京都姉妹校交流会


「話って?」

交流会開始までの学生たちのミーティング中、私と三銃士と歌姫の5人で別室に移った。

「?なんでキレてんの?」
「別にキレてないけど。」
「だよね、僕何もしてないし。え?してないよね?」
「まあまあ悟、女性には色々あるだろう?月に一度のあれとか、歳を取るとくるあれとか。」
「傑、それいずれ私にも刺さるからやめて。」
「アンタらねぇ!いいから本題に入りなさいよ!」
「高専に呪詛師…あるいは呪霊と通じている奴がいる。」

私です。

「ありえない!!呪詛師ならまだしも呪霊!?」
「そういうレベルのが最近ゴロゴロ出てきてんだよね。本人は呪詛師とだけ通じてるつもりかもね。京都側の調査を歌姫に頼みたい。」
「……私が内通者だったらどうすんの?」
「ないだろ。」
「ないだろうね。」
「ないよね。」
「ないない。歌姫弱いし、そんな度胸もないでしょ。」

持っていた湯呑みを悟に投げた歌姫。隣に座っていた私にも掛かりそうだったけど、悟に肩を抱き寄せられて無限ガードで無事だった。いや、無限便利だなほんとに。

「怖っ!!理玖にも掛かるとこだったじゃん。ヒスはモテないよ?」
「私の!!方が!!先輩なんだよ!!」
「まあまあ、歌姫先輩落ち着いて!」
「ていうか理玖はどうして生き返ったわけ!?そっちも気になるんだけど!!」
「私から説明できないので、悟。」
「はいはい。」

私の代わりに悟から私のことを歌姫に話してもらった。呪詛師とも呪霊とも通じていたのは私なので、歌姫が内通者という事はあり得ない。さて、あとは私がいつどのタイミングで真人たちとの計画を皆に話すかが問題だ。

「神の子ってそんなこともできるわけ?!ていうか別の世界から来たって…、」
「そういうわけで、私の行動には何かと理由があるわけで…、まあ私の術式同様、話せる範囲は決まってるので報告はできなかったんですけど。」
「そう…。それで、理玖が未来を知ってるなら、その内通者は分からないわけ?」
「あ〜…、まあ、ある程度は分かってますけど……、」

言っていいのかな、このタイミングで…。今の内に話しておいた方が真人と花御をスムーズに取り込めるんじゃないかな…。…いやでも、九相図と宿儺の指を盗ませた後、重面春太だけは九相図と指を持たせて高専から逃がさないといけないし…。

「分かってるわけ!?」
「ま、理玖が知ってるって可能性は勿論考えてあるよ。」
「内通者をうまく泳がせてるって事かな。」
「理玖があえて内通者になってるって可能性もあんだろ。」

おっふ、パパ黒鋭い…。

「その事については…悪いんだけどまだ話せない。時が来たら話すから、とりあえず流れに身を任せる感じで。」
「そうは言っても…、実際に被害が出てからじゃ遅いわよね。生徒達にも危険が迫っている可能性だってあるんだから、なんとか防がないと…。」
「いや、逆でしょ。」
「逆?」
「生徒に危険が迫ったとして、それを自力でなんとかできるほどの実力を彼らにも身に付けてもらわないと、私達も生涯現役とはいかないだろうからね。」
「そういうこと。」
「おい理玖、オマエが俺らに黙って手を回してるとして、ガキ共が死ぬことはねぇんだろ?」
「ノーコメントです。」
「ないっぽいね。」
「なさそうだね。」
「ねぇな。」
「いや、なんでわかんのよ!」
「だって理玖ってすぐ顔に出るし。」
「え、今のも顔に出てた?!」
「なにかあれば理玖が自分でなんとかするって顔だったね。」
「理玖の顔見てそこまで読めるアンタたちって…なんなのよ…。」
「まあとりあえず、未登録の特級呪霊が複数存在してるって事は頭に入れておいてよ。」
「…分かったわ。京都側は私が調査する。」

その後、交流会用のモニタールームに移動した私たち。今回見学のミミナナと順平、両校の学長と冥さんもモニタールームに入ると、それぞれ席に座ってモニターを眺めた。

「開始1分前でーす。ではここで、歌姫先生にありがたーい激励のお言葉を頂きます。」
「はぁ!?え…えーっと、あー…ある程度の怪我は仕方ないですが…そのぉ…時々は助け合い的なアレが…「時間でーす。」ちょっ、五条!!アンタねぇ「それでは姉妹校交流会、スタァートォ!!!」
「先輩を敬え!!」

悟の号令を合図に交流会がスタートした。モニターには一斉に走り出した両校の生徒達の姿。冥さんには原作通り、楽巌寺学長からゆじたん周辺の映像はあまり映さないように頼まれたらしい。それはまあいいとして、問題は呪霊側の奇襲が上手くいくかどうか…。なんといっても、原作とは違ってパパ黒と傑がいるのだ。真人と花御が私の知らないところでこの2人とエンカウントしてたら、間違いなく祓われるか取り込まれる。まあ取り込まれるのは問題ないけど、タイミングが問題だ。私が先に真人と合流して、九相図と宿儺の指を重面春太に渡さなくてはならない。うーん、私はどのタイミングで真人と合流するべきか…、やっぱり違和感なくバラけられるのは帳が下りてから…?

