私は今凄く困ってる。なんでかって言うとさ、授業も全部終わって、帰りのホームルームも終わったんだよ。いざ学校から帰ろうと皆下駄箱に行くじゃん?私も行くじゃん?必然的に悟も行くじゃん?面白い事にだ〜れも話しかけてくれないのね!笑っちゃうわ!多分原因は、
「おいブス、俺のランドセル持てよ。」
「ヤダよ自分で持ってよ、めんどくさいな。」
「オマエは俺の下僕だから。今後毎日ランドセル係な。」
「なんだよランドセル係って。」
悟はベッタリ私に着いてくる。それも面白いくらい皆に避けられてる。多分悟は同学年から見ても大人びていて乱暴な感じがあるから近寄り難いんだろうな、分かるよ。私もクラスにこんなんいたらビビるもん。それに授業中に教科書見せてもらう為に机とかくっ付けて話したりしてたから、少し親密度が上がったらしい。悟の頭上には50%の文字が。いやいや、振り幅でかっ。さっきアンタ私に対して好感度マイナスだったじゃん、どうした?!
「あ、」
私はふと立ち止まる。帰宅するにも道知らんわ。私大丈夫かこれ。今後の人生やって行けるか?そんな事を思っていたら、悟が私の手を引いて歩き出した。おうおう、悟くんや、随分積極的になりましたなぁ。
「車、乗せてやるよ。」
「わ、マジ?超助かる!正直家の場所知らないんだよね。」
「は?やっぱオマエバカだろ!」
「うるさいなぁ、朝気付いたら既に学校にいたんだよ!」
「なんだそれ、意味わかんね。」
「そうそう、私も意味わかんない。」
校門を抜けると大きな黒塗りの車が1台停まっていた。わー、さすが五条家のお坊ちゃまだ。運転手がドアを開けてくれる。私は悟に引っ張られて車に乗り込んだ。
「コイツ、家に送るから。」
「かしこまりました。住所は分かりますか?」
「あー…ちょっと待ってくださいね、」
記憶を頼りに住所を告げると、運転手は頷いて車を走らせた。私の家はそこそこ大きかった。と言っても隣に座る五条家のボンボンと比べたら大したことないんだろうけど。車が走ってる間無言だった私達。車から降りる時に悟に、また明日ね、と言って手を振れば、悟はそっぽを向いて小さく頷いた。なにそれなにそれー、やっぱりこの頃からツンデレか?お前まさかショタの頃から性格拗らせてるのか?!
「送ってくれてありがとうございましたー。」
「こちらこそ、悟様と仲良くして頂いてありがとうございます。」
「おい、余計な事言うな!」
「あーいえいえ、運転手さんも大変ですね。」
「おいブス!さっさと帰れ!」
「悟様、お友達にそのような口を聞いては…、」
「あ、大丈夫なんで!じゃあね悟。」
バン、と車のドアを閉めると家の門を潜る。悟の乗った車は私が門の中に入るまで停まっていた。
「ただいまー!」
「あら、おかえり理玖。どうだった、転校初日は?」
「友達出来たよ、めっちゃ生意気なガキだけど。」
「あら、小学生なら皆生意気なガキよ。」
私のお母さん意外と辛口だな。いや、私もか。とりあえず小学生らしく宿題をやって、お母さんの家事を手伝った。お父さんが帰って来たら悟の話してみようかな。
「ただいまー。」
「あら、お父さんだわ!おかえりなさい!」
「おかえりー。お父さん聞いて、友達出来たよー。」
「お、理玖はどうだった?クラスに馴染めそうか?」
「それがね、その友達以外誰とも話せなかった。隣の席の男子なんだけどさ、五条悟って言うんだけど、」
「五条悟…?それってもしかしてあの五条悟か?」
「あ、やっぱりお父さんは知ってた!」
「理玖、五条悟の機嫌を損ねるなよ…?父さん呪術師やっていけなくなっちゃうから。」
「あーうん、分かった。」
ま、そうなるよねー。五条悟に目を付けられたらお父さんが職を失ってしまうから、私は彼の機嫌を取り続けないといけなくなってしまった。選択ミスったか?
「その内理玖と縁談なんて話が来たら面白いわね、うふふ。」
「やめてよ母さん、五条家怖いんだから!」
どうやら私のお父さんは1級術師らしい。お母さんも呪術師だったらしいけど、私を産むと同時に専業主婦になった。お金は2人がガッポリ稼いだおかげで結構あるみたいだ。お父さんの家系は元々術師の家系なんだって。2人の術式までは私は知らないけど。ちなみに2人には私の術式について話していない。…というか、話せない。さっきお母さんに話そうとしたら無理だった。口が動かなくなった。あと視界に注意書きが出たから多分何やっても無理っぽい。
「理玖も呪術師になるか?」
「あー、うん、そのうちね。」
「理玖は他の子と比べたらすごく賢いから、好きにやりたいことやりなさい?」
「うん、そうするね。」
選択するだけのこの呪法、なんて名前なんだろう。やっぱりそのまま選択呪法?え、だっさ…。まだセレクトって言った方がマシじゃね?そう思いながら、一人頭を悩ませた。