禪院家をぶっ壊す☆


鼻血ブーのチョロ哉に膝枕をして、京都まで向かう車に揺られていた私。お母さんとお父さんにメールで、禪院家に拉致られたので何とかして帰ります、と伝えると、今度は悟と傑と甚爾様にも同様の内容を送る。すぐに電話の嵐。うん、そうなるよね。悟に至っては乗り込んでくるだろうな…。甚爾様も。傑も悟と一緒に来そうだな。そう思いながら車に揺られること約6時間。ぶっちゃけ寝てた。運転手さんが起こしてくれなかったらずっと寝てたと思う。ていうか私制服のまんまだし、手荷物携帯しか持ってないんですけど。チョロ哉を起こして、禪院家の門をくぐる。

「…は?」

そこには『理玖たん☆うぇるかむ』と書かれた垂れ幕が貼られていた。は?

「…なにこれ。」
「理玖たんのために皆で準備してん!」
「…頭大丈夫?」

おいおいおいおいおいおいおいおい。御三家が一つ禪院家が何やってんの?私たちの到着を知ったのか、禪院家の面々がわらわらと屋敷から出てきた。…なんで皆チョロ哉と同じハチマキとハッピ着てんの?バカなの?死ぬの?

「理玖たん、待っていたぞ。」
「…いやいやいやいや、」
「禪院直毘人だ。」
「俺の父ちゃんやで!」

私は手で顔を覆った。禪院家終了のお知らせ。よく見ると『理玖たんこっち見て♡』『ウインクして♡』とかいう団扇を持っている奴らもいる。いやいや、ドルオタかよ。私はアイドルかよ。なった覚えないんですけど!?

「直哉君、これは何かしら?」
「俺の同人誌を読んだ皆が理玖たんの虜になったんや。俺の布教活動のおかげやな!」
「…禪院家をぶっ壊す☆」
「「「「キャー!理玖たーん!!」」」」

いやいや、なに黄色い歓声上げてんの!?しかもゴリマッチョな男共が何やってんの!?通された客間に座り、直毘人とチョロ哉と向かい合って座る。2人とも同じハチマキとハッピを着てにんまりと笑っている。え、きっしょ。ごめん、きしょい。

「えっと、私はなんで連れてこられたんでしょうか?」
「理玖たんに禪院家当主直々に頼みがある。」
「はぁ、」
「うちの直哉は次期禪院家当主候補だ。」
「はい、」
「直哉の嫁に、禪院家に嫁いでくれ。理玖たんほどの容姿と実力の持ち主なら、誰も文句は言わん。悪いようにはしない。どうか直哉に嫁いでくれ。」
「無理ですね。」
「そこを何とか…!」

あの直毘人が私に頭を下げている。チョロ哉も直毘人に倣ってぺこりと頭を下げていた。うん、そのハチマキとハッピがなければ可愛かったのにね。

「私、直哉君にも言いましたけど、禪院家の家訓?あれ嫌いなんですよね。人を人と思ってない、虫けらみたいな扱いをする禪院家が嫌いです。なので無理です。あ、甚爾様にだったら喜んで嫁いだんですけど、甚爾様はもう奥さんもお子さんもいるし、あーあ、残念です。」
「…何故そこまで甚爾を、」
「最高に強くて、顔もいい。あと声、あとあの体。もう駄目なとこ何一つないでしょ?ただただ国宝級にカッコいい。はぁ〜甚爾様に抱かれてぇ〜。」
「…甚爾と夜伽の場を設ければ、どうだ。」
「あーもうそういうこと言いだす時点でダメですね。甚爾様には愛する奥様と可愛い子供が生まれるんですから、そんな幸せ家族を壊しちゃダメでしょ。」

ま、この前めっちゃやらしいことしたけどね、エロ同人みたいに。エロ同人みたいに!!ぐへへ!!!あ、思い出してよだれが、

「オホン、つまりですね、禪院家の考え方を根っこから嫌ってるんですよ、私は。男尊女卑とかのレベルじゃない。女子供に優しくできない男は赤ん坊からやりなおした方がいいですよ。あ、それと、双子がいますよね?名前は真希と真依。」
「…何故それを、」
「神の子、舐めないでください。あの2人を虐げるようなことをしたら、一生禪院家の人間と口を利きませんから。あ、甚爾様と真希と真依は除いてですけど。」
「お、俺は?」
「直哉君はどうかな〜?イジメそうだなぁ?」
「お、俺はイジメへん!」
「本当にぃ?」
「ほんまや!」
「…ま、神様仏様がちゃんと見てますから。イジメたらすぐわかるから、いいね?」
「わかった!父ちゃん、俺は禪院家の当主になってこの家を変える!理玖たんが俺に嫁いでくれるように協力したってや!」
「…いいだろう。」
「必ず嫁ぐとは言ってないからね?嫁ぐかどうかを考えてあげる。そこを勘違いしてあとで文句言わないでね?」
「当たり前や!俺はそないな器の小さい男やない!」

