放課後、私たちは屋上にいた。人形を手にセレクトしてみる。
【???があなたを呪っています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:120)】
【1.正体を暴く 2.行方を追う 3.呼び寄せる 4.なにもしない】
「うわ、マジか。」
「理玖?」
「どうしたんだい?」
「…ここで目的をハッキリさせるか、今すぐ会いに行くか、こっちに来てもらうか…。」
「…全部できねぇの?」
「全部は無理だね、呪力切れでぶっ倒れるかも。」
「目的は会って聞けばいい。会いに行くか来てもらうかなら、来てもらった方がいいだろうね。」
「それまでにこっちも対策練れるし。」
「だよねぇ…じゃ、もう呼んじゃっていい?」
「「マジ?」」
「あ、待つ?」
「もっと相手の出方を考えてからの方がいいと思うけど。」
「俺も同感。」
「それを言ったら目的が分からないと出方も分からなくない?そもそもなんで私狙ってるかすら分かってないよ?」
「神の子だから、じゃないかな?」
「結果的にはそこになるよね…。うん、本人に聞いたが早い!呼びまーす!3番。」
【3.呼び寄せる を選択しました。呪力を50消費しました。(残り呪力:70)】
「マジで悪魔召喚し始めたらどうする?」
「私が貰ってもいいかな?」
「いいけど、呪霊操術って悪魔にも有効なのかな?」
「どうだろう。」
「…来たぞ。」
昨日の兼太郎同様、頭上に影が差した。悟が私と傑の前に立って無限を展開する。傑もいつでも呪霊を出せるように警戒しているらしい。私は十手をいつでも取れるように構えた。ズン、と屋上に降り立ったのは黒いローブを着た男だった。
「…中二病?」
「だろうね。」
「じゃねぇと黒魔術がどうとか恥ずかしくて言えねぇよ。」
ひそひそと話す私たち。男はゆっくりとフードを捲った。
「理玖・廻神?」
「いぇす。」
「…本物か?」
「そうですけど。」
「…フム、」
男は顎に手を添えてうなる。え、なにコイツ、ねっとり喋りやがって。スネ〇プ先生みたいじゃん。
「オマエ誰。」
「悟・五条か。そっちは傑・夏油。」
「だったら、どうするんだい?」
「3対1か…分が悪いな。」
「聞きたいんだけど、この人形は何のために?」
私が人形を掲げてそう言うと、男はにたりと笑った。
「君が欲しい、理玖・廻神。」
「あーはいはい、そういうのばっかり。目的は?あと名前。」
「ミシェル・ベルティオ。ミシェルと呼んでくれ。」
「おいオッサン、理玖を呪って何する気?」
「私のものにする。」
「やらねぇよ。」
「私たちの敵ってことでいいのかな?」
「ちょいストップ。ミシェル、この人形の意味は呪い、支配、そういう意味だよね?私を呪って自分のものにして、それで何がしたいのかわかんないんだけど。」
「君をこの世界に召喚したのは私だ。」
「…つまり、私はあんたに召喚されてこの世界に生まれたと?」
「答えはYESだ。」
「なんで召喚したの?」
「君が神に愛された子だったからだ。」
「…この人頭大丈夫?」
「「さぁ…。」」
「自分で召喚しておいて呪うってどういうこと?」
「君は物語を多く変えすぎた。それによる反動が起きている。いずれ君は運命に飲み込まれるだろう。」
「…この人頭大丈夫?」
「「さぁ…。」」
とりあえず埒が明かないのでセレクトしてみるか。
【ミシェル・ベルティオがあなたを呪っています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:72)】
【1.祓う 2.気絶させる 3.なにもしない】
え、この人祓えるの?
「よくわかんないけど、アンタを祓う。」
「好きにするといい。運命の歯車はもう狂い始めた。君はもう元の世界に帰ることは叶わない。」
「ちょっと言ってる事ぱっぱらぱーだね。私はこの世界の事気に入ってるから、帰れなくてもいいよ。他に言い残すことは?」
「…地獄の淵でまた会おう。」
「勝手に言ってろ。」
1番。
【1.祓う を選択しました。呪力を50消費しました。(残り呪力:22)】
男の体がパンと弾けた。悟が無限を解いて、私は男のいた場所に歩み寄る。最初から最後まで意味わかんねー、何アイツ。私をこの世界に召喚したとか、運命の歯車がどうとか。
「よかったのかい、理玖。」
「なにが?」
「元の世界とやらに帰れなくなっただろう。」
「さっきも言ったけど、この世界の事気に入ってるからいーの。ていうか私はこの世界に生まれた廻神理玖だよ。元の世界がどうのこうのって、意味わかんないし考えるだけ無駄でしょ。」
「にしても、変な奴だったな。」
「ほんとそれな。中二病って怖いわー。」
「帰ろうか。」
「そうだな。」
「あー、疲れた。どっちかおんぶして。」
「俺、」「私、」
「じゃんけん。」
じゃんけんに勝ったのは悟だった。悟がご機嫌に私を背負って屋上を降りる。傑は呪霊に乗ってひらりと降りた。悟が私に小さく尋ねた。
「前世の事、傑知ってんの?」
「いや、知らないよ。けど薄々勘付いてるかもね、さっきの事もあるし。」
「ふぅん。…元の世界って、前世の事だろ?帰るってことは死んでねぇってこと?」
「どうだろ。生きてても死んでても帰る気はないよ。私は天下の廻神理玖ちゃんよ?神の子よ?」
「ハッ、ウケる。」
それから3人で手を繋いで帰った。ブードゥー人形2体は悟が祓ってくれた。歩きながら悟と傑の顔を見上げる。2人とも私と目が合うと小さく笑った。私も笑う。私がこの世界に生まれた理由はただ一つ、皆の幸せを守るためだ。心の中でそう唱えると、私は二人にキスをした。何があっても私が皆を守る。元の世界とか、今更考えたところでどうにもならないし、それに何より今私は幸せだ。2人が笑ってくれるなら、それでいい。
「悟も傑も大好きだよ!」
「俺も理玖のこと大好き。」
「私もだよ、理玖。大好きだ。」
二人の頭上でピコンと音がした。そういえば好感度まったく気にしてなかったわ…。
「…マジ?」
「なにが?」
「どうかしたかい?」
「…あーいや、何でもない。」
悟は77%、傑は91%だった。うーん、特に何もしてないはずだけど…どうした?
「2人とも、最近ちゅー以上の事してないよね。大丈夫?」
「正直溜まってる。」
「私も。」
「ウケる。よく盛らなかったね?いつもは怖いくらい盛って来るのに。」
「それどころじゃなかったろ、理玖が。」
「これでも一応、気を遣ったつもりだけど。」
「へー、ちゃんと待てができてて偉いじゃん?よしよし、いい子いい子。」
頭を撫でてやると、2人は満更でもない様子。ま、これで落ち着いただろうし、明日はおかずにでもなってやるか!そう思っていた私は、暢気にも忘れてしまっていた。
「…見つけた。」
とってもめんどくさい人物に目を付けられていたことを。
「俺の理玖たん…!」
そう、禪院直哉の存在を。