【あなたは迷っています。選択してください。選択すると呪力を150消費します。(残り呪力:239)】
【1.吉野順平の呪力・術式をそのままに呪術師として育てる 2.吉野順平から呪力・術式を奪って非術師に戻す 3.なにもしない】
「……1番、」
【1.吉野順平の呪力・術式をそのままに呪術師として育てる を選択しました。呪力を150消費しました。(残り呪力:89)】
やってしまった…。また私の我儘で皆の未来変えちゃった…。でも…折角悠仁と知り合ったんだし、やっぱり順平にはアニメのOPのシーンみたいに笑ってて欲しい…。選んでしまえば後悔したところでもう遅い。本当にこれでよかったのかとモヤモヤする心に蓋をして目を閉じた。
「昨日何があったかは車の中で聞くから、とりあえずお母さんに心配かけてるだろうし一旦顔見せに帰ろう。」
「はい。」
翌日、私はゆじたんと順平のいる地下室へ。順平はゆじたんの家に泊まったと連絡したらしい。折角だからゆじたんも一緒に順平の家に顔を出すように伝え、3人で地下室を出て駐車場へ。荒井さんに運転を頼んで私は助手席に、ゆじたんと順平は後部座席に乗り込んだ。
「…あの、理玖さん、」
「ん?」
「昨日の夜、虎杖君と話して考えたんですけど…。」
「うん、」
「…僕も、呪術師になれますか?」
「…順平君は呪術師になって何をしたい?」
「……そんな理由でって思われるかもしれないですけど…、…僕は…、母さんを守りたい…母さんを守るために…僕は呪術師になりたいです。」
「うん、いいんじゃない?呪いに苦しむ人はたくさんいるんだし、お母さんを守ることが巡り巡って他の呪いに苦しむ人たちを助けることに繋がると思うよ。でも、呪術師になったらいつ死ぬかもわからないよ。死体が残らないような惨い死に方だってするかもしれない。それでもやる?」
「…はい、」
「ま、強くなれるかどうかは順平君の努力次第だから、高専に通う事になればビシバシ鍛えてもらいなさい!そうそう、高専に転校って形になるだろうから、お母さんにも自分の口でちゃんと話してね。高専については私が話すから。」
「…はい!」
「やったな、順平!」
「うん、ありがとう虎杖君!」
「悠仁でいいって!」
「それじゃ、一応形式的な取り調べはしないとだから、聞かれたことには答えてくれる?」
「はい。」
その前に、私と真人の関係性を知ってる順平には口封じしないと…。セレクト。
【あなたは困っています。選択してください。選択すると呪力を100消費します。(残り呪力:280)】
【1.あなたと真人の関係について記憶を消す 2.あなたと真人の関係について口を封じる 3.なにもしない】
うーん…やっぱり記憶を消した方が確実かなぁ…。証拠隠滅みたいでなんか気が引ける気もするけど…仕方ない。1。
【1.あなたと真人の関係について記憶を消す を選択しました。呪力を100消費しました。(残り呪力:180)】
「それじゃあ、昨日の事件について、動機は?」
「…真人さんに…あ、真人さんっていうのは昨日のつぎはぎの…、」
「うん。」
「…一昨日、悠仁が帰った後に急に変な化物みたいなものが家に来て、それで母さんが襲われて…。僕は咄嗟にそれを椅子で殴って母さんを家から連れて逃げようとしたんです。そしたら真人さんが家の前にいて、偶然通りかかったって言われて…。僕は澱月でなんとか化物を倒したんですけど…真人さんにあれは…呪霊だって言われました。」
「…真人はどうして順平君の家に?本当に通りかかったのかな?」
「分かりません…。真人さんには誰かが呪霊を使って僕の母さんを襲ったって言われて…心当たりはあるかって聞かれました。僕や母親を恨んでいる人間、もしくは、金と暇を持て余した薄暗い人間の仕業だって…。」
「それで、順平君をいじめてた子がやったと思った?」
「…はい。」
「伊藤翔太…だっけ。あの子には順平君をいじめていた罰として、式神の毒による麻痺は残しておいたよ。順平君が彼を許してもいいと思った時は私に言って。私が元に戻してあげるから。」
「理玖姉そんなことして大丈夫なわけ?」
「ん?本当はヤバいから、ここにいる4人だけの秘密ね♡バレたら私、また死刑だって言われちゃうから!」
「死刑?!」
「呪術規定に基づいたら、非呪術師相手に術式使ってる時点でアウトなんだけど、この場合庇ってる私もアウトだから!多分バレたら怒られるじゃすまないと思う!」
ま、今は御三家が総監部だし、バレても私がごめんちゃい♡ってすればなんとかなるでしょ!多分!!
