カモに葱を背負わせて


「新幹線だぁうわぁあ!」

学校を無断で早退した私たち。お母さんには一応『今日は加茂家に拉致られた』とだけメールをして、学校を出た。悟と傑も一応家に連絡は入れたらしい。二階堂の奢りで新幹線に乗った私達は、2時間半ほどで京都の地に再び降り立った。タクシーで加茂家に向かう車内で、悟は京都駅で買った生八つ橋を開けた。

「え、今食べるの?」
「京都と言えばこれだろ。」
「そういえば昨日はお土産を買う時間もなかったからね、私も一つ頂くよ。」
「ん。理玖は?」
「貰うけど、粉落とさないように食べなよ?」

もぐもぐしながら漸く着いた加茂家。広い屋敷に足を踏み入れると、加茂家の面々が私達を見て顔色を変えた。

「これはこれは…廻神理玖様…、と、五条家の、」
「傑の事も忘れないでくれる?どうせ私の身辺調査はしてあるんだろうし、名前くらい知ってんでしょ。」

私が睨むと男は少し怯んだ様だった。二階堂に聞けば、コイツは現当主の右腕らしい。通された広い客間。

「出された物は念の為、口を付けないでくれ。」
「勿論。」

二階堂の言葉に私達は頷く。現当主がお出ましになると、私を見てにたりと笑った。何だこの爺、きっしょ。

「廻神理玖、神の子か。」
「そうですけど、それが何か?どうやら私を連れてきたものが次期当主だそうですね?」
「ああ、そうじゃ。」
「じゃあ、ここにいる二階堂君彦が次期当主でいいですね?」
「ああ、いいじゃろう。じゃが、儂が死ぬまでは儂が当主、そして二階堂が死ねば次期当主はまた別の者になるがのう。」
「まあ、そう言うと思ってました。私からひとつ、予言を。」
「ほう。」
「加茂憲紀、彼が赤血操術を受け継いでいます。」
「…何?」
「聞けば、あなたの側妻の子だそうですね。ここであなたに命令です。加茂憲紀を次期当主に就かせなさい。そして、憲紀が無事に当主として務まるほどの力量を得るまで、ここにいる二階堂君彦を加茂家当主に就かせなさい。」
「…何を馬鹿げた、」
「これは命令です。逆らうならば神の鉄槌を、今、あなたに。」
「……っ、」

セレクト。

【加茂???があなたの命令に背こうとしています。選択してください。選択すると呪力を50消費します。(残り呪力:118)】
【1.ねじ伏せる 2.術式・呪力を剥奪する 3.なにもしない】

うん、いい選択肢出たねぇ。

「…いいだろう。」
「二言は?」
「…ない。」
「そうですか、それはよかった。危うくあなたの術式と呪力を剥奪するところでした。でも、今言ったこと、破った場合は同様に天罰が下ります。今、ここで遺言に残してください。」

私の言葉に加茂家の当主は大人しく従った。遺言状の内容を確認すると、それを二階堂に渡す。

「では、今誓ったことはお忘れなく。それと、君彦さん。」
「…はい、」
「愛する人の元へ。彼女もあなたを待っています。そして憲紀の父として、彼のことをよろしくお願いしますね。」
「…何故それを…?」
「私が誰かお忘れですか?」
「…はは、参ったな…。ああ、必ず憲紀を加茂家の当主に相応しい男に育てることを誓いましょう。」
「その言葉を聞けて良かったです。じゃ、私達はこれで。…あ、言い忘れてました。くれぐれも、二階堂君彦、加茂憲紀、そしてその母に手出しをしないように。いいですね、現当主さん。あなたがそれを命じていなくとも、手を出した時点であなたの死は確定しますから、よぉく言いつけておくように。それじゃ。」

私が立ち上がると、二階堂がついてきた。どうやら憲紀に会わせてくれるらしい。

「それにしても加茂のじじいの顔面白かったな。」
「理玖には誰も頭が上がらないね。」
「私の両親くらいじゃない?」
「ああ、そりゃそうか。」
「理玖のお母さんは誰に頭が上がらないんだろうね。」
「多分おばあちゃんかな。」
「「ああ…。」」

加茂家の屋敷の離れに着くと、好感度イベントの表示が出た。勿論イベントを選択。中に入るとショタ憲紀がいた。ショタ憲紀、略してショタピー…!…うん、ポケ〇ン?

