「つーかメッチャ美味そうなの食ってんじゃん、誰が作ったの?」
「あ、私ですけど…。」
「へぇ〜。」
トモくんと呼ばれていた先輩がニヤニヤしながら私を見る。視線が上から下に、下から上にいったことに不快感しかない。コイツきしょいな。
「えーめっちゃ美味しそうじゃん、マリンも食べたぁい。」
「人数分しか作ってないので、余ってないです。スミマセン。」
「ね〜今度マリンにも作ってよぉ、えっと、なにちゃん?」
「…廻神理玖です。」
「理玖ちゃんね、たぶん覚えたぁ。」
「はぁ、そうですか。」
なんだコイツらひたすらうぜぇな。歌姫ならまだしも、オメェ等には作んねぇよ!私がイライラしていると、トモくんとかいう奴が私のお皿から唐揚げを摘まみ取った。は?いや、
「は?」
「うっめぇ!理玖ちゃんだっけ、俺にも作ってよ。」
「じゃあ今度からマリンとトモくんにご飯よろしくねぇ〜?」
「おいテメェらいい加減にしろよ。」
「人の皿から勝手に盗み食いとは、行儀が悪いね。」
「折角理玖が作ってくれたのに、飯不味くなるからあっち行ってください。」
悟、傑、硝子も機嫌が悪くなった。調子に乗ったトモ(くんなんてつけてやらん)がへらへら笑っている。なんだコイツ、怖いもの知らずか?ゾンビ映画で真っ先に死ぬタイプか?
「あーだっる。」
「お、理玖がキレた。」
「あーあ、先輩どんまいです。」
「自業自得じゃん。」
静かに箸を置いてゲンドウポーズをした私。セレクト。
【???トモと???マリンがあなたに絡んでいます。選択してください。選択すると呪力を20消費します。(残り呪力:160)】
【1.ねじ伏せる 2.術式・呪力を剥奪する 3.なにもしない】
「先輩方、階級は?」
「は?2級だけどなに。」
「マリンは準2級。」
「そうですか。じゃあ、いてもいなくても一緒ですね。」
「はぁ?何言ってんだ?オマエ等こそ階級なんだよ。」
「私ですか?入学を機に特級に昇格しましたが、何か。」
「は、特級…?!」
「噓ぉ、マジィ?」
「俺も特級。」
「私も特級。」
「呪術師としての心得、何だと思いますか?」
「…呪いを祓う、だろ。」
「えー、マリンわかんなぁい。」
こいつら何のために呪術師やってんの?1番。
【1.ねじ伏せる を選択しました。呪力を20消費しました。(残り呪力:140)】
ドサッと2人が地面に倒れ込む。なにが起こったか分かっていないらしい。目を丸くする2人に体を向けて腕と足を組む。お前らなんぞ先輩と思わん!!
「ぐ…っな、んだこれ!!」
「苦しぃ…!!」
「術師は非術師を守るためにある。意味、分かります?」
「はっ、何が言いてぇんだよ!」
「別に、善人に成れとは言いません。けど術師としてもっと常識を身に着けることをお勧めします。あと次私達の食事を邪魔するようであれば、あなたたち2人の術式と呪力を剝奪しますので、よろしく。」
にっこり笑って指を鳴らす。身体が動くようになった二人は逃げるように去っていった。あースッキリした!座り直して再び箸を手に取った私に、悟が唐揚げをひとつ私の皿に乗せた。
「ん?どしたの悟。」
「やる。」
「私も。」
「私もあげる。」
「え、こんなに食べきれないんですけど。」
私がそう言うと、3人とも小さく笑った。私もそれに笑い返すと、元々私のお皿に乗っていた唐揚げを、ひとつずつ3人のお皿に乗せた。
「皆ありがとう、大好き。」
ご飯を食べ終えたころ、夜蛾さんから電話が来た。1人で来てくれと言われたので、洗い物を3人に任せて教室へ。教室に行くと、夜蛾さんは私を連れてひとつの部屋に入った。そして、
【好感度イベント発生!選択してください。この選択には呪力を消費しません。(残り呪力:148)】
【1.イベントを選択する 2.イベントを無視する 3.なにもしない】
え…まさか…!!!!1番!!!
