理玖ちゃん独占デートの2daysが終わった。悟もあの後3人でご飯を食べたおかげか少しは機嫌が治ったらしい。運転手さんが泣く泣く私たちが食べたご飯代を支払っていた。誠にごめんなさいってやつだ。家まで車で送ってもらい、その日はすぐに寝支度をして眠った。次の日、いつも通り迎えに来てくれた車に乗り込んで学校へ向かう。靴箱を開けると上履きの上に乗った折られたメモ紙。…あれ、また?いや、またというか、領域展開したからなくなったものと思ってたわ。メモ紙を開けばあの時と同じ内容だ。悟と傑がそれに気付いた。悟がメモを取り上げてぐしゃりと圧縮する。
「おい、ぜってぇ行くなよ。」
「行かないよ。」
行ったら絶対碌なことにならないのはわかりきってるからね!!もれなく校内放送だからね!!二度と御免だからな!!!上履きを履いて教室に向かう。いつもと変わらない平和な学校生活。お昼に給食を食べた後、三人で屋上に向かった。もちろん誰にも見られないように細心の注意は払った。屋上で空を見上げながら考える。この中学生時代に出会った夜蛾さんと硝子。好感度は今のところ悟と傑も含めれば100%には程遠い。硝子は友達になったからすぐに上がるだろうし、夜蛾さんも頑張れば100%にすることはできる。どうやって夜蛾さんに近付くかが問題だけど、私と悟と傑は特別1級術師とかになったらしいから、高専からの連絡に応じていれば大丈夫だろう。傑は反転グレー、悟が反転黒…。黒ってなんだよぉ…怖いよぉ…。この前の悟の異常な病み?闇?具合がめっちゃ怖い。早く好感度戻さないと…。
「理玖?」
でもどうやったら戻るんだろ。反転中の好感度の上がり方ってなんか法則性でもあるのかな?
「おーい、」
法則性があるならそれを探して、
「理玖!」
「うわぁ!?な、なにっ!?」
「何はこっちのセリフだよ。どうしたんだい?」
「何回呼んだと思ってんの?」
「あ、ごめん、ちょっと考え事してた!どうしたの?」
「土曜日映画見に行かね?」
「土曜日?」
土曜日って確か…硝子と遊ぶ約束してなかったっけ?携帯でメールを確認する。…うん、今週の土曜日は硝子とデートだ。
「ごめん、土曜日は先客あるから無理だ…。」
「は?誰?」
「この前の甚爾様とかいう人かな?」
「違うよ、この前友達になった女の子とデートなの。」
「は?」「デート?」
「そ。初めて女の子の友達出来たから超楽しみ!あ、絶対邪魔しに来ないでね?」
そういうと、2人は顔を見合わせてフッと笑った。…絶対来るやつだ。
「わかったよ。」
「理玖、楽しんでね。」
「うん、ありがとう。絶対来ないでね?」
「「行かない行かない。」」
そして来たる硝子とデートの日!事前にメールで待ち合わせ場所や時間を決めていたので、それに間に合うように家を出た。今日は原宿集合だ。電車に乗って硝子とメールをしながら原宿駅を目指していた時だ。吊革に掴まって硝子からの返事を待っていた。新宿について人の乗り降りが激しくなった。ふと後ろに感じた人の気配。妙に近い。さりげなく体を捻って距離を取れば、気配はまた近付いた。そして私のお尻に触れた気持ち悪い感触。おいおい痴漢か?そこまでぎゅうぎゅうではないのに、これで痴漢するならかなりの度胸を持っている奴だ。セレクト。
【???があなたに触れています。選択してください。選択すると呪力を5消費します。(残り呪力:120)】
【1.制裁を与える 2.制裁を与える 3.制裁を与える】
全部制裁じゃん。1番。
【1.制裁を与える を選択しました。呪力を5消費しました。(残り呪力:115)】
「ぎゃあああっ!!!」
突如私の後ろで聞こえた男の悲鳴。ちらりと見れば右手の指が全部逆方向に曲がっていた。…マジかそうきたか。やりすぎじゃね?
