ひとつなぎの


しばらく川で涼んだあと、お腹も空いてきたので私のおばあちゃんの家に帰ることになった。びしょ濡れの服も、この暑さじゃ自然と乾くだろうと思っていたけど、そこまで乾いていなかった。

「ただいまー!」
「お邪魔します。」
「やっと帰ってきたね。中々帰ってこないから、先にお昼ご飯そうめん食べたよ。あんた達の分も今から作るかね。」
「やったー!傑も一緒にいいよね?」
「勿論さね。あら…あんた達どこで遊んでたんだい!まったく…先にシャワー浴びといで!」

傑と2人、おばあちゃんに浴室まで追いやられてしまった。…うん、これはもしかして一緒に入るぱてぃーんかな?悟の時は向こうが勝手に入って来たけど、今回は最初から一緒にって、それはそれで恥ずかしいんですけど?!

「傑くんだったね、服は洗っておくからとりあえずこれ着なさい、理玖の服で悪いけどねぇ。」
「え、あ、」
「げ、私のワンピースじゃん!?なんでワンピース?!おばあちゃんそれは完全にチョイスミス!」
「あんたはパジャマまでスカートしか持って来てないだろう!」
「そういえばそうでした!!すみませんね!!」
「他はじいちゃんの服しかないよ。そりゃ嫌だろ?」
「それはやめてあげて。ジジくさい服着た傑は見たくない。」
「あんたジジくさいなんてじいちゃんに聞かれたらお小遣い貰えねぇべ。」
「じいちゃんごめーん!お小遣いちょーだーい!」
「ふふ、」

私とおばあちゃんのやり取りを見ていた傑が吹き出した。おま、笑う要素あったか?!私のお小遣いが掛かってんだからな?!小学生のお小遣いってめっちゃ貴重よ?!ほんと馬鹿にできないからね?!まぁいざという時は悟という歩くブラックカードがゲフンゲフン。

「傑、入ろっか。」
「…理玖は私に裸を見られていいのかい?」
「別にまだつるぺったんだから平気。悟なんか人が入ってる時にわざわざ入ってくるんだから、見られるのももう慣れた。」
「…へぇ。」

…しまった、墓穴掘った。シャワーがお湯に変わるのを待ちながら服を脱ぐと、傑も服を脱いで、私は2人分の服を洗濯機に入れた。洗剤も入れてスタートボタンを押せば、ガタガタと震えながら洗濯機が動き出す。

「今更だけど人の家のお風呂平気?」
「今更だけど平気だよ。」
「傑、背中流してあげようか?」
「ありがとう、ではお願いしようかな。」
「じゃあ体洗う時言ってねー。」

2人で交代しながら頭からお湯を浴びてシャンプーをする。傑は悟と違ってリトルスグルをぶらぶらさせたり近付けたりしてこない。やっぱり傑は大人だねぇ!悟の子供っぽさがここに来て懐かしい程目立つなぁ。

「理玖、お願いしてもいいかい?」
「いいよー!」
「私も理玖の背中を流してあげるよ。」
「え、」
「遠慮はいらないよ。」
「いや遠慮はしてないけど、」

傑の背中を洗いながら頭を悩ませる。やっぱり私の貞操危うくない?悟よりも実は傑の方が危ない感じ?え、マジ?大丈夫か私?背中を洗っている間にも好感度は上がっていく。83%!100%になった時の好感度イベントは、悟の時と同じなのかな?え、同じだったとしてもセレクトするの悩むなぁ…!パパ黒の好感度もまだまだだしなぁ。なんなら好感度対象には孔だっているし。待って、パパ黒も100%になったら、選択肢どうなるの?!付き合うとかそういうのが出るのかな?それとも結婚?!かぁ〜たまんねぇな?!まあ結婚は年齢的に無理だし、私とパパ黒が結婚って選択を選んだとしてそれが叶うとなったら、恵に会えるかもわからないからまず選択しないんだけどね。…あれ、思ったけど、恵も勿論好感度対象なのかな?なるよね?なって欲しいね?!なってくれ切実に!恵の可愛さは宿儺が毎回シャツ破く程だからな?!伏黒恵がんぎゃわいい!ビリビリィ!みたいな。あれ…そういえば渋谷ではビリビリしてなかったな…。やっぱ違うか。

「はい、終わり!」
「ありがとう。次は私が洗ってあげよう。」
「あ、うん、ありがとう。」

傑に背中を向ける。傑が私の背中に優しくタオルを当てた。悟の時とは違って力加減も丁度いい。…うん、いいねぇ、傑くぅん。

「痒いところはないかな。」
「うん、大丈夫!ありがとう。」
「…理玖はうなじにホクロがあるんだね。」
「え、そうなの?知らなかった!」

うなじにホクロってなんか意味あった気がする…なんだっけ、忘れちゃった。傑に背中を洗ってもらったあと、2人で体を流して浴室を出た。バスタオルで髪をまとめてトントンしていると、傑が私のうなじに触れる。なに?!ビックリするんだけど?!

