退屈と底辺


今日は傑が任務、悟も任務だけど楽巌寺学長に話があるからと高専で待機、パパ黒はゆじたんと秘密の特訓中だ。私は座学の授業を終えて、次は1、2年合同で体術を見る。着替えてグラウンドに集合するようにメグエルと野薔薇に伝えると、2年の教室に向かった。

「やっほー!」
「「理玖様ー!」」
「あ、理玖さん!」
「ツナマヨ。」
「あ、今日の体術は私が担当でーす!1年生と合同でいいよね?」
「ああ。」

美々子と菜々子は人数の関係上、元々交流会には出ない予定だ。そしておっこちゅと3年2人も、昨日学長に交渉した通り任務を入れてもらうので、交流会には出ない。よって参加するメンバーは原作通りとなる。けどまあ実力アップを図るためにも体術の訓練は受けて貰わないとね。

「着替えたらグラウンド集合ねー!」

教室を出て先にグラウンドの近くにある自販機へ向かう。真希の事だから先に野薔薇とメグエルをパシるだろう。私もなんか飲もう。ついでに子供達の分も買っといてあげよう。小銭を入れて人数分のスポドリを買っていると、メグエルと野薔薇がやって来た。という事はもうすぐ来るかな、東堂と真依が!

「あれぇ、理玖さん!」
「早かったねー。皆の分のスポドリ買っておいたから、持って行くの手伝てくれる?」
「ありがとうございます。」
「ありがと、理玖さ「理玖たん…!」…たん?」

突然背後から、ドンッと抱き着かれた。あらやだ、真依ったら大胆…!

「真依ちゃん?久し振りだね!」
「なんで東京(コッチ)にいるんですか、禪院先輩。」
「あっ、やっぱり?雰囲気近いわよね、姉妹?」
「そういえば野薔薇ちゃんは初めて会うんだっけ?真希ちゃんの妹の、真依ちゃんだよ。」
「へー。」
「久し振りだな、ミス廻神。〇月△日に放送された××という番組に高田ちゃんが「ちょっと、その話長くなるからやめて。」
「葵君には後で私と高田ちゃんのツーショット写真見せてあげるね!」
「やはり高田ちゃんとツーショットを撮っていたのか!!サインは貰ったか!?高たんビームは!?」
「ビームしてもらうの忘れてたの…!」
「何という事だ…、ミス廻神…!」
「理玖たん、東堂は放っておいて。今日は私、理玖たんに会いたくて学長に着いて来ちゃった。」
「そうだったの?私も会いたかったよ、真依ちゃん!」

背後から抱きつかれたまま、真依の腕に両手を添える。真依が私の影からメグエルと野薔薇に視線を移した。

「そうそう、聞いたわよ伏黒君。同級生が死んだんでしょう?辛かった?」

おっふ…、それ私がいるのに聞くのか。

「それともそうでもなかった?」
「……何が言いたいんですか?」
「いいのよ、言いづらいことってあるわよね。代わりに言ってあげる。“器”なんて聞こえはいいけど、要は半分呪いの化物でしょ。そんな穢らわしい人外が、隣で不躾に“呪術師”を名乗って、虫が走っていたのよね?死んでせいせいしたんじゃない?」

ナチュラルボーン煽りスト〜〜〜!!

「真依、どうでもいい話を広げるな。俺はミス廻神と高田ちゃんについて語り合いたい。」
「あ、その話まだする?」
「その前に、伏黒…とか言ったか。どんな女がタイプだ。」
「「?」」
「因みに俺は、身長と尻がデカい女がタイプです。」
「なんで初対面のアンタと、女の趣味を話さないといけないんですか。」
「そうよ、ムッツリにはハードル高いわよ。」
「オマエは黙ってろ。ただでさえ意味分かんねー状況が余計ややこしくなる。」
「京都三年、東堂葵。自己紹介終わり。これでお友達だな、早く答えろ、男でもいいぞ。」

さて、この状況どうしたものか。教師という立場としては、この状況を止めなくちゃいけないんだけど、メグエルと野薔薇には東堂と真依の実力がどんなものか知っておいた方がいいと思うし、

「答えろ伏黒、どんな女がタイプだ。」
「別に、好みとかありませんよ。その人に揺るがない人間性があれば、それ以上は何も求めません。」
「悪くない答えね。巨乳好きとかぬかしてたら私が殺してたわ。」
「うるせぇ。」
「きゅんは私のことタイプじゃなかったんだね…。」
「いえ、理玖さんのことです。」
「ん゛ふっ!�I」

ヤバい、久し振りに吐血したわ!!メグエル!!そういう所ーーーっ!!!

「理玖さん!?」
「理玖たん!大丈夫!?」
「テメェ伏黒!理玖さんに何してんのよ!」
「いや、いつもの事だから大丈夫。」
「やっぱりだ、退屈だよ、伏黒。」

でもごめーん!!!ほんとごめん!!東堂がメグエルにラリアットをかました。吹っ飛ぶメグエル。いややば…、威力えぐっ…!私に抱き着いていた真依が離れて、今度は野薔薇の背後から抱きつく。おうおう、原作通りになってきましたなぁ…。

「伏黒!!」
「あーあ、伏黒君かわいそっ。二級術師として入学した天才も、一級の東堂先輩相手じゃただの一年生だもん。あとで慰めてあげよーっと。」
「似てるって思ったけど、全然だわ。真希さんの方が百倍美人。寝不足か?毛穴開いてんぞ。」
「口の利き方——、教えてあげる。」

うん、これ、私ここにいるべきじゃなかったな!!一応注意くらいはしとくか…一応。

「こらこら真依ちゃん、流石にそれ使うのはダメだよ。」
「でも理玖たん、この子一年のクセに先輩への敬意が足りないと思わない?」

背後でものすごい音がした。振り返れば東堂がメグエルを柱にめり込ませている。あ!!進〇ゼミでやったところだ!!なんて思ってると、真依が野薔薇に向けてリボルバーの引き金を引いた。パァンと銃声が鳴って、野薔薇がお腹をさえて蹲っている。うへぇ、痛そう…!!てか今使っちゃダメって言ったばっかりなのに!!