「じゃ、順平君の動機については、真人っていう呪霊に唆されて事件を起こしたってことでいいでしょ。後は…真人とはどこで知り合ったの?」
「映画館です。」
「それってあのキネマシネマとか言う映画館?」
「…うん、そこで真人さんが人の姿を変える所を見て、僕にもできますかって…。」
「じゃあやっぱり、俺が声掛けた時点では真人と知り合ってたってことか…。」
「…うん…ごめん、悠仁。」
「まあまあ、その時は2人共初対面同士だったんだし、順平君も警戒してて話さなかったってことでしょ?式神が使えるようになったのはいつ頃?どうやって?」
「…真人さんに使えるようにしてもらいました。どうやったのかは…術式?って言ってた気が…。」
「真人は体を改造できるみたいだし、それが自分にも他者にも使えたからそれで順平に術式を使えるように体を改造したってことだろうね。順平君は後で硝子に全身くまなく検査してもらった方がいいかも。最悪解剖するとか言われるかもだけど、心配しないで♡」
「か、解剖…?!」
「理玖姉、順平を脅すなって…。」
「てへっ☆」
その後も順平は聞かれたことに素直に答えた。私がセレクトしたこともあって、私と真人が繋がっている記憶は消えているのか、聞かれて不利になる様な事を答える様子はなかった。順平の家に着いて私とゆじたんも一緒にお邪魔する。
「あ、悠仁君!また来てくれたのね!」
「オッス!昨日は急にすんませんっした!」
「いいのよ、寧ろ順平が急にお邪魔してごめんね?えっと、そちらは?」
「初めまして、私東京都立呪術高専で教師をしています、廻神理玖と申します。こちら名刺です。」
「えぇ!?わざわざ先生まで!?」
「うちの生徒が急に順平君を外泊させてしまったと聞いたもので…大変申し訳ございませんでした。こちらつまらない物ですが…、」
「手土産なんて気にしなくていいんですよ…?!」
手土産は教員室の冷凍庫に入っていた喜久福だ。これは悟の物だけど、今悟は海外に黒縄とミゲルを探しに行かせてるから、こっそり手土産に貰った。悟が帰国するまでに新しい喜久福を仕入れて元に戻しておけば無問題!なはず!順平の家の窓ガラスは昨日の内に業者に連絡して新しいものに交換してもらったらしい。
「それで…母さん、」
「ん?」
「……大事な話があるんだ。」
「…うん、」
順平は凪さんにここ数日間の出来事を包み隠さず話した。呪術師には秘匿義務があるけど、順平は
「はぁ〜…、」
「…ダメかな…、母さん、」
「いや、ちょっと…難しすぎて私にはサッパリ!でも順平がそうしたいって思うんならそうしなさい。人の役に立ちたいって思えることは凄いことなんだから、自信もってその呪術師?とか言うのになりなさいよ!……そう…、ちょっと寂しくなるわね。」
「呪術高専は寮制ですが、休暇を申請すればここに帰る時間も充分作れます。お母様さえよろしければ、私の方から学長に掛け合って高専内の寮に移り住んで頂いても構いません。かなり特例になりますが、順平君のことも心配な気持ちも分かりますし、こちらとしても真人という呪霊が再びお母様の元に現れる可能性を考慮すれば、我々がすぐに守れるように近くに身を置いてもらった方が順平君の不安も減らせるかと。」
「マジ?!私まで?!でも仕事が、」
「失礼ですが、現在お仕事は何を…?」
「パートと、在宅でデザインの仕事を少し…、」
「でしたら、うちの学生寮の寮母さんとして働きませんか?勿論、お給料だってきちんと出ますし…ざっとこれくらいですかね!」
スマホの電卓に50万と入力して凪さんに見せた。勿論これは私が学長に交渉するのでこれだけ貰えたらやるでしょ!?ってくらいの金額を提示している。…なんか私、悪徳セールスマンみたいだな…。
「えっ!?こんなに!?」
「学生寮には現在12名の学生が生活しています。寮母としての仕事は食事の準備と共有スペースの掃除くらいだと思ってください。基本的には自分のことは自分でする子が殆どなので、仕事内容もそこまでハードではないかと。順平君としてもお母様が安全なところにいてくれた方が安心できると思いますし、デザインのお仕事も在宅でしたら高専の寮に移り住んでもお仕事が可能かと思います。」
「…そうね…、どうしよう…、」
「母さん、その方がいいんじゃない?」
「そうっすよお母さん!俺もまたお母さんの手料理食いたいっす!」
「………お返事はいつまでに?」
「いつでも大丈夫です。先ほどお渡しした名刺に私の連絡先も書いてありますので、お好きなタイミングでご連絡ください。」
「分かりました。」
これはいい感じなのでは?凪さんを1人にして寂しい思いをさせちゃうかもって思ってたけど、これなら2人共すぐに会えるし安心なのでは!?寮母さんは正直いた方が助かると思うんだよね!
「順平君の転校手続きに関しましては高専の方から書類を準備しておきますので、お母様には保護者のサインを頂く形になるかと思います。」
「なにからなにまですみません、」
「いえいえ、順平君の手続きが完了したらまたこちらからもご連絡差し上げます。それと、荷物なども高専に出入りできる業者が限られておりますので、業者の手配もこちらで全て対応しますね。」
「なんか、凄いわね?」
「とんでもございません。」
なんかマジでセールスマンみたいになってない?自分で言うのもって感じだけど、なんか怪しくない?とりあえず笑っとこ。