廻神理玖と名乗ったガキ。初めて会ったのは昨日。たまたまだ。たまたま歩いていた俺の視線の先に、コイツが降ってきた。初めは自殺かと思ったが、拾って聞いてみりゃ違うという。可笑しなヤツ。そいつは俺のことを甚爾様と呼んだ。俺を様呼びする奴なんて誰もいやしねぇってのに、コイツは目を輝かせてそう言った。
「ガキじゃないですってば、理玖って呼んでください!甚爾様!きゃ、素敵!」
あー拾わなきゃよかった。めんどくさそうなヤツを拾っちまった。
「甚爾様、ひとまず今回のお礼はこれで!また私の事キャッチしてくださいね!」
頬に触れた小さな唇。小1とか言ってたな…。別に、ガキに興味はねぇ。あと10年くらい経ったら、遊んでやってもいい。そん時ゃお望み通り抱いてやってもいい。走り去る背中が小さくなる。その向こうに見えた人影。…あれは…、マジか、へぇ…。あのガキ、確か五条悟とか言ったな。…親戚か?いや、ダチか…?最近知り合ったビジネスパートナーの孔にあのガキを調べてもらった。
「廻神理玖、神の子だとよ。」
「神の子?」
「廻神家は何百年かに一度、八百万の神々から寵愛を受けた子が生まれるらしい。神に愛されるほど麗しく賢い子が生まれるそうだ。そして神の声を聞く事ができるらしい。」
「…んで、コイツがその神の子だって?」
「ああ。…見ろ、丁度呪詛師御用達の掲示板に懸賞金が賭けられてる。それもあの五条悟と同じ金額だ。」
「こんなガキにねぇ。」
「写真で見るだけでも思ったが、小1とは思えない可愛さだろ?大人になれば上玉、しかも記録じゃ歳をとってもその美貌は衰えないらしい。」
「コイツを手に入れてどうなる。」
「さぁな、どうせ欲しがる奴なんか決まってるだろ。幼女趣味の変態野郎か八百万の神を信仰する宗教家か、だな。」
「ふーん。」
「で、なんでこんな事調べて欲しかったんだよ。」
「今日知り合った。」
「ウソだろ…?」
「嘘じゃねぇ。」
「…可愛かったか?」
「ガキにしてはな。あと10年もすりゃあ抱きたくなる程成長すんだろ。」
「俺も生で見てみたいな。」
「変わったヤツだぞ。」
そう、変わったヤツだ。
「…んぅ、」
「マセガキ。」
「と…じ、さま…、」
俺の指を口に咥えて欲情した顔で見上げてきやがって。6歳とは思えない色気を持ってやがる。コイツを攫ったのは呪詛師。そして探ってみりゃ八百万の神信仰をする宗教団体があの掲示板にコイツの誘拐を書き込んだらしい。攫って祀りあげる気だったんだろ。気になってコイツの家を遠巻きから張ってりゃ、案の定、呪詛師がコイツを狙っていたから後をつけた。救ってやりゃこのザマだ。
「オイ、俺はガキには勃たねぇ。」
「ふ…ん…はっ、はぁ、」
「…が、オマエが相手なら別だ。せいぜい悦んでろ。」
「…すてき…、」
「言ってろ。」
服を破かれて見えていた、膨らんでもない胸の先端を指で弾いてやる。呪詛師の術式で媚薬を盛られたらしい。体を震わせて甲高い声を上げるコイツは、震える手で俺に手を伸ばした。
「…。」
その手を掴んで体を抱える。…場所が悪いな。俺の首に細腕を回す理玖。横たわる呪詛師の体を踏みつけて適当に座れそうな高さの箱に腰を下ろす。膝に理玖を乗せれば、理玖は俺の体に縋り付いた。…息が荒い。やっぱ辛いか。
「おい、理玖、」
「はぁ…はぁ…、甚爾様…、」
「…おい、こっち向け。」
俺を見上げたその小さな唇を舐めてやれば、理玖は顔を真っ赤にして口をパクパクさせた。…面白れぇなコイツ。
「うそ…、やだ…嬉しくて死にそう…、」
