水も滴るわたしたち


傑とキスをしている。もう一回言うね。傑とキスをしている。もう、無理、はぁあああてぇてぇえええ!!鼻血でるわこんなん。互いに舌を絡めながら見つめ合ってどのくらい経ったかもわからない。傑が私の頬を撫でる。…マジで、なんで小1にしたのかな私…。中学生くらいにしとけばよかった!!そしたらもうヤってんぞマジで!?くそぉお選択ミスったぁぁああ!傑は私が一人で暴走してる事なんて知らないんだろうな。唇が離れて、はぁ、っておま、色っぺぇ声出すんじゃねぇよ!!マジで!…あれ、いつの間にか好感度が70%になってる!

「口直し、できた?」
「ああ、とても最高な口直しをね。」
「ここ、そんなに人が来ないの?」
「昔神隠しがあったとかで騒ぎになったからね。大人も子供も関係なしに行方不明者が出たそうだよ。」
「それも呪霊の仕業かな?」
「さあ、どうだろう。探してみるかい?」
「傑が取り込みたいならいいよ?行く?」
「じゃあ、行こうか。」

傑の上からおりて手を差し伸べる。私の手を取った傑を引っ張り起して、肩や背中についた砂埃を掃ってあげた。傑と手を繋いで山小屋を出ると、傑に手を引かれるまま歩く。静かな森の奥に感じる微かに感じる呪霊の気配。

「…ね、本当に大丈夫かな?」
「…何とかなると思うけど。いざとなったら逃げればいい。」
「うん。」

ちょっと心配だ。その神隠しの呪霊と戦うことになったとして、傑が今どのくらい呪霊を持っているかもわからないし、私の呪力が足りるかもわかんないし…。森の奥に進むにつれて、呪霊の気配が濃くなってきた。呪霊が近いのかな…、なんてのんきに思っていると突然突風が吹いた。そして濃い呪霊の気配。傑と二人で木にしがみ付いていると、森の奥からガサガサと勢いよく飛び出してきたのは…、え、なにこれ?よくわからん呪霊だ。とりあえずセレクト。

【???があなたと夏油傑を狙っています。選択してください。選択すると呪力を30消費します。(残り呪力:48)】
【1.祓う 2.正体を暴く 3.動きを止める 4.なにもしない】

「傑、あの呪霊取り込みたいんだよね?」
「できるならね。また動きを止められたり出来そうかい?」
「うん、できるよ。じゃあさっさと取り込んで帰ろう!」

よし、まあ正体も気になるけど、ここは3番!

【3.動きを止める を選択しました。呪力を30消費しました。(残り呪力:18)】

「理玖のそれは、そういう術式なのかな?不思議だね。」
「んー、なんて言ったらいいんだろ。私も説明できなくてもどかしい。」
「おかげで簡単に呪霊を取り込めて助かるよ。」

傑が呪霊を取り込むのを見届けると、さも当たり前のようにキスをされる。いや、いいんだけどね?むしろちゅっちゅ出来て私は嬉しいよ?あとキスする度に傑の好感度が上がっていくからめっちゃ楽チン。そんなに上がるの早くて大丈夫?ってちょっと心配になった。だってまだ2日目よ?

「ん?電話?」

突然私の携帯が着信を告げた。画面を見れば…、

「…げ、」
「…五条悟って、昨日言っていた理玖の友達だよね。」
「…うん。」
「…出なくていいの?」
「…出てもいいの?」
「いいよ、出ても。出れるならね?」

そういって傑は私にキスをした。あ、これは出す気ないですね。あざます!でも出るまで掛かって来るぞ、だって相手悟だもん。…あ、切れた。…ああほら、また掛かってきた!

