「理玖さんから誘ってもらえて嬉しいです。最近は交流会の準備でスケジュール調整に忙しそうでしたし…!」
「ごめんね…!交流会も終わって落ち着いたし、少しは時間作れるようにはなったかな。」
「でも、どうして僕の所に…?ご飯に行こうなんて珍しいですよね…?」
「うーん…面談…的な?」
「面談?」
おっこちゅが宣言通り秒で呪霊を祓い終えると、2人で車に戻った。新田ちゃんとはそこで別れて、大通りまで荒井さんの車で送ってもらい、そこからは私とおっこちゅで食べ物屋さんを探して歩いた。車移動にしなかったのは、少しでもおっこちゅと2人でいる時間を作るためだ。
「うーん、あ、あそこなんてどう?焼肉!」
「いいですね…!僕お腹ペコペコです…!」
「よし、じゃああそこにしよう!」
見つけた焼肉屋さんに入って案内された席に向かい合って座ると、おっこちゅは嬉しそうに私に笑顔を向けた。おっこちゅの笑顔眩しぃ〜!
「理玖さんとこうやって2人で食事するの、初めてですよね!」
「そうだね、焼肉食べるだけの食事デートだけど。」
「それでも僕は嬉しいです。」
「私も、こうやって憂太君と高専で一緒に過ごせてる事を嬉しく思うよ。前に話した…ていうか悟に説明してもらった通り?私は里香ちゃんが亡くなることも、憂太君を高専で引き取る事も知ってたからさ…。その件については本当に申し訳ないと思ってる…ごめんなさい。」
「いえ…!あの時は、僕も酷いこと言ってすみませんでした…。でも、今は里香ちゃんとも理玖さんとも一緒に過ごせてるから、幸せですよ。それに、高専に来たことで友達ができて嬉しかったですし…!」
「憂太君がいい子過ぎる…。」
<里香も…じあわぜ…>
「里香ちゃん…!?急に出てきちゃダメだって…!」
「まあまあ、私も一緒にいるから平気平気〜。たまには里香ちゃんも一緒にお話ししたいよね?」
<する゛ぅゔ>
「それじゃ、先に注文済ませちゃおっか!値段は気にせず好きなの頼んで…!」
「わぁ…!ありがとうございます!」
「里香ちゃんも食べるでしょ?ジュースはなにがいい?」
里香ちゃんがジュースを飲めるかは分かんないけど、真人もココア飲めたしいけるんじゃね?飲めなきゃ私が飲めばいいし。
<里香は…オレンジ…>
「オッケー。私はウーロン茶にしよっかなぁ。」
「僕もウーロン茶にします。」
飲み物の次は注文するお肉やサイドメニューを決めて、注文を済ませた。おっこちゅも男子高校生だし、高専に転校当初に比べて筋肉もついたからか、たくさん食べるようになったらしい。交流会の2日間、おっこちゅは遠方の任務に行ってもらっていたので、その時の話を聞きながらお肉が届くのを待った。
「いっぱい食べてね〜!」
「いただきます!」
<まぁす>
おっこちゅの今の好感度は青の45%になっている。任務先に私が現れた時点で30%が35%になっていた。おまけに里香ちゃんへの対応も、おっこちゅの好感度アップに含まれているらしい。焼いたお肉を里香ちゃんのお皿に載せると、嬉しそうに笑って<ありがとぉ♡>と言っている。なにこの可愛い生き物。里香ちゃんも私のこと大好きだもんな…!可愛いかよ!!お肉を焼きながら、里香ちゃんについておっこちゅに話を聞いた。私が知っているのは17巻までの知識であって、それ以降は恐らく単行本も何冊か出ているだろうけど、読めていない。夢の中で読めていた原作の続きが読めなくなったのはなんでだろう?って感じだから、おっこちゅについて単行本で新しく分かった情報もあるかもしれないし。
「術式の
「はい。」
なんてこった…!だからおっこちゅは0巻で反転術式もトゲエルの呪言も使えてたって事…?すげぇなおい…古の最強トリップ主かよ…。他ジャンルの技コピーできる夢主とかいたよなぁ!!くぅ、古傷が疼くぜぇ…!って、そんな事を考えている場合じゃない!
