「理玖!」
「ただいまー!」
「どこに行ってたの、こんな時間まで!」
パパ黒に家の近くまで送って貰って家に帰ると、お母さんが駆け寄って私を抱き締めた。パパ黒と出会った事は内緒にしておいた方がいいだろう。とりあえず、あった事は正直に話した。
「呪詛師に誘拐されたから、自力で帰ってきた!」
「…もう、心配したんだから!」
「ごめんなさいっ!でもちゃんと始末したよ!」
「…そういうことを言いたいんじゃないの…!」
案の定お母さんにはこっぴどく怒られた。警察沙汰にもなっていたし、悟の家にも連絡していたらしい。けど私にとっては今はそれどころじゃない。そう、それどころじゃないの。…だって、ほら、ね?パパ黒とちゅーしちゃったのよ?しかもベロちゅーよ?ベロちゅっちゅよ?!もうね、ヤバかった…。私が6歳の体じゃなかったらもうこれは襲ってましたね、うん。最後までやらないって言ってたけど私はもう最後までやってましたね、うん。あ、思い出して鼻血出てきた。
「ちょっと、鼻血出てるわよ!?どこか怪我は!?」
「してないよ!ちょっと疲れちゃったからかも…。今日は早く休むね!」
「あ、待ちなさい理玖!」
自分の部屋に入ってベッドに体を沈める。今日はマジで疲れた。疲れたけど眼福な一日だった。…ふふふ、思い出してにやけちゃうなぁもうっ!パパ黒にぎゅってしてもらえたし、ベロちゅーもしちゃったし、もうこれ結婚か?やっぱ結婚するしかなくね?ってのは冗談だけど、パパ黒に呪具の扱い方を教えてもらう約束も出来た!よしよし、これからどんどん強くなっていかないとねぇ!あの変態呪詛師には、したくないけどほんの少し感謝だな。パパ黒にぎゅってしてもらってる間にセレクトして、なんとかあの術式を解除できたのは幸いだ。出来なかったらどうなってたんだろ…。小1じゃ流石にさ、ヤバいじゃん?色々と。あーでも、パパ黒の好感度が23%まで一気に上がってビックリした。だって昨日最後に見た時5%とかだったし!
「早く大人になりたーい。」
ま、無理なんだけど。あ、悟んちに電話したって言ってたし、明日学校で問い詰められそう。…てか、家まで来そうじゃない?悟なら来るよね…うん、絶対来るわ。…あ、今インターホン鳴ったな、これ悟だ。
「理玖、ちょっと来なさい!」
「あ、はい、行きます!」
リュックから洗濯物を取り出して階段を降りる。やっぱり玄関には悟がいた。
「理玖!」
「悟、ごめんね心配かけて!」
「…なんでさっさと家に入らなかったんだよ!」
「いや、入ろうとしたら動けなくなったの。呪詛師の術式のせいだったけど、ソイツは始末したからもう大丈夫!」
「…そういう問題じゃねぇし。…ごめん。」
「え、なんで悟が謝るの!?」
「俺を狙ってるヤツの仕業だろ…。」
「いや、違うみたい。なんか私の事が欲しいって人がいるんだって。欲しいって何だよって感じだけど。だから悟のせいじゃないよ、気にしないで?」
「…気にするだろ。」
「そんなに気にするんだったら、次は悟が助けてくれる?まあ、次はないと思うけど。私も油断しすぎてたから、今後は気を付けるよ。」
「…うん。」
悟が何かを言いたそうにしていたけど、もう20時過ぎてたし、悟の家も結構離れてるからさっさと帰らせた。帰ってきたお父さんにも怒られて、そのあとすごく心配された。そして新情報を得た。
「呪詛師に懸賞金を賭けられてる?なんで?」
「…実は、父さんの家系には昔から、神に愛された子が生まれるとされてるんだ。」
「…ほう。」
「家に伝わる記録だと、神に愛された子は才色兼備、そして神のお告げを聞く。…理玖は何か自分で当てはまると思うことは?」
「…ある。」
というか、神のお告げってつまり宣託呪法の事だよね?才色兼備かどうかはまあ、周りの反応見てればそう言うことになるんだろうな。って言っても元は成人した女が今は6歳児やってるんだから、他に比べたら出来もすこぶるいいでしょそりゃ。
