記録———
2018年7月 西東京市
英集少年院 運動場上空
特級仮想怨霊(名称未定)
その呪胎を非術師数名の目視で確認
緊急事態のため高専一年生3人が派遣され
内1名 死亡
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「で、」
「貴様の指示通り、英集少年院とやらに宿儺の指を1本置いてきた。」
「そう、ありがとう漏瑚。私はこれから任務あるし、もう行くね。」
「またね、理玖。」
下水道を後にして地上に上がる。少し離れた所に待たせていた車に乗り込むと、荒井さんに車を出すように指示した。
「何かあったんですか?」
「ん?あー、呪霊の気配がしたからちょちょいと祓ってきました。」
「そうでしたか。」
「今日は全部近場でしたよね?」
「ええ、残り2件ありますが、全部都内です。」
「了解です。」
さて、原作通りいくとすれば英集少年院には1年生が派遣されるはず。悟と傑も授業の後は任務に出てるし、私が一番近場の任務だろうな。パパ黒も新台入れ替えだとか言ってパチンコ行ってたし…。任務をちゃちゃっと終わらせて高専に戻る間に私のスマホに電話が掛かって来た。伊地知だ…ということは、
「もしもし?どうしたの伊地知君。」
『廻神さん、今どちらですか!?』
「高専に戻るところだよ。なんかあった?」
『急いで、西東京市にある英集少年院へお願いします!特級案件で、一番近いのが廻神さんです。それから、緊急事態でしたので1年生が3人派遣されています。』
「了解、すぐ向かいます。荒井さん、高専戻る前に西東京市に。」
「え、」
「英集少年院です、急ぎでお願いします。」
「わ、分かりました!」
『それで、廻神さん、』
「生徒達は無事?」
『現在虎杖君と伏黒君が現場に残っています。釘崎さんは負傷したので、現在病院へ送迎中です。それから周辺の避難区域を10�qまで拡大しました。』
「ありがとう。伊地知君は野薔薇ちゃんについててあげて。怪我の具合は?」
『分かりました。釘崎さんに関しては、命に別状はないかと。』
「そう、良かった…。野薔薇ちゃんの事よろしく。」
『はい。』
電話を終えて荒井さんにどれくらいで着くか確認した。最低でも20分は掛かると言われて、自分でこうなる事を望んでいたのに心臓がバクバクと脈打っている。今日の任務は極力呪力を使わないように済ませたから、何かあっても対応できるはず。それから、宿儺との縛りに関しても…、
「無事でいてよ…、2人とも…。」
運がいいことに、信号に引っ掛かることも少なく英集少年院に着いた。荒井さんには終わったら連絡すると伝えて現場から離れてもらった。
「きゅん!」
「理玖さん…!虎杖が、」
「…特級相当だってね?きゅんは怪我してない?」
「…は、!!」
「
「宿儺…、」
メグエルを庇うように立つと、宿儺はニヤリと笑った。
「そう怯えるな、今は気分がいい。少し話そう。なんの
宿儺がビリビリとゆじたんの制服を破ると、ブチブチと心臓を抜き出した。うわ、生で見るとえっぐ。
「なっ!!」
「アンタ何やってんの。」
「
「宿儺の指…、」
ゴクンと指を飲み込んだ宿儺。どうしよう、どのタイミングでメグエルと引き離して宿儺と話そう…。
「さてと、晴れて自由の身だ。もう怯えていいぞ。殺す、特に理由はない。」
「…あの時と、立場が逆転したな。」
「恵、離れてなさい。」
「理玖さん、」
「早く、」
「待て待て、女、確か廻神理玖といったな。」
「あら、呪いの王に名前を覚えてもらえるなんて光栄ね。」
「貴様には借りがあるからな。それも1000年も前からのな、」
「やっぱり、神の子を攫って娶ったって噂は本当なのね。」
「フン、オマエは奴と瓜二つだな。また娶ってやってもいいぞ。」
「お断り。」
「理玖さん、俺にやらせてください。」
「な、何言ってんの、」
「ほう、」
「虎杖は戻ってくる。その結果、自分が死んでもな。そういう奴だ。」
「買い被り過ぎだな。コイツは他の人間より多少頑丈で
どうしよう、このままだと原作通りメグエルと宿儺が戦って、余計宿儺と話すタイミングがなくなってしまう…!なんとかして話すタイミングを…、イチかバチかセレクトしてみるか。セレクト、
【あなたは両面宿儺と話をしたがっています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:259)】
【1.両面宿儺を生得領域に引き込む 2.両面宿儺の生得領域に入り込む 3.なにもしない】
どうする…。
「断言する。奴に自死する度胸はない。」
迷ってる暇はない…。
「折角外に出たんだ、広く使おう。」
「恵ダメ!」
メグエルが鵺を召喚して走り出した。クソ、確かこのままだと大蛇が、
「もっと呪いを込めろ。」
「畳み掛けろ!!」
いや、ダメだ、私は今手を出しちゃダメだ。破壊された式神の力は後々恵の力になる。特に、玉犬「渾」は特級相手に通用する強さ…。
「言っただろう、広く使おう。」
「恵!」
それに、宿儺は恵の成長のヒントをくれる。ギリギリまでセレクトしちゃダメだ…。今は吹き飛ばされた恵の後を追わなきゃ…!走れ…!確か団地的な所に吹き飛ばされたはず。こういう時、私にも瞬間移動とか空を飛べる式神とかいれば…!