「どうしたの?」
「いや、いいなと思って。」
「なにが?」
「うなじのホクロ。」

そう言って傑は私のうなじにキスをした。…え、なんでそういう事すんの?!誘ってんの?!誘われてんの?!傑に振り向けば、今度は唇にキスをされる。…うん、好き。

「恥ずかしいんですけど…。」
「恥ずかしめてるんだよ。」
「…っ、」

ちょっと待って、ガチめに照れる。てか照れた!!!傑くんや、君は今までそうやって読者を誑かしてきたんだろ!?知ってんだぞ!?

「は、早くそうめん食べよう!」
「ああ、食べよう。」

照れ隠しのつもりでバスタオルで顔を隠した私を見て、傑が満足そうに笑った。あれ…そう言えば、傑に貸す服…、私のワンピースだったような…。

「…着る?」
「…仕方ないからお借りするよ。」

傑はノーパンで私のワンピースを着た。もう一回言おう。いや、何度でも言おう。傑はノーパンで私のワンピースを着た。

「…っ…!」
「笑うなら笑ってくれ。」
「あはははは!傑かわいい…!あははははっ!くく…、どうせなら髪の毛結んじゃう?」
「こら、やめなさい。」

傑の少し伸びた髪をお団子結びにする。…うん、見慣れた感じ。傑と言えばお団子結びだよねー!

「うん、似合うね、お団子結び!傑髪の毛伸ばして結んだら?」
「…理玖がそういうなら、伸ばしてみるよ。」
「かんわいい!」
「こら、やめないか!」

傑のワンピースをペイッとめくる。丸くてキュートなお尻が見えた。可愛いお尻!齧っちゃおっかなー!なんつって!髪の毛を乾かして、再び傑の髪をお団子結びにすると、居間に向かう。おばあちゃんが用意してくれたそうめんを二人で食べて、縁側で寛いだ。おじいちゃんが買って来たらしい、スイカを齧りながらセミの声を聞く。…夏だねぇ…。

「あ、そう言えば携帯忘れてた。」
「…また悟って子から電話が来るんだろ?そのままでいいよ。」
「…ま、いっか!たまには悟を忘れてのんびりしないとね!」
「はは、そうだね。」

服が乾くまで、私のワンピースを着た傑と過ごした。…うん、なんだかんだワンピース似合ってるよ。

「おー理玖、ちょっといいか?」
「なぁに、おじいちゃん。」
「…あーなにくんだったかな、君も。」
「夏油傑です。お邪魔してます。」
「傑くんか。理玖、お小遣い。傑くんも。」
「え、いや、私は、」
「いいから、受け取りなさい。それと、理玖の事を頼むよ。」
「おじいちゃん、こんなに貰っていいの?!」

おじいちゃんは五千円をくれた!傑にも!ひゅ〜っ!太っ腹ぁ!さっきはマジでじじくさい服とか言ってごめんね!?

「土曜日、花火大会があるから、それで好きなの買いなさい。」
「花火大会あるの!?どこで!?」
「確か、〇〇神社だったかな。私の家にも回覧板が回って来たよ。」
「理玖の浴衣はお前の母さんに頼んでおいたから、二人で行ってきなさい。デェトだデェト。」
「浴衣!!」
「デート…、」
「じゃあな、俺は畑に行く。」
「おじいちゃんありがとう!大好き!」
「ありがとうございます。大事に使います。」
「傑くん、理玖をよろしくね。」

おじいちゃんはタオルを首に巻いて、麦わら帽子を被ると畑に行ってしまった。おじいちゃん家にいないなぁって思ってたら、畑弄ってたんか。知らんかたったわ、ごめん。

「花火大会ってことは、お祭り?」
「そうだよ。毎年お盆の週の土曜にやっているらしい。」
「やったー!ちょー楽しみ!傑も浴衣着てよ!」
「帰ったら探してみるよ。」

あ、もう90%!



← 29 →
back

top