「…あら、君彦さん、その方々は?」
「私の恩人だよ。」
「まあ?初めまして、加茂紀子です。」
「初めまして、廻神理玖です。」
「五条悟。」
「夏油傑です。」
「あら…あなたが、」
「紀子さん、現当主が君彦さんを次期当主に任命しました。そして、あなた達の息子である憲紀君が、その次の当主になります。」
「え…?」
「誰もあなた達に手を出せないように手も打ちましたから、どうか君彦さんとお幸せに。加茂家にいることが苦でなければですけど、」
「君彦さんと…、」
「あれ、嫌でした?」
「…いえ、嬉しくてっ…、」
「母様…?」
「憲紀…っ、」
「母様を、いじめるな!」
「違うの、違うのよ憲紀、」

ショタピーが私の足をぽかぽか叩いた。うん、か弱きショタピーもカワユス…。私はショタピーをぎゅっと抱きしめる。ショタピーが驚いて叩く手を止めたのが分かった。

「憲紀君、あなたの大好きな家族を守れるように、強くなってね。」
「…え…?」
「立派な当主になって、加茂家を良くしてね。」
「…わたしが、当主?」
「うん。」

腕を緩めると、ポカンとした顔で私を見上げるショタピー。相変わらず目が開いているのかよく分からないほどの糸目だ。

「お父さんと一緒に、当主になるお勉強して、大きくなったら立派な呪術師として加茂家当主として、頑張るんだよ。」
「…分かった!わたしに任せろ!」
「ふふ、頼もしいね。」

ちゅっとその額にキスをして、立ち上がる。ショタピーが額を押さえて私を見上げる。にっこりと笑うとぼふんと顔を真っ赤にした。あらやだ何この子、可愛すぎ。悟と傑が溜息を吐いているが無視だ無視。

「は、ははは、はれんちだぞ!」
「よく知ってるね、そんな言葉。じゃ、またね、憲紀君。紀子さん、君彦さんも、3人でお幸せに。」

私がそう言うと、2人も笑顔で頷いた。悟と傑を連れて玄関に向かおうと振り返ると、がしりと足に衝撃。ショタピーが私の足にしがみ付いていた。やだぁぁぁあ可愛い!!!!

「ま、まて!な、名前、もう一回、名前!」
「廻神理玖。理玖でいいよ、憲紀君。」
「…理玖…、」

【加茂憲紀との親密度が100%になりました。選択してください。この選択には呪力を消費しません。また、この選択は親密度が100%の相手には何度でも選択できます。(残り呪力:120)】
【1.好きだと伝える 2.友達だと伝える 3.付き合いたいと伝える 4.なにもしない】

うん、やっぱり子供相手はすぐにイベント達成しちゃうね。楽だからいいけど。

【4.なにもしない を選択しました。この選択には呪力を消費しません。(残り呪力:120)】

「…わ、わたしが、当主になったら…、」
「ん?」
「理玖を…わたしの正妻にむかえる!!」
「「あ゛ぁ゛!?」」
「…なんでそうなるの?」
「だから、それまでにだれとも結婚しないでくれ!」
「…うーん、それについては何とも言えないけど、憲紀君が立派な当主様になって、その時でも変わらずに私のことを好きでいたら、考えてあげるね?」
「おい、理玖!!」
「私達というものがありながら、」
「こらこら、人の話聞いてた?考えてあげる、だよ。」
「わかった!!!まっていろ!!」
「あはは、待ってるよ。」

タクシーに乗って京都駅に向かうと、3人でお土産を買って帰った。新幹線の中で悟がお土産の殆どを食べきってしまったのには笑った。私は両親へのお土産が入った紙袋を抱えて、満足気に笑う。さて、これで今度こそ平和な日常が来ることを願おう。


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今回も捏造オンパレードです。



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