朝の会という名のホームルームが終わると、私は言われた通りショタ五条の後について教室を出た。いやぁ、困った。これ大丈夫?殺されない?とりあえず左上のセレクトを開いてみる。
【あなたは五条悟に呼び出されました。選択してください。選択すると呪力を10消費します。(残り呪力:60)】
【1.大人しく従う 2.反抗する 3.なにもしない】
…反抗するとは一体何をするつもりだ…なんだこの選択肢、超怖い。とりあえず、なにもしないでおくか…?いや、大人しく従うとなにもしないってどう違うの?てか呪力消費するってことはやっぱりこれ術式?それに呪力量増えてない?セレクト画面を見ている間も時間は進むらしい。立ち止まって考えていた私に気付いたショタ五条が舌打ちをした。おうおう、生意気なヤツめ。そんな所もかわゆいな、ショタだから。
「なにやってんだよ、早く来い。」
「あー、ごめんごめん、行きまーす。」
ショタ五条に追いつくと、辿り着いたのは下駄箱。肩を掴まれて下駄箱に体を押し付けられる。お、もしかしてこれ無限使ってる?体がショタ五条の方に動かない!すっご!無限すっご!感激している私をよそに、ショタ五条の鋭い目がグッと私を睨みつける。あ、そっか、小さい頃から命狙われてたんだもんね。自分のこと知ってるヤツがいきなり転校してきたとなれば、警戒するのも当たり前だよなー。
「オマエ、何者?」
「…理玖って呼んでよ、オマエって名前じゃないから。」
「…生意気。殺されたいの?」
「いや、死にたくはないかな。何で私が何者か聞きたいの?普通の小学1年生だけど…。」
「俺の名前、知ってるだろ。」
「五条悟でしょ?名札付けてるじゃん。」
「ちげぇよブス。」
「ブスじゃねえよタコ。」
あ、ごめん、あまりにもブスブス言うからつい言い返しちゃった。ショタ五条がちょっと目を見開いてる。ヤバい殺されるか?とりあえずセレクト開くか。
【五条悟はあなたが何者か知りたいようです。選択してください。選択すると呪力を10消費します。(残り呪力:60)】
【1.正直に前世の話をする 2.五条悟が好きだと伝える 3.なにもしない】
1番は言ったところで頭おかしいヤツだと思われるに違いない。ていうか2番も頭おかしいだろ!なんだこの選択肢使えねえ!消去法で3!
【3.なにもしない を選択しました。呪力を10消費しました。(残り呪力:50)】
「さっきから何黙ってんの?やっぱりなんか隠してんだろ。」
「なにも隠してない。転校してきたのは父親の仕事の関係だし、」
「オマエの父親、何の仕事してんの。」
そう言われて考える。…あれ、お父さん何の仕事してんだろう。スキップしたからよく知らないぞ、って思っていたら、頭の中に経験したことになっている記憶が流れた。あ、やば、うちのお父さん呪術師やってるわ。
「呪術師って言ってた。私はよく知らないけど。」
「…オマエ、さっき術式使っただろ。」
「えー?わかんなーい。」
「頭悪っ。」
「は?喧嘩売ってる?」
「さっきから売ってるけど?」
「あーはいはい、私アンタより大人だから安い喧嘩は買わないよ。」
そう言いながらもう一度セレクト。
【五条悟はあなたに興味があるようです。選択してください。選択すると呪力を10消費します。(残り呪力:50)】
【1.友達になりたいと伝える 2.恋人になりたいと伝える 3.関わりたくないと伝える 4.なにもしない】
いやいやいやいや、さっきから使えねえな!2は唐突過ぎて意味分かんねえよ!あー、でも折角ショタ五条と知り合えたし、友達くらいにはなりたいな。高専にもいずれ通ってみたいし…、うん、1番!
【1.友達になりたいと伝える を選択しました。呪力を10消費しました。(残り呪力:40)】
「俺とオマエが?…友達?」
「うん。席も隣だし、この機会にぜひ友達になろうよ。じゃ、よろしくね悟!」
「は!?まだ誰もいいって言ってねえだろ!」
そう言いつつも、シャタ五条もとい、悟の好感度は-90%になっていた。…おやおやぁ?
「もしかして悟、友達いないの?」
「ばっ、いるし!」
「へー?じゃあなんでそんなに嬉しそうなの?」
「ちげえし嬉しくなんてねえし!調子のんなブス!」
悟はそう言うと私を置いて走り去った。…何あれ、可愛すぎじゃない!?ショタならではの初心さが眩しい…!私も悟を追いかける。正直教室の場所忘れたし、何組だったか覚えてないから!
「悟、待ってー!」
「ついてくんじゃねえよ!」
「いや、教室の場所知らないから!」
そう言うと、悟はピタリと立ち止まった。私が追いつくと、悟はガシガシと頭を掻く。ちょっと顔が赤いのは、走ったからではないだろうね。私はにやけそうになるのを我慢して、悟の手を掴んだ。無限は発動していないみたいで、掴んだその手はとても熱かった。
「ね、私の事は理玖って呼んでよ。はい、」
「…誰が呼ぶか、ブス!」
「ブスじゃねえっての!」
「ブスはブスだろ、ブス!」
「あーはいはい、分かったもうそれでいいから。ガキめ。」
「ハァ!?絶対オマエと友達になんてならねえし!」
そう言うと、私の手を振りほどいてまた走り出す悟。だから、私教室知らねえっての!そう思いながらも、私は悟の反応を思い出してにやける口元をそのままに、彼の後を追いかけた。