一難去ってまた一難?


高専内に鳴り響いたアラート。急いで校舎を出て騒がしいグラウンドに向かった私と三銃士。そして発生した好感度イベントは迷いなく選択した。

「見つけたぞ、廻神理玖!」
「ぷぅ!」
「理玖、なんかご指名っぽいいけど?」
「わーお。」

グラウンドに現れたのは漏瑚と陀艮、九相図トリオだった。ていうか天元様の結界無視かよ。まあ、隠すことに全振りしてるような結界だし、傑が百鬼夜行の宣戦布告するシーンも普通にペリカン呪霊で入れてたもんな。グラウンドには丁度子供達が体術の鍛錬中だったらしい。おっこちゅは里香ちゃんを、メグエルは玉犬渾を、順平は澱月を出して、他の皆もそれぞれ戦闘態勢をとっていた。おぉおぉ、これまたカオスな状態で…。

「真人と花御が戻らん!一体どうなっておる!儂らは全て貴様の指示通りに動いてきたというのに、なんの連絡もなしとは!」
「え〜、どなたですかぁ?理玖ちゃんわかんなぁ〜い♡てへっ♡」

とぼけてコツンと頭に拳を添える私を見て、漏瑚は火山頭を噴火させた。おうおう、あっつあつやんけ〜。

「理玖さんあの呪霊と知り合いですか!?」
「ううん、理玖ちゃんわかんない♡」
「とぼけるなよ貴様ぁ!いいか人間ども!この女は儂らに『宿儺を復活させるから協力しろ』と持ち掛けてきた。」
「理玖姉が宿儺を?!」
「どういうことだよ、理玖。」

ちらほらと子供達の視線が私に移る。私は全く知りませーんという顔でとぼけておいた。まあどうせ証拠もないし、バレたとしても宿儺の指を回収するために近付いたってことにすれば問題ないでしょ。実際宿儺の指を貰う約束だったし。

「ほらほら皆、呪霊の言葉なんて信じちゃダメでしょ?」
「そうだよ、これだけ会話が成立するってことは、それなりに強いだろうから気を付けて。」
「ガキ共の鍛錬相手にゃ丁度いいんじゃねぇか?」
「あ、皆ー!傑が取り込むから祓っちゃダメだよ〜?ちょっと弱らせるくらいにして〜!」

「鬼かよ。」
「交流会の奴らの仲間なら、アイツらも特級か。」
「しゃけ、すじこ。」
「ああ、特級相手でもこれだけいれば俺らでもなんとかなるだろ。」
「理玖さんが本当に呪霊と繋がってたとしても、それは全部なにか理由があってのことだから、今はあの呪霊達を無力化することにだけ専念しよう。」
「オマエら、憂太さんに続け!」
「おー!」「しゃけー!」
「…先輩たちって真面目なのかアホなのか時々わかんなくなるわよね。」
「どう見ても真面目にバカやってるタイプっしょ?」
「真面目バカ…。」

「わぁい乱闘だぁ!大乱闘ス〇ッシュブラザーズだぁ!」
「いやそれは違うでしょ。」
「私達も参戦するかい?」
「手加減ミスって祓っちまっても文句言うなよ。」
「オマエ達!これは一体どういう状況だ!」

私たちが子供達と漏瑚達の大乱闘を見学していると、血相を変えて出て来た夜蛾さん。グラウンドが漏瑚のマグマで穴ぼこになっている。これあとでちゃんと直せるかな?

「また呪霊の襲撃か!」
「なんか理玖に会いに来たっぽい。」
「なに?」
「楽しそうだから私も乱入してみようかな。」
「ふざけている場合か…!早く行け!」
「はいはい、行きます行きます!」

夜蛾さんがパキポキと拳を鳴らし始めたので、私はグラウンドで大乱闘中の子供達と漏瑚達の元へ。九相図トリオはただ様子を窺っているだけらしい。ホルスターから十手を取り出して、漏瑚に飛び掛かって火山頭に突き刺した。

「ご指名ありがとうございまぁす♡」
「ぐおっ!?」
「理玖さん!?」
「子供達は下がって〜。セレクト。」
「!」

【漏瑚があなたを狙っています。選択してください。選択すると呪力を200消費します。(残り呪力:280)】
【1.漏瑚を祓う 2.漏瑚の動きを止める 3.漏瑚の動きを止めて祓う 4.なにもしない】

漏瑚の後ろで陀艮がぷるぷると震えているのが見えた。陀艮も傑に取り込んでもらうつもりだし、変態するならそれから動きを止めた方がいいかな。とりあえず漏瑚の動きを止めてあとは十手でなんとかなるでしょ。2番!

【2.漏瑚の動きを止める を選択しました。呪力を200消費しました。(残り呪力:80)】

「!う、動…けん…!」
「ぷぅ…!じょう、ご…、じょうごぉ…!」
「傑にあげる!」
「ありがとう、理玖♡」

動けない漏瑚はグラウンドに下りてきた傑が手を翳して球体にした。陀艮はぷるぷると震えながらぽろぽろと涙を流している。そろそろくるか?