「勝手に死んでろクソガキ。」
「なにこの言葉責め…たまらん…。」
「そうかよ。」
変なヤツ。その唇に齧りつくように口付ける。口の中に舌を入れてやれば、俺よりも小さな舌が控えめに俺に絡みついた。…マセガキ。荒い息のまま必死に俺に応えようとする理玖の胸の先を摘まむ。揉むもんもねぇし、今はこれだけで十分だろ。
「ぁっ!」
「心配すんな、最後まではしねぇよ。」
とは言ったものの、小1相手にできることと言えばなんだ。キスするか触るくらいだろ。
「オイ、どうして欲しいか言ってみろ。」
「…ぇ…、言ったら…、やってくれるんですか…?」
「内容による。」
「…抱き締めて欲しい…。」
「…そんなんでいいのか。」
「じゅうぶん…幸せです…。」
言われた通り体を抱き寄せる。俺の首にしがみ付いた理玖の背中を撫でれば、ビクビクと震える体。
「はぁ…甚爾様…、名前、呼んでください…、」
「…理玖。」
「うぅ…好き…。」
「ハッ、そうかよ。」
「もっと、」
「…理玖。」
「甚爾様、」
理玖が落ち着くまで、その小さな体を抱き締めてやった。どのくらい経ったか忘れた頃に、ようやく理玖が落ち着いたらしい。
「…甚爾様、あの、ごめんなさい…。」
「ア?」
「助けてくれて、ありがとうございました。」
「別に。たまたま見かけたから助けただけだ。」
「…2回も助けられちゃった!お礼しないとですね…?」
「ガキから貰うもんはねぇよ。」
「…じゃあ、大きくなったら貰ってくれますか?」
「内容によるな。」
「ふふ、じゃあ、早く大人になりますね!」
「無理だろバカか。」
立ち上がって理玖を下ろす。…そういやコイツ服ねぇな。
「…着るもの、破かれちゃいましたね。リュックどこだろ…。」
「…これか。」
「あ、それです!どこにあったんですか?」
「オマエが攫われた時に落ちてたのを拾った。」
「あ!い、今何時ですか!?ヤバイ、お母さんに怒られる!」
携帯で時計を見れば19時を過ぎている。…小1なら親に探されてるだろうな。最悪警察沙汰か。
「送ってやるから服があんなら着てろ。」
「あります!着ます!送ってください!…そう言えば、甚爾様は呪具を使うんですよね?」
「…ああ。」
「…あの、私に呪具の扱い方、教えてくれませんか?」
「ハ?」
「その…私、どうしても強くなりたくて…。強くなってやらなきゃいけないことがあるんです。だから…甚爾様のご迷惑にならないなら…、」
そう言って俺を見上げる理玖。…別に教えるのはいいが、教えてどうなる。
「…やっぱり、ダメですか?」
「…毎週土曜、16時、迎えに行くから家の前にいろ。」
「それって…、」
「教えてやる。その代わり容赦はしねーし、俺が飽きたらやめる。」
「や、やったー!ありがとうございます、甚爾様!」
「やめろくっつくな。あとさっさと服着ろ。」
「はぁい。…ふふ、良かった、甚爾様に出会えて!」
そうかよ。…ま、俺も面白いヤツに出会えたと思う。飽きたらやめるとは言ったが、飽きる気配は今の所ない。せいぜい頑張れクソガキ。
「オラ、さっさと行くぞ。」
「おてて、繋いでいいですか?」
「勝手にしろ。」
「うふふ、繋いじゃお!」
俺の手を掴んだ小さな手。
「甚爾様、」
「なんだよ。」
「うふふ、呼んでみただけです!助けてくれてありがとうございます!」
眩しい笑顔だった。
「やっぱほっときゃ良かったな。」
「え、そんなぁっ!?」
「ハッ、冗談だ。」
さっさと大人になってみろ。そしたらなんでも貰ってやるよ。