ストーカーの供述


馨ちゃんへ

いつも見てるよ。馨ちゃん可愛いね、愛しているよ。初めて馨ちゃんに出会った時、俺は思ったよ。馨ちゃんが俺の運命の人なんだ。俺が馨ちゃんのことを幸せにするからね。それには悟とかいう男が邪魔だから、まずはソイツから始末しよう。そしたら俺と馨ちゃんが結ばれるんだ。馨ちゃんにはまず俺の事を知ってほしいから、一緒にお風呂に入っていっぱいエッチなことしようね。俺のちんこでいっぱい気持ち良くしてあげるから、楽しみにしていてね。俺はいつも馨ちゃんの動画や写真でオナニーしてるけど、やっぱり本物の馨ちゃんが相手だと我慢できなくていっぱいぶっかけちゃうかもしれない。怒らないでね?ちゃんと馨ちゃんのこともいっぱいぺろぺろして気持ち良くして、俺のザーメンでいっぱいいっぱいにしてあげるよ♡二人でたくさん子作りセックスしようね♡そうだ、馨ちゃんそろそろ生理日だよね?俺がナプキン買ってきてあげるね。それともタンポン使ってみる?俺が馨ちゃんの中にちゃんと挿れてあげるから、待っててね、買っていくね?俺と馨ちゃんの新居も準備しておかないとね。まずはアイツを排除する。馨ちゃんのお兄ちゃんとかそんなの関係ないよ。俺と馨ちゃんだけがいればいいんだから。それにアイツ顔がいいからって生意気なんだよ。俺の馨ちゃんに馴れ馴れしく触りやがって。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
馨ちゃん、あとで会いに行くからね♡待っててね、愛してるよ。馨ちゃん食べたいな。あ、ちゃんと俺が馨ちゃんだけを愛してるって証明に、俺のザーメンまみれの馨ちゃんの写真を送るね♡

馨ちゃんの運命の相手より




男は己の運命の相手という女の写真に白く生臭い液を放って塗り付け、乾かした。愛の言葉を綴った便箋に、生臭くなった写真を添えて茶封筒に入れる。明日、仕事の前に女の部屋番号が書かれたポストにそれを投函しなければ。男はにやける顔でそれを仕事用のカバンに入れ、眠りについた。翌朝、車に乗って仕事へ向かう。仕事の前の大仕事を成し遂げなければならない。鞄から茶封筒を取り出し、女の部屋のポストに投函した。彼女がこれを確認するのは帰宅してからだろう。それまでただひたすら待ち遠しい。男は車に戻った。そろそろ仕事の時間だ。見慣れた2人組が高層マンションのエントランスから出てきた。2人が男の乗った車に近付いたところで、男はドアを開けるボタンを押した。2人組は何やら楽しそうに話しながら車に乗り込む。男はバックミラーを調整するフリをして、2人組のうち一方をじっと見つめた。男の視線に気づいた女がにこやかにほほ笑む。

「小野川さん、今日もお願いします。」
「あ、ハイ…。では、出発します。」
「よろしくー。」

男はハンドルを握る手に力が籠るのを感じた。今日も女神が自分に微笑んでくれているのだ。彼女こそ自分の運命の相手なのだ。男は興奮し始めた自信を落ち着かせるように深呼吸をした。まだ駄目だ、落ち着け。車は大通りを走り、2人をいつもの場所まで送り届けた。女が代金を支払おうとする様子をじっと見つめる。もう一方の男が女の手を止め、自分の財布からお札を抜き、トレイに乗せた。男は心の中で舌打ちした。お釣りをトレイに乗せて返すと、ドアを開ける。女はまた女神のように自分に微笑んでお礼を述べた。男はそれにぺこりと頭を下げる。もう一方の男は女の横腹をつついて、早く降りろと催促していた。女は擽ったそうに笑いながら車を降りる。女の制服のスカートから除き見えた白く柔らかそうな太ももに、男の視線は釘付けになった。2人が車を降りると男はドアを閉める。すぅ〜とできる限り大きく息を吸い込んだ。女の残り香を堪能しようと、大きく。ああダメだ、あの男の香水の匂いがどうしても鼻につく。男は窓を開けて車を発進させた。時間までは通常業務をしなければ。

