俺の名前は禪院直哉。この物語の主人公や。(※違います。)あれから京都に帰った俺は、父ちゃんの酒コレクションを売ったことがバレて、しこたま怒られた。小遣いもしばらくカットされた。クソ…。でもええんや。今の俺はそんな事すらどうでもええと思えるくらいええことがあったんやから。それは言わずもかな!
「決めた…!やっぱり俺が描く…!」
紙とペンを用意して俺はひたすら描いた。なにを描いたやって?アホか、そんなん…、
「出来た!!甚爾君×理玖のどうじんしや!これをイベントとか言うので売って、皆に甚爾君と理玖の組み合わせの素晴らしさを知ってもらうんや…!」
俺は自分の描いた絵を父ちゃんに見せた。
「父ちゃん!見てくれ俺のどうじんし!」
「…なんだ?」
「甚爾君と理玖がイチャコラしとる本や!」
「…何を描いてんだバカ息子。」
そんな…!俺の絵は完璧なはずや…!何が、何があかんのや…!
「こういうのはな、ライバルが出るから面白ろいんだよ。」
「…ライバル…!そうか、悟君や…!父ちゃんありがとう…!」
「フッ…。」
俺は描き直した。何日も何日もかけて、何回も何回も描き直して、ようやっと出来たどうじんし(改)を父ちゃんに見せた…!
「父ちゃん…!これぞ俺の最高傑作や!」
「…ほう…なかなか上手くなったな。」
「せやろ!?」
「…よし、いいだろう。これ持って東京に行くぞ。」
「東京に…!?」
「目指すはコミックマルケット冬の陣だ。」
「コミックマルケット…冬の陣…!」
「戦場だ…心して行くぞ。」
「わかった…!」
俺はどうじんし(改)にタイトルを付けた。タイトルはこうや。
『多目的に恋してる☆』
内容はこう。神の子として崇められる理玖を、地獄の番人である悪魔の甚爾君と、天国からの使者である天使の悟君が取り合って戦争が勃発。最終的には理玖が2人の戦いを止める為に、2人と多目的トイレでイチャコラする。世界は平和になる。…いやぁ、我ながら傑作やと思う。父ちゃんは読み終えて泣いとった。俺は自分の作品を大量生産して父ちゃんと東京へ向かった。いざ、コミックマルケット冬の陣へ…!
「す…すごい…人がゴミのようや…!」
「サークルスペースはあっちか…行くぞ。」
「父ちゃん、慣れとん?」
「フッ、まあな。」
父ちゃんに手続きは任せたからな、俺はようわからん。父ちゃんに連れられて俺のスペースに着くと、早速『多目的に恋してる☆』を積み重ねた。細かいことは父ちゃんが色々と教えてくれながら手伝ってくれたから、準備もすぐに終わった。ふと隣の長机に積まれた作品が目に入る。…な、なんやと!?『ベンチでキッス☆』!?なんやこのタイトル…むっちゃ気になるやん…!俺がじっと見とったからか、サークル主と思われる奴が俺に声を掛けた。俺より少し年上の男の子やった。
「…気になるなら、是非、交換するか?」
「…ええんか?」
「俺もその表紙とタイトルに、興味を持った。是非交換してくれ…!君とは趣味が合う気がする。」
「ほんなら、ハンカチ準備して読むんやな…!」
「フッ。俺は生徒Aって名前で描いてる。オマエの事何と呼べばいい?」
「俺は…好きに呼んでくれ。」
「…では同志と呼ぼう。」
「ええ響きや!」
互いの作品を交換して、俺は『ベンチでキッス☆』の表紙を捲った。…!こ、これは…!!
「…理玖と悟君…と、誰やこの傑とかいう奴!!」
「彼は2人の幼馴染だ。天から舞い降りた天使、理玖と、その理玖を守るナイトの悟。2人は人間世界にひっそりと紛れて暮らしていた。理玖はあらゆるものから命を狙われていたからな…。ナイトの悟が理玖を守っていたんだ。そんな時突然現れた傑という人間に理玖は心を奪われる。長い事理玖を守っていたナイトの悟は、傑に恋をした理玖を見て身を引くことを決意する。もう俺が理玖を守る必要はない…とな。しかぁしっ!実は傑は人間のフリをして理玖の命を狙った悪魔だったのだ!悪魔としての任を全うしようとする傑!しかし理玖の眩しい笑顔と愛らしさに心を奪われ…!とまあこんなところだ。」
「なるほど…ええ話や…!」
「君の『多目的に恋してる☆』も素晴らしい…!涙が止まらないぜ…!」
「おお、分かるか!?」
「ああ!何と言ってもこの甚爾とかいう悪魔がかっこよくて、俺は好きだぜ!」
「!!!」
なんやコイツ、分かっとるやん…!
「生徒A…気に入ったで…!お前俺のダチにしてやるわ!」
「それは勿論、同志と書いてトモと呼ぶのかな?」
「当たり前や!」
俺達は固く握手をした。
(☆謎の同人作家『生徒A』とは…!!)