教室に戻ったのは3時間目が始まる頃だった。両サイドからの熱い視線と二人の心の声が恥ずかしくて、私はスピーカーをOFFにした。授業を聞き流しながらも板書はして、漸く昼休み。今朝のラブレター(仮)の呼び出しを思い出して体育館裏に向かう。勿論悟と傑もついてきた。体育館裏に着くと、一人の男子生徒が立っていた。…あれ、この人記憶でちょっとだけ見たことあるぞ…。
「お待たせしましたー。」
「あ、廻神さん…!来てくれてありがとう。」
「いえいえ、この2人がどうしても着いて行くって言うから、一人じゃなくてごめんなさい。」
「…いや、大丈夫。ちょっと緊張しちゃうな…。えっと、自己紹介するね。生徒会長してます、3年の
「あ、どうりで、見たことあると思ってました。」
私の背後で悟と傑が生徒会長にガンを飛ばしているのが分かった。名前通り顔はそこそこイケメンらしい。まあ、顔面偏差値特級クラスの悟と傑には及ばないけど。
「それで、理玖に何の用?」
「理玖は私たちの相手で忙しいんだ、手短にね。」
「2人は黙ってて。」
「実は、廻神さんを初めて見た時から気になってて…、良かったら付き合ってくれないかな。」
「「あ゛ぁ゛?」」
「…はは、すごい睨まれちゃった。」
なるほど、これはやはりラブレターだったらしい。生徒会長は私に手を差し出して深々と頭を下げた。…わお、こういう告白の仕方初めて見た。
「ダメでーす。」
「理玖は私達と付き合ってるからね。」
「いや、付き合ってはないけど。」
「二股…?」
「二股でもないです。」
「僕にもチャンスはないかな?」
「ねーよ。」「ないね。」
「2人は黙ってて。…池先輩、ごめんなさい。気持ちは嬉しいけど、私誰とも付き合う気ないので。」
「…そっか。でも、廻神さんを好きでいるのは許して欲しいな。」
「まあ、それはお好きにどうぞ。」
「「よくない。」」
悟と傑が左右から私に抱き着いた。…なにこの状況、可愛すぎる。悟はベーってしてるし、傑は真顔で中指立ててるし…。
「廻神さんの番犬って噂、本当だったんだ…。」
「番犬?」
「五条くんと夏油君だっけ?廻神さんにずっとくっついて、周りに威嚇してるって有名だよ。廻神さんのファンクラブも二人が怖くて表立って活動できないって嘆いてた。」
「ファンクラブ?」
え、私のファンクラブあるの?マジ?初耳なんですけど。てっきり悟と傑にだけあると思ってたわ。つーかファンクラブて、少女漫画かよ。
「理玖、もう行こうぜ。」
「話は終わっただろ、私達の相手をしてよ。」
「わかったわかった。それじゃ、失礼しまーす。」
体育館裏を後にすると、悟も傑も私の手に指を絡めて握り締めた。はぁああマジ可愛すぎでしょ…!!!
「つーかなに、俺らって付き合ってないの?」
「私達は付き合ってると思っていたんだけど、違ったのかな?」
「え、付き合おう云々って話した覚えないけど?」
「「マジ?」」
「え?」
「はぁ…。」
「これだから理玖は…。」
「え?!何!?」
なにそのクソデカ溜め息!?
「いつになった俺らの理玖になんの?」
「うーん、いつだろう?」
「あんなことやこんなことをしておいて、付き合っていないだなんてね…。」
「なぁ。挿れさせてもくれねぇし。」
「それは関係なくない?」
「いや大有りでしょ。」
「まさか私達をただの性欲処理の相手としか見ていないとでも?」
「そんなわけないじゃん。前にも話したけど、術式の関係上まだ誰とも付き合えないの。ごめんね。」
2人がブスッとした顔で私を見下ろす。いじけた顔も可愛いなあおい。
「もう、そんな顔しないでよ2人とも。せっかくの特級イケメンが台無しだよ?」
「誰のせいかな。」
「せつねー。」
「それよりさ、気になったんだけど。」
「何を。」
「私ってファンクラブあるんだね?」
「今日をもってそのファンクラブは解散だよ。」
「どうせ理玖の事オカズにしてるキモい奴らの集まりだろ、潰す。」
「アンタらも私の事オカズにしてるって言ってたじゃん、ウケる。」
教室に戻る前に、通り掛かった放送室。悟が何か閃いた顔で傑を呼んだ。傑も悟の考えが分かったらしい。首を傾げる私は手を引かれ、放送室に入った。人のいない放送室で、悟が何やら適当に操作盤を弄っている。
「勝手に触っちゃダメでしょ。」
「いーの。」
「理玖、マイクの前に立って。」
「何する気?」
「あーあーマイクテス、マイクテス。」
「いけるかい、悟。」
「おっけー。」
「さ、理玖。」
「え、だから何する気なの?」
「今から皆大好き理玖ちゃんのえっちな声を放送しまーす!」
「ハァッ!?」
「ほら理玖、こっちを向いて。」
「え、ちょすぐんんっ!?んぁっ!」
傑が私の顎に手を添えてキスをしてきた。悟が私の耳にキスをする。ちょっとおおおお!?!?