フフンと得意げに笑ったチョロ哉。何度も言うけどそのハチマキとハッピがなければ可愛いのよ、本当に。はぁ、とため息を吐いた私に直毘人が手を叩いた。すぐにハッピを着た女中らしき女性がやってきた。あれ、この人16巻で見たことある…。16巻よりはまだ若々しいけど、

「理玖たんをお部屋に案内しろ。」
「はい。理玖たん様、どうぞこちらへ。」
「あの、理玖たんって呼ぶのやめてもらっていいですか?普通に理玖でいいので、あと様もいりません。」
「いえ、そういうわけにはいきません。」
「あーもう駄目、こういうの嫌!私帰っちゃおっかなぁ〜。」
「すぐに改めろ。」
「はい、理玖さん。」
「お姉さん、無理しなくていいですよ?」
「い、いえ、私は、」
「あー真希ちゃん真依ちゃんに会いたいなぁ…。」
「すぐに連れて来い、」
「はい、只今。」

ぱたぱたと廊下を小走りで駆けて行った真希真衣のお母さんの背中を見ながら、はてどうしたものかと考える。真希真依は今いっちゃいだろうし、好感度イベントとかあるのかな?ま、あったとしてもいっちゃいだからすぐ100%になるだろう。少しして真希真依のママ、略してママンが2人の子供を抱えて帰ってきた。すぐに好感度イベントの表示が出て、私はイベントを選択した。ママンの腕に抱かれたまま私をじっと見つめる双子。可愛い…。

「やだぁ超天使なんですけどぉ!え、めっちゃ可愛い!写メりたい、写メっていいですか?」
「は、はい、お好きにどうぞ。」
「やったー!しばらく待受けは真希真依だな!かわいい〜!お喋りとかはどのくらいできるんですか?」
「はい、まだ、少しだけですが、」

双子を前にはしゃぐ私をママンは嬉しそうに微笑んでいた。チョロ哉が面白くなさそうな顔で私を見ているが無視だ無視。直毘人もいつの間にか酒を飲み始めている。真希真依をそっと抱きしめて、私は二人の額にキスをする。すぐに100%になった好感度。こんな天使2人を苛める禪院家はマジで許さん。選択肢もスキップじゃい。

「真希ちゃん、真依ちゃん、幸せになるんだよ。あなた達を蔑むものは誰であろうと私が許さないからね。それとママン、」
「ママン?」
「真希ちゃん真依ちゃんのお母さん、あなたも幸せになりますように。私が神様仏様に祈っておきますね。」
「…あ、ありがとう、ございます…、」

涙を浮かべたママンをそっと抱きしめる。禪院家はほんとクズ。こんな家はやっぱり変えるべきだ。昔からの仕来たりとか家訓とか、考えが腐ったミカンと同じだ。じろり、と直毘人とチョロ哉を見る。

「直毘人さんはもう聞いたかもしれませんけど、呪術連の上層部がごっそり入れ替わったの、知ってますか?」
「…そんな話を聞いたな。あの老いぼれ共がどうなろうと興味はないが。」
「今から私が直毘人さんと直哉君に縛りを結びます。上層部が入れ替わった原因は、私の逆鱗に触れたからです。彼らの術式、そして呪力を剥奪しました。あなた達の家訓からすれば、これは人にはあらず、に値しますね?」
「…まさか、」
「私が言った約束を覚えていますか?禪院家を変えるって約束、そして弱いものを虐げない。あれ、守れなかったら同じことをあなたたち二人にしようと思います。いいですよね?男に二言はないですもんね?ね?」

私がにっこりと笑うと、2人は顔を青ざめさせた。そりゃそうだ。ひとつでも守れなかったら術式と呪力を奪われ、当主の座はおろか禪院家での地位は一気になかったものとなるのだから。

「で、どうしますか?あなた達のだぁい好きな理玖たんからのお願いですけど?」
「…い、いいだろう。」
「…お、俺も、理玖たんとの結婚の為や、」
「結婚するわけじゃないよー、するかどうかを考えるだけだよー。」

おーほっほ、未来が楽しみだねぇ!真希真依は変わらず私を見上げていたので、バチコーン☆とウインクをしておいた。

「理玖たん…、」
「たん…、」
「ん゛んっ…!」

あっぶねぇ!いっちゃい児の前で吐血するところだった…。てかなんで2人ともたん呼びなの!?ぜってぇ教えてただろ!?余計なこと教えてんじゃないよまったく!!けどまあ、よくやった…褒めてつかわす。



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