反省


「悠仁君おっはよ〜!」
「理玖姉おはよ!」

交流会当日、私は地下室にゆじたんを迎えに行った。昨日の夜、薨星宮の途中にある忌庫に封印されていた宿儺の指の1本に、セレクトで真人の呪力を結び付けておいた。セレクトで選択したから、確実に真人は忌庫に辿り着けるだろう。嘱託式の帳も、伝書烏を通じてなんとかなったと真人から連絡を貰っている。あとは原作通りに事が運ぶのを祈るだけだ。今日は3年生の秤金次、星綺羅羅、2年生は乙骨憂太が遠方の任務に出ている。オマケに美々子菜々子は元から交流会を見学するように伝えてある為、参戦はしない。そして昨日転校してきた吉野順平も、今回は転校2日目という事で見学だ。ゆじたんと共に地下室を出て、海外出張から帰ってきた悟と、新聞を読んでいるナナミンのいる談話室へ。

「あっ、先生ー!!」
「2人ともおはよ〜。」
「おはようございます。」
「理玖!会いたかったよ〜♡」
「ぎゃあっ!」

悟に骨が折れそうなほど力いっぱい抱き締められた私。いや、ヤバい、骨がミシミシいってるから!!マジで骨折れる!

「五条先生!理玖姉が死にそう!」
「僕の腕の中で死ねるなら本望でしょ?」
「殺…すな…っ、」
「五条さん、それ以上は本当に理玖さんが死んでしまいます。」

パッと悟の手が離れた。ぐったりする私の顔中を舐め回すようにキスを落とす大型犬の悟にされるがままになっていると、談話室に近付いてきた足音。視線を向ければ傑とパパ黒だ。

「あ、おはよう2人とも。」
「おお!夏油先生と伏黒の父ちゃん!おはよ!」
「おはよう、皆。」
「おい、どうした理玖。」
「大型犬にじゃれつかれて…、」
「ハッ、」
「だってだって、僕ずっと海外にいたんだよ?!どれだけ会えなかったと思ってんのさ!?めちゃくちゃ理玖不足なの!」
「悟、独り占めはよくないね。」
「傑やオッサンはいいよね!僕が不在の間、理玖に触り放題だったんでしょ!」
「いや、そうでもねぇな。」
「そうでもないね?私達も交流会に備えて色々と都合をつけるのに忙しかったから。」
「なあなあ、はやく皆のとこ行こうぜ。」

キラキラと目を輝かせるゆじたんに、私と三銃士は顔を見合わせる。

「悠仁…もしかしてここまで引っ張って普通に登場するつもり?」
「え、違うの!?」
「死んでた仲間が二月後、実は生きてましたなんて術師やっててもそうないよ。」
「理玖くらいじゃないかな?」
「理玖くらいだな。」
「理玖さんくらいでしょうね。」
「え、理玖姉死んだ事あんの!?」
「うん、私くらいだね。てことはさ、」
「「「やるでしょ、サプライズ!!」」」
「またあれやんのか。」
「サプライズ…、」
「どうなっても私は知りませんよ。」
「ま、僕達に任せてよ。」
「一年は嬉しさと驚きで泣き笑い!」
「二年も京都の皆ももらい泣きするだろうね。」
「嗚咽のあまりゲロ吐く奴もいるだろうな。」
「最終的に地球温暖化も解決する!」
「イイネ!!何したらいい!?先生俺何したらいい!?」
「何もしなくていい!!僕達の言う通りにしろ!!」
「だから何したらいい!?」
「生きてるだけでサプライズでしょうよ。」
「あれどこ置いたっけ?!」
「確か事務室にあったと思うよ。」
「よし、悠仁君行くよ!」

ナナミンは任務があるからとその場で分かれ、私と三銃士、ゆじたんの5人で事務室へ向かう。今頃子供達は京都校がお出迎えに外で集まっている事だろう。事務室から台車と箱を引っ張り出し、悟は海外のお土産を教員室から取ってくると、ゆじたんに箱の中に入るように指示した。

「マジでこれに入んの!?」
「うん、私もやったから大丈夫!」
「てか理玖姉も死んだ事あるってどういう「はい、閉めるよ〜!」ああぁちょっとぉ?!」
「悠仁、ちょっと揺れるかもだけど頑張って耐えてね〜!」

事務室からガラガラと台車を押して外に出た私たち。目指すは京都校との合流地点である石段の上!

「皆どんな反応するかなぁ?」
「流石に2回目だから少し警戒しそうな気はするね。」
「理玖が隠れてりゃいいだろ。また理玖が入ってると思わせる。」
「それいいですね、甚爾様!でも隠れるってどこに?」
「俺の倉庫呪霊に食わせる。」
「いや怖っ!?」
「冗談だ。」
「冗談でも聞き捨てならないね、理玖を食べるのは私だよ。」
「なに言ってんの、僕に決まってるでしょ。」
「ねえ皆して物騒だから。あと私を食うな。」
「フフッ、」

そんなこんな話をしている内に子供達の背中が見えると、悟は台車を押しながら走りだした。

「おまたー!!」
「五条悟!!」
「皆おはよ〜。歌姫先輩お久し振りです!」
「理玖…!アンタ本当に生きてたのね…!」
「ぎゃあっ!デジャブ!」

またしても骨がミシミシいう程、歌姫に抱き締められた。そういえば歌姫に会うのは生き返って以降初めてか?この前は三輪ちゃんと東堂と真依には会ったけど、西宮、のりピーはまだだったし…あ、メカ丸は連絡取ってたから知ってるか。ていうか誰か助けて、マジで助けて?????

