ファンその2の心情


※一人称「僕」にしてます。


『るんるんチャンネルをご覧の皆さん、お疲れサマンサー!皆のお兄ちゃん、悟だよー!』
『お疲れサマンサー!皆の妹、馨です!』

「しゃけしゃけ!」

僕の名前は狗巻棘。呪術学園中等部の2年生。僕には憧れている兄妹がいる。

『あ、おにぎりさん、しゃけしゃけ!』

「明太子…!」

Yon Tuberの悟さんと馨さん。馨さんはおにぎりの具しか書かない僕のコメントを時々見つけて読んでくれる。悟さんはよく分からない。僕は最近、馨さんを見ていると胸がきゅ〜っと痛くなる。

「それ、馨のこと好きってことだろ。」
「ツナマヨ!?」
「ま、馨は可愛いから気持ちは分かるわよ。」
「そうだな。」
「…いくら、明太子?」
「そう言えば今日昼休みに馨が来るって言ってたわね。」
「あ、そうだった。棘、紹介してやるよ。実物は動画の比じゃねぇから、覚悟しとけよ?」
「高菜…!?」

馨さんが…中等部に…!?その日の僕は授業に全く身が入らなかった。あっと言う間に昼休みになって、学食を掻き込んで走って教室に戻った。馨さんに会える…!僕はワクワクしながら自分の席で待った。パンダに自慢しよう。パンダはこの呪術学園で飼われてるパンダだ。高等部にいる夜蛾先生が拾ってきたらしい。パンダって拾えるんだぁ…。パンダはなぜか人語を話せるし電子機器も使いこなせる。噂では背中にジッパーがあるとかないとか。もはやパンダとは…?

「すじこ…!(ルンルン)」

馨さんまだかな。真希と真依が帰って来た。

「ったく、置いて行きやがって…。」
「よっぽど馨と会えるのが楽しみみたいね。」
「しゃけ!いくら、明太子!」
「高等部も昼休みだし、馨もそろそろ来んだろ。覚悟しとけよ?」
「…すじこ…。」
「…あら、馨の声じゃない?」
「…来たな。」

つ、ついに…、あの馨さんに会える…!

「馨?」
「あ、真希ちゃん!この前LIMEで話してたの持って来たよ!」
「馨、久し振り。」
「真依ちゃん久し振り!中等部久々で迷子になっちゃった!」
「「可愛いかよ。」」
「お邪魔しまーす!」
「馨、紹介するわね。」
「狗巻棘、るんるんチャンネルのリスナーだ。」
「え、嘘!ここでも?」
「す、すじこ…!」
「すじこ?」
「お、おかか!ツナマヨ!」
「あ…もしかして、おにぎりさん?」
「しゃ、しゃけ!!」

覚えててくれたあああああ…!テンションが上がった僕が両手で顔を覆ってごろごろしていると、馨さんはくすくすと笑った。うぅ…可愛い…。真希と真依がニヤニヤして僕を見ている。

「良かったな、棘。認知されてて。」
「ま、コメント全部がおにぎりの具だなんて、覚えない方がおかしいもの。」
「高菜…?」
「おにぎりさ…じゃなくて、棘君?確か前にファンレターくれたよね?私の似顔絵!」
「しゃけしゃけ!こんぶ…いくら、すじこ!」
「んん〜?ちょっとわからないけど、あの似顔絵、私の部屋に飾ってるの!今度ジュイートしてもいい?」
「〜っ!!(じたばた)」
「えっと、嫌だった?」
「いや、これは喜んでる。」
「喜んでるわね。」
「狗巻くーん!」
「お、憂太。」
「あ、真希さん、真依さん、っと…、」
「初めまして、高等部の五条馨です。ちょっと真希ちゃんと真依ちゃんに、」
「ぼ、僕…乙骨憂太です…!」
「!」

憂太が馨さんを見て顔を真っ赤にしている。こ、これは…まさか…馨さんに惚れたの!?!?