今日は散々だった。偉そうなサラリーマン。大声電話のおばさん。小言の多いオッサン。うるさく泣き喚く子連れ。エトセトラ、エトセトラ。いつもの時間が近付いてきた。間に合うように目的地に向かう。よかった、間に合った。男は小さく息を吐いた。以前5分ほど到着が遅れた時に、2人組の男が乗車早々舌打ちをしたのだ。その時はぐっと堪えた。何故なら女神が男を気遣う言葉をかけてくれたからだ。

「今日も忙しかったんですね、お疲れ様です。」

それだけで男は心が晴れやかになった。やはり彼女は女神だ、そして自分の運命の相手なのだと。2人組が建物から出てきた。男はドアを開けるボタンを押した。2人組が乗り込むと、女はまた自分に微笑んだ。そして優しい声をかける。男はミラー越しに女を見つめた。車が動く。

「あ、今日買い物しないとだった。」
「そういやそんなこと言ってたな。小野川さーん、いつものスーパー寄ってー。」
「はい、わかりました。」

男の気だるげな声に男はぐっとハンドルを握る手に力を込めた。お前が俺の名前を呼ぶな!!心の中で男を殴りつけた。男は自分のパンチにばたりと倒れる。勝った。やはり彼女を守れるのは自分だけだ。男はにやけそうになった口元を覆って、小さく喉を鳴らしてごまかした。2人組をスーパーに送り、駐車場に車を止めて待機する。2人組が店内に入ると、男も車を降りた。店内に入る。少し離れたところに仲良く寄り添って食材を眺める2人組を見つけ、舌打ち。俺の女神に触れるな、悪魔め。男は握りしめた拳で太ももを殴った。あの男、いつか殺してやる。男の目は血走っていた。2人組は食材を見終えると調味料を選んでいた。男は物陰から女を見つめる。白く細長い女の足にしゃぶりつきたかった。けど今はまだ駄目だ。堪えろ、堪えろ。男は熱を持つ自身を抑えるように手を添えた。ふと女が振り向いた。慌てて身を隠す。危うく見つかるところだった。男はもう一度ゆっくりと顔を出す。今度は男がこっちを見ていた。慌てて身を隠す。クソ、あの男はやっぱり邪魔だ。男はガリッと爪を噛んだ。2人組が移動する。生活用品売り場に来た。女が女性用品を手に取って籠に入れる。やっぱりもうすぐ生理が来るんだろう。男はニヤリと笑う。2人組がレジの列に並ぶと、男はこっそり店を出た。車に戻り、何事もなかったように2人組を待つ。2人組が車に近付くと、またボタンを押してドアを開けた。2人組をあの高層マンションに送り届ける。建物の中に2人組が消えるまで男は運転席から見送った。そろそろ自分のラブレターをあの女神が手に取るころだろうか。男はにやける顔のまま業務を終えるために会社に戻った。いつも通り車の清掃をして、今日の走行距離と客数、売り上げを記入して会計係に提出すると、タイムカードを切って帰宅した。荷物を玄関先に放って、念のためにネットで買った折り畳み式のナイフをポケットに忍ばせ、目深く帽子を被ってマスクもした。あの悪魔を俺が祓って、女神を我が手に。男は舌なめずりをした。もうすぐだ。もうすぐだ。男は歩いて目的地に向かう。その途中に男のスマホに通知音が鳴った。男はそれを見てこれでもかと不気味な笑みを浮かべる。イヤホンを繋いでスマホ画面を見ながら、男はコメントを打った。スマホ画面の中で女神が泣いている。ああ、やっぱり隣の男のせいで泣いているんだ、今から助けに行くからね。男は見慣れた高層マンションの入り口を潜り抜け、インターホンを操作する。勿論愛する女神のいる部屋の番号を押した。…出ない。女神よ、早く。もう一度押す。男が出た。舌打ちをした。インターホンの向こうに女神が捕らわれている。女神を助けなければ。

「馨ちゃん、来たよぉ、開けてぇ。」

インターホンの向こうで女神の声が聞こえた。今助けるからね。男はポケットの中を確認した。ある。あるぞ、俺にはコレ・・がある。

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