「それって、私の術式もコピーできたりする?」
「うーん…、それが…、理玖さんの術式がどんなものか分からないこともあって…。」
「そっか、うーん、そうだよねぇ。」
神の子の術式は誰にも術式の開示ができないことを縛りに、やりたい放題できる…みたいなところあるから流石にコピーも無理かぁ…。コピーができてしまったら神の子が存在する意味がなくなっちゃうし…。…うん?もし、おっこちゅが悟や傑の術式をコピーできるとすれば、めちゃくちゃ強くね…?でも呪霊操術をコピーってできるのかな…。コピーできても、呪霊を取り込むところからスタートになる?それとも傑が持っている呪霊をそのままコピーして全部使える的な…?いや、流石にチート過ぎか…?
「理玖さんの術式は結局謎のままですよね。縛りがあるんでしたっけ?」
「うん、人に話せない縛りがね。だから皆みたいに術式の開示をして、術式効果の底上げはできないかなぁ。でも縛りのおかげで大体なんでもできちゃう感じ。」
「聞いた限りだと便利と言えば便利ですよね…。」
「そうだね、その分私へのリスクもあるけどね。」
「リスク?」
「ほら、呪力切れでぶっ倒れちゃったことあるでしょ?」
「ああ、あれが…。」
「あとはほら、真希ちゃんや甚爾様と同じ感じでさ、術式使わない時は呪具がないと呪霊払えないから。呪力込めたパンチや蹴りができるわけじゃないし、呪力により身体強化もできないから生身だよ。術式使う以外の呪力操作はてんでダメ。」
「それって…結構危ないんじゃ…。」
「まあね。でもなんとかなってるよ〜。」
「…理玖さんは僕が守らないと…。」
「え?」
<里香も守る…>
あれ?なんかおっこちゅがぬるっとし始めたんですけど…。しかも里香ちゃんまでぬるっとしてない…?え?なんで?好感度が上がる音に視線を持ち上げれば、65%になっていた。なにがあった…!!!でもありがとう!?!?
「僕が理玖さんを…、」
「憂太君?え?どうしたの急にぶつぶつ言いだして…、」
「いえ、僕と理玖さんの将来設計を考えてただけです。」
「なんだと?」
「でも理玖さんの術式がある限り、僕がいくら理玖さんを閉じ込めても逃げられて…、」
「待って不穏な言葉が聞こえたんだけど?!閉じ込めるってなに!?」
「理玖さんが危険な任務に就かなくていいように、里香ちゃんに監視を「どうしてそうなった?!ていうか、私はわざわざ任務先に行かなくても、術式使えばなんとかなるから!」
「それならいっそ…、僕の部屋から出れないように縛りを…、そうすれば他の人達にも理玖さんを盗られたり「わー!おいしそうにお肉焼けたー!食べて食べてっ!」
おっこちゅのお皿に焼けたお肉をひょいひょいと移すと、おっこちゅはそれはもう爽やかな笑顔を私に向けてお礼を言った。うーん、このロールキャベツヤンヘラ男子め!!そういうところも好きだぞっ!!だが監禁エンドはマジ勘弁だから!どこのメンヘラ乙女ゲームよ!…って、この世界も元は私が関わってた乙女ゲームだからそういう展開もある…ってコト!?なんて事してくれてんだ!最高かよ!!でも監禁エンドで他の皆に会えないのは寂しいから勘弁!
