秘密の山小屋


「もう、本当にこの子は…!」
「ごめんなさい!」

おばあちゃんの家に帰るや否や、お母さんが私を抱き締めた。おじいちゃんとおばあちゃんも近所を探してくれていたらしい。

「…すみません、私のせいで理玖さんを遅くまで連れ回してしまいました。」
「…あら、どちらさま?」
「夏油傑といいます。理玖さんとは今日お友達になりました。」
「あら…そうだったの?でもあなたも親御さんが心配するでしょ?」
「家は門限はないので、大丈夫です。」
「お母さん、おばあちゃん、あの…すっごく言いにくいんだけど…。」
「理玖、あんた、裏山に行ったね…?」

やっぱりバレてたー!おばあちゃんが怖い顔で私を睨んでいる。クソ…ここは正直に言うっきゃねぇ。

「実は、その…祠に封印してた虹龍の封印解いちゃった…てへっ。」
「あれをどうやって…!?」
「え、なんかぴゅーひょい、みたいな。」
「…何?」

嘘ですごめんなさい。本当は夏油の呪霊でちょっかい出したけど、それは言えない。

「えっと、あれってヤバいやつ?」
「…あの龍は、家で代々封印していたものだから、いないならいないで手間が省けるわ。」
「じゃあいなくても問題ないんだね!?良かった!」
「あの龍をどうしたんだい…。」
「それは私が説明します。」
「傑、」
「私にも封印を破った責任があるからね。実は、呪霊操術が使えるんです。それで、あの祠に興味があって、理玖に頼んで一緒に封印を解きました。あの龍は私が取り込んだので、このまま頂いてもいいですか?」
「呪霊操術かい、珍しいね。取り込んじまったもんは仕方がないさね。大事に使っておくれ。」
「ありがとうございます。」
「ね、こっちにいる間傑と毎日遊んでいい?悟のせいで友達いないの!お願い!」
「…まあ、傑くん?が大丈夫ならいいけど…。あんまり遅くなるのは駄目よ?」
「私がきちんとここまで送り届けます。私も呪霊が見える友達は初めてで、嬉しいので。」

夏油の言葉に、私のお母さんとおばあちゃんは顔を見合わせてぱちくりと瞬きをした。

「孫が世話になるね。」
「理玖のことお願いね?」
「はい、ありがとうございます。」
「やったー!ね、傑、明日も遊ぼうね!」
「ああ、勿論。迎えに行くよ。」
「じゃあ明日、10時くらい?」
「わかった。じゃあ、私はこれで。お邪魔しました。遅くまですみませんでした。」
「傑、気を付けて帰ってね!」
「ありがとう、理玖。」

夏油の背中が見えなくなるまで見送って家に入ると、お母さんがニヤニヤと私を見ていた。

「悟くんが知ったら怒るわよ〜?」
「だから悟とはそんなんじゃないって!」
「どっちが本命?」
「なんでそうなるの!?」

どっちも本命だわ!なんて絶対言わないけど。その後、皆でご飯を食べてお風呂に入ってすぐに寝た。明日夏油が…めどくさいな、傑が迎えに来てくれるから、ワクテカしながら布団で目を閉じた。翌日、目を覚ますと朝食を食べて身支度を済ませる。傑の迎えが来るまでに昨日の分の日記を書いて、縁側で寝転がった。はーやくこーいこいすぐるくんー。なんつって。

「ごめんください。」
「傑!」
「や。おはよう、理玖。」

玄関から声がして走って向かうと、傑が笑顔で立っていた。駆け寄って飛びつけば、私を受け止めた傑。はぁあ…マジ尊い…。尊すぎてもう、てぇてぇ…。

「おはよう傑!おかーさん、傑来たから行ってきまーす!」
「帰る時は連絡しなさいよー?行ってらっしゃい。」
「りょ!行ってきます!」

携帯をポケットに入れて、傑と手を繋いで家を出た。

「今日はどこに行こうか?」
「んー、探検でもしよっか?」
「いいね、あの裏山の他にも気になっていたところがあったんだ。そこでいいかな?」
「うん!傑と一緒ならどこにでも行くよ。」
「…嬉しい事を言うね。」