「じょうごぉ…まひとぉ…はなみぃ…はなみ…、よくも花御を…!」

ぷにぷにボディが裂けて飛び出したのは、変態してムキムキになった陀艮。私に飛び掛かってきた陀艮の右手を十手で受け止めると、陀艮は左手で私の脇腹をガシリと掴んだ。あ、これ痛いやつ!!すぐに十手で陀艮の頭をグサグサと突き刺せば、その手はひるんだのか私の体は解放された。その場に着地して掴まれた脇腹を擦る。

「あいたたたぁ…ビックリしたぁ!」
「おい理玖、オマエ術式頼りの戦闘ばっかで鈍ったな。」
「大丈夫でーす、少し勘が戻りました。ていうか甚爾様の方が戦闘サボりまくってるくせにぃ!」

十手で刺された陀艮は頭からしゅわしゅわと湯気を立てて悶えているらしい。その黒いお腹に領域展開の宝袋が描かれ始めたので、そこを十手で一刺し。あんまりグサグサ差し過ぎると陀艮を祓ってしまうので、この辺りで傑に取り込んでもらおう。

「傑、あげるー!」
「ありがとう、理玖♡」
「傑ばっかり理玖に貰ってばっかでズル〜い!僕にもなにか頂戴!」
「今!?ごめんけど後にして?!」
「それで、君達はどうするんだい?」
「俺達はただついてこいと言われて来ただけだ。」
「敵意は?」
「…特にない。が、そちらが手を出すようなら俺達も抵抗はする。」
「あっそう。じゃ、こっちもなにもしないよ。」
「受肉体か…。流石に受肉体は私も取り込めないだろうね。」
「取り込めなくて大丈夫だよ、悪い子達じゃないから。」
「……廻神理玖と言ったな。」
「あ、うん。初めまして、脹相、壊相、血塗。」

脹相はジーっと私の顔を見ている。え、どしたん?壊相と血塗は「兄さん?」「兄者?」と不思議そうに脹相の顔を覗き込んだ。

「え?なに?私の顔になんかついてる?」
「いや、なんでもない。」

【脹相との親密度が100%になりました。選択してください。この選択には呪力を消費しません。また、この選択は親密度が100%の相手には何度でも選択できます。(残り呪力:60)】
【1.好きだと伝える 2.友達だと伝える 3.付き合いたいと伝える 4.なにもしない】

なにいいいい!?!?!?なんでぇえええ!?!?!え、脹相どうしたの?!もうなの!?え、そうなの?!私なにもしてないよ!?背中を向けた脹相に、壊相と血塗も首を傾げている。え、私も首傾げたいんですが?!

「兄者、なんか顔が真っ赤だぞぉ。」
「兄さん、なにかあったのかい?」
「…大丈夫だ、弟たちよ。」

待て待て待て待て!脹相は悠仁のお兄ちゃんでしょ!!どうしたのよお兄ちゃん!!…って、あれ?よくよく考えたらゆじたんは香織さんから生まれはしたけど、中身は香織さんのままで羂索と関わりがないのでは??ということは全力でお兄ちゃんを遂行できないのでは!?うわああああ!!私の馬鹿っ!!がくりとその場に膝をついてorz状態になった私に、皆の視線が集まるのを感じる。折角のお兄ちゃんが…!!

「理玖?どうしたんだい?」
「理玖大丈夫?また医務室行く?」
「大丈夫…ちょっとミスっただけだから…。」
「「ミス?」」

まあでも、脹相が九相図の長男であることには変わりないしいいか…。羂索がいた時よりも間違いなく平和だし、九相図トリオからも敵意は感じられないし。

「理玖、説明しろ。これもオマエの秘密が招いた事態なのか。」

九相図が一向に手を出してくる気配がないから夜蛾さんも警戒を緩めたらしい。私が説明しようにも、九相図と会うのは正直初めましてだからなぁ?まあいっか。

「彼らは呪胎九相図の受肉体です。2つ結びの彼が長男の脹相、露出狂が次男の壊相、ちっこくて可愛いのが三男の血塗。」
「私達のことまでご存じとは、神の子という噂は本当のようですね。」
「なんだぁ?俺はちっこくて可愛いだぁ?」
「廻神理玖、漏瑚に俺達を受肉させるように頼んだのはオマエだと聞いた。何故だ。」
「え、あー…うーん、別に、会ってみたかったから?」
「ぐッ、」
「兄さん!?」「兄者ぁ?!」

え、なんか脹相が変なんだけど…!?突然胸を押さえて私から顔を逸らした脹相に、壊相と血塗が私に視線を向ける。

「廻神理玖、兄さんになにをした…!」
「えっ!?」
「兄者になにしたぁ!」
「なにもしてないんですけど!?」
「んまっ!理玖ったら受肉体まで誑し込むなんて…!」
「私達というものがありながらなんて罪な女なの…!」
「いや本当になにもしてないからね?!脹相、大丈夫…?」
「ブーーーーッ!」
「兄さあああん!」「兄者あああ!」

え、脹相マジでどうしちゃったのおおおお!?ものすごい勢いで鼻血を吹き出した脹相に私も困惑している。心なしか子供達の目も冷たい。

「理玖の奴またやってんな。」
「どんだけ周りを誑し込めば気が済むんだよあの人は…。」
「…理玖さん、」
「理玖様の人誑し〜!」
「理玖様…、」
「違うよ!?ホントのホントに私なにもしてないから!!脹相もほら、お兄ちゃんなんだからしっかりして!?」
「お兄ちゃん…ッ、ブッ!」
「だからなんでなの!!」

なにがどうして脹相が私相手に鼻血出したり吐血してるのか分かんないけど、まあ大丈夫だよね…?脹相は呪力が枯渇しない限り失血死はしないって話だったし。まあとにかく、九相図トリオに敵意がないのは脹相の態度を見ればよく分かる。ここは高専側に引き「理玖たあああああああああん!!俺が来たでええええええ!!!」……この声は…まさか…!



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