「理玖は神の子なんだ。だから狙われている。本当は東京に来たくなんてなかったんだけど、どうしてもこっちじゃないとダメな理由があって、致し方なく引っ越したんだ。」
「どういう理由?」
「…五条悟。」
「…悟?」
「…彼は六眼と無下限術式の抱き合わせだ。父さんは理玖を守りたかったけど、高専で術師をやっている以上限度があるし、母さんは封印術師だから戦闘向きではない。だから五条悟と同じ学校に通わせて、理玖を守ってもらおうと…。」
「お父さん、五条家怖いんじゃなかった?」
「怖いよ…!ほんと怖い…!けど、こうするしか理玖を守る術がなかったんだ。…だから理玖が五条悟と友達になったと聞いて、心底ほっとしていた。けど、今日みたいなことが起きてしまった。怖い思いをさせてしまってごめん…。」
うーん、ちょっと待ってね、整理したい。つまり、私はその宣託呪法が使えるから神の子って言われてるんだろうか?そんでもって神の子はなんで狙われるんだ?私が狙われるから、最強である悟と私を知り合わせて、あわよくば守ってもらおうってことでしょ?まあ、お父さんの目論見は今の所うまい事いってたみたいだけど、今日みたいなことが起きたのはまあ仕方がない。
「なんで狙われるの?」
「神のお告げを聞けるからだろうね。」
「ふぅん…?お告げって言っても大したことないけど…。そもそも人に話せないからなぁ。」
「そうなのか?」
「うん。まあ、今後は気を付けるね。今は悟に鍛えて貰ってるし、他にも私の事を鍛えてくれるって人がいるから、自分を守れるくらい強くなるね!」
「そうか。…ごめんよ理玖。」
「なんで謝るの?寧ろ色々と分かって来て助かった!ありがと、お父さん!心配かけてごめんね?」
お父さんと話を終えて部屋に戻る。少しずつ自分のやるべきことが分かってきたかもしれない。私は神に愛されているらしい。悟はもっと小さい頃から狙われてたんだろうな。私も自分の身は自分で守れるくらい強くなんないとね!…あ、もしかして、それでパパ黒と知り合えたのかな?マジ?最高じゃん!?来週の土曜日から鍛えて貰えるみたいだし、楽しみっ!…て、暢気なこと考えてるけど、ぶっちゃけめんどくさい。何で私の事狙うの?怠くね?セレクト。
【選択してください。選択すると呪力を10消費します。(残り呪力:51)】
【1.神の子について 2.八百万の神々について 3.あなたを狙うものについて 4.なにもしない】
3!
【3.あなたを狙うものについて を選択しました。呪力を10消費しました。(残り呪力:41)】
さてと、なんと来るかな。
【あなたを狙うものについて。あなたは様々な理由で、様々な人物に狙われています。あなたは自分を守る選択をしなければなりません。今後も好感度イベントは見逃さないようにしよう!】
…相変わらず役に立たないな。もっとなんかないの?!…ん、待てよ?好感度イベントは見逃さないようにって事は、やっぱり他の人達にも好感度イベントで出会うって事だよね?そんでもってそのイベントを選択すれば、私の為になるって事?そんなの決まってんじゃん!やるでしょ、イベント!
「誰に会えるか楽しみー…!」
翌日、私を迎えに来た悟は今まで以上に私に引っ付いて来るようになった。…ほんと可愛いな?なんなの?無下限呪術じゃなくて、かわいい術式の間違えじゃない?え、違う?
「理玖、どこ行くんだよ!」
「トイレ!」
「…トイレの前で待ってるからさっさと行ってこい。」
「理玖、」
「給食当番!」
「俺も行く。」
「アンタ当番じゃないじゃん!」
「いいから俺も行く!」
「理玖、」
「掃除場所違うのになんで来てんの?」
「今日から俺もここ。」
「絶対嘘!」
…うん、かわいいんだけど、限度ってものがない?いや、かわいいんだけどね?かわいいからってなんでもありか!?