから。体には呪力が流れているよ。でもま、呪力の制御は一朝一夕じゃいかないから、これを使いな。」
「おぉ、」
「呪具『屠坐魔』呪力の籠った武器さ。これなら呪いにも効く。」
「あ、悠仁君それから、宿儺は出さないでね。アレを使えばその辺の呪いなんて瞬殺だけど、近くの人間も巻き込まれるから。」



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