「うん、パンダの勝ちだね。」
「大丈夫かしらメカ丸…。あとで破片も回収しないと…。」
「そうじゃな…。」

ボーッとモニターを眺めながら思考を巡らせている内に、パンダ対メカ丸が終わったらしい。とすると次は三輪ちゃんと真希か…。今頃ゆじたんは東堂に鍛えられている所だろう。とすれば、もうすぐだ…。

「フフフ、面白い子じゃないか。さっさと2級にでも上げてやればいいのに。」
「ですって、楽巌寺学長。」
「…何故儂に振る、廻神理玖よ。」
「さあ、なんででしょうね。」
「禪院家が邪魔してんじゃない?」
「それはないよ、だって真希ちゃんと真依ちゃんをいじめたら術式も呪力も剥奪されちゃうんだから。」
「そういえば昔、理玖が禪院家のボンクラに拉致された時にそんなやりとりをしていたね。」
「直哉君ね〜、素直に育ってくれてるならいいけどさ。長いこと会ってないなぁ…。」

——その頃の直哉は——

「ふぇっくしゅん!…なんや、風邪でも引いたか…?今風邪なんぞ引いてる暇ないっちゅうねん…!理玖たんの新作同人誌、早う脱稿せな…!」

———————————

「それより、さっきからよく悠仁周りの映像切れるね。」
「動物は気まぐれだからね、視覚を共有するのは疲れるし。」
「えー本当かなぁ。ぶっちゃけ冥さんってどっち側?」
「どっち?私は金の味方だよ。金に換えられないモノに価値はないからね、なにせ金に換えられないんだから。」
「いくら積んだんだか。」
「おや、ようやく動きがあったみたいだね。」
「くぁ〜〜、」
「ふわぁ〜…甚爾様の欠伸うつった…。」
「1対1かあ、皆ゲームに興味なさ過ぎない?」
「なんで仲良くできないのかしら。」
「歌姫に似たんでしょ。」
「私はアンタだけよ。」
「やっぱりさ、勝利した学校にはご褒美とかあった方が良かったんじゃない?」
「昇格推薦がご褒美みたいなものだと思うけどね。」

あ、三輪ちゃんが寝ちゃった。いよいよか。

「あーあ、寝ちゃった。私ちょっと行ってくる。」
「え?」
「呪霊がうろついてる森に放置できないでしょ。」
「そうさの、三輪が心配じゃ。早う行ってやれ。」
「え?」

歌姫が立ち上がったところで、壁に貼られていた呪符が全て赤く燃えた。タイミングも原作同様だ。

「団体戦終了…?しかも全部東京校!!」
「妙だな、烏たちが誰も何も見ていない。」
「GTGの生徒達が祓ったって言いたい所だけど、」
「未登録の呪力でも札は赤く燃える。」
「理玖、」
「私じゃないね、やる意味がない。」
「とすると外部の人間…侵入者って事ですか?」
「天元様の結界が機能してないってこと?」
「外部であろうと内部であろうと、不測の事態には変わるまい。」
「俺は天元様の所に、オマエ達は楽巌寺学長と学生の保護を。冥はここで区画内の学生の位置を特定、悟達に逐一報告してくれ。」
「委細承知、賞与期待してますよ。」
「ほらお爺ちゃん、散歩の時間ですよ!!昼ごはんはさっき食べたでしょ!!」
「お爺ちゃん、オムツ変えないとダメって言ったじゃ〜ん!」
「悟、理玖、お爺ちゃんにはもっと耳元で大声で言ってあげないと。」
「ハッ、」
「急ぎましょう。」

モニタールームを出て外に出ると、既に帳が下り始めていた。私を含む三銃士の侵入を拒む帳だ。

「アンタ達!“帳”が下りきる前に先行け!」
「いや無理。」
「はぁ!?」
「まあまあ、下りた所ででしょ。」
「そうそう、破りゃいい話。」

悟と傑が帳に手を伸ばし、バチィとハジかれる。隣で歌姫が帳に手を突っ込んでいた。効果は問題なさそうだ。

「ちょっと、なんでアンタたちがハジかれて、私が入れんのよ。」
「成程、オッサンと理玖は?」

私も帳に手を伸ばすと、バチィとハジかれた。これ地味に痛い…。パパ黒も同様にハジかれたらしい。手を見て首を傾げるパパ黒。

「特級が4人ともハジかれるなんて…!」
「伏黒さんに至っては、呪力がないのに感知されているのはどうしてだろうね…。」
「条件付きの帳って事じゃない?“私達4人”の侵入を拒む代わりに、その他“全ての者”が出入り可能…とか。」「!!」
「ああ、それなら確かに出入りの足し引きに辻褄は合うね。」
「理玖の術式は使えねぇのかよ。」
「やってみる。」

ま、セレクトだけ開いて選択しなければいい話だ。セレクト。

【あなたは嘱託式の帳を破ろうとしています。選択してください。選択すると呪力を200消費します。(残り呪力:280)】
【1.なにもしない 2.なにもしない 3.なにもしない】

「マジ?私の術式でも破れない…。」
「余程腕が立つ呪詛師がいるってことか。」
「しかもこちらの情報をある程度把握してるね。ほら行った行った。何が目的か知らないけど、一人でも死んだら僕らの負けだ。」
「帳は悟に任せて、私達は帳外の生徒達の保護を優先しよう。」

悟を帳の前に残して、私と傑とパパ黒は森の方へ散った。と見せかけて、私は薨星宮の途中にある忌庫へ向かう。真人がそろそろ忌庫に着いてるハズだ。

「セレクト。」

【あなたは真人を探しています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:280)】
【1.真人の元へ飛ぶ 2.真人を呼び寄せる 3.なにもしない】

真人の元へ飛ぶ!?飛ぶってどういう飛ぶ!?まあでも呼び寄せれば例によって空から降ってくるだろうし、傑とパパ黒に気付かれるのは間違いない。最悪どちらかに真人を祓われる可能性も…とすれば、1番。

【1.真人の元へ飛ぶ を選択しました。呪力を50消費しました。(残り呪力:230)】



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