俺の名前は禪院直哉。この物語の主人公や。(※違います。)重大事件発生や。あの理玖たんがスーツ姿の髭面のオッサンとデートや言うて、俺の前から去って行った。誰なんやあの男は!!
「萌舞男氏!!起きてくれ!!」
「…ぅ…、」
「理玖たんが大変なんや!頼む!!」
「理玖たんが?!」
「うおっ?!」
萌舞男氏が勢いよく起き上がって俺は萌舞男氏と頭をゴッツンコした。痛いやんけ!!ほんで自分石頭やな?!
「ど、どういうことなんだ直哉氏…!理玖たんに何があったんだ!!」
「それが…!理玖たんが知らん男とデートや言うて!!」
「で、でぇえええとぉぉおおお?!」
俺は萌舞男氏と理玖たんの後を追った。そないな時間も経ってへんし、まだ近くにおるはずや!…おった!!理玖たんと男は手を繋いで歩いとった。何やら楽しそうに話しとるけど、会話の内容までは聞き取れへん。
「あの男が理玖たんとデート…、」
「これは重大事件発生や。甚爾君×理玖たん、悟君×理玖たん、傑君×理玖たん…どれもええ組み合わせやけど、今まさに新たな組み合わせが生まれそうや…!」
「…あの男、まさかヤクザか?!」
「なんやと?!」
「スーツにヒゲ、なんと言っても目付きが悪い!間違いない!奴はヤクザだ!」
「そんな…!理玖たんは裏社会の人間と知り合いやったんか?!」
(ほわんほわんほわんほわん)
「借金のカタに娘は貰ったぜ…!ガハハハ!」
「そんな…娘だけは…っ!」
「お母さぁん!」
「理玖ー!」
「なんてことや!!理玖たんを助けなあかん!」
「とは言え、相手はヤクザだ!俺たちみたいなガキンチョにどうこうできる相手じゃないぞ!」
「それでも俺は理玖たんを守るんや!待ってろ理玖たん、俺が助けたるからな!」
俺達は理玖たんとヤクザの後を尾行したった。理玖たんはヤクザと手を繋いで楽しそうに話しとるけど、ホンマにアイツはヤクザなんか?…ち、違う!きっと理玖たんは騙されとるんや!理玖たんはヤクザと一緒にファミレスに入っていった。
「萌舞男氏!俺らも行くで!」
「す、すまない直哉氏!俺はここまでだ…!門限が過ぎている…。」
「門限やなんて…理玖たんの危機やで!?」
「俺のお母さんめちゃくちゃ怖いんだ…。もう夜だし、帰らないと…!頼む直哉氏…!俺の分まで理玖たんを守ってくれ…!」
「…分かった!!俺に任せときや!!」
「すまない…!また会おう、直哉氏…!」
「ああ!」
萌舞男氏と固い握手をして、俺達は別れた。俺は一人でファミレスに入る。店員に一人や言うて、理玖たんのおる席が見える席に座った。…やっぱり会話までは聞こえへん…。ここは俺の想像力の力で…!
(ほわんほわんほわんほわん)
「理玖ちゃんよぉ、今月の返済まだ済んでねぇぞ。どうすんだ?ん?」
「ごめんなさい…!どうしても間に合いません…!」
「じゃあ、身体で払ってもらおうか!(ドサッ)」
「きゃあ!いやっ、助けて…!(ジタバタ)」
「あかああん!!!」
そないな事が起きてしまったら…理玖たんの貞操が…!!理玖たんの貞操の危機や!!理玖たんのおパンツの中は俺のもんや…!!俺は立ち上がった。俺しかおらん。理玖たんを救えるのは、俺しかおらん!!!!男、禪院直哉、動くで!!!俺は理玖たんとヤクザのおる席に向かう。ヤクザが俺に気付いた。…が、ガンを飛ばされても俺は引かへん…!(※飛ばしてません。)
「…あれ、公園で会った…、」
「え?あれ、直哉君?どうしたの?」
「理玖たんは俺が守る!!おい、そこのヤクザ!」
「ヤクザ?」
「…俺のこと?ちょっと待て、俺はヤクザじゃ「理玖たんの家の借金は俺が全部払うてやる!」…借金?」
「直哉君、」
「せやから理玖たんには指一本触れんな!」
「…プ、」
「…はぁ…直哉君…。」
ヤクザは噴き出して、大きい声で笑いだした。…何がおかしいんや、俺は真剣や!!
