選べナイト!


私は直哉の首根っこを引っ張ってグラウンドから離れると、くるりと直哉に向き直った。

「なんでこないなところまで、」
「それはマジでこっちのセリフだから。LIMEで聞けばいいようなことをわざわざ東京に来てまでなにしてるの?ていうか、私を題材に本描くって、どういう話で描くつもりなの?またエロ同人?」
「エロ同人やない、エロ漫画や。」
「そんなに意味変わんないから!あと、あの3人に私のエロ同人誌送ったら、直哉君のこと嫌いになるから。エロくなくても送らないで。」
「そ、な、え、なんであかんの?!」
「寧ろなんでいいと思ってんの!?」
「俺が描いた同人誌が実写化「元から実写ですけど!?」

駄目だこいつ…早く何とかしないと…。いやでも、直哉がオタクになったおかげで、禪院家はまあ前よりはマシになったみたいだし、このままにしておいた方がいいのか…?でも私の同人誌描いてるんだぞ?

「……ちなみになんだけど、商業で描く私の本ってどんな内容なのか、もう決まってるの?」
「ん〜、とりあえず理玖たんのハーレム本やな。」
「ほ、ほう…?それで?」
「流石に呪術師やら呪霊やらは規定で出せへんし、そこは名前を変えるつもりや。」
「私の名前もそのまま出したりしないよね?」
「そら勿論、理玖たんの名前は同人の方で出してしもうたしな。甚爾君達の名前も出してるし、登場人物のキャラデザは寄せつつ、名前は皆変える。」
「…それで、ハーレム本って言ってたけど、誰落ちなの?」
「そこはまだ決めてへん。」
「……18禁?」
「勿論や!!」
「タイトルは?」
「『選べナイト』や。このナイトは『knight』と『night』をかけてんねん。命を狙われる理玖たんを護る『knight』と、夜の『night』を共にする相手を選ばなあかん話やねん。『night』の『knight』を『選べないと』理玖たんはエロ同人みたいに敵にヤられてしまうっちゅー話や。ちなみに、敵は呪霊がモデルやから、触手プレイはデフォやで。」

ただのダジャレじゃねーか!!ていうか触手プレイはデフォかよ!!

「それから溶解液やら媚薬なんかも触手から吐き出されて、理玖たんの服は溶かされてな、」
「え、」
「あとはあれやな、オークとか出すのも悪ないなって思ってんねん、」
「え、オ…?え?」
「あとはインキュバスみたいに夢の中でヤられるみたいなのもええな。」
「待って、え、オークってなに…どういう世界線!?現代じゃないの?!」
「現代やない、ファンタジーや…!モンスターとか悪魔とか出てきて、呪術の代わりに皆それぞれ魔法使えんねん。」
「あ、そういう…、感じ…?」

なんかちょっと気になってくるじゃんか…!!直哉は私の両手をガシリと掴んで、また拝むように見つめてきた。

「頼む理玖たん!もうここまで色々考えついてんねん…!あとはそれを描いてくだけなんや…!許可してくれ…!」
「う、う〜〜〜ん…、そこまで…言うなら…?」
「ほんま!?」
「う、うん、まあ…。でも何個か条件がある。というか、お願い?」
「お願い?」
「この作品に関しては、私達がモデルになってる事を誰にも言わないで。」
「…まあ、ええけど。キャラデザは寄せる言うたけど、本人やって分かるキャラデザにしたら呪術規定に抵触しそうやしな。」
「あと、…誰落ちにするのか決まったら、私に教えて。」
「そんなん当たり前や!寧ろ理玖たん的には誰落ちがええの?」
「えっ、私!?いや、私もまだ誰にするか決めてないって言うか決まってないって言うか…、」
「まだ?」
「あ、イヤ、こっちの話!とりあえず、私にもネームとか読ませてくれるなら許可してもいいけど…、」
「ネーム?まあ、それくらいなら大丈夫やろ。ていうことは、OKしてくれたってことで、」
「うん、まあ、どうぞ…。でもちゃんと呪術規定は守ってよ?!あとは特定されるようなことはしないように!」
「分かってる…!理玖たんありがとう!!理玖たんも誰落ちにしたいか決まったらすぐ言うてな!」
「あ、ああ、うん、分かった…。」
「帰ったら早速ネームや…!理玖たんほなまた!」
「あー、うん、バイバーイ。」

ついつい興味本位で許可してしまった…。手を振りながら走り去る直哉に、私も小さく手を振り返す。うん、『選べナイト』ってもうあれじゃん、今の私みたいじゃん。直哉ってなに?エスパーかなにか?とりあえずグラウンドに戻るか…。

「ただいま〜。」
「おかえり、理玖。直哉となんの話してたの?」
「いや、ちょっとプライベートな話。」
「私達には言えない事かい?」
「いやまあ、そう…だね。」
「俺らには言えねぇのに、アイツには言えんのか。」
「いや、それはあの…、えっとぉ…、」

だってええええ!!!私を題材にした漫画が出るって話してたなんて言えるわけないじゃん!!しかもエロ漫画だなんてえええ!!今の私と状況が似てる話だなんてええええ!!三銃士が私を囲んで肩を組んだ。う…筋肉の壁…!!!肉厚すぎる筋肉の壁に挟まれてるぅ…なにこのご褒美…!!むさ苦しい…!でもありがとう…!!!ていうかやっぱり3人とも仲いいよね!!