「ああもう…!間に合ってよぉ…!」
...
「オマエの式神、影を媒体にしているのか。」
「ならなんだ。」
「フム、」
呪符を使うありきたりな術式ではない。応用も利く。
「分からんな、オマエあの時何故逃げた。」
「?」
「宝の持ち腐れだな。まぁいい。どの道その程度では
コイツを殺して、次はあの神の子だ。
『宿儺様、私が生まれ変わったら、またあなたのお傍にいさせてくださいね。』
…つくづく、馬鹿な女だったな。廻神理玖。1000年前、俺が娶った女。神の子とか言う存在。わけの分からん術式を使う。…奴の纏う空気が変わった。
「いい、いいぞ、命を燃やすのはこれからだったわけだ。魅せてみろ!!伏黒恵!!」
「布瑠部由良由良…!…俺は、オマエを助けた理由に論理的な思考を持ち合わせていない。危険だとしてもオマエのような善人が死ぬのを見たくなかった。それなりに迷いはしたが、結局は我儘な感情論。でもそれでいいんだ。俺は
意識が…、
...
「あー悪い、そろそろだわ。伏黒も釘崎も、先生たち…は心配いらねぇか。理玖姉にごめんって伝えてくれ。長生きしろよ、」
「悠仁!恵!!」
「…理玖さん…、」
「…宿儺と代わったんだね…。」
「…はい、」
…遅かった…。いや、丁度良かったと思おう…。これで間違いなく虎杖悠仁は死んだけど、今なら…。
「1番、」
「理玖さん…?」
「恵、荒井さんに電話して。」
「え、」
「早く。」
「は、はい。」
「ごめんね、悠仁君…。」
【1.両面宿儺を生得領域に引き込む を選択しました。呪力を50消費しました。(残り呪力:209)】
ゆじたんの体を抱き締めて目を閉じる。すぐに意識が生得領域に引き込まれた。あのアニムスのロード画面みたいな真っ白い空間。そしてあのベッドとプールがある部屋だ。
「宿儺…、」
「ケヒッ、」
着物姿の宿儺が足を組んでベッドに座っていた。ここなら誰にも邪魔されずに宿儺と話ができる。そして宿儺だけを生得領域に引き込んだから、ゆじたんには私と宿儺の会話は聞こえないはず。ああもう…ほんと心が痛む…。でも前に天元様に言われた通り、未来を変えるために苦しむことが私に与えられた唯一のペナルティ。
『…でもちょっと怖いんですよ。イレギュラーな私が色々と手を出すことで、ほんとにそれが皆の為になってるのかなとか。私の選んだ選択で皆が本当に幸せになれるのかとか…、』
『その感情を背負うのがイレギュラーである君の役目だ。君が大事にしたい、幸せにしたいと思う気持ちも分からなくもない。未来を変えるという選択をした時点で、君にかかる責任や負担はかなりのものだろう。それを乗り切れるかどうかは君次第。私は君を応援しているよ。』
女は度胸…!
「…宿儺、話がしたいの。」
「俺もそう思っていたところだ。しかしなんだここは、貴様の生得領域か?」
「そうよ。ここなら誰にも聞かれる心配がないから、一時的にあなたをここに引き込んだ。」
「…あやつの生得領域も、このような寝床のある部屋のような領域だったな。」
「…それって、1000年前の神の子?」
「ああ。貴様もそうなのであろう、廻神理玖。まさか1000年前と同じ名前、同じ容姿とはな。」
「え…?ま、待って、1000年前の神の子も廻神理玖って名前だったの?!」
「なんだ貴様、知らんのか。」
「いや知ってるわけないでしょ、1000年前なんて生まれてないんだし、名前まで確認してないし。」
「それで、昔の約束は覚えておるのだろうな?」
「…はい?何の約束?悪いけど、私には宿儺と何かを約束した記憶はないんだけど。」
「…契っただろう。」
「何を…?」
「……と、」
「え?なに?聞こえないよ?」
「……、」
宿儺が顔をプイっと背けて口まごまごさせた。なに、え、宿儺ちょっと可愛い。あれ、なんか顔赤くない?えっ、宿儺どうしたの!?
「…生まれ変わったら、」
「うん、」
「……また俺の傍に居ると契っただろう、」
「…へ?」
「二度も言わせるな!不愉快だ!」
「えーーーっ!?昔の私、っていう言い方合ってるか分かんないけど、そんなこと言ったの!?」
ていうか宿儺、それ信じてるのぉおおお!?えぇえええ!?健気ぇええ!?
「今人生で初めて宿儺がちょっと可愛いって思った。」
「殺すぞ貴様。」