60%になった好感度。…やっぱ、始めのうちは上がるの早いな…!パパ黒はあんな性格だから結構上がり悪いけど、悟の時も上がるの早かったし。傑に連れられて辿り着いたのは古びた山小屋。…嫌な予感。

「…待って、ここ絶対さ、いるよね。」
「いるね。」
「…やっぱりいるよね!?絶対いるよね!?G的な奴いるよね!?」
「G?…ああ、成程そっちか。」
「え!?他に何が!?」
「以前取り込もうと思ったけど、逃げられてしまってね。」
「…マジでGなの…?」
「違うよ。」

傑が山小屋の扉を開けた。軋みながらゆっくりと扉が開くと、中には…、

「いやぁあああ無理無理無理無理!!!きもい!無理!」
「ははは、そう興奮するな。暑くなる。」
「おま、おまっ!!」

カサカサと音を立てて蠢くムカデの大群。おまっ、これ0巻で乙骨と戦ってた時使ってたやつか!?マジで、なんでこんなとこで出会うの!?やめてくんない!?セレクト!

【百足があなたと夏油傑を襲おうとしています。選択してください。選択すると呪力を20消費します。(残り呪力:60)】
【1.祓う 2.動きを止める 3.なにもしない】

マジキモい!!!うねうねしててキモいから2番!

【2.動きを止める を選択しました。呪力を20消費しました。(残り呪力:40)】

ピタリ、蠢いていたムカデの大群が動きを止めた。いや待って、止まっててもキモいもんはキモい!傑が手を翳した。ムカデが黒い球体になって、傑がそれを飲み込む。…大丈夫?キモくないの?え、大丈夫?!

「…やっぱり、嫌な味だ。」
「…、」
「口直しがしたいな。」
「…、」
「理玖、何かいい方法はあるかい?」

コイツ、確信犯だ!!私とちゅーしたいからわざわざ聞いてきたんだ!!絶対そうだ!現に傑はにやにやしながら私を見てる!おい、なんでここで好感度上げてんだよ!?なんで63%になってんだよ!!

「困ったな、口直しができないとなると、私は今の呪霊を吐き出してしまいそうだ。」

絶対嘘じゃん!!もうっ!傑のばかぁああ!コイツ根っからのドS野郎じゃん!この時から煽リストじゃん!悟よりタチ悪いじゃん!

「…口直し、する…?」
「いいのかい?」

おい、目が輝いてんぞ、とんだ狐野郎だなコイツ…。仕方がない。元はムカデとは言え、飲み込むときはただの球体だからな…。それにここで躊躇してたら、傑とキスするのが嫌みたいに思われるのもヤだし。山小屋の中で私たちはキスをする。傑が私の口に舌を入れてきた。…マジで調子に乗ってんな…?!煽られたら煽り返す、倍返しだ!傑の首に両手を回して、私も舌を絡める。傑はキスをする時目を開けるタイプか…ふむふむ。私もじっと見つめ返す。傑の足を私の足で引っかけて、頭をぶつけないようにその場に押し倒し、その腰に跨る。まだ小1だから大丈夫だけど、多分成長したらこの体勢はヤバい。多分じゃないや、確実にヤバい。上から見下ろす傑の顔が私を愛おしそうに見つめていて、胸がキュンキュンする。かわいい…ほんと、襲いたいわぁ…てか今襲ってるわぁ…。跨ったまま触れるだけのキスをして、傑の耳元で名前を囁いた。小さく反応した傑。…ふふ、可愛い…。

「…流石にここでは、」
「ここでは、なに?」
「…いや、なんでもないよ。それより、もっとしよう。」
「言ってくれなきゃ、しない。」
「…困ったね。」
「ふふ、困らせちゃった。」

傑が私の手に指を絡める。だいぶ積極的じゃん?悟の時も思ったけど、この二人マジで本当に小1?



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