「それでさ、面談って言ってたと思うんだけど。」
「はい。」
「憂太君から見て、2年生の皆で昇格すべきだと思う子はいる?忖度なしで答えて欲しいな。」
「…うーん…、交流会の映像は見せてもらったんですけど…、」
「うん、」
「皆いい活躍してたと思うので、狗巻君、パンダ君、真希さんは昇格するべきだと思います…。あとは枷場さん達も普段の任務は真面目にやってるし、昇格してもいいんじゃないかって思います。」
「そっか。私よりも憂太君が任務に同行すること多いから、意見を聞けて助かった。憂太君はもう特級だから昇格はないけど、皆の昇格推薦の為にもさっきの意見は参考にさせてもらうよ。あ、ご飯おかわりは?」
「いただきます!」
「お肉もじゃんじゃん食べてね〜!里香ちゃんもジュースおかわりいる?」
<い゛る゛ぅゔ♡>
おっこちゅと里香ちゃんと焼肉を食べ終えた後、3人で街をブラブラしてみた。里香ちゃんは完全顕現したままだけど別に悪いことをするわけもなく、寧ろ楽しそうに私とおっこちゅの後ろをついて来ている。おまけに、途中で見つけた呪霊は里香ちゃんが<邪魔ぁ!>と祓ってくれるので、歩くだけで呪霊が祓えて大助かりだ。私はというと、焼肉屋を出る前に自分の任務はセレクトで済ませておいた。いやぁ、便利だな私の術式!残り呪力も問題なし!ウィンドショッピングをしている内に、おっこちゅの好感度は少しずつ上がっていった。これなら高専に帰るまでに100%になるの間違いナシでしょ!
「里香ちゃん、楽しい?」
<ゔん!里香、たのじい゛!>
「良かった〜!里香ちゃんも憂太君の隣においで!」
「えっ、わっ、理玖さん…!?」
おっこちゅの右腕にぎゅうっとしがみ付く私と、おっこちゅの左腕にすり寄る里香ちゃん。喜べ男子、両手に花よ!!おっこちゅの腕にしがみ付いた事で、おっぱいが当たったのか、慌てるおっこちゅが可愛い。
「理玖さん、あの、当たってます…、」
「やだぁ、憂太君のえっち♡高専だとこんなにくっ付けないし、たまにはこうやって3人で並んで歩くのもいいじゃん。ね〜?里香ちゃん!」
<ゔん!>
「次はなに見よっか?欲しいものがあればお姉さんがなんでも買ってあげる!里香ちゃんも遠慮なく言いなさい!」
「ぼ、僕は、あの…、もう少し理玖さんと過ごす時間が…、」
言うじゃないかおっこちゅ…!!!と嬉しさにムフムフとにやけている内に辿り着いたのは、
「あれ…?」
「理玖さん、ここで少し休憩しましょうか。」
何故私はラブホ街に…?おっこちゅを見上げればにっこりと笑みを向けられる。まさか、計画的犯行か…!?
「最近理玖さんと触れ合う時間もなくて、寂しかったんですよ…僕。それなのに、人の気も知らないで胸を押し付けてくるし…、」
「あ、いやぁ、それは、」
好感度上げる為とか言えねぇえ!
「理玖さんも、僕と同じ気持ちなのかと思って…。誘ってるんですよね…?」
「い、いや、今日はほら、里香ちゃんと3人でデート「里香。」
<はぁ゛い>
里香ちゃんが消えて、おっこちゅと私の2人きりになってしまった。まだ明るい時間帯だからか、ホテル街を通る人は少ないけど、これは…誰かに見られたらヤバいのでは…!?
「ゆ、憂太君は制服だし、今日はやめた方が「それじゃあ、これでいいですか?」
おっこちゅは制服の上着を脱いで腕に掛けた。中に着ていた黒いTシャツと制服のズボン姿になったおっこちゅが、また私ににっこりと微笑む。
「これなら制服だって分かりにくいし、問題ないですよね?」
「ウス。」
傑、ごめん。やっぱり今日は帰れない気がするわ…。