「ぐ…っ!」
「少しは先輩を敬うことを覚えたらどう?」

こっちも、進〇ゼミでやったところだ!!な展開に向かおうとしている…。困ったな、これは流石に止めるべき?いや、止めないとだよね…。とりあえずセレクト。

【東堂葵と禪院真依が、伏黒恵と釘崎野薔薇に危害を加えています。選択してください。選択すると呪力を100消費します。(残り呪力:280)】
【1.東堂葵と禪院真依を止める 2.東堂葵を止める 3.禪院真依を止める 4.なにもしない】

まあ、止めるなら両方だよね。1番。

【1.東堂葵と禪院真依を止める を選択しました。呪力を100消費しました。(残り呪力:180)】

真依が撃った2発目が、野薔薇に当たる前にぴたりと動きを止めた。おお!空中で弾丸が止まってる!

「「なっ?!」」
「お、止まったね。野薔薇ちゃん、大丈夫?」
「理玖さんがやったの?!」
「うん。真依ちゃんも、銃は仕舞って。続きは交流会でやってくれる?流石にこのまま葵君に校舎壊され続けると、私が怒られるから。私のこと大好きな真依ちゃんならやめてくれるよね?」
「…理玖たんがそこまで言うなら…。」
「うん、ありがとう。ちょっと葵君ときゅんのこと見て来るね。てかやば、壊しすぎでしょ…呪力足りるかな…。」

その場を離れて、メグエル達がいるであろう清水の舞台的な所を登っていく。ついでにセレクトで壊れたところは元に戻しておいた。ギリギリ呪力残って助かった…。

「お!やっぱり理玖が止めたか!」
「間に合った?」
「すじこ〜!」
「そ、良かった。メグエル大丈夫?!硝子の所行ってきな!葵君も、続きは交流会でね。」
「そうだぞ。帰った帰った。大きい声出すぞ、いや〜んって。」
「言われなくても帰るところだ。上着どこだっけ、」
「さっきの自販機の前で見たよ。」
「おお、そうか。どうやら、退屈し通しってワケでもなさそうだ。」
「はーい、戻って戻って〜。パンダと棘君は、メグエルを硝子の所まで送ってあげて。」
「おう。」「しゃけ。」

東堂が清水の舞台から飛び降りて自販機の方に戻って行った。マジで?ここから飛び降りる人初めて見たわ。

「Ms.廻神ーーーー!!」
「なんか呼ばれてるぞ、理玖。」
「声デカすぎでしょ。」
「明太子…。」
「高田ちゃんの個握に行くぞーーー!!」
「なんか呼ばれてますよ、理玖さん。」
「うん、行きたいのは山々だけど、聞こえないフリしようかな。授業あるし。」

あと三輪ちゃんにも会いたいし。パンダとトゲエルにメグエルをお願いして、楽巌寺学長が待つ応接室へ向かった。野薔薇は真希が来た事だろうし大丈夫だろ。スポドリ持って行ってくれたかな…。

「お疲れサマンサー!」
「お、丁度良かった理玖。」

応接室の扉を開けると、悟がおじいちゃんと向かい合って座っていた。どうやら話に間に合ったらしい。三輪ちゃんには手を振っておいた。すっごいデレデレした顔で手を振り返してくれた。三輪ちゃん可愛いかよ。

「やれやれ、最近の若者は敬語もろくに使えんのか。」
「ハナから敬う気がねーんだよ。最近の老人は主語がデカくて参るよホント。」
「ちょっと、これは問題行動ですよ、然るべき所に報告させてもらいますからね。」
「ご自由に。こっちも長居する気はないよ。」
「何の話?」
「今から本題。」

悟の隣に座ると、楽巌寺のおじいちゃんと目が合った。相変わらず仙人みたいな眉毛と髭だな…。

「昨晩、未登録の特急呪霊2体に襲われた。」
「!それは災難じゃったの。」
「勘違いすんなよ。僕にとっては町でアンケート取られた位のハプニングさ。」
「さっすが〜!」
「理玖には昨日話したから知ってるけど、その呪霊たちは意思疎通が図れたし、同等級の仲間もまだいるだろう。敵さんだけじゃない。秤に乙骨、そっちの東堂。生徒のレベルも近年急激に上がってる。」
「何が言いたい。」
「分かんないか。アンタらがしょーもない地位や伝統のために塞き止めていた力の波が、もうどうしようもなく大きくなって押し寄せてんだよ。これからの世代は、「特級」なんて物差しじゃ測れない。牙を剥くのが僕等だけだと思ってんなら、痛い目見るよ、おじいちゃん!!」
「少しお喋りが過ぎるの。」
「おー怖!!言いたいこと言ったから退散しよーっと。」
「私も様子見に来ただけだから退散しよーっと。」
「廻神理玖よ。」
「はぁい、」
「宿儺の指の回収を「はいはい、やってますよ〜。そんじゃ、私は授業があるのでこれで!」
「あ、夜蛾学長は2時間くらいで来るよー!」

悟と共に応接室を出ると、悟は満足そうに鼻歌を歌っていた。

「ご機嫌だね。」
「まあね。」
「さっき葵君と真依ちゃんがメグエルと野薔薇ちゃんと衝突して大変だったよ。」
「なんかすごい音がしたと思ってたけど、そういう事ね。いやぁ〜、今年の交流会は楽しみだねー!」



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