「もしかして、よく真希さんたちのチャンネルでコラボしてる…、」
「はい、るんるんチャンネルの馨です!よろしくね!」
「うわぁああ…!本物だっ!すごく可愛い…!」
「!?」

憂太あああ…!憂太は真希・真依チャンネル推しって言ってたじゃないかああああ…!!裏切り者おおお…!

「そ、そんな…、恥ずかしい…。けど、ありがとう。」
「あ、握手してもらっても…って、図々しいですよね?」
「す、すじこ!?」
「いいですよ。真希・真依チャンネルのこと応援よろしくね!」
「は、はい…!」
「ツ、ツナマヨ…!(わたわた)」
「あ、棘君も握手する?他のリスナーさんには内緒にしてね?」
「しゃけしゃけ!!!(こくこく)」

ぼ、僕も握手してもらえた…!!!絶対手洗わない…!!!

「あ、狗巻くん、ミゲル先生が英語のノート再提出って言ってたよ?おにぎりの絵がどうとかって…、」
「高菜!おかか、すじこ!」
「そ、そっか、馨さんとお話ししたいよね!あとで行くといいよ。」
「馨、そういえば悟はどうした?」
「あ、着いてくってうるさいから傑くんに任せちゃった!けどそろそろ振り切って「馨ー!!!」来ちゃった…。」
「何で一人で行くわけ!?俺も行くって…、は、誰コイツら。」
「リスナーさんだよ!」
「…マジ?」
「マジだ。」
「マジよ。」
「うん、マジです!」
「…おほん!お疲れサマンサー!」
「「「「…、」」」」
「お兄ちゃん…、」

やっぱり悟さんはよく分からない。

「あ、渡すの忘れるところだった。真希ちゃん、真依ちゃん、これが例のブツです!」
「あのスイパラの優待券か。」
「ありがとう、馨。」
「4人まで使えるから!あ、1年間有効って言ってたよ!」
「じゃ、今日行くか?棘、憂太も一緒に行こうぜ。」
「え、いいの?」
「こんぶ…?」
「そうね、折角なら4人で行きましょ。」
「あ、お兄ちゃん、こちら狗巻棘君。おにぎりさん!」
「は?おにぎり?…あー、いくらとかなんとか言ってる、」
「しゃけ!」
「そうそうしゃけとか。つーか普段もそれで喋ってんの?よく通じるな?」
「あとこっちは乙骨憂太くん。真希・真依チャンネルのリスナーさんなんだって!」
「は、初めまして…!るんるんチャンネルもよく見てます…!」

憂太あああああ!?憂太いつもコラボの時しか見てないって言ってたのに!!!

「桃鉄配信の時も見てました!」
「「あー…、」」
「あれは地獄だったな。」
「そうね。」
「あの時は本当に申し訳ないことを…。」
「馨は可愛いからいいの。俺が許す。」
「ツナマヨ…!」
「ツナマヨ?」
「す、すじこ…!」
「ふふ、すじこ!」
「明太子!」
「明太子!」

ああああああ…!!!馨さんが可愛すぎる…!!!好きです…!!

「馨が可愛い…!」
「しゃけしゃけ!!!」
「しゃけ?」
「こんぶ!」
「棘が馨のこと好きだってよ。」
「!」

真希いいいいいい!?!?!?

「は?」
「そうなの?ありがとう、棘君!」
「俺の馨だから。」
「ちょっとお兄ちゃん!?」
「い、いくら…!」
「俺の馨が可愛いからって「お兄ちゃん!」馨〜!」
「おい、ここでイチャつくな。」
「相変わらずのシスコンね。気色悪い。」
「馨が可愛いんだからシスコンにもなるだろ!!!」
「分かったから落ち着いてよお兄ちゃん!!」
「そう言えば握手会、棘も行くんだよな?」
「しゃ、しゃけ!」
「そうなの?ありがとう!待ってるね!」
「しゃけ…!(ぷしゅ〜)」
「わ、狗巻君!?湯気、湯気出てる!!」

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