「…どうしよう。」
「出たら?」
「出てもいい?」
「ああ、いいよ。私もその五条悟とかいう男に挨拶したいからね。」
「ア、ハイ、ソウデスカ。」

これは波乱の予感…。通話ボタンを押して携帯を耳に当てる。

「もしもし、悟?」
『…おせぇ。』
「ごめんごめん、ちょっと手が離せなかったの。どうした?」
『…いつ東京帰ってくんの?暇なんだけど。』
「あー…、次の日曜には帰るよ?」
『…早く帰って来いよ。』
「それは無理だけど、帰ったらすぐ連絡するから我慢してよ。」
「理玖、」
「あ、悟ちょっと待ってね、どうしたの傑、」
『…今の誰だよ。』
「私の事を紹介してくれないのかい?私と気が合いそうなんだろ?」
「あ、うん、ちょっと待ってね。」
『もしもし、おい、』
「あーはい、ごめんね、悟に紹介したい人がいるんだけど、代わってもいい?」
『やだ。』
「やだってアンタ…。あのね、こっちで知り合った子なんだけど、悟とすごく気が合うと思う!夏油傑っていうんだけど、呪霊操術使えるの。」
『興味ねぇ。』
「いいから、代わるよ?」

傑に携帯を渡すと、ありがとう、と微笑んだ傑。傑は私に背を向けて携帯を耳に当てた。…大丈夫かな、喧嘩にならない?ちゃんとアミーゴになれる?

「や、初めまして。夏油傑だよ。五条悟くん、だっけ。」
『…オマエ、理玖の何。』
「友達だよ。昨日知り合ったんだ。そっちは?」
『…結婚を誓い合った仲。』
「…へぇ…それは本当かい?理玖に聞いてみようか。…理玖、五条悟くんと結婚を誓ったって聞いたんだけど。」

オイオイオイ悟くぅん!?なんの話してんのぉ!?

「えっと、結婚は誓ってないね…。」
「誓ってないそうだよ。残念だったね。」
『チッ。』
「悪いけど、理玖がこっちにいる間は私が理玖を独り占めさせてもらうよ。聞けば、君のせいで理玖には友達がいないそうじゃないか。私がその分理玖と仲良くするから、君は大人しく待ってること、いいね?」
『ハァ?誰に言ってんの?俺もそっち行くし。』
「ここがどこなのか知ってるのかい?」
『知らねぇけど、探す。』
「やめておけよ、男の嫉妬は醜い。」
『傑とか言ったな、オマエ。調子のんなよ。』
「はは、そんなつもりはないよ。それじゃ、私は今から理玖とイイ事をするのでね。切るよ。」
『は?なんだよいい事って、おーーー』

…え、なに、いい事って。悟の声は全然聞こえなかったけど、多分傑の言葉的にこっちに来ようとしてたのかな。…いや、悟ならやりかねない。てか絶対やる。傑が通話を切った携帯を私に返した。けどまた着信。勿論悟から。傑が笑顔で、私の手の上にある携帯の電源ボタンを長押しした。…こやつ…電源切りおったぞ。こっわ。え、帰ったら私悟に殺されない!?大丈夫?!こっわ!?

「さ、イイ事しようか。」
「…はい、」

ニッコリ笑った傑に私は頷くしかできなかった。笑顔が眩しいんだもん!私は悪くない!絶対!傑と手を繋いで森を抜ける。…てか、よく森の中で圏外にならなかったな。森を抜ける途中で見つけた川。傑が裸足になった。私も裸足になる。携帯は濡れたら困るので、靴と一緒に岩場の上に避難させた。手を繋いで川に足を付ける。ひんやりと冷たい水が足を擽って、気持ちがいい。

「水が綺麗だね。魚もいる!」
「私が一人になりたいときに、よく来るんだ。川のせせらぎが心地よくて、好きなんだ。」
「いいの?そんないい所を私に教えて。」
「理玖だから、教えたんだよ。」

傑の頭上で78%になった。いいねいいね、順調だねぇ!明日には100%なるんじゃね?!早くて今日中にもなりそうじゃね!?二人で水遊びをする。水を掛け合いながらはしゃいでいると、苔の生えた石を踏んでしまったらしい。つるりと足が滑って、そのままザブンと川でしりもちを着いてしまった。うっわ!服全部濡れたんですけど!?

「理玖、大丈夫かい?」
「…パンつまで濡れた…。」
「…その、立てるかな。」

傑に手を借りて立ち上がろうとしたら、傑も滑って二人でザブン。

「…。」
「ははは、折角だからこのまま涼んじゃお!」

水も滴るなんとやら…!傑君やぁ、ショタ夏油とは言えだな君は。ほんと、いい男だな!?



← 28 →
back

top