「やぁやぁ皆さんお揃いで。私出張で海外に行ってましてね。」
「急に語り始めたぞ。」
「はい、お土産。京都の皆にはとある部族のお守りを。歌姫のはないよ。あと僕の理玖はやく離して。」
「いらねぇよ!!ていうか理玖はアンタのじゃないでしょ!!」
「ぱいせ…しぬ…、」
「ハッ!理玖ごめん!?」
「そして東京都の皆にはコチラ!!」
「ハイテンションな大人って不気味ね。」
「故人の虎杖悠仁君でぇーっす!!」
「はい!!おっぱっぴー!!」

べーん!と箱から姿を現したゆじたんに、メグエルと野薔薇とパンダ、美々子と菜々子が固まった。その顔が私がおっぱっぴーした時の顔と全く同じだったので思い出して吹き出していると、真希ちゃんがツカツカと私に歩み寄ってガシリと私の頭を掴む。え?

「説明。」
「あ…ハイ…、ごめんなさい、」
「ちょっと、私の理玖たんに触らないで。」
「ああ?理玖はオマエのじゃねぇだろ。」
「アンタのでもないでしょ。」

あれ、あれえ??なんか真希真依が私を取り合ってるんだけど、え、嬉しい。ちらりとメグエルに視線を向ければ、めちゃくちゃ睨まれた。あああですよねぇえええごめんね!!!ミミナナもすっごい呆れたような顔で私のこと見てる。え、待って、今まで美々子も菜々子も私の事そんな顔で見たことなかったよね!?ごめんね!?!?順平もすっごい気まずそうな顔してるじゃん!?なんかごめんね!?トゲエルだけは私を普通に見つめていた。やっぱりトゲエル大天使!!

「理玖さん…、どういうことですか。」
「あ、はい、あの、はい、説明、しますハイ、」
「すじこ。」
「まあ、100パー理玖が関わってるだろうな。この登場2回目だし。」
「理玖様…私達にまた隠し事…、」
「超ショックなんですけどぉ…、」
「理玖、だから私はやめようって言ったじゃないか。」
「え、傑?」
「俺も言った。」
「甚爾様!?」
「どうしても理玖がこれで悠仁をお披露目したいって言うからさぁ、僕もやめた方がいいって言ったのに。」
「ちょ、ちょっと!?なにその急な寝返り!?」

三銃士はにやにやしながら私を見下ろしている。こ、コイツら、私に説明を丸投げしたな…!?こうなれば…秘儀・直哉のぶりっ子スマイル!!

「え…えっとぉ、かくかくしかじかで…ごめんちゃい♡」
「おかか。」
「それで納得すると思わないでください。」
「あ、ハイ、ですよね。」

直哉スマイル役に立たねぇ!!クソ!!直哉がやってたの、ちょっと可愛く見えたのに!!

「宿儺の器!?どういうことだ…、」

おじいちゃん来た!!この隙に逃げ、

「説明。」
「真希ちゃん???私の頭ミシミシいってない???」

「楽巌寺学長ー!いやー良かった良かった、びっくりして死んじゃったらどうしようかと、心配しましたよ。」
「糞餓鬼が。」

「おい、」
「あ、はい。」
「何か言うことあんだろ。」
「え、生きてること…黙っててすんませんでした…。えっと…理玖姉、」
「説明するから皆注目〜!あと真依ちゃん、そろそろ私の頭蓋骨がヤバいから放して欲しいな???」
「さっさと説明しろよ。」
「え〜っと、まずは何から話せば……、」

一先ず、ゆじたんが先の英集少年院で死んでしまったことから皆に説明した。一度死んだゆじたんが私と同じように生き返ったので、交流会までに力をつけさせるためにも秘密裏に特訓をしていた事、任務に就かせていた事。その任務で順平と出会ったことと、つぎはぎ呪霊の真人について。それから順平が高専に転校してきた事と、交流会にゆじたんを参加させるためにメンバーを調整して、おっぱっぴーした事。

「てなわけで、改めまして〜!転校生の吉野順平君と、宿儺の器の虎杖悠仁君でっす!」
「よろしくおなしゃす!」
「よ、よろしくお願いします…!」
「皆拍手〜!」

パチパチと拍手を促せば、歌姫と三輪ちゃんとトゲエルだけが拍手を返してくれた。え、皆冷たくない?どうしたのよ。

「では、これより交流会の説明に入る。その前に悟、」
「ん?え、」
「フン!」

あ!進〇ゼミでやったところだ!夜蛾さんは悟にコブラツイストをしながら、交流会の流れを説明し始めた。ぷくく、さっき私を裏切った罰だね!!

「交流会は競い合いの中で仲間を知り、己を知るためのもの。相手を殺したり、再起不能の怪我を負わせることのないように。」

そこまで説明をすると、夜蛾さんは悟を解放した。そして何故か私の方を向いて手招きをする夜蛾さん。え、なに?私?キョロキョロと周りを見渡し、私?と首を傾げれば頷かれた。え、なんか怖いんですけど、行きたくないんですけど…?

「呼ばれてんぞ、理玖。」
「やっぱり私!?」

パパ黒に背中を押されて夜蛾さんに歩み寄れば、私の頭に夜蛾さんの教育的指導という名の鉄槌が下った。

「いったぁあああい!なんでぇ!?」
「以上、開始時刻の正午まで、解散。」
「学長!?ねえなんで私まで!?説明!!」



← 205 →
back

top