「理玖は私達のだって、皆に知らしめないとね。」
「俺らの理玖に手ぇ出した奴もれなく全員殺すから。」
「「夜露死苦ゥ…。」」
「いや、私は私のですから…。」
「あと理玖の事好きって奴も全員殺すよ。」
「ファンクラブだァ?誰の許可取ってやってんだよ。殺すぞ。」
いやいやいやいや、嬉しいけどね、流石に校内放送だから!!下手したら近隣住宅にまで聞こえちゃうから!?流石にそれはやめて!?セレクト!!
【五条悟と夏油傑はあなたを独占したいようです。選択してください。選択すると呪力を20消費します。(残り呪力:120)】
【1.五条悟のものだと伝える 2.夏油傑のものだと伝える 3.五条悟と夏油傑のものだと伝える 4.なにもしない】
んんんん???これはまた…使えねぇな!?!?結局のところ2人は私がほかの男にとられるのが嫌ってこと!?誰にも私はあげませんけどね!?こんなの選択しなくても自分で何とかしますから!!!
「…分かったよ、悟と傑の理玖ちゃんでーす。はい、これでいい?」
「…まあ。」
「悪くない回答だね。じゃ、私達は今からイイコトをするから。」
「理玖のこと見た奴は男女構わず潰すから。」
「いや、見るくらいはいいでしょ。」
「「ダメ。」」
「可愛いかよアンタら。…はぁ、じゃあ私も言わせてもらうけど、悟と傑は私のだから、ファンクラブとかやめてね。あと私を僻んで嫌がらせするのもやめて。じゃないと、神様仏さまから罰が当たりまーす。以上、この話終わり!」
操作盤の傍に赤く点灯していたスイッチを見つけて押してみる。…お、これが電源だった感じ?!よし、これで校内放送は免れた!?そう思っていると、放送室の扉が開いた。そして、
【好感度イベント発生!選択してください。この選択には呪力を消費しません。(残り呪力:120)】
【1.イベントを選択する 2.イベントを無視する 3.なにもしない】
え…今!?ていうか誰と…?!まあ1番しか選ぶ気ないけど。
【1.イベントを選択する を選択しました。この選択には呪力を消費しません。(残り呪力:120)】
…あれ、この人…、
「…アンタ誰?」
「五条悟、廻神理玖、夏油傑だな。」
「そうですけど、どちら様かな?」
「…呪術高専の夜蛾正道だ。お前たち3人に話がある。学校側に許可は貰った。ついて来い。」
呪術高専…夜蛾正道…って、え!?!?夜蛾先生!?なんでこんなところに!?え!?ま、マジモン!?…でも確かにあのガッテム系グラサンダンディマンは間違いない…!!夜蛾先生だああああ!!そして夜蛾先生の影から顔を出したのは、
「理玖…、」
「え、お父さん!?なんでいんの!?」
「理玖、大事な話があるんだ。大人しく着いて来てくれるね?」
「え、うん…。」
悟は昔一度お父さんに会った事があるけど、傑は初対面だ。傑は私のお父さんに礼儀よくお辞儀をした。
「初めまして、理玖さんとお付き合いしています、夏油傑です。」
「いや、付き合ってはないから。」
「俺も付き合ってます。」
「いや、付き合ってないってば。」
「あはは…相変わらずモテモテだね、理玖。」
「ていうか、どうしてお父さんがここに?それに呪術高専の夜蛾さんって…、」
「…それを話したいから、3人とも車に乗ってくれるかな。」
「わかった…。悟、傑、行こう。」
放送室を出て夜蛾さんとお父さんの後をついて行く。途中で荷物を取りに教室に寄って、靴を履き替えて駐車場に向かう。黒塗りの車の運転席にお父さんが、助手席に夜蛾先生、後部座席に私たちが3人が座った。…え、マジなんの話すんの!?ちょっと怖いんだけど…。