妹ラブなお兄ちゃんに、妹が彼氏を紹介したら?!


「るんるんチャンネルをご覧の皆さん、お疲れサマンサー!皆の妹、馨です!そして、今日は特別ゲストをお迎えしてます!」
「君の瞳に俺を投射!(バチコーン☆)どうも〜、皆大好き直哉君やで〜!」

私の部屋でカメラに向けてウインクをした直哉君。今日は直哉君と私のコラボドッキリ企画だ。

「はい、今日は直哉ちゃんねるの直哉君がわざわざ京都から来てくれました!」
「馨ちゃんのためなら世界のどこにでも飛んでったるよ!」
「うふふ、ありがとうございます。今日の動画はですね、いつも私にドッキリを仕掛けてくるお兄ちゃんに、ドッキリ返しをしたいと思います!」
「その名も、『妹ラブなお兄ちゃんに、妹が彼氏を紹介したら?!』いうね、悟くんどないな反応するやろか。楽しみやねぇ!」
「はい!あ、直哉君と私は付き合っていません。今日はこの企画のために、彼氏役をしくれるだけなので、皆さん安心してくださいね?」
「俺はほんまに付き合いたいくらい馨ちゃんのこと好きやで。」
「あ、そういうのいいです。今日実際にお会いするのも初めてなので、本当にこの企画のためだけに来てくれました、ありがとうございます。」
「そないな畏まらんでええよ、俺ら同い年なんやし。」
「…あ、え、そうだっけ?」
「俺も高2やで。」
「あ、じゃあ同じだぁ〜!」
「馨ちゃんほんまかわええな?俺と付き合わへん?」
「あ、そういうのいいです。じゃあ企画の説明しますね?タイトル通り、私と直哉君が付き合っているという体で、お兄ちゃんに直哉君を紹介します。お兄ちゃんは今、共通の友人である傑くんに頼んでちょっと呼び出してもらっているので、今は家にいません!準備ができ次第お兄ちゃんを呼び戻します。多分すっごく怒ると思うので、ストッパーに傑くんも一緒に来てもらいます。」
「俺殴られたりせぇへん?」
「あ…その時はごめんなさい!」
「いや怖い怖い!」
「カメラはリビング、玄関、私の部屋の3か所に仕掛けました。」
「悟くんが帰って来るまで俺は馨ちゃんの部屋で待機やね?」
「はい。私がお兄ちゃんに紹介したい人がいるって話をして、直哉君を呼びます。お兄ちゃんのリアクションがちょっと怖いですけど、ビビらずに頑張ります!」
「俺もすぐ逃げれる準備しとかな…。靴は玄関置いたまんまやけどどないすんの?」
「あ…靴はそのままで大丈夫です!じゃ、準備しましょう!まずはお兄ちゃんを呼び戻します!」
「俺まで緊張するわぁ…悟くんめっちゃ馨ちゃんのこと好きやん?」
「えへへ。」

まずはLIMEで傑くんに準備OKと送る。次はお兄ちゃんに電話だ。ワンコールで繋がった。直哉君にシーっとジェスチャーをして、スピーカーにする。

『馨、どうした?』
「お兄ちゃん、今どこいるの?」
『今傑とJUTAYAでクソつまんねぇ映画探し勝負してる。』
「何それウケる。まだ帰ってこないのぉ?」
『すぐ帰るわ。マジですぐ帰る。おい傑、俺帰る。』
「あ、待って、お兄ちゃん!傑くんも一緒に連れてきてよ、一緒に借りてきた映画見たい!」
『じゃあ馨が嫌いなホラーだけ借りるわ。』
「やだぁ!もう、早く帰ってきてね?」
『ん。待ってて。』

通話が切れて、直哉君が堪えていた笑いを噴き出した。

「あかん、悟君帰ってきたら俺おるんやで…!ぷくく…っ、」
「はい、じゃあお兄ちゃんが帰るまで待機ですね!」
「馨ちゃんめっちゃ可愛い。さっきのまだ帰ってけぇへんのかって聞いた時の馨ちゃんめっちゃかわええ…。悟君がシスコンになるのも分かるわぁ…。」
「あ、またお兄ちゃんから電話来ました!」
「黙るわ。」

通話ボタンを押して、スピーカーにする。電話口でがやがやと声がする。

「どうしたの?」
『コーラある?あとポテチ。』
「あ、見てみるね。」

電話を持ったまま冷蔵庫を確認し、ポテチを入れている棚も確認した。

「両方ともあったよー?」
『ん。じゃもう着くわ。』
「はーい。」

また電話が切れて、傑くんからLIMEが届いた。

「あ、友人の傑くんから返信が来ました。もうマンションの下に着いたそうです!」
「早ない?」
「じゃあ、緊張のドッキリ、いよいよ本番です!」

(玄関カメラ)
「馨ー、帰ったー。」
「こんにちは、お邪魔します。」
「あ、お帰りなさい。傑くんこんにちは!」
「…誰か来てんの?」
「え?」
「この靴誰の?俺のじゃねぇじゃん。」
「あ、ちょっとお客さん来てるの。とりあえずリビング行こう?」
「聞いてねぇんだけど。」
「ついさっき来たの!」