「うぅ〜…苦しい…っ、」
「さっさと吐きなよ〜このまま潰しちゃうよ〜?」
「それとも潰されるのをご所望かな?」
「無理矢理吐かされてぇのか。」
「ほんとに言えないの…っ、」

だって言ったら絶対直哉を脅すに違いない…!!変態三銃士なんだから、絶対に言うじゃん!!!こういうシーン入れろとか、こういうプレイを描けとか、絶対言う!!あと絶対自分落ちにしろって言う…!!賭けてもいいよ!!

「そういば九相図どうなったのっ、あとほんとにぐるじい…、」
「受肉体は夜蛾学長が連れてったよ。」
「理玖のことだから敵じゃないだろうって。」
「実際敵意はねぇみてぇだしな。」
「敵意がないならよかった、あとほんと暑いし離れて…筋肉ゴリラ3人に囲まれると圧が凄い…。」
「え〜、オッサンと傑ならともかく、僕のどこがゴリラなわけ?GLGでしょ?」
「納得いかないね、私をゴリラ扱いするなんて。伏黒さんと悟はゴリラだけど。」
「どう見てもオマエらのことだろ。」
「どう考えても3人のことだけど?なんで3人してそんな心底わかりませんみたいな顔してるの?ていうか3人って言ったよね?え、怖いんだけど、ゴリラの自覚ないの…?」
「なに?反抗期?」
「生理かな?」
「更年期か。」
「もう馬鹿!嫌い!脹相たちの所いくから離れて!んぅ〜〜〜ッ、もう、なんで詰めてくるの!?」
「悟だいちゅき♡愛してる♡って言ったら考えてあげる。」
「傑以外いらないって言ったら離れてあげてもいいよ。」
「俺と結婚するって言うならコイツらは引き離してやる。」
「あ、じゃあ術式使うんで大丈夫です。」

そういうと、3人は渋々ながらも離れてくれた。いや、本当はもっと堪能したかったよ!?でも3人の胸筋が丁度私の顔!!顔にくるの!!雄っぱいが!!もう色々とヤバいので無理!!あと普通に近すぎて苦しくて息できない。あと誰だしれっとお尻触ってたの。

「とにかく、直哉君との事は完全にプライベートな話だし、プライバシーに関わるから言えません。以上、解散!」
「「ちぇ〜。」」
「…直哉に直接聞くか。」
「絶対聞かないで!絶対だからね!?あと直哉君の変な本も見ちゃダメ!貰うのもダメだから!」
「「え〜〜、」」
「…ハッ、」

三銃士がにやにやしている…。絶対直哉に連絡するか、直接聞きに行くつもりだ…。いずれ直哉の商業誌がバレる可能性はあるけど、それまでに好感度イベントをなんとかすれば…いや、直哉の漫画の落ち相手を決めればいいのか…?一先ず、九相図トリオがどうなるのか確認しに行かなければ…!

「ノックしてしもしも!」
「理玖、ちゃんとノックしろと何度言えば…、」
「脹相達はどうなりました?」

足早に学長室に向かった私は、ノックをして返事も聞かずにドアを開けた。九相図トリオと夜蛾さんが向かい合っている状態で、現状どういう状況なのか見ただけでは分からない。夜蛾さんの隣に立って九相図トリオと向き合うと、夜蛾さんは小さく溜息を吐いて、私の頭に拳骨を落とした。え、なんで!?

「ひっどぉい!なんでですか!?」
「3人にある程度話を聞いた。あの漏瑚とかいう火山頭の呪霊が言っていたことは事実か、理玖。」
「うーん、言えないです。でもこちらにマイナスになるような結果にはなりません。現に、未登録の特級呪霊4体は無事に傑に取り込ませることができましたし、怪我人もいないので。」
「…うむ、だが、」
「九相図の3人についても、敵意がないことは明らかなので、高専で保護という形でいいと思います。必要であれば呪霊の祓除に手を貸してもらうことを条件にするなら、彼らの保護も問題ないのでは?むしろ、悟達に総監部からの通達として彼らを高専で保護、必要時に現場に派遣する内容の通達を出してもらえば、誰も彼らを祓うこともないでしょうし。3人もそれでどう?最初は保護下で面倒なことも多いかもしれないけど、あなた達が呪霊側ではなく人間側の存在であると、皆に認めてもらえば自由に過ごせるようになると思う。」

3人は顔を見合わせて、小さく頷いた。脹相が一歩前に出て、夜蛾さんに向けて手を差し出す。夜蛾さんも私をちらりと見たので、にっこり笑って頷く。

「俺達は人間側につく。世話になりたい。」
「こちらこそ、君達とはいい関係を築きたい。」

2人がガシリと握手をしたので、とりあえず一安心。九相図の件はその日の内に、総監部からの通達が出された。3人には高専の教員用の男子寮に住んでもらうことになった。私が寮の部屋を案内してあげたけど、脹相はなにか言いたげにちらちらと私の様子を窺っているので面白い。脹相もちょろいのかもしれない…いや、実際ちょろかった…。一瞬で好感度イベント終わっちゃったし。でも壊相と血塗はそこまでじゃないみたいだ。2人の好感度は壊相が30%、血塗が20%…。これは、脹相のことで私を警戒してるとか…?

「えっと……私の顔になにかついてる?」
「失礼、女性の顔をあまりじろじろ見るべきではありませんね。ですが気になったので。」
「え、」
「兄者になにしたぁ?」
「だから何もしてないんだって…!」
「じゃあ兄者はなんでもじもじしてるんだぁ?」
「私に聞かれても…、脹相?大丈夫?」
「ブッ!」
「兄さん…!兄さーん!」
「兄者ー!」

うん、なんで?



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