「直哉君、私の隣座って?」
「理玖たん…!(きゅんっ)」
俺は理玖たんの隣に座った。勿論理玖たんは俺がまも、
「あのね、この人は孔さん。ヤクザじゃなくて、甚爾様のビジネスパートナーなの。」
「え…、甚爾君の知り合いなん!?」
「ああ、最近一緒に仕事してるよ。ハハハ、俺がヤクザに見えたか、そうか…ハハ!」
「孔さん、この子は、」
「禪院家の子だろ?」
「直哉君です。ほら、ちゃんと挨拶して、それとごめんなさいも。」
「え。あ、禪院直哉や。…その、ヤクザやと思てかんにんや…。」
「いいっていいって、理玖ちゃんが知らない奴に変な事されるとでも思ったんだろ?理玖ちゃん流石、モテモテだねぇ。妬けちゃうなぁ。」
「やだ、孔さんったら!」
「直哉君だったな、一緒に飯食っていくか?」
「…お、怒らへんの?俺のこと…。」
「ん?好きな女守ろうとした奴を悪く言う奴はいねぇよ。」
好きな女…?俺の好きな女…理玖たん…、
「好きなの頼めよ、俺の奢りだ。」
こ、孔さん…!ええ奴や…!ええ奴やった…!それなのに俺は…!!!
「すまんやった…!理玖たんもすまん…!ほんまかんにんや、この通りや…!」
俺はテーブルに頭を押し付ける勢いで孔さんに謝った。2人とも笑いだして、俺はちょっと恥ずかしゅうなった。ふいに理玖たんが俺の頭を撫でる。
「理玖たん、」
「直哉君、ちゃんとごめんなさいできたね?えらいえらい!」
「はう…っ!」
俺は鼻血を噴き出した。けど今度は倒れんやった…!よう耐えた、俺…!それから3人で食事をして、孔さんが乗ってきた車で理玖たんを家まで送り届けた。孔さんは俺のこともホテルまで送ってくれた。やっぱりええ人やった…!
「じゃあな、直哉君。遅くなっちまって悪かった。」
「俺も、今日は失礼なこと言ってほんまにすんませんでした。」
「おう。理玖ちゃんのこと、頼むぜ。」
「…!」
俺たちは固い握手をした。ホテルの部屋に入ると、父ちゃんは酒飲んで寝とった。俺は寝る準備をしながら今日のことを振り返る。ヤクザやと思っとった男と、俺の理玖たんがデートしとった。でもそれはええんや。俺は寛大な男やからな。好きな女の友好関係にまで口うるさく言うつもりはない。けど今日の一件で俺はまだまだ可能性が広がったと思った。孔さん×理玖という可能性が…!!俺は寝る間も惜しんでペンを走らせた。気が付くととっくに朝になっとった。父ちゃんが大きなあくびをしながら起き上がって、俺を見つけてげんこつした。けどそないなもん痛くもかゆくもない!!ついに…俺は成し遂げたんや…!新しい組み合わせの同人誌を描き上げた!!!俺はさっそく父ちゃんに見せた。
「寝ずに描いたんか。」
「せや。俺の新作や…!」
「………中々よく描けとるな。タイトルは。」
「タイトルは、『龍の如く』や!!舞台は歌舞伎町!ヤクザの孔がチンピラに絡まれとった理玖たんを助けるところから物語は始まんねん。」
孔はただの気まぐれで助けた理玖たんと、偶然自分が任されたキャバクラで再会する。理玖たんは親の借金の返済のために一人で歌舞伎町にやってきた可哀想な女やった。孔と再会した理玖たんは、あの時のお礼やいうて孔さんに体を許そうとする。けど孔は大人やから、自分のことを大事にしろいうて、理玖たんを置いて部屋を出て行くんや。理玖たんは孔に助けられたあの日から、一目惚れしとった。せやけど、借金返済のために孔に近づいて殺せと、他の組のヤクザに言われとったんや。理玖たんは孔を殺せんやった。せやから他の組のヤクザに酷い扱いを受けて死にかけたところを孔が助けに行って…、とまあこんな話やな。案の定父ちゃんは読み終わって号泣しとった。
「直哉、もっと新作描いて、今度はコミックマルケット夏の陣に挑むぞ。」
「もちろん、俺は最初からそのつもりや…!」
(☆孔×理玖、新たな組み合わせの誕生に直哉の筆は止まらない!?)