(馨の部屋カメラ)
「!帰ってきた?(小声)」

(リビングカメラ)
「どこいんの。」
「私の部屋で待ってる。」
「は?なんで部屋上げてんの?」
「こらこら悟、」
「実はそのことでちょっと話があるから、座ってくれる?」
「いやいい。俺が馨の部屋行く。」
「え、ちょ、待って!」

(馨の部屋カメラ)
「…え?なんかこっち来てへん?(小声)」

「悟、落ち着いて。」
「は?落ち着けるかよ。」
「お兄ちゃん待って、紹介するから!」

「え、ヤバない?ヤバいやんな?(小声)」

「リビングで待とうよ、悟。」
「…すぐ呼べ。」
「わかった。」

「…俺大丈夫かな…。(小声)」
「(ガチャ)…直哉君、ヤバい…。」
「聞こえてたで…。俺生きて帰れる?」
「……わからない。とにかく、リビングに行きましょう。」

(リビングカメラ)
「つーかありえねぇ。なんで部屋あげんの?危機感の欠如だろ。自分がどんだけ可愛いかわかってねぇだろ。」
「何か理由があったんだろ、そう怒るなよ。」
「いやいや、俺に何の連絡もなしに他の奴あげんなって言ってんのね。いつも。」
「…来たよ。」
「お兄ちゃん、あのね、紹介したい人が…、」
「…。」
「(お兄ちゃんめっちゃキレてる…。)実は、隠してたことがあって…、」
「あ゛?」
「悟、」
「その…、か、れしが…できました…。」
「は?」
「おめでとう、馨ちゃん。」
「ありがとう。それでね、お兄ちゃんに紹介しようと思って来てもらったの。」
「お呼びじゃねぇよ。つかなんで俺がいるのに彼氏とかつくんの?」
「悟落ち着け。」
「いつから付き合ってんの。」
「1週間くらい前から…。」
「はぁ?俺は?俺のこと好きって言ったじゃん。」
「そ、れは、家族として、」
「んだよそれ、意味わかんねぇ。ソイツ呼べよ。」
「…うん、直哉君。」
「は?直哉?(ピクッ)」
「あ、悟君、ども!ちゃんと会うの初めましてやね?どうも直哉ちゃんねるの直哉です〜。」
「…マジで言ってんの?」
「マジマジ、大マジ!馨ちゃんと付き合い始めたんよ。ほんで今日はちょっとご挨拶に、あ…これつまらんもんやけど受け取って。」
「殺す。」
「お兄ちゃん待って!」
「落ち着け、悟!」
「うわぁあ!?ちょお、顔はやめてや!!」
「俺の馨に手ぇ出してんじゃねぇよ。」
「痛い痛い痛い痛い!!!(頭鷲掴みされてる!!握力どないなってんね!!!頭つぶれるわ!!)」
「待ってお兄ちゃん、こっち向いて!!」
「悟、ほらこれを見てごらん。」
「はぁ?」
「「ドッキリ大成功ー!」」
「…直哉殺す。」
「痛い痛い痛い痛い!!!なんでなん悟君!?」
「ドッキリとか知らねぇよ、馨の部屋に入った時点で殺す。」
「あぎゃあああ!!」

(きれいな映像をお楽しみください。)

「はい、というわけで改めまして、妹ラブなお兄ちゃんに、妹が彼氏を紹介したら?!でした。お兄ちゃん、どうでしたか?」
「は?どうもこうもねぇよ、クソムカついた。」
「あ、もうカメラの前でも素のままなので相当怒ってますね。」
「悟君容赦なさすぎや…頭割れてない?俺の卵ヘッド割れてない?」
「元から割れてんだろ。さっさと帰れ。」
「お兄ちゃん!協力してくれた直哉君、ありがとうございました。」
「馨ちゃんのためなら全然痛くも痒くもないで。」
「じゃあマジで割ってやるよ。」
「悟、やめないか。」
「傑君も、協力してくれてありがとうございました!」
「私は悟の面白い反応が見れて楽しかったよ。またいつでも協力するからね。」
「うん!では今日の動画はこの辺で!ご視聴ありがとうございました。皆もドッキリするときは色々と気をつけてね!お疲れサマンサー!」
「お疲れサマンサー!直哉ちゃんねるもよろしく〜!」
「お疲れサマンサー。」
「…。」
「ほらお兄ちゃんも。」
「サマンサ。」

title you