「ひぃいいいいてぇぇえええっ!!!」
「痴漢、ダメ絶対。わかった?」
「しゅ、しゅみましぇっ、も、もうしましぇん…っ!」
「次の駅で降りてね。」
「ひいいっ!」
ったく、折角の硝子とのデートなんだから、気分害するようなことやめてほしいよねぇ!電車が止まると男は泣きながら走って降りて行った。放っておいても制裁効果で捕まるだろう。原宿に着くと、改札を抜けて駅の前で硝子を待った。いいねぇ、ここ!恵と悠仁が五条先生待ってたところじゃん!ふぅっ!テンション上がるわぁ!にしても、さっきから…、
「おい悟、もっと隠れないとバレる!」
「隠れてんだろ!」
「悟の髪は目立つんだ!」
「傑の前髪も目立ってんじゃん!」
「前髪は関係ないだろう!?」
…うん、やっぱりつけてきたんだね。私が気付いていないフリをしているからか、2人の言い合いはヒートアップしていく。そうこうしているうちに硝子が着いたらしい。
「おまたせー。」
「硝子ー!会いたかった!」
「はいはい、分かったから。」
硝子に抱き着けば、私を抱きとめて背中をポンポンと叩かれる。
「早速行きますか!」
「いいよー。」
硝子と腕を組んで歩く。今日は硝子と服を見に来たのだ。いろんな店で互いに似合いそうな服を買ってみようという私の案に、硝子はふたつ返事をくれた。服屋を巡りながら感じる視線に鬱陶しさを覚えながら、硝子に似合う服を探す。硝子は顎に手を添えて私をじっと見つめながら首をひねっていた。
「硝子?どうしたの?」
「…理玖ってさ、なんか不思議な感じするわ。」
「え、どゆこと?」
「…いや、何でもない。」
見れば硝子の好感度は20%になっていた。…え、私なんかした?互いに選び合った服を買った後は交換した。荷物が増えてきたところで見つけたクレープ屋さんに立ち止まり、硝子の腕を引く。
「硝子、クレープ食べない?」
「いいねー、小腹すいてきた。」
クレープを買って食べながら歩く。私はチョコバナナ、硝子はチョコとイチゴのクレープを手に、互いに一口ずつ分け合った。硝子の口元に着いた生クリームを見つけ、私はそれを舐めとる。うん、うまい。
「…え、何やってんの?」
「あ、ごめん。いつもの癖で、」
「いつもどんな生活してるわけ?」
「…ヤバめな性活してる。」
「…お返し。」
そういって、硝子が私の唇にキスをした。お…おおぉぉおおおんにゃのことはじめてきしゅした…!!!しかも硝子と!!!硝子と!!!!!!ぴぇええええん!!!しゅきぃいい!!!!!
「え、しゅきぴ…、」
「…ぴ?」
「あ、いや、うん、硝子に惚れた…。」
「いやいや、前から思ってたけど勢いどうなってんの。」
ふいに後ろから衝撃。持っていたチョコバナナクレープがスローモーションのように地面に真っ逆さま。そして、
「あ、ごめんねぇ?クレープ弁償するからさ、一緒に行かない?」
いやナンパ下手糞か。つーかメンタマどこついてんだコイツ。キンタマか?キンタマがメンタマでメンタマがキンタマか?私のチョコバナナ…。
「弁償とかいいんで、さっさとどっか行ってくんない?」
「いいからいいから、弁償ついでにいいとこ連れて行ってあげるよ〜。」
「うぜぇ。」
「え?」
「理玖?」
「悟、傑、コイツ〆ちゃって。」
「は?」
「やっぱりバレてんじゃん。」
「目立つからね。」
すぐ近くに着かず離れずで後をつけていた二人を呼べば、悟が男の右肩を、傑が男の左肩をがしりと掴んだ。ミシミシと音がして、男が痛みに悲鳴を上げる。硝子がびっくりした顔をしていたけどその顔も可愛い。
「私のクレープ返せクソがっ!」
とどめとばかりに金的を全力で蹴り上げる。悟とパパ黒に鍛えられた私の蹴りは男の玉金を潰すには十分の威力だった。うえぇ…気持ち悪い感触。悟と傑が真っ青な顔で男の肩を放してサッと股間を押さえた。
「それ、片付けといて。」
「「ハイ…。」」
「ウケるー。」
悟と傑に男を任せて硝子の腕にぎゅうっと抱き着く。私のクレープ…。クソ野郎め…食べ物の恨み舐めんなよ…?!!?
「硝子、もっかいクレープ買っていい…?」
「いいけど。…それかこれ一緒に食べる?」
「え…いいの!?」
「いいよ、食べかけでよければ。」
「食べる!!硝子大好き!!」
「はいはい、ありがと。」
硝子が差し出したクレープに嚙り付くと、生クリームが私の口元に着いたのが分かった。ふへへ、ふへへへへ!!!
「硝子硝子〜、生クリーム着いちゃった〜!」
「はい、ティッシュ。」
「なんで!?そこはさっきみたいにですね!?」
「冗談だよ、ほらこっち向いて。」
「んふっ、」
硝子が私の口元に着いた生クリームを舐めとって、仕上げに触れるだけのキスをしてくれた。うっひょ〜!美人とキスするなんて興奮しますなぁ!?!?!?
「(理玖って女もいけんの…?)」
「(さぁ…。)」