【1.イベントを選択する を選択しました。この選択には呪力を消費しません。(残り呪力:148)】
「理玖の予言通り、パンダが生まれた。」
「…ばぶぅ。」
「ひあぁあああかわいいいいい!!!!」
「おい、」
おしゃぶりをつけて布に包まれたばぶちゃんパンダがいた!!!ひゃああああああああ!!!ばぶってるううううう!!!かわいい!!!!!!!そっと抱き上げて優しく抱きしめる。ばぶちゃんパンダ略してばぶパン!!!かわいいいい!!!!
「ちっちゃあああい…おひさまの香りするううう!!!ふえええかわいいいいいい!!」
テンションが上がる私を見て、夜蛾さんが小さく笑った。
「そいつの存在は、まだ理玖にしか明かしていない。すまんが、誰にも内緒で頼む。」
「勿論です!!!!」
「ありがとう。」
「ばぶぅ…。」
「ひゃああかわよっ…!!!」
暫くばぶパンを抱っこして、また会いに来てもいいかと聞けば、私1人で誰にもバレないように来ること、を条件に許可を貰った。ばぶパンの部屋を後にして、上機嫌で共有スペースに戻る。途中でさっきのバカップルに会った。
「あ。」
「「!」」
「お疲れ様でーす。」
そう言って隣を通り抜けようとした時だ。がしり、トモに腕を掴まれた。
「なんですか?」
「さっきはよくもやってくれたな!!痛い目見せてやる!」
「トモくん頑張れぇ!生意気な1年可愛がっちゃお!」
「学習してねぇじゃん。死ぬか?あ?」
私がメンチを切ると、ちょっと躊躇したらしい。緩んだ手を掴んで投げ飛ばした。すっごい音した。やり過ぎたかな?
「クッソ、舐めやがって…!」
「トモくん!」
「理玖?」
「あ、歌姫パイセンいい所に!聞いて下さいよー、なんかめっちゃ絡んでくるんですけど、この人たち誰ですか?」
「アンタ達、また後輩いびりしてるの?!」
「してねぇよ!!」
「歌姫に関係ないでしょ!?」
「理玖、ごめんなさいね。この2人も私と同じ4年生なの。」
「4年生なのに常識ないんですね!」
「アァ!?」
「止めなさいってば!」
歌姫がバカップルを追い払ってくれた。私は歌姫の腕ににしがみ付いて、バカップルにべーと舌を出す。
「また何かされたらすぐに言いなさい?」
「ありがとうございます!パイセン大好き!」
「ありがと。私も理玖のこと好きよ。それにしても、アイツら理玖に何してきたの?」
「私の至福の一時を邪魔してきたのでねじ伏せました!そしたら根に持って絡んできたみたいです!次絡んできたら術式と呪力剥奪するつもりなので、クラスメイトが減ったらすみません!」
「…そんなことできるの!?そういう術式?」
「色々できるんです。歌姫パイセンには絶対使わないので安心してください!」
「…待って、今思い出したんだけど理玖って…もしかして…神の子?」
「え?あ、そうですけど。」
「…握手して!!!」
「え!?」
「大ファンなのよ!!!」
「え!?!?」
「まさか後輩が神の子だったなんて!!私ったらなんでさっき気付かなかったのかしら!!」
「ちょい待ってパイセン、どういう事ですか?」
「2、3年前に、呪術連の上層部がごっそり入れ替わった事件あったでしょ?」
2、3年前というと…羂索を祓った頃か。
「あ、はい。私がやりました。」
「実は、上層部にうちに嫌がらせしてくるクソ爺がいたのよ。それがある日を境にピタッとなくなって、どうしたのかと思えば一人の女の子が上層部をごっそり入れ替えたって聞いて、」
「嫌がらせは止まりましたか?」
「勿論!ぴったりとね!まさか理玖がやったなんて…本当に感謝してるわ!ありがとう!」
「やっぱり腐ったミカンでしたね。」
「え?」
「なんでもないです!今度一緒にご飯食べましょうね!」
「ええ、勿論!」
歌姫の好感度が60%になった。やっぱり女の子同士は上がるの早いなぁ!明日あたり、歌姫にご飯作って差し入れしてあげよ〜。歌姫と別れた私はスキップで共有スペースに戻った。共有スペースでは悟と傑がいた。
「あれ、硝子は?」
「煙草。」
「あーね。」
「それより何の呼び出しだったんだい?」
「ん?報告書についてちょっと聞かれただけ。」
「ふーん?」
「硝子が戻ってきたら、私の部屋で桃鉄しない?」
「いいね。」
「オールで99年やろうぜ。」
「それは地獄の予感。」